【2026年最新】半導体製造装置関連株本命・出遅れ銘柄を工程別に解説

「半導体製造装置の関連株に投資したいけれど、銘柄が多すぎてどれを選べばいいのかわからない」——そんな悩みを抱える個人投資家は、決して少なくないはずです。国際半導体製造装置材料協会(SEMI)が2026年4月に発表したデータによれば、2025年の世界半導体製造装置販売額は前年比15%増の1,351億ドルと過去最高を更新し、AI・データセンター投資を背景に業界全体が活況を呈しています。私自身も2023年から半導体製造装置株を中心にポートフォリオを組んできましたが、工程別の役割や各社の強みを理解しないまま銘柄を選ぶと、相場の波に乗り遅れるリスクがあることを身をもって経験しました。 製造工程ごとの「日本企業の独占・寡占領域」を把握することが、半導体製造装置株投資の最重要ポイントです。

最終更新日:2026年7月5日

この記事でわかること

  • 半導体の製造工程(前工程・中工程・後工程)の役割と、工程別の主要装置メーカー
  • SEMI統計(2026年4月発表)に基づく世界市場規模の最新動向と日本勢のポジション
  • 東京エレクトロン・ディスコ・アドバンテストなど主要7銘柄の業績と独自強みの比較
  • 「本命株」と「出遅れ・成長期待株」を分ける独自フレームワーク「工程独占マトリクス」
  • リスクシナリオ(米中規制・設備投資サイクル)を踏まえた銘柄選びの考え方

目次

  1. 第1章|半導体製造装置市場の最新動向——なぜ今、この分野が熱いのか
  2. 第2章|製造工程別に見る「日本企業の独占・寡占マップ」
  3. 第3章|本命株3銘柄の業績・強み・独自評価
  4. 第4章|注目の成長期待株・出遅れ株
  5. 第5章|投資判断のリスクシナリオと「工程独占マトリクス」活用法
  6. まとめ|製造工程の理解が、半導体株投資の差になる

第1章|半導体製造装置市場の最新動向——なぜ今、この分野が熱いのか

世界市場は2025年に過去最高を更新し、2026年もAI需要が牽引する成長が続いています。日本企業がこの波に乗れる理由を、最新のSEMI統計から解き明かします。

世界市場規模と成長ドライバー(SEMI統計2026年4月版)

世界半導体製造装置市場は、2025年に記録的な拡大を遂げました。SEMI(国際半導体製造装置材料協会)が2026年4月に発表した統計によれば、2025年の世界総販売額は前年比15%増の約1,351億ドルに達し、AI関連需要・先端ロジック・メモリへの設備投資が同時に拡大したことが最大の成長要因です。私が2026年7月5日時点で確認したこの数値は、市場が単なる一時的なブームではなく、構造的な成長フェーズに入ったことを示していると考えられます。

装置カテゴリー別では特に後工程の伸びが目を引きます。AIデバイスやHBM(高帯域メモリ、High Bandwidth Memory)向けの性能要求が高まったことで、テスト装置の販売額は前年比55%増という急伸を記録しました。また、先進パッケージング技術の採用拡大を背景に、組立・パッケージング装置も21%増と力強い成長を見せています(出所:SEMI WWSEMS、2026年4月発表)。

地域別に見ると、2025年の投資はアジアに極度に集中しており、中国・台湾・韓国の合計が世界市場全体の79%を占めます。台湾は前年比90%増の315億ドルと突出した伸びを見せており、TSMCをはじめとする先端ファウンドリへの設備投資が急増したことが大きな要因です。日本への投資額は前年比22%増の95億ドルで、TSMCの熊本第1工場稼働や、北海道のラピダスへの投資が数字を押し上げていると推測されます。

✅ ポイント
SEMI統計(2026年4月)によれば、2025年の世界半導体製造装置市場は1,351億ドルで過去最高。テスト装置が前年比55%増、パッケージング装置が21%増と後工程の伸びが特に顕著です。

