2026年3月、NYSE FANG+指数の定期リバランスにより、サイバーセキュリティ大手のクラウドストライク(CRWD)が除外され、AI・半導体メモリ分野で急成長中のマイクロン テクノロジー(MU)が新規採用されました。この変更は単なる「銘柄の入れ替え」にとどまりません。10銘柄で構成されるFANG+は、1銘柄の交代だけで指数の性格が大きく変わる設計です。今回の入替により、FANG+は「AIを使う側」から「AIインフラを支える側」へと重心をシフトさせたと言えます。
マイクロンが採用された背景には、AI処理に不可欠なHBM(高帯域幅メモリ)需要の爆発的拡大があります。直近決算では売上高136億ドル超・次四半期ガイダンスも187億ドル前後と、数字が一気に跳ねています。一方クラウドストライクは、売上成長率こそ年率23%増と堅調ながら、年初来パフォーマンスがマイナス7.59%とFANG+の選定基準を満たせませんでした。
新NISAでiFreeNEXT FANG+インデックスを積み立てている方は、手続き不要で自動的に新構成へ切り替わりますが、この変更の意味と今後の見通しはきちんと把握しておくべきです。本記事では、採用・除外の理由から投資信託への影響、そして新NISA保有者が今すぐ取るべきアクションまで、わかりやすく徹底解説します。
📋 この記事でわかること
- なぜマイクロン(MU)がFANG+に選ばれ、クラウドストライク(CRWD)が外れたのか、その本質的な理由
- AI・HBM需要の急拡大がFANG+指数の「性格」をどう変えたか
- 新NISAでiFreeNEXT FANG+を積み立てている人が今すぐ確認すべき3つのポイント
- クラウドストライク除外後も個別株として保有を続けるべきかどうかの判断基準
- 2026年後半以降のFANG+銘柄入替候補と、長期投資家に最適な分散戦略


第1章|FANG+銘柄入替とは?2026年3月変更の全体像
FANG+とはどんな指数か?10銘柄に絞ったシンプルな設計
「FANG+ってそもそも何?」という方のために、まずは基本から整理しましょう。FANG+(エヌワイエスイー ファングプラス)は、ICE(インターコンチネンタル取引所)が管理する米国テクノロジー株の指数です。名前の由来は、Facebook(現・Meta)・Amazon・Netflix・Googleの頭文字「FANG」に、さらに優れた成長企業を加えた「FANG+」です。最大の特徴は、わずか10銘柄だけで構成されるという非常にシンプルな設計にあります。
S&P500が約500銘柄、NASDAQ100が100銘柄であるのに対して、FANG+はたったの10銘柄です。そのため、1つの銘柄が指数全体に与える影響が非常に大きく、1社の動きがそのまま指数の約10%分の変動につながります。これはハイリスク・ハイリターン型の指数であることを意味します。実際、過去約10年でS&P500が約5倍に成長したのに対し、FANG+は約18倍という驚異的なパフォーマンスを記録しています。大きなリスクがある一方で、その成長力は多くの投資家を引きつけてきました。
2026年3月時点でのFANG+の10銘柄は、Meta(メタ)・Apple(アップル)・Amazon(アマゾン)・Netflix(ネットフリックス)・Microsoft(マイクロソフト)・Alphabet(グーグルの親会社)という「固定6銘柄」に加え、NVIDIA(エヌビディア)・Palantir(パランティア)・Broadcom(ブロードコム)、そして今回新たに採用されたMicron Technology(マイクロン テクノロジー)の合計10銘柄です。固定6銘柄は「FAANMG(ファーンムグ)」とも呼ばれ、よほどの事情がない限り入れ替えの対象になりません。
日本では大和アセットマネジメントが運用する投資信託「iFreeNEXT FANG+インデックス」を通じて購入できます。新NISAのつみたて投資枠・成長投資枠どちらでも対応しており、特に若い世代から「毎月少額で米国テック株10社に投資できる」として注目を集めています。信託報酬は年率0.7755%で、10銘柄の成長をまるごと享受できる手軽さが人気の理由です。
銘柄入替のルールとスケジュール|発表日から発効日までの流れ
