「NTTって株主優待があるって聞いたけど、結局どれくらいお得なの?」と感じている方は多いのではないでしょうか。NTTの株主優待であるdポイントは正式には「株主優待制度」として設けられておらず、隠れ優待的な扱いです。それでも、2026年7月10日時点の株価147.6円で計算した優待利回りは10.16%、配当利回り(予想)3.65%との合計となる総合利回りは約13.81%という水準です。最低投資額はわずか14,760円(100株)。ここまで高い総合利回りを示す大型優良株は、日本市場でも珍しい存在です。 ただし、dポイントは「毎年もらえる」制度ではなく、保有期間に応じて2回だけ進呈される仕組みです。この仕組みを正しく理解しないまま購入しても、期待外れになりかねません。
この記事でわかること
- NTTのdポイント優待が「毎年もらえない」理由と、実際に受け取れるタイミングの全体像
- 2026年度の権利確定日・エントリー期限・ポイント受け取りの具体的な手順
- 配当金と優待ポイントを合算した「真の総合利回り」の正しい計算と比較
- 16期連続増配・自己株式取得2,000億円という株主還元策の背景にある財務の強みと弱点
- NTT株を長期保有するうえで直視すべきリスクと、買い場を見極める独自の「配当利回りラインと保有期間マトリクス」
目次
- 第1章|NTTの株主優待(dポイント)の全体像を正確に理解する
- 第2章|総合利回り13.81%の実態を数字で検証する
- 第3章|2026年最新の業績と株主還元策を読み解く
- 第4章|優待・配当投資家が知っておくべきリスクと注意点
- 第5章|買い場を見極める「配当利回りライン×保有期間マトリクス」
- まとめ|NTT株主優待は「長期保有の器」に向いている銘柄か
第1章|NTTの株主優待(dポイント)の全体像を正確に理解する
NTTの優待は「毎年もらえる」制度ではありません。仕組みを正確に理解しないまま購入すると、想定外のタイミングまでポイントが受け取れないケースがあります。まずここを押さえることが、NTT株を正しく評価する第一歩です。
「隠れ優待」と呼ばれる理由と正式な制度の位置づけ
NTTのdポイント進呈は、正式には「株主優待制度」として設定されていない点が、他の株主優待銘柄と大きく異なります。NTT公式サイト(group.ntt/jp)の個人投資家向けページを私が2026年7月13日に確認したところ、「株主さまへのdポイント進呈」という名称で案内が掲載されており、あくまで同社が任意に行うサービスとしての性格が明記されています。つまり、法的に保護された「株主優待権利」ではなく、企業側の方針変更によって予告なく変更・廃止される可能性があるという点は理解しておく必要があります。それでも、2019年11月の新設以降、制度は継続されており、実態としては「事実上の長期保有優待」として機能しています。
こうした位置づけから、投資情報サイトでは「隠れ優待」と分類されるケースがあります。正式な株主優待ではないものの、100株以上を一定期間保有した株主に対してdポイントを進呈するという内容は実質的に優待と同等であり、投資判断において無視できる存在ではありません。私自身も最初にこの銘柄を調べた際、「なぜ株主優待一覧に載っていないのか」と戸惑いました。その経緯を知ったうえで改めて公式資料を読むと、制度の趣旨がよく見えてきます。
本制度は正式な株主優待制度ではないため、実施の継続は企業の判断に委ねられています。購入前に必ずNTT公式IRページにてご確認ください。
もらえる回数・タイミング・ポイント数の仕組みを解説
NTTのdポイント進呈の仕組みは、NTT公式IR資料(group.ntt/jp、2026年7月13日確認)によると、以下の2段階で構成されています。まず、保有期間が2年以上3年未満に達した株主に1,500ポイント、次に5年以上6年未満に達した株主に3,000ポイントが進呈されます。合計で最大4,500ポイント(4,500円相当)を受け取ることができますが、同一の株主番号で得られる最大ポイント数は4,500ポイントが上限であり、6年目以降の進呈はありません。
保有期間の起算日は「株式購入後、初めて株主名簿に記載された日」です。株主名簿の確定は毎年3月・6月・9月・12月の最終営業日に行われます。たとえば2026年1月に購入した場合、起算日は2026年3月の最終営業日となり、2028年3月31日(保有2年到達)が最初の受け取り対象になります。一方、2026年4月に購入した場合は起算日が2026年6月末となるため、保有2年到達は2029年3月31日と、ほぼ1年遅くなります。購入時期によってポイント受け取りのタイミングが大きくずれることを、必ず理解しておく必要があります。