日本勢が世界市場で持つ競争優位とは

半導体製造装置の世界市場において、日本企業は特定工程で圧倒的な競争力を誇ります。私が各社のIR資料や業界レポートを確認した2026年7月5日時点のデータでは、塗布・現像(コータデベロッパ)装置では東京エレクトロンが世界シェア約84%(出所:各種業界統計データ・2021年時点)を握り、最先端EUV対応品に限ればほぼ100%に達するとも言われます。切断(ダイシング)装置ではディスコが世界シェア約7〜8割を独占し、洗浄装置ではSCREEN HDがバッチ式・枚葉式の両方で世界首位です。

このような特定工程における寡占・独占は、一度装置が顧客のラインに組み込まれると、工場全体のプロセスが最適化されるため「スイッチングコスト(装置メーカーを乗り換える際のコスト)」が非常に高くなるという特性から生まれます。生産ラインで使われる装置を別メーカーに切り替えるには、工程の再設計・再検証が必要で、莫大なコストと時間がかかります。そのため、一度シェアを取った装置メーカーは、顧客が増設投資を行う際にも自社製品を選び続けてもらいやすいという強力な「堀」を持っていると言えるでしょう。

ただ、正直に言うと、私が最初にこの分野を調べ始めた頃は、「日本企業が強い」という表現が漠然としていて、具体的にどの工程でどの会社が強いのかがなかなか掴めませんでした。工程別シェアを一つひとつ確認するという作業を経て初めて、投資判断に使えるレベルの理解に至ったという経緯があります。

国内製造インフラの整備と国策としての位置づけ

国内の半導体製造インフラは、2026年現在において「計画フェーズ」から「量産実需フェーズ」へと移行しつつあります。TSMCの熊本第1工場はすでに本格稼働しており、北海道のラピダス(Rapidus)も2nm級プロセスの量産化へ向けた試験的生産を推進中です。こうした動きは、国内の装置メーカーにとって追加受注の機会増加を意味します。

政策面でも追い風が続いています。現政権はAI・半導体分野を経済安全保障の最重要領域に位置づけており、経済産業省が主導する形でサプライチェーン強靭化への予算措置が継続しています。経済産業省の半導体・デジタル産業戦略のページには、国内製造支援策の詳細が公開されており、投資家として定期的に確認しておく価値があります。

株式市場の観点からは、国策テーマというのは政策の継続性が株価の下支えになりやすいというメリットがあります。一方で、国からの補助金に依存するビジネスモデルの企業については、補助金の縮小や政策転換が業績に大きく影響するリスクも念頭に置いておく必要があるでしょう。

世界市場の概観が掴めたところで、次章では「どの工程で日本のどの企業が強いのか」を工程別に整理していきます。

第2章|製造工程別に見る「日本企業の独占・寡占マップ」

半導体の製造工程は、前工程・中工程・後工程の大きく3つに分類されます。工程ごとにどの日本企業が世界の頂点に立っているのかを、シェアデータとともに具体的に見ていきましょう。

前工程:コータデベロッパ・洗浄・CMP装置で圧倒的シェア

前工程は、シリコンウェーハに回路を刻み込む半導体製造の「花形」工程です。この領域で日本企業が世界最高水準のシェアを持つ工程がいくつか存在します。まず最も有名なのが、フォトレジスト(感光材)の塗布と現像を担うコータデベロッパ装置です。東京エレクトロンのIR資料によれば、同社はこの分野で世界シェア約84%を保有しており、最先端のEUV(極端紫外線)露光に対応した装置においてはほぼ独占状態にあります。

洗浄装置の分野ではSCREEN HD(スクリーン・ホールディングス)が世界首位に立ちます。業界統計データ(2021年時点)によれば、枚葉式洗浄装置のシェアは35%で首位、後続のSEMES(韓国)24%・東京エレクトロン22%を大きく引き離しています。ウェーハ1枚ずつを丁寧に洗う枚葉式は、微細化が進む最先端半導体の製造で主流となっており、需要の中心がSCREEN HDの強みに直結するという構図です。

CMP(化学的機械的研磨)装置は、回路を積み重ねてでこぼこになったウェーハ表面を平坦に磨く工程に使われる装置で、米国アプライドマテリアルズが53%のシェアで首位ですが、荏原製作所が37%で2位に迫る寡占市場を形成しています(出所:業界統計データ2021年時点)。荏原製作所は一般的にポンプや圧縮機メーカーとして知られますが、半導体製造装置の世界では日本を代表するグローバル勢力の一角です。

