11月10日は運命の火曜日|米CPI・ソフトバンクG・CoreWeave決算

「今週は株が大きく下がって、来週が少し怖い」。そう感じている方も多いのではないでしょうか。11月6日の東京市場では日経平均が5日続落し、ソフトバンクグループ(SBG)1銘柄だけで指数を約349円押し下げました。前日の米国ではナスダック総合指数が5%を超えて下落し、AI関連株が総崩れになっています。

そんな中で迎えるのが、11月10日(火)です。この日は、日本時間の夕方にソフトバンクG決算、夜22時30分に米10月消費者物価指数(CPI)、そして翌朝にはAIデータセンター大手CoreWeaveの決算と、相場の方向を左右しうるイベントが、たった1日に集中します。まさに「運命の火曜日」と呼びたくなる日程です。

予想を大きく上回った雇用統計で12月の利上げ観測が再び強まり、ドル円は158円台まで円安が進んでいます。CPIの結果しだいでは、160円が意識される場面もあるかもしれません。

この記事では、11月10日に何が起き、どの数字を見ればよいのかを、煽らず、断定せずに整理します。結果を当てるためではなく、当日に慌てないための準備として、FXをしている方もSBGの株主の方も、ぜひ最後までお付き合いください。

この記事でわかること

  • 3つのイベントを日本時間でムダなく追うコツ
  • 今回のCPIで「前年比」より先に見るべき数字
  • SBG決算を株価の上下と切り分けて読む視点
  • AIインフラ企業の決算で売上以外に確かめたい点
  • 結果が出た後に慌てないための条件つきの考え方
目次

第1章:11月10日に何が起きる?3つのイベントと日本時間の流れ

11月10日の予定を書き込むカレンダーと手帳

画像出典:Unsplash

「11月10日に大事なイベントがあるらしい」と聞いても、何時に何が発表されるのかがわからないと、ニュースを追いかけるだけで疲れてしまいます。とくに今回は、日本企業の決算、米国の経済指標、米国企業の決算が、時差をまたいで次々に発表されます。まずは全体の流れを、日本時間でひとつずつ整理しておきましょう。

日本時間で並べた当日のタイムテーブル

結論から言うと、11月10日は朝8時50分から翌朝7時ごろまで、ほぼ丸1日かけて材料が出てくる日です。主な予定は、次の表のとおりです。

時間(日本時間)イベント主に影響しそうな市場
10日 08:50日銀 金融政策決定会合(10月分)の主な意見円相場、日本の金利
10日 15:30ソフトバンクG 決算短信の開示SBG株、日経平均(翌日以降)
10日 16:30ソフトバンクG 決算説明会(ライブ配信)SBG株、AI関連株
10日 18:00ウォラーFRB理事の講演ドル円、米金利
10日 22:30米10月消費者物価指数(CPI)ドル円、米国株、米金利
11日 早朝CoreWeave決算(米10日の取引終了後)、7:00から説明会米AI関連株、11日の日本株

SBGの決算短信は、東証の取引時間が終わったあとの15時30分に開示される予定です。そのため、決算に対する株価の反応が本格的に表れるのは、翌11日の東京市場からになります。一方、CoreWeaveは米国の10日の取引終了後に決算を発表し、説明会は日本時間11日の朝7時から始まります。

つまり、11日の東京市場は、SBG決算と米CPIとCoreWeave決算の3つをまとめて織り込むことになります。10日の日中ではなく、11日の朝こそが本番だと考えておくと、心の準備がしやすくなります。

なお、同じ週には、11日が米国の祝日(ベテランズデー)で債券市場が休場となるほか、13日の22時30分には米10月の生産者物価指数(PPI)も発表されます。10日の結果を受けた値動きが、週の後半まで尾を引く可能性もあるため、「10日だけで終わり」ではなく、週全体の流れの中で見る意識を持っておくと安心です。