FANG+の銘柄見直しは、年4回(3月・6月・9月・12月)の四半期ごとに実施されます。ルールは明確で、「発表日は3の倍数月の第2金曜日、発効日は第3金曜日の取引終了後」と定められています。発表から実施まで約1週間の余裕があるため、投資家は状況を確認して判断する時間が確保されています。
入れ替えの対象は主に流動枠4銘柄です。固定6銘柄(FAANMG)はほぼ変わらないため、実質的には残り4枠をめぐる争いになります。2022年12月以降のルール変更で、この4枠は時価総額・平均日次取引高・売上高成長率などの定量的なランキングに基づいて機械的に決まる仕組みになりました。感情や担当者の判断ではなく、数字によって公平に選定されるため、透明性が高く「次の銘柄候補はどこか」という予測も立てやすくなっています。
2026年3月のリバランスでは、ICEから公式に「クラウドストライク除外・マイクロン採用」が発表されました。これはSNS上でも大きな話題となり、投資家コミュニティを中心に速報として多数シェアされました。なお、今回の変更に加えて、直前の2025年12月のリバランスでも「パランティア(PLTR)採用・サービスナウ(NOW)除外」という入れ替えが実施されており、FANG+は2四半期連続でAI色をさらに強める方向に進化しています。
| 項目 | 詳細 | 補足 |
|---|---|---|
| 発表日 | 2026年3月13日(第2金曜日) | ICEが公式発表 |
| 発効日 | 2026年3月20日(第3金曜日)取引終了後 | この日から新構成に切替 |
| 除外銘柄 | クラウドストライク(CRWD) | 年初来マイナス7.59% |
| 採用銘柄 | マイクロン テクノロジー(MU) | 年初来プラス61.76% |
| 入替頻度 | 年4回(3・6・9・12月) | 四半期ごとに定期見直し |
今回の入替が意味すること|FANG+はAIインフラ特化型指数へ
クラウドストライクはサイバーセキュリティ(パソコンやシステムを外部の攻撃から守る技術)の会社です。一方でマイクロン テクノロジーは、AIの計算処理に不可欠な「HBM(高帯域幅メモリ)」という特殊なメモリを製造している会社です。この入れ替えを一言で表現するなら、「AIを守る側」から「AIを動かす側」へのシフトと言えます。
現在のFANG+にはすでにNVIDIA(AI半導体の最大手)・Broadcom(半導体・ネットワーク)・Palantir(AIデータ分析)が含まれています。そこにマイクロンが加わることで、半導体・AI関連の比重はさらに高まります。「2025年12月にパランティア、2026年3月にマイクロン」と2四半期連続でAI関連企業が採用されており、FANG+は今まさにAI時代に向けて大きく変わっています。
この変化は、世界経済の中心がAIに移りつつある現実を反映しています。Amazon・Microsoft・Alphabet・Metaなどのビッグテック企業が2026年もAI向けデータセンターへの投資を大幅に拡大すると表明しており、その設備投資の最前線にいるのがNVIDIAやマイクロンです。FANG+は、そのAI革命の中心にいる企業群をいち早く取り込む指数として進化し続けているのです。今回の入れ替えを機に、FANG+という指数がどこに向かっているのかをしっかり理解しておくことが、長期投資家にとって非常に重要です。
FANG+は10銘柄構成の米国テック集中型指数で、年4回の定期リバランスが特徴です。2026年3月の入替では「セキュリティ系SaaS株」から「AIメモリ半導体株」へシフトし、AI・半導体セクターへの集中度がさらに高まりました。日本の新NISA保有者にも直接影響するこの変化は、今後の投資戦略を考えるうえで欠かせない視点です。
第2章|FANG+がマイクロン(MU)を採用した3つの理由
AI需要を直撃するHBM(高帯域幅メモリ)市場の爆発的拡大
マイクロン テクノロジー(Micron Technology、ティッカー:MU)は、アメリカのアイダホ州ボイジーに本社を置く半導体メモリ専業メーカーです。DRAM(データの読み書きができる高速メモリ)やNANDフラッシュ(スマートフォンやSSDに使われる記憶装置)を世界規模で製造しています。「半導体のことはよく知らない」という方も多いかもしれませんが、実はマイクロンの製品はみなさんのスマートフォンやパソコンの中にも使われています。