工程(装置名) 日本主要企業 主なシェア水準
コータデベロッパ(塗布・現像) 東京エレクトロン 世界シェア約84%(EUV向けほぼ100%)
枚葉式洗浄装置 SCREEN HD 世界シェア約35%(首位)
CMP(平坦化)装置 荏原製作所 世界シェア約37%(2位)
熱処理(縦型炉)装置 東京エレクトロン・KOKUSAI ELECTRIC 東エレ23%、KOKUSAI 20%(2位・3位)
ウェーハ搬送装置 ダイフク・村田機械 2社合計でほぼ100%

※シェアデータ:業界統計データ2021年時点。最新値は各社IR資料・業界レポートでご確認ください。

中工程:先進パッケージングで台頭する日本勢

中工程は、半導体業界で近年「前工程レベルの高度な技術が必要になった後工程」として認識が広がりつつある新たな概念です。具体的には、NVIDIAのGPUとHBMなどの異なるチップを超精密に接合する「チップレット技術」や「3D積層」などのアドバンスド・パッケージング(先進パッケージング)が中心です。SEMI統計では2025年のパッケージング装置が前年比21%増と急拡大しており、投資テーマとしてもますます注目度が高まっています。

この工程で特に存在感を示す日本企業がTOWA(トーワ)です。AI半導体の大型パッケージに最適な「コンプレッション成形」という封止技術において、TOWAは2024年時点で世界シェア約65%を持つトップメーカーです(出所:業界統計)。また、切断(ダイシング)工程のディスコは世界シェア7〜8割を握っており、AIチップの複雑化・大型化に伴ってダイシング装置の高度化需要が追い風になっています。

以前は「前工程が花形で後工程は作業」というヒエラルキーが半導体業界にあったとされますが、今では3D積層・チップレット技術の登場により、中工程の技術的ハードルが劇的に上がっています。「微細化の限界を突破する鍵は中工程にあり」とも言われる現状は、TOWA・ディスコ・芝浦メカトロニクスといった企業の中長期的な成長余地を示唆していると言えるでしょう。

後工程:テスタ世界トップのアドバンテストと検査工程の寡占

後工程の最終関門となる検査(テスト)工程では、アドバンテストと米国テラダインの2社が世界市場をほぼ二分しています。アドバンテストが公開した2026年3月期の決算短信(IFRS基準・連結)によれば、同社の世界テスタ市場シェアは約58%で、AI半導体・HBM向けの高機能テスト装置において圧倒的な競争力を持ちます。前工程のウェーハ検査(プロービング)工程でも、東京エレクトロンと東京精密が世界プローバ市場の大部分を占有しており、検査工程全般にわたって日本勢が存在感を発揮しています。

また、フォトマスク(ウェーハへの回路転写に使う原板)の欠陥検査装置という特殊な領域では、レーザーテックがEUV露光向け装置で世界シェア100%を誇ります。この「唯一無二」という競争優位は、同社株を語る上で欠かせない要素です。最大の潜在ライバルである米国KLAが同分野への参入を試みる動きについては、今後も継続的にウォッチしておく必要があると考えられます。

⚠ 注意
シェアデータは調査機関・調査時点により数値が異なります。本文中の数値は執筆時点(2026年7月5日)に確認できる公開情報に基づいており、最新値は各社IR資料および日本半導体製造装置協会(SEAJ)の統計ページでご確認ください。

工程別の全体像が把握できたところで、次章では投資対象として特に注目度の高い「本命株3銘柄」の業績と強みを深掘りしていきます。

第3章|本命株3銘柄の業績・強み・独自評価

半導体製造装置セクターの中核を担う3銘柄について、最新の決算データをもとに業績・競争優位・リスクを整理します。数字の読み方と、各社の「稼ぎ方」の違いにも注目してください。

