突然の病気や失業、大きな出費…そんな“もしも”のとき、手元に現金がないと生活が一気に苦しくなります。投資で資産を増やすことも大切ですが、同じくらい大事なのが「緊急用貯金」の確保です。
この記事では、「生活防衛資金3:投資資金7」という黄金比に着目し、なぜこの比率が合理的なのか、どれくらいの金額が必要なのかを詳しく解説していきます。
今すぐに全額を用意する必要はありません。この記事を読み終える頃には、「自分に必要な備え」がクリアになります!
目次
- 第1章:なぜ緊急用貯金が必要なのか?
- 第2章:目安は「生活費の何ヶ月分」?
- 第3章:投資との理想比率「3:7」の理由
- 第4章:緊急用資金のおすすめ置き場所
- 第5章:ぼくの実例|20代ひとり暮らしの場合
- まとめ:備えがあるから、投資に踏み出せる
第1章:なぜ緊急用貯金が必要なのか?
貯金がないと何が困る?
「資産形成を始めたい!」そう思ったとき、最初に見落としがちなのが緊急時に備えた“守りの資金”です。特に収入が安定していない若年層や、生活に余裕のない状態で投資を始めると、ちょっとした出費が大きなストレスになります。
生活費の予備がないまま投資に全力を注いでしまうと、資産を減らさないための“投資”が、逆に生活を圧迫する原因になりかねません。
【補足説明】
緊急用貯金とは、突然の病気・失業・親の介護など“予測できない支出”に備えるための資金です。生活防衛資金とも呼ばれます。
たとえば、エアコンの故障で10万円、歯の治療費で5万円、冠婚葬祭で急に7万円…こうした出費は年に数回、突然やってくるものです。
そんなとき、手元に一定の現金がなければ、カードローンやクレジットの分割払いに頼ることになり、将来の投資どころか“借金返済”に追われることにもなりかねません。
投資だけではカバーできないリスク
また、株価が暴落したタイミングで現金が必要になると、「今は売りたくないけど売らなきゃ…」という投資の本質を歪める判断を下すこともあります。
安心して投資に取り組むためには、最低限の「守り」を整えておくことが不可欠です。たとえば、月5,000〜10,000円程度からでも構いません。コツコツ積み上げることで、半年後・1年後には確かな安心感が手に入ります。
特にひとり暮らしの方やフリーランスは、公的支援の網から漏れやすく、現金の備えが命綱になります。逆に、会社員で福利厚生がしっかりしている方は、最低限の備えから投資を始めることも可能です。
まずは投資の前に、生活の安心を確保する。この順番を守るだけで、将来の後悔はグッと減らせます。次章では、緊急用資金の「具体的な金額目安」について解説していきましょう。
第2章:目安は「生活費の何ヶ月分」?
一般的な目安は3〜6ヶ月
「緊急用貯金はいくら必要ですか?」という質問に対して、多くの専門家が示すのが「生活費の3〜6ヶ月分」という目安です。これは、突然の失業や病気などで収入が途絶えた際でも、一定期間は生活を維持できる金額として広く推奨されています。
たとえば、毎月の生活費が20万円の人であれば、60〜120万円ほどが目安となります。これは“貯めすぎ”ではなく、むしろ「投資を続ける余裕を持つための必要コスト」ともいえるのです。
生活費(月) | 3ヶ月分 | 6ヶ月分 |
---|---|---|
15万円 | 45万円 | 90万円 |
20万円 | 60万円 | 120万円 |
25万円 | 75万円 | 150万円 |
自分に合った金額をどう見積もる?
ただし、この目安はあくまで「平均的なリスク」に備えたもの。実際には、家族構成・職種・保険の有無などによって必要額は大きく変わります。
たとえば、公務員や正社員で失業リスクが低い人は3ヶ月分でも十分かもしれません。一方、フリーランスや業績連動型の職種で働く人は、最低6ヶ月、できれば1年分を目指すのが現実的です。
加えて、育児・介護・教育費など今後の支出が予測できる場合は、別枠でそれらの積立も検討しておくと安心です。単に「生活費を何ヶ月分」と考えるのではなく、自分のライフスタイルや職業特性に合わせてカスタマイズする視点が大切です。
ちなみに筆者は、社会人3年目で20万円の生活費に対して、実際に90万円(4.5ヶ月分)を確保することからスタートしました。万一の時にすぐ使える現金があると、精神的な余裕も全然違います。
次章では、貯金と投資の「理想的なバランス」について、3:7という比率の意味と根拠を解説していきます。
第3章:投資との理想比率「3:7」の理由
なぜ「3:7」が現実的?
資産形成を考えるとき、多くの人が「全部投資に回した方が効率がいいのでは?」と感じます。しかし、生活資金を犠牲にしてまで投資に偏ることは、非常に危険です。ここで目安になるのが「緊急用貯金3:投資資産7」というバランスです。
この比率は、万一の出費に備えた安心と、資産成長の両立を図るための基準です。リスク資産に偏りすぎず、現金が必要なタイミングでも冷静に対応できる構成と言えます。
吹き出しメモ:
たとえば100万円の資産があれば、「30万円は貯金、70万円は投資」といったイメージですね。最初は貯金多めでもOK!
投資に回しすぎるとどうなる?