しかし今、マイクロンが特に注目されているのは「HBM(High Bandwidth Memory、高帯域幅メモリ)」という製品です。HBMとは、AIの計算処理を担うGPU(グラフィック処理装置)に組み込まれる特殊なメモリで、普通のメモリに比べてデータのやりとりの速度が圧倒的に速いという特徴があります。ChatGPTのようなAIが質問に答えるとき、裏側では膨大なデータを高速に処理しており、そのスピードを支えているのがNVIDIAのGPUとマイクロンのHBMです。
マイクロンの発表によると、HBM製品の需要は2026年に入っても「供給が追いつかない完売状態」が続いており、同社は2026年分のHBM供給について、すでに価格と数量の契約を顧客と完了していると説明しています。これはAI向けデータセンターの建設が急ピッチで進んでいることと完全に連動しています。Amazon・Microsoft・Alphabet・Metaといったビッグテック各社が、2026年もAI向け設備投資を大幅に拡大すると表明しており、マイクロンのHBMはその「血液」ともいえる存在です。さらに、マイクロンは次世代のHBM4(ピン速度11Gb/s超)の量産も2026年第2四半期(12月〜2月期)から開始しており、技術面でも競合他社を一歩リードしています。
① AIの学習・推論には大量のデータを超高速で処理する必要がある
② 高速処理にはNVIDIAのGPU(AI専用チップ)が必要
③ GPUをさらに高速化するためにはHBMというメモリが必須
④ HBMを大量製造できる企業は世界でもごくわずか
⑤ マイクロンはその最重要プレイヤーのひとつ
つまり「AIブームの恩恵を最も直接的に受ける会社のひとつ」がマイクロンなのです。
年初来プラス61.76%、1年率プラス347.76%の圧倒的な株価実績
FANG+の銘柄選定では、株価のパフォーマンス(成長率)が重要な評価軸のひとつです。今回の入れ替え発表時点でのマイクロンの数字を確認すると、その凄まじさがよくわかります。年初来(2026年1月1日から発表時点まで)でプラス61.76%、さらに過去1年間ではプラス347.76%という驚異的な上昇率を記録していました。
この数字をかんたんな例で考えてみましょう。仮に1年前に100万円分のマイクロン株を購入していたとすると、発表時点でその価値は約447万円になっていた計算です(税金・手数料を除く)。1年で資産が約4.5倍になったということです。これはS&P500の年間平均リターン(約10%前後)をはるかに上回る成長であり、AI相場の追い風を正面から受けた結果と言えます。
アナリスト(プロの株式分析家)の評価も非常に強気です。2026年3月時点で主要アナリストの大多数が「買い」または「強気買い」を推奨しており、平均目標株価も現在値から大きな上昇余地があると見ています。機関投資家(年金基金や大手運用会社など大きなお金を動かす投資家)の間でも「マイクロンはAI関連の本命銘柄のひとつ」として位置づけられています。FANG+の銘柄選定基準である「市場支配力・取引高・パフォーマンス」のすべてにおいて、マイクロンは高いスコアをたたき出したのです。
売上高前年比3倍・粗利益率74.9%が示す業績の急加速
株価のパフォーマンスだけでなく、業績の実態も驚くべきものです。マイクロンが2026年3月18日に発表した2026年度第2四半期(2025年12月〜2026年2月期)の決算は、市場の期待を大きく上回る内容でした。売上高は238億6,000万ドル(約3兆8,000億円)と、前年同期比で約3倍に急拡大。これはLSEGコンセンサス予想を大幅に上回る数字です。
Non-GAAPベースの粗利益率は74.9%に達しました。「粗利益率74.9%」とはどういうことかというと、100円の売上に対して約75円が粗利益として残るということです。一般的な製造業の粗利益率が20〜30%程度であることを考えると、いかに高い数字かがわかります。Non-GAAPベースの1株利益(EPS)は12.20ドルで、前年同期の1.56ドルから約8倍近い拡大です。さらに次の四半期(2026年3月〜5月期)の売上高見通しは335億ドル(プラスマイナス7億5,000万ドル)と、さらなる増収を見込んでいます。