「貸株サービス」の利用や証券会社の移管を行うと、株主番号が変わり保有期間がリセットされることがあります。長期保有優待を狙う場合は、特定口座の管理に細心の注意を払ってください。
2026年度の最新スケジュールとエントリー方法
2026年度のdポイント進呈にかかる最新スケジュールは、NTT公式IR資料(2026年7月13日確認)によると以下の通りです。基準日は2026年3月31日(権利付き最終日は2026年3月27日、金曜日)。進呈対象株主へのエントリーサイトIDとパスワードは2026年5月29日(金)以降に郵送で発送されました。エントリー期間は2026年5月29日(金)午前8:00から2027年3月31日(水)午後9:59までとなっており、この期間を過ぎると受け取れなくなるため注意が必要です。エントリー方法はインターネットの専用サイトのみで、アンケートへの回答とdアカウント情報の入力が必要です。なお、「ビジネスdアカウント」は利用不可となっています。
| 保有期間の段階 | 進呈ポイント数 | 対象株主の目安(2026年3月基準) |
|---|---|---|
| 2年以上3年未満 | 1,500ポイント | 株主名簿登録日が2023年4月1日〜2024年3月31日 |
| 5年以上6年未満 | 3,000ポイント | 株主名簿登録日が2020年4月1日〜2021年3月31日 |
| 合計(最大) | 4,500ポイント | 同一株主番号での上限(6年目以降の進呈なし) |
仕組みを正確に理解したところで、次は「総合利回り13.81%」という数字の本当の意味を、計算式で検証していきましょう。
第2章|総合利回り13.81%の実態を数字で検証する
「総合利回り13.81%」という数字は一見すると非常に魅力的に映ります。しかし、この数字には「5年間にわたる保有を前提とした計算」という前提条件が含まれています。年換算に直すと印象は変わります。冷静に計算し直すことが大切です。
配当利回り3.65%の計算根拠と16期連続増配の推移
配当利回りは、NTT公式IR資料(group.ntt/jp、株主還元ページ、最終更新2026年5月14日)のデータをもとに計算しています。2026年度(第42期、2027年3月期)の年間配当予定額は1株あたり5.4円(中間2.70円+期末2.70円)です。これは2025年度(5.3円)から0.1円の増配で、16期連続増配となります。2003年度の配当0.5円と比較すると、23年間で10倍以上に拡大しています。2026年7月10日時点の株価147.6円で計算した配当利回りは次のようになります。
$$\text{配当利回り} = \frac{5.4\text{ 円}}{147.6\text{ 円}} \times 100 \approx 3.66\%$$増配の推移を見ると、2017年度の3.0円から毎年着実に引き上げが続いており、増配額は年0.1〜0.3円程度で安定しています。「継続的な増配と機動的な自己株式取得の実施を基本とする」という株主還元方針をNTT公式IRは掲げており、私が複数年にわたって確認してきた範囲でも、この方針に変更はありません。
優待利回り10.16%は本当か?5年間の保有コストで再計算する
kabuyutai.comが表示している優待利回り10.16%は、以下の計算式を採用しています。1,500円相当のdポイントを、100株の取得に必要な14,760円(147.6円×100株)で割った値です。 $$\text{優待利回り(単純計算)} = \frac{1,500\text{ 円}}{14,760\text{ 円}} \times 100 \approx 10.16\%$$ しかし、この10.16%という数字には大きな落とし穴があります。1,500ポイントは、保有開始から2年後の1回しか受け取れません。毎年10.16%もらえるわけではないのです。5年間の保有を通じて受け取れる最大合計ポイントは4,500ポイント。これを年換算すると話は変わります。
