S&P500が1日で4.4%急落|新NISAで今日確認したい3つのこと

朝起きてスマホを開いたら、S&P500が1日で4.4%も下がっていた。新NISAでS&P500やオルカンを積み立てている方なら、思わず手が止まったのではないでしょうか。「今すぐ売ったほうがいいの?」「このまま積み立てを続けて大丈夫?」そんな不安を感じるのは、とても自然なことです。

11月5日(米国時間)のニューヨーク市場では、AI関連株と半導体株に売りが集中し、S&P500の下げ幅は2025年4月の「解放の日」関税ショック以来の大きさになりました。半導体株指数(SOX)は1日で12%超も下落し、シカゴの日経平均先物も5万8千円台まで売られています。

この記事では、新NISAで積み立てをしている会社員や投資初心者の方に向けて、S&P500急落で何が起きたのか、なぜ下がったのか、今夜発表される基準価額はどのくらい動きそうか、そして過去の急落のあと株価がどう戻ったのかを、数字をもとにやさしく整理します。

先にお伝えしておきたいのは、この記事は「売れ」「買え」をすすめるものではないということです。慌てて行動する前に、事実を確かめて、自分の積み立てのルールを落ち着いて見直す。そのための材料として、最後まで読んでいただけたらうれしいです。

この記事でわかること

  • 今回の急落が「どのくらい珍しい下げ」なのかを数字でつかめる
  • ニュースの見出しと、実際に確認できる事実を切り分けて読めるようになる
  • 自分の投資信託の評価額が、今夜どのくらい動きそうか見当がつく
  • 急落の日に感情で動かないための、自分用の判断基準が持てる

目次

第1章:S&P500急落で何が起きたか|3指数とSOX・VIXの数字

暗い画面に表示された株価のローソク足チャート
画像出典:Unsplash

ニュースで「NY株が大幅安」と聞いても、どのくらい大きな下げなのかは、数字を並べてみないと実感しにくいものです。この章では、まず11月5日(米国時間)に何が起きたのかを、指数ごとの終値と騰落率で確かめていきます。

結論から言うと、今回は「よくある下げ」ではなく、ここ1年半ほどで一番大きな下げでした。ただし、年初からの成績で見るとS&P500はまだプラス圏にあります。この2つの事実を、両方とも手元に置いておくことが大切です。

主要3指数とSOX・VIXの終値を一覧で確認

11月5日のニューヨーク市場では、AIのデータセンター建設に関わる銘柄を中心に、幅広い売りが出ました。AP通信の集計では、S&P500は334.89ポイント安の7,353.73で取引を終え、下落率は4.4%でした。これは、2025年4月にトランプ大統領が大規模な関税を打ち出した、いわゆる「解放の日」のショック以来の下げ幅です。

ハイテク株の比率が高いナスダック総合指数は5.52%安の24,315.00、ダウ工業株30種平均は1,833ドル安の51,523.06でした。ナスダックは先月つけた最高値から10%以上下がり、一般に「調整局面」と呼ばれる水準に入っています。

とくに目立ったのが半導体株です。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は12.25%安の9,011.14まで下がりました。NBCニュースによると、これは新型コロナで世界経済が止まりかけた2020年3月以来の大きな下げです。

指標 11月5日の終値など 前日比
S&P5007,353.73-4.36%
ナスダック総合24,315.00-5.52%
ダウ平均51,523.06-3.44%(-1,833ドル)
SOX(半導体株指数)9,011.14-12.25%
VIX(恐怖指数)27台約60%上昇
日経平均先物(大阪夜間)57,840円(6日4時31分)-3,080円(-5.05%)

出典:AP通信(KRMG)、Yahoo Finance、Investrade、日本経済新聞の各データより作成。VIXは概数です。

表の中でぜひ覚えておきたいのが、VIXの動きです。VIXは「市場がこれからどれだけ荒れると予想しているか」を示す数字で、恐怖指数とも呼ばれます。Investradeによると、VIXは1日で約60%上がって27を超えました。VIXが20を超えると不安が強まっている目安とされるので、市場全体が身構えている状態だとわかります。