この圧倒的な業績の伸びを支えているのは、AIデータセンター向けのDRAMとHBMの急拡大です。クラウド事業部門(データセンター向け)だけで売上が大きく跳ね上がっており、「AIが世界を変えている、その変化を最前線で支えているのがマイクロン」という事実が、今回のFANG+採用を後押しした最大の理由です。
| 指標 | 2026年2Q実績 | 前年同期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 238億6,000万ドル | 80億5,300万ドル |
| Non-GAAP粗利益率 | 74.9% | 約22%台 |
| Non-GAAP EPS(1株利益) | 12.20ドル | 1.56ドル |
| 次四半期売上高見通し | 335億ドル(±7.5億ドル) | 継続して拡大見通し |
| HBM供給状況 | 2026年分は価格・数量契約済 | 完売状態が継続 |
これだけの数字が出ているマイクロンをFANG+が採用したのは、ある意味で「当然の結果」とも言えます。AI需要という強力な構造的な追い風をフルに受け、業績・株価パフォーマンス・市場での存在感すべてが急上昇したマイクロンは、まさにFANG+が求める「時代を代表する成長企業」の条件を満たしていたのです。次の章では、反対側の視点として、なぜクラウドストライクが除外されることになったのかを詳しく見ていきましょう。
第3章|クラウドストライク(CRWD)がFANG+から除外された背景
年初来マイナス7.59%に至ったパフォーマンス低迷の真因
「クラウドストライクが除外されるなんて驚いた」という方も多いはずです。クラウドストライク(CrowdStrike、ティッカー:CRWD)は、2024年9月にFANG+に採用されたばかりの「新入り」でした。しかし採用からわずか半年あまりで、早くも除外という結果になってしまいました。なぜこうなったのか、その背景を丁寧に整理していきましょう。
最大の理由は、2026年に入ってからの株価パフォーマンスがFANG+の選定基準を下回ったことです。年初来(2026年1月1日から3月の発表時点まで)のパフォーマンスはマイナス7.59%と、マイナス圏での推移が続いていました。これはマイクロンのプラス61.76%という数字と比較すると、約70ポイントもの大差がついています。FANG+の流動枠4銘柄は相対的なランキングで決まるため、他の候補銘柄と比較したときの「見劣り」が除外の直接の引き金となりました。
株価低迷の一因となったのが、2025年3月に発表された第4四半期(2025年11月〜2026年1月期)決算で、売上高は前年同期比23%増と成長は維持したものの、翌四半期の業績ガイダンスが市場の期待をやや下回ったことです。「成長はしているが、期待ほどではない」という評価が積み重なり、ハイバリュエーション(高い株価評価)に支えられていたクラウドストライク株の調整につながりました。史上最高値からは約27%以上下落した水準での推移が続いていたことも、投資家心理の重荷になっていました。
SaaSセクター逆風とMicrosoftによる競争激化の影響
クラウドストライクが属する「SaaS(サービスとしてのソフトウェア)」セクター全体が、2025年後半から2026年にかけて逆風にさらされていました。SaaSとは、インターネットを通じてソフトウェアを月額や年額で提供するビジネスモデルのことです。コロナ禍で急成長したSaaS各社は、2024年〜2026年にかけて成長の鈍化が避けられない状況になりつつあります。
さらに競争環境も厳しさを増しています。サイバーセキュリティ市場では、Microsoftがセキュリティ機能をWindowsやAzure(クラウドサービス)に標準で組み込む形で拡張を続けており、「セキュリティはMicrosoftでまとめてしまおう」というIT担当者の判断が増えています。こうしたコスト削減志向は、クラウドストライクのような専業セキュリティベンダーにとって逆風です。クラウドストライクはARR(年間経常収益)で52.5億ドルを突破するなど堅調な成長を続けていますが、それでも「相対的なパフォーマンス差」がFANG+除外につながりました。