なぜ3つのイベントが重なると注目されるのか

3つのイベントは、一見すると別々の話のように見えます。ですが実際には、どれも「AI」と「金利」という同じテーマでつながっています。それぞれの役割を、かんたんに整理してみましょう。

  • 米CPI|インフレが強ければFRBの利上げ観測が強まり、金利の上昇はハイテク株の重しになりやすい
  • ソフトバンクG決算|OpenAIなどへのAI投資の評価がどう変わったかが、日本のAI関連株の心理を左右する
  • CoreWeave決算|AIデータセンターへの需要と、その資金繰りが本当に回っているのかを確かめる材料になる

今週の下落は、「AIへの巨額投資は本当に回収できるのか」という不安と、「米国の利上げがまだ続くのではないか」という不安が重なって起きました。11月10日は、その2つの不安のそれぞれに対して、数字で答えが出てくる日だといえます。

全部をリアルタイムで追いかける必要はありません。自分が持っている株や通貨に関係するイベントだけ、時間をスマホのメモに書いておけば十分です。寝る前にCPIだけ確認して、翌朝に決算をまとめて見る、という過ごし方でも大丈夫ですよ。

今週の急落をあらためて振り返る

前提として、今週の市場で何があったのかを振り返っておきます。米国時間11月3日に投開票された中間選挙で民主党が大きく議席を伸ばしたことを受け、AIデータセンターへの規制が強まるのではないかという警戒感が広がりました。民主党の知事候補の一部が、新しいデータセンター建設の一時停止を訴えていたためです。

米国時間11月5日には、ナスダック総合指数が5.52%下落し、半導体株指数(SOX指数)も12%を超える下げとなりました。その流れを受けた11月6日の東京市場では、日経平均が5日続落となり、取引開始後まもなく6万円の節目を割り込みました。SBGは終値で前日比431円安(10.83%安)の3,549円となり、1銘柄で日経平均を約349円押し下げています。

身近な数字に置き換えてみましょう。SBG株を100株持っている方なら、この1日だけで評価額が約4万3,100円減った計算になります。数字で見るとショックは大きいですが、こうした日こそ「次に何が判断材料になるのか」を知っておくことが、冷静さを保ついちばんの近道です。

11月10日は、今週の急落のきっかけになった不安に対して、最初の答え合わせが行われる日です。次の章では、そのうちの1つ目、米CPIと12月の利上げ観測について詳しく見ていきます。

参考:ザイ・オンライン、外為どっとコム マネ育チャンネル、ソフトバンクグループ株式会社、CoreWeave IR、フィスコ(2026年11月6〜7日時点)

第2章:11月10日の米CPIと12月利上げ観測|雇用統計から読む現在地

米CPIとドル円の動きを連想させる米ドル紙幣

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「利下げ」ではなく「利上げ」という言葉がニュースに戻ってきて、驚いた方もいるかもしれません。FRB(米連邦準備制度理事会)は10月27〜28日の会合で政策金利を3.75〜4.00%に据え置きましたが、2人の委員が利上げを主張して反対票を投じました。次の会合は12月8〜9日で、その判断材料として最も注目されているのが、11月10日の米CPIです。

予想を大きく上回った10月の雇用統計

11月6日に発表された10月の米雇用統計は、利上げ観測を後押しする、とても強い内容でした。主な数字を表にまとめます。

項目結果市場予想
非農業部門雇用者数(前月比)+16.5万人+6.5万人前後
失業率4.1%4.2%
平均時給(前月比)+0.4%+0.3%
平均時給(前年比)+3.1%+2.9%

あわせて、8月と9月の雇用者数も合計で8.4万人上方修正されました。発表後、ドル円は158円25銭から158円58銭まで上昇し、米10年債利回りは一時4.90%をつけたあと、4.86%で取引を終えています。CMEのFedWatchでは、12月の利上げ確率が発表前の67%から約77%に上昇したと伝えられています。