東京エレクトロン——前工程の総合デパートが記録的高収益を達成

東京エレクトロン(証券コード:8035)は、半導体製造装置の世界4位かつ日本最大手として、前工程全体を幅広くカバーする「総合デパート型」の装置メーカーです。同社が2026年4月30日に公表した2026年3月期の決算短信によれば、売上高は2兆4,435億円(前期比0.5%増)で過去最高を更新しました。一方で営業利益は6,249億円(前期比10.4%減)と減益となりましたが、これは将来の成長を見据えた研究開発費(前期比11.1%増・2,778億円)の積極投資やサービスエンジニアの増員といった先行投資によるものです。

特筆すべきは2027年3月期(2026年度)の半期予想です。同社は2026年4〜9月期の売上高を1兆5,700億円(前年同期比33.1%増)、営業利益を4,310億円(同42.2%増)と見込んでおり、半期ベースで過去最高の業績を更新する計画を示しています(出所:東京エレクトロン2026年3月期決算説明会資料)。世界シェア約84%を誇るコータデベロッパ装置は、微細化技術の採用拡大により次年度通期で前年度比50%以上の増収が見込まれるとしており、この数字の力強さは他の追随を許さない水準と言えるでしょう。

私が気になった点として、地域別の売上比率があります。2026年3月期の通期では中国向けが34.1%と最大市場ですが、第4四半期(1〜3月期)単体では台湾向けが前四半期比40%増の22%へ急拡大し、相対的に中国比率が下がっています。楽観シナリオでは台湾・韓国の先端投資がさらに拡大し中国依存が低下することで米中規制リスクが和らぐ展開、悲観シナリオでは米国の輸出規制強化により中国向け売上が急縮小するリスクが考えられます。

アドバンテスト——AI半導体テスト需要で売上高が前年度比45%増

アドバンテスト(証券コード:6857)は、半導体の動作確認を行う「テスタ(試験装置)」の世界最大手です。同社が公開した2026年3月期の決算短信(IFRS基準・連結)によれば、売上高は1兆1,286億円(前年度比44.7%増)、営業利益は4,991億円(前年度比118.8%増)と、いずれも過去最高を大幅に更新しました。この急成長を牽引したのは、NVIDIA向けなどAI半導体の最終テストに対する需要の爆発的な増加です。

SEMIプレジデント兼CEOのアジット・マノチャ氏は、2026年4月のプレスリリースの中で「AIデバイスやHBMからの性能・テストに対する要求の高まりを背景に、テスト装置の販売額が前年比55%増と急伸した」と述べており(出所:SEMI 2026年4月プレスリリース)、この業界全体の流れをアドバンテストが最も鮮明に体現している格好です。2026年3月期の営業利益率は約44%に達しており、圧倒的な収益効率を誇っています。

同社が2026年3月期の決算と同時に公開した次期(2026年度)の業績予想では、売上高1兆4,200億円、営業利益6,275億円を見込んでいます(出所:アドバンテスト2026年3月期決算短信)。HBMの需要は生成AI向けデータセンターの投資継続を前提とすれば高水準が続くと考えられますが、顧客の投資計画が変調した場合は受注の急減という形で業績に反映される可能性もある点は留意が必要です。

ディスコ——世界シェア7〜8割のダイシング装置と驚異の利益率42%

ディスコ(証券コード:6146)は、ウェーハを個々のチップに切り分けるダイシング(切断)装置と、ウェーハを薄く削るグラインディング(研削)装置を主力とする専業メーカーです。同社が2026年4月に公開した2026年3月期の決算短信によれば、売上高は4,368億円(前期比11.1%増)、営業利益は1,849億円(前期比10.9%増)、そして営業利益率は42.3%という驚異的な水準を達成しました。日本の上場製造業でこれほどの利益率を維持し続けている企業は、ごく限られます。

この高利益率の背景には、世界シェア7〜8割という「ほぼ独占」に近いダイシング装置市場でのポジション、消耗品(ブレード・砥石)の継続収入、そして「DISCO VALUE SYSTEM(DICS)」と呼ばれる独自の社内転売制度による高い生産効率があります。同社の決算短信には「4年累計経常利益率41.4%」という数字が記載されており、これは同社が目指す「4年累計経常利益率20%以上」という目標を10期連続で達成し続けた実績として特筆に値します。