また、2024年7月に発生した「大規模システム障害事件」も、クラウドストライクのイメージに影響を与えていました。この事件ではクラウドストライクのソフトウェアアップデートが原因で世界中のWindowsパソコン数百万台がブルースクリーンエラーを起こし、航空会社・医療機関・金融機関などに甚大な影響が出ました。事件後も事業は回復軌道にありましたが、一部の顧客がサービス選定を見直すきっかけとなったことは否定できません。
| 比較項目 | クラウドストライク(除外) | マイクロン(採用) |
|---|---|---|
| 事業分野 | サイバーセキュリティ(SaaS) | メモリ半導体(DRAM・HBM) |
| 年初来パフォーマンス | マイナス7.59% | プラス61.76% |
| 直近四半期売上成長率 | プラス23%(年率) | 前年同期比約3倍 |
| AI需要との関係 | 間接的(セキュリティ需要) | 直接的(HBMはAI必須部品) |
| 競争環境 | Microsoftが市場浸食 | 供給不足・完売状態 |
除外後もクラウドストライク株を保有すべきか|正しい見方
「FANG+から除外されたということは、クラウドストライクはもうダメな会社なの?」と不安になった方もいるかもしれません。しかしこれは早計です。FANG+からの除外は「その時点での相対的なパフォーマンス競争の結果」であり、会社の価値や将来性を否定するものではまったくありません。
実際、クラウドストライクは2026年通期の売上高見通しを58億6,800万ドル〜59億2,800万ドルと示しており、前年比22〜23%の成長を見込んでいます。ARRは52.5億ドルを突破し、四半期純新規ARRは前年同期比47%増の3億3,100万ドルと過去最高を記録しています。サイバーセキュリティの需要は、AI時代になってもむしろ増すばかりです。実際にクラウドストライクが2026年3月に発表した「グローバル脅威レポート」では、AIを活用したサイバー攻撃が前年比89%増加していると警告しており、セキュリティの重要性はこれからも高まり続けることが確実です。
ただし、FANG+という指数経由での保有はなくなります。「クラウドストライクに引き続き投資したい」という方は、個別株として直接購入するか、他のサイバーセキュリティ関連ETFを検討する選択肢があります。またFANG+の銘柄選定は四半期ごとに見直されるため、条件を再び満たした場合は次回以降のリバランスで復活の可能性もゼロではありません。FANG+除外を「会社の終わり」と捉えるのではなく「その時点の相対評価の結果」として冷静に受け止めることが大切です。
クラウドストライクの除外は、株価パフォーマンスの「相対的な見劣り」が主因です。事業は成長継続中(年率23%増収・ARR52.5億ドル超)であり、会社の価値は保たれています。除外=倒産ではありません。次回リバランスでの復活可能性もあります。個別株として保有を続けるかどうかは、自分の投資方針と照らし合わせて冷静に判断しましょう。
第4章|FANG+銘柄入替が投資信託・新NISAに与える影響と対応策
iFreeNEXT FANG+インデックスへの自動切替の仕組みと注意点
「FANG+の銘柄が変わったということは、私が積み立てているiFreeNEXT FANG+インデックスにも影響があるの?」これは多くの投資家が真っ先に気になるポイントです。答えはシンプルで、「はい、影響はありますが、手続きは一切不要です」。
iFreeNEXT FANG+インデックスは、NYSE FANG+指数に連動する成果を目指す投資信託です。指数の銘柄が変われば、ファンド(投資信託)の中身も自動的に変わります。運用会社の大和アセットマネジメントが、ファンド内に保有しているクラウドストライク株を売却し、マイクロン テクノロジー株を購入するという運用調整を行います。投資家のみなさんは何も操作する必要がなく、毎月の積立を続けているだけで、自動的に「マイクロン入りの新しいFANG+」に乗り換わる仕組みです。