相場は常に上がるわけではありません。リーマンショックやコロナショックのように、大きく下落する局面もあります。そんなとき、生活費まで投資に回していたら、売りたくないときに資産を切り崩すことになりかねません。
この3:7という比率は、「投資の継続性」を守るための最低限のルールです。投資をやめないための“現金の盾”と考えると納得しやすいでしょう。
また、3:7の比率は変化するライフステージに応じて調整可能です。たとえば結婚や出産、転職といったライフイベントが控えている場合は、一時的に「5:5」など安全寄りの配分にするのも選択肢のひとつです。
重要なのは、「自分が無理なく投資を続けられる心の余裕を持つ」こと。そのために現金を適切に残しておくという考え方が、長期投資を成功させる土台になります。
次章では、そうして確保した緊急用貯金をどこに置いておくべきか、具体的な管理方法を紹介していきます。
第4章:緊急用資金のおすすめ置き場所
銀行預金だけでいいの?
緊急用資金は「すぐに引き出せる」「元本が減らない」ことが何よりも大切。そのため、基本は普通預金や定期預金などの銀行口座に置くのが安全です。ネット銀行を活用すれば、少しでも金利が高い選択肢もあります。
ただし、全額を1つの口座に入れておくのではなく、使う目的に応じて“分けて管理”することもポイントです。
資金の種類 | 置き場所の例 | 用途 |
---|---|---|
すぐ使う現金 | 普通預金(メインバンク) | 病気・事故などの緊急支出 |
半年以内の出費 | 定期預金・サブバンク | 引越し・家電購入など |
1年以上先の備え | 個人向け国債など | 予備費・教育資金 |
使いやすさと安全性のバランス
緊急用資金は「使いやすさ」と「安全性」のバランスが重要です。いつでも引き出せるが減らない、が理想的な形。ATM手数料のかからない銀行、24時間引き出せるネットバンクなどをうまく活用しましょう。
また、手を付けないためには目的別に通帳や口座を分けて管理するのも有効です。見えない財布は使いすぎ防止のコツとも言われています。
たとえば筆者は、生活費20万円に対して緊急用資金を3つの口座に分けて保有しています。ひとつは普段使いの銀行(引き出し用)、もうひとつはあまりアクセスしない定期預金、そして最後は将来の教育資金や転職備えとして個人向け国債に回しています。
このように、目的ごとに使い道を分けることで、使わない意志が自然と働くのも分散のメリットです。「いつの間にか使っちゃった…」を防ぐ仕組みを持つことが、守りの資産運用にはとても重要です。
次章では、実際にぼく自身がどのように緊急用資金を管理しているのか、リアルな事例をご紹介します。
第5章:ぼくの実例|20代ひとり暮らしの場合
実際いくら貯めて、どう分けているか
ここでは実際に筆者(20代・ひとり暮らし・会社員)の事例をご紹介します。毎月の生活費は約20万円で、緊急用貯金として現在は約90万円を確保しています。これは4.5ヶ月分に相当し、自分なりの安心ラインです。
内訳としては、「使える貯金」「触れたくない貯金」「いざというとき用」の3層に分けて管理しています。
補足解説:
「使える貯金」→普通預金、「触れたくない貯金」→定期預金、「いざというとき用」→個人向け国債などで運用。心理的な使い分けがとても大事です。
積立NISAと現金のバランス
投資と貯金のバランスは、「3:7」をベースにしていますが、筆者は貯金を先に作ってから投資に切り替えたタイプです。結果として、相場が下落しても焦らず投資を続けられています。
積立NISAでは毎月5万円をS&P500に投資していますが、同時に生活防衛資金も積み立てており、「守りの資金」があるからこそ攻めの投資が続けられると実感しています。
重要なのは金額ではなく、「不安を感じないラインまで貯金を確保すること」。それができれば、投資の継続力が格段に変わります。
周りを見渡しても、同年代でここまで貯金を意識している人は正直少ない印象です。でも、自分が過去にスマホの故障や親の急病で急な出費を経験したことで、現金の大切さを痛感しました。
「いざというとき」がいつ来るかはわかりません。だからこそ、投資の成果に一喜一憂する前に、自分の足元を整える。これが、長く投資を続けていくための一番の準備だと思っています。
最後は「自分にとってちょうどいい資産配分」を見つける旅。次章では、この記事のまとめとして、行動に移すためのポイントを整理していきます。
まとめ:備えがあるから、投資に踏み出せる
結論の再確認と次の一歩
緊急用貯金は、単なる“貯金”ではありません。それは、あなたの未来への土台であり、安心して投資を続けるための盾です。生活費の3〜6ヶ月分を備えておくだけで、急な出費や不安に振り回されることが格段に減ります。
この記事を通じて、「投資より先にやるべき準備がある」という気づきが得られたなら、それだけで大きな前進です。大切なのは、“投資を続けられる状態”をつくること。
自分の最適バランスを考えてみよう
人によって必要な貯金額や投資の配分は異なります。大事なのは、「自分が不安なく続けられるバランス」を見つけること。それが、資産形成を楽しく、そして持続可能なものにしてくれます。
あなたは今、どれくらいの備えを持っていますか? そして、それは「本当に安心できる額」ですか? この記事が、あなたの次の一歩を後押しするきっかけになれば幸いです。
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