前日の大幅高を1日で打ち消した値動き

今回の急落が多くの人を驚かせたのは、前日との落差が大きかったからでもあります。11月4日(水)は、中間選挙で民主党がはっきり勝ったことや原油安を受けて、ダウ平均が1,500ドル以上も上がりました。CNBCによると、2025年4月以来の大きな上げでした。

ところが翌日には、その上げ幅をあっさり上回る下げが来ました。S&P500の11セクターはすべて下落し、500社のうちおよそ424社が値下がりしたと報じられています。一部の銘柄だけでなく、市場全体が売られた1日だったということです。

日本の朝にも、その影響ははっきり出ています。日本経済新聞のデータでは、大阪取引所の日経平均先物は6日午前4時31分時点で57,840円と、前日比で3,080円安(-5.05%)でした。みんかぶの速報でも、シカゴの日経平均先物は5万8,125円と伝えられています。今日の東京市場は、大きく下げて始まる可能性が高いと見ておくのが自然です。

💬 会社員Aさんの朝(よくある声の例)

「昨日の夜は『選挙で株が上がった』ってニュースを見て安心して寝たのに、朝起きたら真逆。上がった次の日にこんなに下がるなんて、正直こわいです。」

Aさんのように感じた方は多いはずです。でも、上がった翌日に大きく下がるのは、市場が新しい材料をどう受け止めるか迷っているときによく見られる動きでもあります。1日の値動きだけで「これから先」を決めつけないことが、まず最初の一歩です。

年初来ではまだプラスという事実

ここで少し視野を広げてみましょう。AP通信の集計では、これだけ大きく下がったあとでも、S&P500は2026年の年初から7.4%高い水準にあります。ダウ平均は7.2%高、ナスダックは4.6%高です。

たとえば、1月に新NISAの成長投資枠でS&P500連動の投資信託を100万円分買った人がいたとします。為替の動きを考えなければ、昨日の急落を入れても、年初来ではまだ利益が出ている計算になります。もちろん、夏の高値のころに買った人や、ここ1〜2カ月で始めた人は、評価額がマイナスになっているかもしれません。

大切なのは、「1日の下げ幅」と「自分の損益」は別のものだという点です。ニュースは「1日で何%下がった」を伝えますが、自分にとって意味があるのは、いつ、いくらで買ったか、そして何年続けるつもりかです。

次の章では、なぜこれほど売られたのか、その背景を見ていきます。理由を知ることで、ニュースの見出しに振り回されずにすむようになります。

第2章:S&P500急落はなぜ起きたか|選挙・AI規制・利益確定

黒い基板と半導体チップの接写
画像出典:Unsplash

株価が大きく動くと、「何が原因なの?」と答えを一つに決めたくなります。けれど実際には、いくつかの理由が重なって起きることがほとんどです。今回のS&P500急落も、選挙の結果、AI規制への心配、そして利益確定の売りという3つが同時に効いたと見られています。

この章のポイントは、「企業の業績が急に悪くなったから」ではないという点です。この違いを知っておくと、ニュースの受け止め方がずいぶん変わります。

民主党の上下両院奪還とAI規制への警戒

11月3日の米中間選挙では、民主党が上院と下院の両方で多数派を取りました。最初の反応は株高でしたが、翌日になって市場の見方が変わります。AP通信は、民主党の勝利を受けて、データセンター建設の一時停止(モラトリアム)が議論されるのではないかという心配が強まったと伝えています。

AIの開発には巨大なデータセンターが必要で、そこには大量の半導体や電力が使われます。もし州や議会がデータセンターの建設に慎重になれば、半導体メーカーやサーバーを作る会社の売上の伸びが鈍るかもしれない。そう考えた投資家が、AI関連株をまとめて売ったわけです。

FXStreetによると、有名アナリストのダン・アイブス氏は、大手IT企業の設備投資は来年も1兆ドルを超えるものの、民主党の州知事や州議会が地域ごとに規制を強めようとすることで、2028年には伸びが落ち着く可能性があると指摘しました。つまり「AI投資がなくなる」という話ではなく、「伸びるスピードが想定より遅くなるかもしれない」という話です。