ただし、この切り替えが行われる発効日の前後(2026年3月20日前後)には、ファンドの基準価額に短期的な変動が生じることがあります。売却と購入が同時に行われるため、わずかな売買コストが発生する点は知っておきましょう。とはいえ、長期積立の観点では非常に小さな影響です。気になる方は大和アセットマネジメントの公式サイトで発表される「銘柄入替えのお知らせ」を確認することをおすすめします。なお、信託報酬は年率0.7755%で変更はありません。
新NISAでiFreeNEXT FANG+インデックスを積み立てている方には、特に重要な点があります。新NISAには「つみたて投資枠(年間120万円まで)」と「成長投資枠(年間240万円まで)」の2種類があり、iFreeNEXT FANG+インデックスは両方の枠で購入できます。銘柄入替があっても非課税扱いは継続されますので、慌てて売却する必要はありません。発効日以降の積立分からは自動的に新構成(マイクロン入り)に投資されます。
FNGU・FNGDなどレバレッジETNへの波及リスクと考え方
FANG+に連動する商品はiFreeNEXT FANG+インデックスだけではありません。アメリカ市場に上場しているFNGU(FANG+の3倍レバレッジETN)やFNGD(逆3倍レバレッジETN)も、今回の銘柄入替の影響を受けます。これらの商品についても基本的には指数変更に自動追随しますが、レバレッジ商品特有のリスクを理解しておくことが重要です。
FNGUは「FANG+指数の日次リターンの3倍」を目指す商品です。マイクロンが採用されたことで、マイクロン株の1日の動きがFNGUに対して3倍の影響を持つことになります。マイクロンは半導体メモリという景気敏感な側面を持つため、AIブームが続けば大きな上昇が期待できる一方、景気後退や関税問題などの外部ショックがあった場合の下落幅も大きくなります。レバレッジ商品は上級者向けであり、初心者にはiFreeNEXT FANG+インデックスへの新NISA積立が圧倒的におすすめです。
東証に上場しているiFreeETF FANG+(証券コード:521A)も同様に自動追随します。こちらは株式のようにリアルタイムで売買できるETFで、新NISA成長投資枠での購入が可能です。ただし、取引にはリアルタイムの値動きへの対応が必要なため、毎月自動で積み立てられる投資信託(iFreeNEXT FANG+インデックス)に比べると手間がかかります。自分の投資スタイルに合った商品を選ぶことが大切です。
新NISA保有者が今すぐ確認すべき3つのチェックポイント
今回の銘柄入替を受けて、新NISAでiFreeNEXT FANG+インデックスを保有・積立中の方が今すぐ確認すべきことを整理しましょう。特に不安を感じている方は、以下の3点を順番に確認することで、冷静な判断ができます。
【チェック1】手続きは不要か確認する
iFreeNEXT FANG+インデックスの保有者は、銘柄入替に伴う手続きはまったく不要です。自動的に新構成に切り替わります。「何かしなければ」という焦りは不要です。
【チェック2】自分のリスク許容度を再確認する
今回の入替でFANG+はAI・半導体への集中度がさらに高まりました。FANG+はもともとハイリスク・ハイリターンの商品ですが、マイクロン採用でボラティリティ(値動きの幅)がさらに大きくなる可能性があります。「値動きが大きくなっても長期で持ち続けられるか」を自問してみましょう。
【チェック3】ポートフォリオ全体のバランスを見直す
FANG+だけに集中投資している場合、今回の変化を機にS&P500やオルカン(全世界株)との組み合わせを再検討することも有益です。「FANG+:S&P500=3:7」など自分なりのバランスを持つことで、リスクを抑えつつ成長の恩恵も享受できます。
銘柄入替があるたびに「売った方がいいのかな」と悩む必要はありません。FANG+の銘柄入替は四半期ごとの「自動アップデート」のようなもので、常に「今いちばん強い銘柄」を指数が取り込んでいく仕組みです。長期積立の観点では、このアップデート機能こそがFANG+の強みのひとつです。短期の値動きに一喜一憂せず、積立を粛々と続けることが、長期的な資産形成において最も重要な行動です。信託報酬(年率0.7755%)を払いながら自動的にメンテナンスされていると考えれば、むしろコストパフォーマンスの高いサービスと捉えることができます。