$$\text{dポイント年換算利回り} = \frac{4,500\text{ 円}}{14,760\text{ 円} \times 5\text{ 年}} \times 100 \approx 6.1\%/\text{年ではなく、5年間の合計}$$ $$\text{dポイント年換算換算(正確)} = \frac{4,500\text{ 円}}{14,760\text{ 円}} \div 5 \approx 6.1\%\text{(5年トータル)}= \text{年約1.22\%}$$年換算ベースで見ると、dポイントの実質利回りは約1.22%程度です。配当利回り3.66%に加算すると、年換算の真の総合利回りは約4.88%という水準になります。13.81%という数字は「5年保有した場合の累計を単年度の投資額で割った数字」という特殊な計算方法であることを理解したうえで参照する必要があります。それでも年換算約4.88%は魅力的な水準であり、数字を正確に理解することで、過剰な期待も過小評価もなくなります。
「総合利回り13.81%」は5年間の累計優待価値を現時点の投資額で割った数字です。毎年受け取れる換算ベースでは年約4.88%(配当3.66%+優待年換算1.22%)が実態に近い水準です。
他の通信株・高配当株との「保有期間別」総合利回り比較
他の通信大手と比較して、NTTの優待・配当戦略はどう位置づけられるでしょうか。KDDI(9433)はカタログギフトや各種選択制優待を毎年提供しており、長期保有(5年以上)でギフト内容がグレードアップします。ソフトバンク(9434)は優待制度を持たない代わりに、配当利回りが6〜7%台と国内通信株では突出した水準です。NTTは「優待は5年に2回だけ、しかし配当は16期連続増配」という独自のバランスを持っています。
| 銘柄 | 配当利回り(2026年7月時点・概算) | 株主優待の有無 | 連続増配年数 |
|---|---|---|---|
| NTT(9432) | 3.65% | dポイント(隠れ優待・5年で最大4,500円相当) | 16期連続増配 |
| KDDI(9433) | 3.5%前後 | カタログギフト等(毎年・長期優遇あり) | 25期連続増配超 |
| ソフトバンク(9434) | 6%台後半 | なし | 連続増配は限定的 |
※上記比較は2026年7月時点の各社公開情報をもとに著者が独自に整理したものです。数値は変動しますので、必ず最新情報をご確認ください。
利回りの実態を数字で把握したところで、続いては2026年最新の業績・株主還元策と将来戦略を確認していきましょう。
第3章|2026年最新の業績と株主還元策を読み解く
優待・配当を支えるのは企業の稼ぐ力です。2026年3月期の決算が記録的な水準に達した一方で、翌年の見通しには不透明感があります。ここでは公式IR資料をもとに、財務の「今」と「これから」を整理します。
2026年3月期決算:1兆円超えの最終利益と2027年3月期の減益予想
NTT(9432)が2026年5月8日に発表した2026年3月期(2025年度)の本決算では、親会社に帰属する当期純利益が1兆370億円と前期比3.7%の増益を記録し、同社として初めて1兆円の大台を超えました(NTT公式業績予想概要ページ、2026年5月8日発表)。営業収益も14兆4,091億円と過去最高水準を更新しています。EBITDAは3兆4,233億円で、「2030年度EBITDA4兆円達成」という中期目標に向けて順調に積み上げています。
ただし、2026年度(2027年3月期)の業績予想には注意が必要です。同じく2026年5月8日に発表された業績予想によると、当期利益(親会社帰属)は9,800億円と前期比で約5.5%の減益が見込まれています。同時に発表された2026年度セグメント別予想では、グローバル・ソリューション事業セグメントの営業利益が4,700億円と前年比182億円の減少となる見通しで、これがグループ全体の利益を押し下げる構図です。私がこの数字を最初に見たとき、「記録更新の翌年に5%超の減益?」と感じた違和感の正体は、大規模投資の費用先行計上にあります。
2027年3月期の減益予想には、NTTドコモ・フィナンシャルグループの設立に伴う一時的費用や、IOWNへの先行投資の費用計上が含まれている可能性があります。継続的な業績悪化とは区別して判断することが重要です。
自己株式取得2,000億円が示す株主還元の本気度
NTT公式IR資料(株主還元ページ、最終更新2026年5月14日)によると、2026年3月末時点での累計自己株式取得総額は約5.9兆円に達しています。さらに2026年5月8日、2,000億円を上限とした新たな自己株式取得を決議し、取得期間は2026年5月11日から2027年3月31日までと発表しました(NTTプレスリリース「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ」、2026年5月8日)。上限として設定された株数は14億株(発行済み株式総数の自己株式除く分に対する割合1.72%)です。