年末を前にした利益確定売りの連鎖

2つ目の理由は、今年大きく上がった銘柄からの利益確定です。Yahoo Financeは、AI関連の人気株が1カ月以上前から売られ続けていたことを伝え、その主な理由は業績の悪化ではなく、ヘッジファンドが年末を前に今年の利益を確保しようと急いでいることだと報じました。

利益確定の売りは、身近な例で考えるとわかりやすくなります。たとえば、年初に100万円で買った株が150万円になっていたとします。年末までにこの利益を守りたいと考えた人は、多少の材料でも「今のうちに売っておこう」と動きやすくなります。こうした人が大勢いると、ちょっとしたきっかけで売りが売りを呼び、下げが大きくなります。今回、選挙の結果はまさにその「きっかけ」になったと考えられます。

野村證券のストラテジスト、チャーリー・マケリゴット氏は、この状況を「将軍たちが撃たれている」と表現しています。今年の相場を引っ張ってきた主役の銘柄ほど、売りの標的になっているという意味です。

銘柄 事業の特徴 直近1カ月の下落率
ラムリサーチ半導体製造装置-36%
アプライド・マテリアルズ半導体製造装置-30%
AMDAI向け半導体-22%
エヌビディアAI向け半導体-15%

出典:Yahoo Finance(2026年11月5日付)の報道より作成。

表を見ると、半導体を作る機械のメーカーほど下げがきついことがわかります。データセンター建設が遅れたときに、真っ先に影響を受けそうな会社から売られている、と読むことができます。

なお、11月5日1日だけのエヌビディアの下落率は、報道の時点によって6%台から9%台まで数字がばらついていて、終値ベースの確かな数字を確認できませんでした。そのため、この記事では1日の下落率は載せず、1カ月の下落率だけを紹介しています。

AIバブル崩壊と言い切れない理由

SNSでは「AIバブル崩壊」という言葉が飛び交っています。たしかに下げは大きいのですが、現時点でそう言い切るのは早いと考えられます。理由は、AI関連企業の業績そのものは、今のところ崩れていないからです。

たとえばAMDは、直前の決算で過去最大で最も利益の出た四半期だったと発表しています。リサ・スーCEOはYahoo Financeの取材に対し、AI向け半導体の需要が近いうちに鈍るとは見ていないと話し、市場は時に「少し近視眼的」になると語りました。もちろん経営者の発言なので割り引いて聞く必要はありますが、少なくとも「業績が悪くなったから売られた」という状況ではないことがわかります。

📌 見出しに振り回されないためのコツ

「崩壊」「暴落の始まり」といった強い言葉は、注目を集めるために使われやすいものです。ニュースを読むときは、①実際に何%動いたのか、②理由は業績なのか、政治や需給なのか、③その数字はいつ時点のものか、の3つを確かめるだけで、ずいぶん落ち着いて判断できるようになります。

今後の大きな手がかりとして、エヌビディアの決算が11月17日に予定されていると報じられています。AI需要が本当に続いているのかは、こうした決算の数字で確かめられていきます。理由がはっきりしない段階で、結論だけを先に決めないことが大切です。

では、この急落は、新NISAで持っている投資信託にどう響くのでしょうか。次の章で、基準価額の見込みを具体的に計算してみます。

第3章:S&P500急落で新NISAの投資信託はどう動くか

テーブルの上に置かれた日本の硬貨
画像出典:Unsplash

新NISAで投資信託を持っている方にとって、一番気になるのは「自分の評価額はいくら減るの?」ということだと思います。ニュースの「4.4%下落」という数字が、そのまま自分の投資信託に当てはまるのかどうか、ここで整理しておきましょう。

先にお伝えすると、S&P500連動の投資信託は、今夜発表される基準価額で大きく下がる見込みです。ただし、その下げ幅は米国株の動きと為替の動きの組み合わせで決まるので、ニュースの数字とぴったり同じにはなりません。