雇用が強く、賃金も予想以上に伸びている。この組み合わせは、物価が下がりにくい状況を示しています。そのため、CPIが上振れすれば、12月の利上げ観測は一段と固まりやすいと考えられます。

今回のCPIは前年比が出ない特殊な回

今回のCPIには、ひとつ大切な注意点があります。2025年10月分のCPIは、米政府機関の閉鎖の影響で公表が見送られました。比較の起点となる前年10月のデータがないため、今回は総合指数の前年比が公表されない見込みと報じられています。ニュースで「前年比◯%」という見出しが出てこなくても、慌てる必要はありません。

そこで主役になるのが、前月比です。9月分のCPIは、総合が前月比+0.6%、前年比+3.7%でした。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は、前月比+0.3%、前年比+2.6%です。10月分については、11月7日時点で前月比+0.2〜0.3%程度を見込む民間予想が多く、たとえばRBCは総合、コアともに+0.3%を予想しています。

注意|CPIの予想値は直前に必ず確認を

CPIの市場予想(コンセンサス)は、発表の直前まで更新されることがあります。この記事の数値は、11月7日時点で確認できた民間予想の一例です。当日は、証券会社やFX会社の経済指標カレンダーで最新の予想値を確認してから、結果と見比べるようにしましょう。

見るポイントを整理すると、次の3つになります。

  • 総合の前月比が、予想の+0.2〜0.3%を上回るかどうか
  • コアの前月比が、+0.3%から鈍化するかどうか
  • 住居費やサービス価格など、下がりにくい項目がどう動いたか

ドル円160円は見えてくるのか

ドル円は今週、一時158円76銭まで上昇しました。テクニカル面では、200日移動平均線がある158円66銭近辺が、上値の目安として意識されています。外為どっとコムに掲載された来週の予想レンジは156円40銭〜159円20銭で、CPIが上振れして株価が落ち着けば、159円台を試すシナリオが示されています。

見落としがちなのが、日本側の材料です。10日の朝8時50分には、日銀の10月会合の「主な意見」が公表されます。9月会合の議事要旨では、利上げの幅について議論が必要な「新たな局面」にあるとの意見も出ており、日銀の12月利上げへの期待を支えています。夕方18時にはウォラーFRB理事の講演も予定されており、CPIの前から日米双方の金融政策をめぐる発言が相次ぐ1日になります。ドル円を見るときは、米国の数字だけでなく、日銀側の発信もセットで確認するようにしましょう。

一方で、160円に届くには、もう一段の材料が必要になりそうです。株安が続けば、安全資産として米国債が買われ、米金利の上昇が抑えられる可能性があります。また、日銀の12月利上げへの期待や、過去に160円前後で政府と日銀による為替介入が行われた経緯も、円安の歯止めとして意識されやすいポイントです。

生活の目線でも考えてみましょう。円安は、輸入品の値上がりにつながります。1ドル150円のときに100ドルだった海外の商品は1万5,000円ですが、160円になれば1万6,000円です。FXをしていない方にとっても、CPIの結果は、ガソリン代や食料品の値段にじわりと関わってくる話なのです。

CPIは、「利上げ観測」と「円安」の2つを同時に動かす指標です。次の章では、日本の個人投資家にとって最も身近なイベント、ソフトバンクG決算を見ていきます。

参考:日本経済新聞、ロイター、フィスコ、トレーダーズ・ウェブ、外為どっとコム マネ育チャンネル、みんかぶFX、StockTitan(2026年11月6〜7日時点)

第3章:11月10日のソフトバンクG決算|AI投資の評価で見るべき点

ソフトバンクG決算前に株価チャートを確認する画面

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ソフトバンクグループは、個人投資家からの人気が非常に高い銘柄です。そのぶん、株価が大きく動いた週の決算は、SNSでも話題になりやすくなります。ただ、SBGの決算は、一般的な事業会社とは読み方が少し違います。ここでは結果を予想するのではなく、「どこを見ればよいか」に絞って整理していきます。