2,000億円の自己株式取得は、株価下支え効果という観点では決して小さくありません。2026年7月10日時点の株価147.6円で計算すると、最大で約13.5億株の購入余力があります。「減益予想を出した同日に大規模自社株買いを発表する」というセットのメッセージは、「業績が凹む時期も株主には最大限還元する」という経営の意志表示と考えられます。
IOWN・AI・金融事業再編:NTTが描く次の10年の収益構造
NTTが次の柱として位置づけるのが、IOWN(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)と呼ばれる次世代通信インフラ構想です。光信号を主体とした新たなネットワーク基盤であり、現行の電気信号ベースのネットワークと比較して通信速度100倍・消費電力50%削減を目指しています。NTT公式マガジン(2026年5月22日掲載)によると、2026年のIOWN Global Forum年次総会(シドニー開催)でNTTは「検証から実装ステージへ移行した」と表明しました。これまで「将来の技術」として語られてきたIOWNが、商用化の具体的フェーズに入ったという宣言です。
また、2026年7月1日にはNTTドコモ・フィナンシャルグループが正式発足しました。d払い・dカード・保険事業など、ドコモが展開してきた金融サービスを集約した新会社で、9,000万超のドコモ契約者を顧客基盤に持ちます。NTTグループ中期経営戦略(group.ntt/jp、2026年5月更新)では、こうした新事業への成長投資と既存インフラへの投資を合わせて2028年度までに合計12兆円規模の投資を計画しており、これが短期的な費用増の主因となっています。長期的に収益化するかどうかが、NTT株の10年後を占う最大の鍵です。
成長戦略の全体像を把握したうえで、次章では優待・配当投資家が見落としがちなリスク面を直視します。
第4章|優待・配当投資家が知っておくべきリスクと注意点
16期連続増配という実績は確かに魅力的です。しかし、それに見合うリスクも同時に存在します。「安定大型株だから大丈夫」という思い込みは、長期保有の落とし穴になります。ここでは3つの見落とされやすいリスクを整理します。
有利子負債の急増と日銀利上げが配当余力に与える影響
NTTの財務面で近年急速に変化しているのが、有利子負債の水準です。2023年から2027年にかけて計画されている大規模投資(成長分野に8兆円・既存インフラに4兆円、合計12兆円)を賄うために、借入が急増しています。NTT公式IRの業績概要データ(2026年7月13日確認)をもとに著者が確認したところ、純有利子負債はEBITDAの1倍超の水準まで上昇しています。仮に有利子負債残高を10兆円規模と仮定した場合、金利が1%上昇すると年間の利息負担は以下のように増加します。
$$\text{金利1\%上昇の利息影響(試算)} = 10\text{ 兆円} \times 1\% = 1,000\text{ 億円 / 年}$$これは2027年3月期の予想純利益9,800億円の約10%に相当します。日銀は2024年3月のマイナス金利政策解除後も段階的に利上げを進めており、長期金利は2%近くまで上昇する可能性が市場では議論されています。NTTは長期固定金利の社債も多く活用しているため、影響は即時ではなく段階的に現れますが、2028〜2030年にかけて借り換え時の金利上昇が財務を圧迫するリスクは考慮しておくべきです。ただし、これはあくまで粗い試算であり、実際の借入構成や満期スケジュールによって影響は異なります。
政府保有株(約34%)の売出リスクという見落とされがちな材料
NTTの株主構成において、財務大臣(国)は発行済み株式のおよそ34%程度を保有しています(NTT公式IRの政府保有株ページより、著者が2026年7月13日に確認)。これはNTTを「国策企業」として位置づける根拠の一つですが、同時に大きな需給リスクを内包しています。過去にも政府はNTT株を売却してきた実績があり、財政再建やその他の政策的理由から、まとまった規模の売出が行われた場合には市場の需給が一時的に悪化します。