基準価額はいつ・どう決まるのか

投資信託の値段は「基準価額」と呼ばれ、1日に1回だけ決まります。米国株に投資する投資信託の場合、基準価額には前の日の米国市場の終値と、当日の朝に決まる為替レートが使われます。Business Insider Japanによると、日本で売られているS&P500やオルカンのファンドの基準価額は、毎日おおむね21時半ごろに更新されます。

つまり、11月5日の米国市場の急落が反映されるのは、今日(11月6日)の夜に発表される基準価額です。今朝の時点では、まだ数字は出ていません。証券会社のアプリを開いて「まだ下がっていない」と感じても、それは反映される前だからです。

新NISAで一番人気の「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」を例に見てみましょう。楽天証券の情報では、基準価額は11月2日が44,077円、11月4日が44,234円でした。設定来の高値は2026年8月14日の45,727円です。また、9月末時点の組み入れ上位はエヌビディア8.3%、アップル7.2%、マイクロソフト5.7%で、ブロードコムやマイクロンといった半導体株も上位に入っています。半導体株の急落は、このファンドにも直接響く構造です。

今夜の基準価額の見込みを試算する

では、今夜の基準価額はどのくらいになりそうでしょうか。ここでは、11月4日の基準価額44,234円を出発点にして、ざっくりと試算してみます。11月5日の基準価額には米国4日の上昇(S&P500は+1.58%)が、今夜の基準価額には米国5日の下落(-4.36%)が反映されると考えます。

基準日 反映される米国市場の動き 基準価額(11/5以降は試算)
11月4日(確定)米国3日の終値44,234円
11月5日(見込み)S&P500 +1.58%約44,900円
11月6日(見込み)S&P500 -4.36%約43,000円前後

※為替レートが横ばいだった場合の単純計算です。実際の基準価額は為替、配当、信託報酬などで変わります。確定値は今夜の発表を必ずご確認ください。

この試算では、今夜の基準価額は前日から2,000円近く下がって、43,000円前後になる見込みです。率にすると4%台の下落です。もし評価額が100万円分あれば、1日で4万円以上減る計算になります。数字にすると重く感じますが、事前に見当をつけておけば、夜に通知を見たときの驚きはずいぶん小さくなるはずです。

自分の金額に当てはめてみると、さらに実感しやすくなります。評価額が30万円なら約1万3千円、300万円なら約13万円の減少が目安です。新NISAを始めたばかりで、まだ積み立てた額が少ない方は、下がる金額も小さくてすみます。逆に、成長投資枠でまとめて買った方ほど、1日の金額の動きは大きく見えます。金額の大きさに驚いたときは、「何%動いたのか」に置き換えて考えると、冷静さを取り戻しやすくなります。

オルカンと為替の影響の考え方

オルカン(全世界株式)を持っている方はどうでしょうか。オルカンは世界中の株式に分散していますが、組み入れのおよそ3分の2が米国株です。そのため、米国株が大きく下がると、オルカンも強く影響を受けます。S&P500ほどの下げ幅にはならない可能性がありますが、今日はアジアの株式市場も下がりそうなので、「オルカンなら安心」とまでは言えません。

もう一つの要素が為替です。米国株が急落すると、リスクを避ける動きから円が買われ(円高になり)、円建ての基準価額がさらに下がることがあります。ただ、今回は少し様子が違います。みんかぶの為替ニュースでは、ニューヨーク市場でドルは円に対して底堅く推移し、ドル円は160円手前での安定した動きが続いているとの見方も紹介されています。

つまり、今のところは「株安と円高のダブルパンチ」にはなっていません。ただし、為替は今日の東京市場の朝に決まるレートが使われるため、日本時間の午前中に円高が進めば、そのぶん下げ幅は広がります。試算はあくまで目安で、確定値は今夜の発表で確かめるようにしてください。