日経平均を約349円押し下げた11月6日

11月6日、SBG株は前日比10.83%安の3,549円で取引を終えました。取引時間中には一時3,350円まで下げ、3月下旬につけた年初来安値の3,365円を下回っています。株式分割を考慮すると、約1年3カ月ぶりの安値水準です。

SBGは、日経平均への影響度が大きい「値がさ株」のひとつです。この日は1銘柄で日経平均を約349円押し下げ、アドバンテストと合わせると約665円分の押し下げ要因になりました。SBGの株価は、自社の業績だけでなく、日経平均全体の値動きにも直結しやすいという点を覚えておきましょう。

今年に入ってからも、SBG株はOpenAIに関するニュースで何度も大きく動いてきました。9月にはOpenAIのトップが2026年内の上場を見送る考えを示したことで急落し、10月にはOpenAIの売上高が一部の推計を下回るとの報道で売られています。SBGの株価は、いわば「OpenAIへの期待の温度計」のような役割を持っているのです。

決算で確認したい3つのポイント

SBGの決算で大切なのは、純利益の大きさそのものよりも、「保有資産の価値」と「財務の余力」の2つです。具体的には、次の3点をチェックしておくと全体像がつかみやすくなります。

確認ポイントなぜ大事か見る場所の目安
OpenAIの評価と投資損益出資額が非常に大きく、利益を大きく左右するため決算短信の投資損益、説明会資料
NAV(時価純資産)とLTV(借入の比率)保有株の価値と借入のバランスを示すため説明会資料の財務パート
資金調達の方針追加出資や借入の返済計画に関わるため説明会での質疑応答

SBGは有価証券報告書の中で、2026年の追加出資の完了により、OpenAIへの累計出資額が646億ドル、持分比率が約13%になる見込みだと説明しています。これだけ大きな金額を1社に投じているため、OpenAIの評価額の変化が、SBGの損益を大きく動かす構造になっています。

ここで、決算資料によく出てくる2つの言葉をやさしく説明しておきます。NAV(時価純資産)は、SBGが持っている株式などの価値の合計から、借入などの負債を差し引いた金額のことです。会社を「投資の詰め合わせ」と見たときの正味の価値、とイメージするとわかりやすいでしょう。LTV(ローン・トゥ・バリュー)は、保有資産の価値に対して、どれくらいの借入をしているかを示す比率です。家にたとえるなら、家の価値に対する住宅ローン残高の割合のようなものです。株価が下がる局面では、資産の価値が目減りしてLTVが上がりやすくなるため、会社がこの比率をどう管理していくのかが、株主にとって大切な確認ポイントになります。

株主が気をつけたい決算の読み方

SBGの決算では、純利益が大きく増えても株価が下がったり、反対に赤字でも株価が上がったりすることがあります。投資先の評価益や評価損が利益に含まれるため、数字の大小だけでは市場の受け止め方が決まらないからです。

「純利益◯兆円」という見出しだけで判断せず、説明会で後藤CFOが財務の安全性について何を語るかにも注目してみましょう。決算説明会は10日の16時30分から、SBGのウェブサイトやYouTube、Xでライブ配信される予定です。

具体例として、前年の同じ時期の決算を振り返ってみます。2025年11月の決算では、OpenAIの評価額上昇を背景に、上期の純利益が2兆9,240億円と過去最高を記録しました。このときSBGは、OpenAIへの投資資金を確保するためにエヌビディア株を全株売却したことも公表しています。利益の数字と同じくらい、「資金をどうやって工面しているのか」に注目が集まったわけです。

今回も、今週のAI関連株の急落を受けて、保有資産の価値や借入の状況について質問が出る可能性があります。結果の良し悪しを決めつけず、数字と経営陣の説明の両方を見てから判断する姿勢が大切です。株主の方は、決算発表の夜に慌てて売買を決めるのではなく、説明会の内容まで確認してから考えても遅くはありません。