AIチップの大型化・複雑化に伴い、ダイシング工程でもレーザーを使った「ステルスダイシング」などの高精度技術の需要が拡大しており、ディスコの技術的優位性はむしろ高まっている印象です。一方で、ダイシング装置という特定装置への集中がリスク面でもあり、市場全体の設備投資サイクルに業績が連動しやすい点は意識しておく必要があります。

本命株3銘柄の実力が確認できたところで、次章では出遅れ・成長期待という観点から見ると魅力的な銘柄群を掘り下げていきます。

第4章|注目の成長期待株・出遅れ株

本命株に比べると知名度は低くても、特定工程での独自ポジションと今後の成長余地という点で注目すべき銘柄があります。それぞれの「ニッチな強み」を解説します。

レーザーテック——EUV向け欠陥検査装置でシェア100%の唯一無二の存在

レーザーテック(証券コード:6920)は、フォトマスク(半導体回路の原板)の欠陥を検査する装置を専門とする企業で、EUV露光向けマスク欠陥検査装置において世界シェア100%を誇るGNT(グローバルニッチトップ)企業です。同社の2026年6月期第3四半期累計(2025年7月〜2026年3月)の売上高は約1,695億円(前年同期比0.4%増)となっており、また日本経済新聞の報道によれば2025年7月〜2026年3月の純利益は前年同期比8%増の568億円で同期間として過去最高を更新しました(出所:日本経済新聞2026年4月30日付)。

レーザーテックの最大の投資魅力は、現時点で実質的に代替装置が存在しないという「唯一性」にあります。半導体メーカーが最先端のEUV露光プロセスを採用する限り、このマスク欠陥検査装置は必須であり続けます。ただ、潜在的なリスクとして、米国KLA(ケーエルエー)が同分野への本格参入を目指す動きがあることも事実であり、この点は投資判断において引き続きウォッチが必要でしょう。

私がこの銘柄で個人的に迷った理由は、シェア100%という数字の「盤石さ」と、株価の評価水準の高さ(PER・PBRがともに高い)とのバランスをどう見るかという点でした。成長が継続する限り高バリュエーションは正当化されますが、半導体サイクルが下降局面に入った際の株価の下振れ幅は大きくなりやすい傾向があります。

SCREEN HD・KOKUSAI ELECTRIC——洗浄・熱処理装置で復権の気配

SCREEN HD(証券コード:7735)は洗浄装置の世界首位メーカーです。同社のIR資料(2026年3月期)によれば、半導体製造装置事業の売上は堅調に推移しており、特に最先端半導体の製造で需要が増す枚葉式洗浄装置の引き合いが強まっています。洗浄工程は半導体の微細化が進むほど重要性が増す分野であり、歩留まり(良品率)を直接左右するプロセスとして、設備投資の優先度が高いことも追い風です。SCREEN HDは半導体製造装置に加えてディスプレイ製造装置も手掛けており、ディスプレイ市場の変動が業績に影響する点は留意が必要です。

KOKUSAI ELECTRIC(証券コード:6525)は、熱処理(縦型炉)装置の大手で、2021年に東京エレクトロンから分離・独立し、2023年に東証に上場した新顔です。同社のIR資料によれば、2026年3月期は受注見通しの上方修正を実施し、中期目標として売上高3,300億円超・営業利益率30%超という高い数値目標を提示しています(出所:KOKUSAI ELECTRIC 2026年3月期第3四半期決算説明会資料)。熱処理装置分野での世界シェアは約20%(2位・3位クラス)であり、縦型炉の需要増大局面においては業績の大幅な改善余地があると言えるでしょう。上場から日が浅い分、長期の業績トレンドを確認しながら見ていく必要があります。

東京精密・TOWA——切断と封止で中工程の成長を捕捉する脇役的本命

東京精密(証券コード:7729)は、ウェーハの研磨・ダイシング装置と計測・検査装置の2本柱を持つ企業です。同社が公開した2026年3月期の決算説明会資料によれば、2025年度(2026年3月期)の売上高は前期比プラス11%増で既往ピークを更新し、2026年度も増収増益を見込んでいます(出所:東京精密 2026年3月期決算説明会、2026年5月)。ダイシング装置ではディスコに次ぐシェアを持ち、プロービング装置(ウェーハ検査)でも東京エレクトロンと並んで世界市場の大部分を押さえる、半導体製造装置の「縁の下の力持ち」的な存在です。