第5章|マイクロン採用後のFANG+指数の今後の見通しと投資戦略
半導体強化でFANG+のリスク・リターン特性はどう変わるか
マイクロンの採用により、FANG+のポートフォリオはAI・半導体セクターの比重がさらに高まりました。現在の10銘柄の中でAI・半導体に直接関係する企業を数えると、NVIDIA(AI GPU最大手)・Broadcom(半導体・ネットワーク)・Micron(HBMメモリ)の3社に加え、Meta・Amazon・Microsoft・Alphabetなどのビッグテックも自社AIの開発・運用に巨額投資をしており、間接的にはほぼ全銘柄がAI関連と言っても過言ではありません。
このことは、AIブームが継続する局面では非常に大きな追い風になります。実際、Amazon・Alphabet・Meta・Microsoftは2026年もAI向けデータセンターへの投資を大幅に拡大すると表明しており、AI設備投資の拡大が続く限り、NVIDIA・Micronなどの関連銘柄には強い需要が見込まれます。FANG+はこのAIブームの「中心地」に最も集中投資できる指数として、引き続き高いリターンポテンシャルを持っています。
ただし、その裏側には大きなリスクも存在します。FANG+はもともと値動きが非常に大きく、S&P500に比べて下落時の幅も大きくなりやすいという特徴があります。2022年の米国金利急上昇局面ではFANG+が一時50%超下落したこともあります。AI関連銘柄が多くなったことで、米中関係の悪化・半導体輸出規制・AIバブル崩壊への懸念といったリスクが顕在化した際の下落幅が大きくなる可能性があります。これは「ハイリスク・ハイリターン」の特性がさらに強まったと理解しておくことが大切です。
マイクロンはメモリ半導体という「景気敏感株」の側面も持っています。AIブームが続く間は需要が旺盛ですが、景気後退や設備投資の縮小期には売上が急減する可能性もあります。メモリ市況は歴史的に「需要が急増する好況期」と「供給過剰で価格が暴落する不況期」を繰り返してきました。今はAI需要という特別な追い風があるため好調ですが、その強さがいつまで続くかは不確実です。
2026年後半の次回リバランスで注目される銘柄候補
次回のリバランスは2026年6月です。「次はどの銘柄が採用・除外されるのか」という予測は、FANG+投資家にとって毎回の注目テーマです。選定基準は「時価総額・平均日次取引高・売上高成長率などのランキング」に基づくため、ある程度の予測が可能です。
次回リバランスの有力候補として挙げられる銘柄をいくつか紹介しましょう。まずTesla(テスラ)は、自動運転AIと電気自動車分野で強力な存在感を持ち、2024年9月まではFANG+の構成銘柄でした。株価が回復すれば再採用の可能性があります。次にAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイシズ)は、AI向けGPUでNVIDIAの対抗馬として急成長しており、今後の業績によっては候補になりえます。また、量子コンピューターや新たなAIチップを開発する新興企業の台頭も注目です。
一方で、除外候補として意識されるのは、現在の流動枠4銘柄(NVIDIA・Palantir・Broadcom・Micron)のうち、次回のランキングで最下位になる銘柄です。Palantirは2025年12月に採用されてから急成長が続いており、2023年2月から2026年3月までの過去3年間の株価成長が約17倍(騰落率1600%超)に達しています。現時点では除外の可能性は低いと見られていますが、市場環境の変化次第では状況が変わることもあります。
重要なのは、「次の入替候補を予測して短期的に売買する」ことよりも、「FANG+という指数の長期的な方向性と自分の投資目標が合っているかを確認する」ことです。FANG+の銘柄入替は自動的に「時代の勝者」を取り込んでいくメカニズムであり、その機能を信頼して長期保有を続けることが、個人投資家には最も合理的な戦略と言えます。
FANG+とS&P500・NASDAQ100を組み合わせた長期分散戦略