SBG決算は、日本株全体のムードを左右する大きなイベントです。そして、その翌朝に控えているのが、米国のAIインフラ企業CoreWeaveの決算です。次の章で詳しく見ていきましょう。

参考:ソフトバンクグループ株式会社 IR、日本経済新聞、フィスコ、財経日報、マネーフォワード、Forbes JAPAN(2026年11月7日時点)

第4章:11月10日のCoreWeave決算|AIデータセンター懸念の試金石

CoreWeave決算で注目されるAIデータセンターのサーバー群

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CoreWeave(コアウィーブ)という名前は、日本ではまだそれほどなじみがないかもしれません。ですが、今週のAI関連株の急落を語るうえで、この会社の決算は避けて通れません。AIデータセンターへの投資が本当に回っているのかを、外から確かめられる数少ない材料のひとつだからです。

CoreWeaveはどんな会社か

CoreWeaveは、AIの開発や運用に必要な計算能力を、GPUを使ったクラウドとしてAI企業や大手IT企業に貸し出している米国企業です。自社でデータセンターの電力や設備を確保し、大量のGPUを並べて、その利用料で稼ぐビジネスモデルです。

需要は非常に強く、受注残高は約1,040億ドルに達し、第3四半期の初めにも250億ドルを超える新規契約を積み増したと伝えられています。一方で、設備投資のための借入も大きく、「成長の速さ」と「借金の重さ」が同時に注目される会社です。

株価の動きも激しく、前回の決算発表以降、株価は約54%下落したと報じられています。期待と不安が真正面からぶつかり合っている状態といえるでしょう。それだけに、今回の決算をきっかけに株価が上下どちらにも大きく動く可能性がある点は、頭に入れておきたいところです。

市場予想とガイダンスのポイント

今回の決算では、売上高の伸びよりも、利益率と資金繰りに注目が集まりそうです。主な数字を表で確認しておきましょう。

項目会社の見通し・市場予想注目される理由
第3四半期の売上高市場予想は約35.4億ドル(会社見通しは34.5〜36.0億ドル)需要の強さを確認できる
第3四半期の支払利息8.6〜9.4億ドル(前四半期は6.4億ドル)借入の負担がどこまで増えるか
2026年の設備投資350〜390億ドル(引き上げ済み)投資の規模と回収の見通し

経営陣は、調整後の営業利益率を第4四半期までに10%台前半へ引き上げる目標を示しています。今回の第3四半期は、その途中経過を確かめる「橋渡し」の決算と位置づけられています。売上高が予想どおりでも、利益率の改善が見えなければ、市場の受け止めは厳しくなるかもしれません。

明るい材料もあります。CoreWeaveは第3四半期に、3〜6カ月程度の短期契約を、1メガワットあたり年換算で約4,000万ドルという価格で結んでいると発表しました。契約済みの電力容量も、8月時点で約4.2ギガワットまで拡大しています。7月には約25%の値上げを実施したとも伝えられており、新しい契約ほど採算が良くなっている可能性があります。会社は2026年末時点の年換算売上高を185億〜195億ドルとする目標も掲げています。

ただし、半導体メモリなど部品の値上がりが、こうした値上げの効果を打ち消してしまうリスクも指摘されています。値上げで売上が伸びても、仕入れコストや利息が同じくらい膨らめば、手元に残る利益は増えません。説明会では、価格、コスト、利息の3つのバランスについて、経営陣がどこまで具体的に語るかが注目されます。

中間選挙とデータセンター規制の影

中間選挙の結果が判明した直後、CoreWeaveを含むデータセンター関連株は大きく売られました。9月の世論調査では、AI向けデータセンターの建設に反対する有権者が61%にのぼったとの報道もあり、電力や水の使用をめぐる地域の反発は、投資家にとって無視できないテーマになっています。