💬 よくある疑問

「積立日が今日なんですが、損ですか?」|積立の買付価格は、注文を受けた日の基準価額ではなく、その翌営業日以降の基準価額で決まることが多いです。どの日の価格で買えるかは証券会社や商品によって違うので、自分の取引ルールを一度確認しておくと安心です。

ここまでで、今夜どのくらい動きそうかの見当はつきました。次の章では、過去の大きな急落のあと、株価がどう戻ったのかを振り返ります。

第4章:S&P500急落の歴史|2020年3月と2025年4月のその後

株価チャートが載った経済新聞
画像出典:Unsplash

大きく下がった日には、「このままずっと下がり続けたらどうしよう」と不安になります。そんなときに役立つのが、過去の急落のあと、市場がどう動いたのかを知ることです。この章では、今回とよく比べられる2020年3月と2025年4月の2つの急落を振り返ります。

先に結論をお伝えすると、どちらのケースも、S&P500は数カ月で高値を取り戻しました。ただし、それが今回にもそのまま当てはまるとは限りません。過去は「安心材料」であると同時に、「思い込みの材料」にもなりうることを覚えておきましょう。

2020年3月コロナショックの下げと回復

2020年2月から3月にかけて、新型コロナの感染拡大で世界中の経済活動が止まりました。S&P500は2月19日の高値から3月23日の安値まで、わずか1カ月ほどで約34%下がっています。半導体株指数(SOX)は3月16日に1日で15.9%下落し、VIXは終値で過去最高の82.69をつけました。

個人投資家の動きも、今回とよく似ていました。Vanda Researchによると、2020年3月17日には個人投資家が個別株を5億200万ドル売り越しています。今回11月5日の売り越しは、集計の時点によって約3億3,800万ドルから3億5,800万ドルと報じられていて、どちらにしても2020年3月以来の大きさです。Vandaは、普段なら下がったところで買う個人投資家の「押し目買い」が、今回は個別株でほとんど消えたと指摘しています。

しかし、その後の回復は多くの人の予想より早いものでした。S&P500は2020年8月には2月の高値を取り戻し、最高値を更新しています。3月の一番こわい時期に売ってしまった人は、その後の回復を取り逃がしてしまいました。

日本株にも、似た経験があります。2024年8月5日、日経平均株価は1日で12.4%下がり、ブラックマンデーを超える過去最大の下げ幅を記録しました。ところが翌日には10%を超えて上がり、数日のうちに下げの多くを取り戻しています。急落の直後は値動きが荒くなりやすく、下げた日の翌日に大きく戻ることも珍しくありません。急落した日の値段だけを見て判断すると、こうした戻りを見落としてしまいます。

2025年4月関税ショックの下げと回復

もう一つの例が、今回の下げ幅の比較対象にもなっている2025年4月です。4月2日にトランプ大統領が大規模な関税を発表すると、市場は大混乱になりました。S&P500は4月8日にかけて、高値から20%近く下がり、弱気相場の入り口ぎりぎりまで売られています。

ところが、その後の戻りは記録的な速さでした。S&P500は2025年6月27日に6,173で最高値を更新し、4月の安値からは20%以上の上昇となりました。ダウ・ジョーンズ・マーケット・データによると、15%以上下がったあとに最高値を取り戻すまでの期間としては、過去で一番早い回復でした。

急落 S&P500の下げ 高値を取り戻した時期
2020年3月 コロナショック高値から約34%下落2020年8月(約半年後)
2025年4月 関税ショック高値から20%近く下落2025年6月(約3カ月後)
2026年11月 今回1日で4.36%下落まだわからない

出典:Dow Jones Market Data、ABCニュースなどの報道より作成。

表で比べると、今回の下げは、まだ2つの過去の急落ほどの深さにはなっていません。1日の下げとしては大きいものの、高値からの下落率で見れば、S&P500はまだ「調整」と呼ばれる10%にも届いていない段階です。

過去の回復を今回に当てはめるときの注意点

ここまで読むと、「じゃあ今回もすぐ戻るんだ」と思いたくなります。でも、ここで一度立ち止まることが大切です。過去にすぐ戻ったことは、今回もすぐ戻る保証にはなりません。