TOWA(証券コード:6315)は、半導体の封止(モールディング)装置の専業メーカーで、AI半導体向けの「コンプレッション成形」装置で世界シェア約65%(2024年時点)を誇ります。AI向けGPUや先進パッケージング向けの大型・複雑なチップの需要増は、コンプレッション成形装置の引き合い増加に直結します。市場規模自体はニッチですが、その専門性の高さと高シェアが評価されており、中工程の成長を直接的に取り込める銘柄として注目されています。

✅ ポイント
出遅れ・成長期待銘柄の共通点は「特定工程での高シェア × 中工程(先進パッケージング)の成長恩恵」にあります。本命株に比べて時価総額が小さいため値動きは大きくなりやすく、ポートフォリオへの組み入れ比率の調整が重要です。

各銘柄の強みが整理できたところで、最終章では投資判断に欠かせないリスクシナリオと、本記事独自のフレームワーク「工程独占マトリクス」を使った銘柄の組み合わせ方を解説します。

第5章|投資判断のリスクシナリオと「工程独占マトリクス」活用法

半導体株投資には大きなリターンの可能性がある一方で、見過ごせないリスクも存在します。本章では、米中規制・サイクルリスクを整理した上で、本記事オリジナルのフレームワーク「工程独占マトリクス」を活用した銘柄選びの考え方を提示します。

米中規制・輸出管理強化が各銘柄に与える影響

米中の技術覇権をめぐる競争は、半導体製造装置メーカーの経営にとって最も重要なマクロリスクの一つです。米国の輸出規制(EAR:Export Administration Regulations)は過去数年間で段階的に強化されており、日本企業も外国直接製品規制(FDPR)の対象となる場合があります。特に、ASMLのEUV露光装置やアドバンテストの高性能テスタなど、最先端半導体の製造に不可欠な装置が規制の焦点となる可能性があります。

各銘柄への影響を整理すると、中国向け売上比率が高い企業ほど規制強化の直接的な影響を受けやすいと言えます。東京エレクトロンの場合、2026年3月期通期の中国向け比率は34.1%に達しており、規制強化が進めば業績への影響は避けられないでしょう。一方で、レーザーテックのフォトマスク欠陥検査装置は非常に高度な技術であるため、米国の規制リスクとは別の「中国向け輸出がもともと限定的」という特性があります。金融庁が公開する外国為替及び外国貿易法関連の情報も、輸出規制を考える上での参考資料になります。

楽観シナリオでは日米の協調体制のもとで規制の範囲が限定的に留まり、中国向けの成熟ノード向け装置輸出が継続できる展開が想定されます。悲観シナリオでは対中制裁が包括的に強化され、複数の主要銘柄で中国向け売上が大幅に縮小するリスクがあります。この不確実性を前提に、複数の工程をカバーする銘柄に分散投資することが一つの対応策になり得ると考えられます。

設備投資サイクルの「山」と「谷」をどう読むか

半導体製造装置株のもう一つの重要なリスクは、半導体の設備投資サイクル(シリコンサイクル)です。半導体業界は数年単位で好況と不況を繰り返すことが知られており、設備投資サイクルが下降に転じると、装置メーカーの受注は急速に落ち込む傾向があります。過去には2022〜2023年のスマートフォン需要減退に伴う在庫調整局面で、主要装置メーカーの株価が大きく下落した経緯があります。

サイクルを読む上で参考になる指標の一つが、SEAJ(日本半導体製造装置協会)が毎月公表する日本製装置の販売高統計です(SEAJの統計ページにて公開)。この統計は装置需要の先行指標として機能することが多く、投資家として月次でモニタリングする習慣を付けると、サイクルの変化を早期に察知しやすくなります。