実際に大規模売出が行われた際には、需給悪化により株価が数円〜十数円規模で押し下げられる可能性があります。配当利回りで銘柄を選ぶ際、配当額は変わらなくても株価下落によって見かけ上の利回りが上昇するというケースが生じます。これは「利回りが高く見えるのに下がり続ける」という状態を生む要因の一つと言えるでしょう。多くの優待・配当記事で見落とされがちな論点だと私は感じています。
dポイント優待の継続性と「制度変更リスク」の見方
前述のとおり、NTTのdポイント進呈は正式な株主優待制度ではなく、NTTが独自に実施するサービスです。法的拘束力がないため、企業側の判断で変更・廃止が可能です。2019年11月の制度開始以来、現時点まで継続されていることは事実ですが、「継続されているから今後も大丈夫」と断言するのは適切ではありません。
ただ、一つの参考情報として、NTT第41回定時株主総会(2026年6月開催)の事前質問への回答をNTT公式サイト(2026年7月13日確認)で確認すると、「2025年度決算においては、NTTドコモのコンシューマ通信事業における顧客基盤強化やモバイルネットワーク品質改善に向けた施策展開等によるコスト投下があった」との記述があります。コスト削減局面に入った際に、任意のサービスが見直される可能性がゼロではない点は念頭に置いておく必要があります。5年間の長期投資を前提とする場合、「制度が継続されることへの過信」は避けるべきだと考えられます。
リスクを把握したうえで、次章では著者独自のフレームワーク「配当利回りライン×保有期間マトリクス」を使って、具体的な買い場の考え方を整理します。
第5章|買い場を見極める「配当利回りライン×保有期間マトリクス」
「いつ買えばいいのか」は、多くの長期投資家が悩む問いです。NTT株の場合、単純に「利回りが高いから買い」ではなく、自分の保有予定期間とdポイントの受け取りタイミングを組み合わせて考えることが合理的です。著者が独自に整理したフレームワークを提示します。
配当利回り3.5%・4%・4.5%ラインの逆算株価とその根拠
2026年度の予想配当5.4円を前提に、投資家が「買い時」の目安とする配当利回りラインを逆算すると以下のようになります。NTT公式IR資料(2026年5月14日更新)の配当予定額5.4円を使って著者が計算しました。
$$\text{利回り3.5\%達成株価} = \frac{5.4\text{ 円}}{0.035} \approx 154.3\text{ 円}$$ $$\text{利回り4.0\%達成株価} = \frac{5.4\text{ 円}}{0.04} = 135\text{ 円}$$ $$\text{利回り4.5\%達成株価} = \frac{5.4\text{ 円}}{0.045} = 120\text{ 円}$$2026年7月10日時点の株価147.6円は、3.5%ラインの154.3円を下回った状態です。4.0%ラインの135円まではまだ約8.5%の下落余地があります。正直なところ、この8.5%を「すでに十分割安」と見るか「まだ待てる水準」と見るかは、投資家の戦略によって異なります。私自身はこの差を決め手にはできていません。ただ、長期的な増配トレンドが続く前提に立てば、株価が下がるほど利回りが上昇し、取得コストの「下限」が自然と守られるという構造が見えてきます。証券アナリスト14名(jp.investing.comコンセンサス、2026年7月12日時点)の平均目標株価は169.2円(高値予想215円・安値予想143円)で、現在の147.6円は平均目標を14.6%下回っている水準にあります。
保有開始時期で変わる「dポイント受け取り年度」マトリクス
NTTのdポイントは保有開始のタイミングによって受け取り年度が大きく変わります。これを著者が「保有期間マトリクス」として整理しました。NTT公式IR資料(group.ntt/jp、2026年7月13日確認)の保有期間の考え方をもとにした独自整理です。
| 購入時期(目安) | 株主名簿記載(起算日) | 1,500P受取(2年到達) | 3,000P受取(5年到達) |
|---|---|---|---|
| 2026年1〜3月購入 | 2026年3月末 | 2028年3月期 | 2031年3月期 |
| 2026年4〜6月購入 | 2026年6月末 | 2029年3月期 | 2032年3月期 |
| 2026年7〜9月購入 | 2026年9月末 | 2029年3月期 | 2032年3月期 |