ポイント|規制で建設が止まるとは限らない

民主党が議会の主導権を握ることで、AIデータセンターをめぐる公聴会や調査が増える可能性が指摘されています。ただし、法律によって建設そのものが大きく止まるとはみていないアナリストも多く、「AIの建設はなくならないが、コストは高くなる」という見方が出ています。

身近な例で考えてみましょう。家を建てる計画が順調でも、住宅ローンの金利が上がり、さらに電気代や水道代の負担も増えれば、家計の計画を見直す必要が出てきます。CoreWeaveが置かれているのも、これに近い状況です。需要という「家を建てる理由」は強くても、借入の利息や規制によるコスト増が重なれば、利益は圧迫されてしまいます。

だからこそ今回の決算では、売上高が予想を上回るかどうかだけでなく、利益率の改善と借入コストの見通しがセットで示されるかが焦点になります。説明会で電力の確保や規制への対応について何が語られるかも、AI関連株全体の空気を変える可能性があります。

CoreWeaveの決算は、日本時間11日の朝に出てきます。SBG決算と米CPIの結果と合わせて、11日の東京市場はどう反応するのか。最後の章では、組み合わせごとのシナリオを整理していきます。

参考:CoreWeave IR、Earnings Whispers、ロイター、外為どっとコム マネ育チャンネル(2026年11月7日時点)

第5章:11月10日のシナリオ整理|条件別に値動きを考える

11月10日のシナリオを考えるための株価チャート

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ここまで見てきた3つのイベントは、それぞれ結果が「安心材料」にも「不安材料」にもなりえます。ただ、未来の結果を言い当てることは誰にもできません。大切なのは、「もしこうなったら、こう動きやすい」という条件つきの見取り図を、事前に頭に入れておくことです。

米CPIの結果別に見る2つのパターン

まず軸になるのは、米CPIです。大きく分けると、次の2つのパターンが考えられます。

CPIの結果起こりやすい反応気をつけたい点
予想を上回る12月利上げ観測が強まり、ドル高・円安、米金利上昇。ハイテク株には逆風株安が強まると米国債が買われ、ドル円の上昇が続かないこともある
予想並み、または下回る利上げ観測がやや後退し、米金利は低下。ハイテク株には追い風になりやすい円高方向に振れると、輸出関連株の重しになる可能性がある

外為どっとコムの分析でも、CPIが強くても、株安による安全資産買いが重なればドル円の上昇は限られる可能性があると指摘されています。「CPIが強い=必ず円安」とは限らない点は、ぜひ覚えておきたいポイントです。

もうひとつ見ておきたいのが、総合とコアのズレです。9月は、総合が前月比+0.6%と大きく伸びた一方で、コアは+0.3%にとどまりました。エネルギー価格の上昇が総合を押し上げた形です。仮に10月も「総合は強いがコアは落ち着いている」という結果になれば、市場の反応は限定的になる可能性があります。反対に、コアが予想を上回れば、物価の上昇が幅広い品目に広がっていると受け止められやすく、利上げ観測への影響は大きくなりそうです。

2つの決算の組み合わせで考える

次に、SBGとCoreWeaveの決算をセットで考えてみます。どちらもAI投資への評価に関わるため、組み合わせによって相場の空気は変わりやすくなります。

  • 2社とも投資家の不安を和らげる内容|AI関連株が自律反発するきっかけになりやすい
  • どちらか一方が不安を残す内容|銘柄ごとに明暗が分かれ、相場全体は方向感が出にくい
  • 2社とも不安を強める内容|AI投資への懸念が再燃し、日経平均の下押し圧力が続く可能性

さらに、ここへCPIの結果が掛け合わされます。たとえば「決算は安心材料だったが、CPIは強かった」という場合は、AI関連株の反発と金利上昇がぶつかり合い、値動きが荒くなることも考えられます。ザイ・オンラインに掲載された来週の日経平均の予想レンジが5万4,000円〜6万円と広めに設定されているのも、こうした不確実性の大きさを映していると読めます。