2026年7月時点では、SEMI統計(2026年4月発表)が「2025年の市場は15%増で過去最高」と報告しており、AI向けの設備投資は依然として上昇トレンドにある状況です。ただし、2023年の市場調整局面からわずか数年での最高更新ということは、次のサイクル調整の可能性も念頭に置くべきタイミングに近づいている可能性があるという見方もできます。

「工程独占マトリクス」で銘柄をポートフォリオに組み込む方法

ここで本記事独自の銘柄整理フレームワーク「工程独占マトリクス」を紹介します。このフレームワークは、縦軸に「工程の独占度(シェアの高さ)」、横軸に「工程の成長性(AI・先端半導体投資への感応度)」を置いて各銘柄を位置づけるものです。最も投資妙味が高いのは、右上の「高シェア × 高成長性」ゾーンに位置する銘柄です。

ゾーン 工程の独占度 工程の成長性 該当銘柄(例)
コア(最重要) 高(シェア50%超) 高(AI直結) 東京エレクトロン、アドバンテスト、レーザーテック
安定成長 高(シェア50%超) 中(成熟工程) ディスコ、SCREEN HD
成長期待 中(シェア20〜50%) 高(中工程成長) TOWA、東京精密、KOKUSAI ELECTRIC
ウォッチ 低〜中 低〜中 個別に精査が必要な銘柄群

このマトリクスを使う際の実践的な考え方は、まず「コアゾーン」の銘柄をポートフォリオの骨格として一定割合確保し、そこに「成長期待ゾーン」の銘柄を少量加えることで、安定性と成長性のバランスを取るというものです。中工程(先進パッケージング)の需要拡大というトレンドが本格化すれば、TOWAや東京精密のような「成長期待ゾーン」の銘柄が「コアゾーン」へと格上げされる可能性があると言えるでしょう。

なお、各銘柄の最新の財務情報・大量保有報告書については、EDINET(金融庁の電子開示システム)や各社の東証適時開示情報ページで随時確認することを強くお勧めします。

⚠ 注意
「工程独占マトリクス」はあくまでも銘柄を整理するための思考フレームワークであり、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。実際の投資判断は、最新の業績・財務状況・市場環境を総合的に確認した上で、ご自身の責任のもとで行ってください。

リスクとフレームワークを把握したところで、記事全体の要点を最後にまとめます。

まとめ|製造工程の理解が、半導体株投資の差になる

半導体製造装置関連株への投資において最も重要なのは、「どの企業がどの工程で世界のどれだけのシェアを持っているか」を具体的に把握することです。SEMI統計が示す市場の記録的な成長と、日本企業が特定工程で持つ独占・寡占的な競争力は、この分野を王道の投資テーマとして際立たせています。

  • 2025年の世界半導体製造装置市場はSEMI統計で前年比15%増・1,351億ドルと過去最高を更新し、テスト装置が前年比55%増と急伸した。
  • 前工程ではコータデベロッパ(東京エレクトロン・シェア84%)、洗浄(SCREEN HD・首位)、CMP(荏原製作所・2位)で日本勢が圧倒的な強みを持つ。
  • 本命株の東京エレクトロンは2026年3月期の売上が2兆4,435億円(過去最高)、アドバンテストは売上高1兆1,286億円(前年度比45%増・過去最高)、ディスコは営業利益率42.3%という驚異的な実績を達成した。
  • 成長期待銘柄のTOWA(封止シェア65%)・KOKUSAI ELECTRIC(熱処理装置)・東京精密は、中工程(先進パッケージング)の拡大という構造的トレンドの恩恵を受ける可能性がある。
  • 米中規制・設備投資サイクルの2大リスクを踏まえ、「工程独占マトリクス」で銘柄を分類・分散する考え方が、長期的な安定投資に役立つ。

ただし、投資する際は各社の業績・財務状況・市場環境を総合的に判断することが大切です。

まずはEDINETや各社IRページで最新の決算資料に目を通し、ご自身のポートフォリオ方針と照らし合わせた上で、一歩踏み出してみてください。

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【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。 投資判断はご自身の責任において行ってください。
掲載データは執筆時点(2026年7月5日)の情報に基づいており、 最新情報は各社IR・ EDINET金融庁東証 にてご確認ください。

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