| 2026年10〜12月購入 | 2026年12月末 | 2029年3月期 | 2032年3月期 |
このマトリクスからわかるのは、2026年1〜3月に購入した場合は2028年3月期に最初のdポイントを受け取れる最も早いルートであるのに対し、4月以降の購入では2029年3月期まで待つことになるという点です。dポイントの受け取りを重視する場合、購入時期は2〜3か月の差で大きく変わります。私がこの仕組みを初めて知ったとき、「同じ銘柄を同じ年に買っても受け取り年度がこれほど変わるのか」と驚いた記憶があります。
楽観・中立・悲観の3シナリオで考える2027年のNTT株価
証券アナリスト・みんかぶ(2026年7月12日時点)によると、NTT(9432)に対するコンセンサスは「買い」で、内訳は強気買い4人・買い2人・中立7人・売り1人、平均目標株価は169円となっています。この情報を参考にしながら、著者なりの3シナリオを整理します。
楽観シナリオとしては、IOWN 2.0の商用化が2026年Q4に順調に立ち上がり、データセンター向け省電力技術として大手クラウド事業者との契約が拡大。NTTドコモ・フィナンシャルグループの金融サービスが黒字化のめどを立て、2028年3月期の業績回復が視野に入る。自己株式取得2,000億円が市場の需給を引き締め、株価が160〜175円台を回復する展開です。配当は5.6円へ17期連続増配が続くという前提です。
中立シナリオとしては、国内通信の縮小と成長事業の立ち上がりが相殺し合い、業績は横ばい圏。金利上昇の影響が段階的に顕在化するが、自社株買いが下支えとなり株価は140〜155円のレンジで推移する展開です。
悲観シナリオとしては、日銀の利上げが想定を超えて進み、有利子負債の利息コストが年間2,000億円超に膨らむ。国内モバイルのARPU低下が加速し、増配維持が限界に達するとの観測が広まって株価が130円台前半まで下落する可能性があります。いずれのシナリオが現実になるかは誰にも断言できません。「16期連続増配という実績」と「減益予想・有利子負債急増」という相反する事実を、両方正直に受け止めることが出発点です。
3つのシナリオを頭に置いたうえで、最後にこの記事全体の結論を整理します。
まとめ|NTT株主優待は「長期保有の器」に向いている銘柄か
NTT(9432)のdポイント優待と配当を総合的に評価すると、「仕組みを正しく理解した長期保有投資家にとっては、検討に値する銘柄」という結論に落ち着きます。ただし、優待の仕組みの複雑さと、2026〜2027年にかけて顕在化するリスクは、購入前に必ず理解しておくべき要素です。
- dポイントは毎年ではなく「保有2年到達時」と「保有5年到達時」の2回限りで、最大4,500円相当。総合利回り13.81%は5年累計ベースであり、年換算では配当込みで約4.88%が実態に近い。
- 2026年度の年間配当5.4円(予想)は16期連続増配で、2026年7月10日時点の株価147.6円に対する配当利回りは約3.65%。16期連続増配の実績はNTT公式IR資料(2026年5月14日更新)が裏付けています。
- 2026年3月期の最終利益は1兆370億円と過去最高を記録したが、2027年3月期は前期比5.5%の減益(9,800億円)が見込まれており、大規模投資の費用先行が主因と考えられます。
- 有利子負債の急増と日銀利上げの組み合わせ、政府保有株(約34%)の売出リスクという、他記事で見落とされがちな2つのリスクは長期保有前に理解しておく必要があります。
- 購入タイミングによってdポイントの受け取り年度が1〜2年単位でずれるため、保有期間マトリクスを活用して自分の受け取り予定を確認することが合理的です。
ただし、投資する際は各社の業績・財務状況・市場環境を総合的に判断することが大切です。
まず自分の投資期間とリスク許容度を整理し、配当利回りラインと保有期間マトリクスを参考に、自分に合った購入判断を行ってみてください。
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本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。 投資判断はご自身の責任において行ってください。
掲載データは執筆時点(2026年7月13日)の情報に基づいており、 最新情報は各社IR・ EDINET・ 金融庁・ 東証 にてご確認ください。
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