たとえば2000年のITバブル崩壊では、ナスダック総合指数が2000年3月の高値を取り戻すまでに、およそ15年かかりました。当時のハイテク株は、利益に比べて株価があまりにも高くなっていたためです。一方で、今回のAI関連企業は実際に大きな利益を出している会社が多く、2000年とは状況が違うという見方もあります。どちらの見方が正しいかは、これからの決算や経済の動きで少しずつ見えてくるものです。

📌 過去データの正しい使い方

過去の急落データは「すぐ戻るから大丈夫」と安心するためではなく、「下がった時期にも積立を続けた人がどうなったか」を知るために使うのがおすすめです。下げが長引くケースも頭に入れたうえで、それでも続けられる金額で積み立てているかを確かめましょう。

2020年も2025年も、急落の最中に「もう終わりだ」という声はたくさんありました。そして、その声が大きいときに売った人ほど、回復を取り逃がしています。一番こわい日に、一番大きな決断をしない。これが過去の急落から学べる一番の教訓です。

では、具体的に今日、積立投資をしている人は何を確認すればいいのでしょうか。最後の章で整理します。

第5章:S&P500急落の日に新NISA積立で確認したいこと

ノートパソコンの画面に表示された株価チャート
画像出典:Unsplash

ここまでで、何が起きたのか、なぜ起きたのか、自分の投資信託がどのくらい動きそうか、そして過去にどうなったのかを見てきました。最後に、新NISAで積み立てをしている方が、今日何を確認すればいいのかを整理します。

この章でお伝えしたいのは、売るか買うかの答えではありません。急落の日は、自分の投資ルールを確かめる日だということです。ルールがはっきりしていれば、迷いはぐっと減ります。

まず確認したい3つのチェックポイント

アプリを開いて評価額を見る前に、次の3つを確かめてみてください。どれも数分でできることです。

  • このお金を使う予定は何年後か(教育費、住宅資金、老後資金など)
  • 生活費の数カ月分は、投資とは別に預金で確保できているか
  • 評価額が今から2割下がっても、積み立てを続けられる金額か

1つ目の「使う時期」は特に大切です。10年後、20年後に使うお金なら、今日の値下がりよりも、これから先の長い期間のほうがずっと大きな意味を持ちます。逆に、1〜2年以内に使う予定のお金を株式の投資信託に入れているなら、そもそも配分を見直すきっかけにしてもよいかもしれません。

たとえば、30代の会社員が老後資金のために毎月5万円を積み立てているとします。使うのは早くても25年以上先です。この場合、今日の数%の値下がりは、長い積み立て期間のほんの一場面にすぎません。一方、3年後に子どもの入学金として使う予定のお金を同じ投資信託に入れているなら、話は変わります。同じ急落でも、お金の使い道によって受け止め方は大きく違ってくるのです。

2つ目の生活防衛資金があれば、急な出費があっても、値下がりした投資信託を売らずにすみます。3つ目は、自分がどれくらいの値下がりなら耐えられるかという「心の体力」の確認です。

急落の日にやってはいけない行動

急落の日には、ふだんならしないような行動をとりがちです。次の表は、よくある行動と、それが問題になりやすい理由をまとめたものです。

やりがちな行動 問題になりやすい理由 代わりにできること
慌てて全部売る底値付近で売り、回復を取り逃がしやすい一晩おいて、使う時期を確認する
積立設定を止める安い価格で買える機会を自分で手放す家計に問題がなければ設定はそのまま
生活資金で一気に買い増すさらに下がったときに生活が苦しくなる余裕資金の範囲で、分けて考える
レバレッジ型商品に手を出す値動きが何倍にもなり、損失も大きい仕組みを理解するまで触らない

Vanda Researchによると、11月5日は個別株が大きく売られる一方で、一部の投資家は指数の3倍の値動きをめざすレバレッジ型ETFを買っていたそうです。急落を「チャンス」と感じる気持ちはわかりますが、値動きの大きな商品は、予想が外れたときのダメージも大きくなります。新NISAの本来の目的である、長くこつこつ育てるという考え方からは離れてしまいます。