「FANG+だけに投資するのは怖い」という方も多いでしょう。その感覚はとても健全です。FANG+はハイリスク・ハイリターンな商品であるため、他の指数と組み合わせることでリスクを抑えながら成長の恩恵も享受できるポートフォリオを作ることができます。
よく使われる組み合わせのひとつが、「FANG+ + S&P500(eMAXIS Slim 米国株式など)」の組み合わせです。S&P500は米国の大企業約500社に分散投資できる安定型の指数で、FANG+と組み合わせることで「攻め(FANG+)と守り(S&P500)」のバランスが取れます。例えば「毎月3万円の積立のうち、FANG+に1万円・S&P500に2万円」というように割り振ることで、FANG+の高い成長性を享受しつつ、暴落時のダメージを和らげることができます。
NASDAQ100(eMAXIS NASDAQ100インデックスなど)との組み合わせも有効です。NASDAQ100はテクノロジー株中心の100銘柄に分散投資できる指数で、FANG+よりは分散が効いており、集中リスクを下げながらもテクノロジー成長の恩恵を受けられます。「FANG+:NASDAQ100=1:1」という組み合わせは、リスクとリターンのバランスが取れた構成として参考になります。
| ポートフォリオタイプ | 配分例(月3万円の場合) | 特徴 |
|---|---|---|
| 攻め重視型 | FANG+ 2万円 + S&P500 1万円 | 高成長期待・リスク高め |
| バランス型 | FANG+ 1万円 + S&P500 2万円 | 安定感重視・中リスク |
| テック集中型 | FANG+ 1.5万円 + NASDAQ100 1.5万円 | テック成長特化・中高リスク |
| 安定優先型 | FANG+ 0.5万円 + オルカン 2.5万円 | 全世界分散・低リスク寄り |
どの組み合わせが「正解」というわけではありません。大切なのは「自分が下落しても売らずに持ち続けられる金額・比率で投資すること」です。FANG+が一時的に30%〜50%下落することがあっても、長期で保有し続けられる割合に抑えておくことが、長期投資で成功するための鍵です。今回のマイクロン採用をきっかけに、自分のポートフォリオ全体を見直してみることは、とても良いタイミングと言えます。
まとめ|FANG+銘柄入替2026年3月を受けた投資判断の総括
2026年3月のFANG+銘柄入替、いかがでしたでしょうか。今回の変更を一言でまとめると、「FANG+がAIインフラの中心へと一歩さらに踏み込んだ」ということです。マイクロン テクノロジーの採用は、AI需要・業績・株価パフォーマンスのすべてで圧倒的な存在感を示した結果であり、クラウドストライクの除外は会社の消滅ではなく相対的な評価の結果です。
新NISAでiFreeNEXT FANG+インデックスを積み立てている方は、手続きは一切不要で、積立を継続するだけでOKです。ただし今回の変化を機に「自分のリスク許容度」と「ポートフォリオのバランス」をあらためて確認することを強くおすすめします。S&P500やオルカンとの分散組み合わせも有力な選択肢です。
投資は、短期の値動きに一喜一憂せず、長期で継続することが何より大切です。FANG+はAI時代の勝者たちを自動更新で取り込み続ける「生きた指数」です。今日から少額でも積立を始めた一歩が、10年後・20年後の大きな差になります。「今が変わり目かもしれない」と感じたあなたの直感は、きっと間違っていません。未来の自分のために、今できることを一つずつ行動に移していきましょう。
・2026年3月のFANG+リバランスでクラウドストライクが除外、マイクロンが採用された
・マイクロン採用の理由はHBM需要急拡大・売上高前年比3倍・株価年初来プラス61.76%
・クラウドストライクの除外は「相対評価の結果」であり会社の将来性とは別の話
・iFreeNEXT FANG+保有者への手続きは不要・自動で新構成に切り替わる
・今回の変化を機に、自分のリスク許容度とポートフォリオバランスを再確認しよう

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