時間の流れで整理すると、11日の朝は次のような順番で情報を確認するとスムーズです。まず、前夜のCPIの結果と、それを受けた米国株と米金利の動き。次に、早朝に出るCoreWeaveの決算と、時間外取引での株価の反応。そして最後に、前日夕方に出たSBG決算の内容です。この3つがそろった状態で9時の寄り付きを迎えるため、朝の段階で「材料は全体として安心寄りか、不安寄りか」をざっくり判断しておくと、慌てずに済みます。

当日までにやっておきたい備え

シナリオを知ったら、実際の行動に落とし込んでみましょう。準備といっても、難しいことは必要ありません。

11月10日までのチェックリスト

  • 自分の保有銘柄や通貨ペアが、どのイベントの影響を受けやすいかを書き出す
  • FXや信用取引をしている方は、証拠金に余裕があるかを確認する
  • 逆指値注文など、想定外の値動きに備えた注文を検討する
  • 「結果を見てから動く」と決めておき、発表直後の飛び乗りは控える

たとえば、ドル円の買いポジションを持っている方なら、CPI発表直後の22時30分前後は、短時間で大きく値が動くこともあります。証拠金に余裕がないと、望まないタイミングで強制的に決済されてしまうおそれがあります。株式投資をしている方も、翌朝の寄り付きで慌てて売買するのではなく、前日のうちに「この水準なら買い増す」「この水準まで下がったら一部を売る」と決めておくと、気持ちがぐっと楽になります。

大きなイベントの日ほど、事前に決めたルールが自分を守ってくれます。値動きを当てにいくよりも、どの結果になっても対応できる準備を整えるほうが、長く投資を続けるうえではずっと大切です。

新NISAなどで長期の積立投資をしている方は、そもそも11月10日の結果に合わせて売買を変える必要はありません。積立は、値動きの大きい日も小さい日も、淡々と買い続けることで平均の購入単価をならしていく仕組みです。むしろ、価格が下がった局面では同じ金額でより多くの口数を買えます。イベントの日に大切なのは、「何もしない」という選択も立派な判断だと知っておくことです。

次はいよいよまとめです。3つのイベントのポイントを振り返りながら、11月10日をどんな気持ちで迎えればよいのかを一緒に考えていきましょう。

参考:外為どっとコム マネ育チャンネル、ザイ・オンライン(2026年11月7日時点)

まとめ:11月10日の運命の火曜日を落ち着いて迎えるために

11月10日のイベント結果を落ち着いて確認するノートパソコンの画面

画像出典:Unsplash

11月10日は、米CPI、ソフトバンクG決算、CoreWeave決算という3つのイベントが重なる特別な1日です。CPIは12月の利上げ観測とドル円を、SBG決算は日本のAI関連株と日経平均を、CoreWeave決算はAIデータセンター投資の行方を占う材料になります。そして、その結果がまとめて表れるのは、11日の東京市場です。

今週の急落を見て、不安になった方も多いと思います。ですが、相場が大きく動くときほど、事前に準備した人が落ち着いて判断できます。まずは、自分の資産がどのイベントに関係するのかを書き出すところから始めてみましょう。それだけでも、当日の見え方はぐっと変わります。

もちろん、結果がどちらに転ぶかは誰にもわかりません。思わぬ値動きに驚く場面もあるでしょう。それでも、余裕資金の範囲で投資をし、ルールを決めて行動していれば、たった1日の値動きであなたの投資の未来が決まってしまうことはありません。大切なのは、1日を当てることではなく、どんな日も乗り越えて投資を続けることです。

あなたは11月10日、どのイベントにいちばん注目しますか。結果が出たら、ぜひこの記事のシナリオと照らし合わせて、次の一手を考えてみてください。

※本記事は2026年11月7日時点の情報をもとにした情報提供を目的としており、特定の銘柄や取引を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

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