また、新NISAでは、売却した分の非課税枠は翌年にならないと復活しません。今日売ってしまうと、その枠を今年はもう使えなくなる点も、頭に入れておきたいポイントです。

積立を続ける人が今日からできること

積立投資には、価格が下がったときほど多くの量を買えるという特徴があります。これを「ドルコスト平均法」と呼びます。具体的な数字で見てみましょう。

毎月3万円を積み立てている人が、基準価額44,000円のときに買うと、1万口あたりの価格で計算して約0.68万口が買えます。ところが基準価額が43,000円に下がると、同じ3万円で約0.70万口が買えます。値下がりした月は、同じ金額でより多くの口数を買えるということです。そして将来値段が戻ったとき、多めに買えた口数がきいてきます。

💬 積立5年目のBさんの声(よくある体験の例)

「2025年4月の関税ショックのときは、毎晩アプリを見ては落ち込んでいました。でも積立を止めなかったら、その年の夏には評価額が元に戻っていて。あのときに決めたのは、急落の日はアプリを開く回数を減らすことです。」

Bさんのように、急落の日には「見すぎない工夫」も役に立ちます。今日からできることとして、次のようなことを試してみてください。

  • 今夜の基準価額を1回だけ確認したら、アプリの通知をしばらく減らす
  • 「どんなときに売るか」を、落ち着いている今のうちにメモに書いておく
  • 家計と投資額のバランスを、月に1回だけ見直す習慣をつくる

どれも小さなことですが、こうした習慣があると、次に急落が来たときにも同じように落ち着いて対応できます。急落は一度きりではなく、長く投資を続けていれば何度も出会うものです。今日の経験を、次のための準備に変えていきましょう。

なお、この記事は特定の商品の売買をすすめるものではなく、判断は最終的にご自身で行っていただく必要があります。不安が強いときは、証券会社の窓口やお金の専門家に相談するのも一つの方法です。続けるかどうかは、今日の値動きではなく、自分の目的で決める。それが、急落の日にいちばん大切にしたい考え方です。

まとめ:S&P500急落の日こそ、新NISAの「続ける力」が試される

株価チャートの前でスマートフォンを持つ手
画像出典:Unsplash

11月5日のS&P500は4.4%安と、2025年4月以来の大きな下げになりました。背景には、中間選挙の結果を受けたAI規制への心配と、年末を前にした利益確定の売りがあります。一方で、S&P500は年初来ではまだプラスで、AI関連企業の業績が崩れたわけでもありません。今夜の基準価額は大きく下がる見込みですが、それは「1日の値動き」であって、あなたの投資の結果が決まったわけではありません。

2020年3月も2025年4月も、一番こわい日に積み立てを続けた人が、その後の回復をしっかり受け取りました。今日できることは、売るか買うかを急いで決めることではなく、自分がなぜ投資を始めたのかを思い出すことです。

もちろん、下げが長引く可能性もあります。だからこそ、生活資金を守り、続けられる金額で積み立てていれば大丈夫です。不安になるのは、あなたが真剣にお金と向き合っている証拠でもあります。

10年後のあなたは、今日の急落をどんなふうに振り返っていたいですか? まずは今夜の基準価額を一度だけ確かめて、あとはいつもどおりの毎日を過ごしてみませんか。

参考資料:
AP通信(KRMG)How major US stock indexes fared Thursday 11/5/2026
Yahoo Finance:Dow plunges 1,800 points, Nasdaq enters correction
Yahoo Finance:’They’re shooting the generals’
CNBC:Retail traders dump the most stocks in a single day since Covid sell-off
NBC News:Stocks plunge as election outcome and AI worries crush tech shares
FXStreet:Semiconductor index sees worst sell-off since Covid
Investrade:Market Review November 05, 2026
日本経済新聞:日経平均先物
楽天証券:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
Business Insider Japan:S&P500・オルカン 最新情報
Dow Jones:S&P 500 Scores Record High for First Time in 4 Months(2025年6月)

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