2026年11月3日、アメリカで中間選挙が行われます。ニュースで「米国中間選挙」という言葉を聞いても、「それが米国株とどう関係するの?」「選挙の前に株を買ったほうがいいの?」と感じている方は多いのではないでしょうか。投資を始めたばかりだと、政治のニュースは難しく感じますし、間違った判断をしてしまわないか不安にもなりますよね。まわりの人が「今が買い時だ」「いや、様子を見たほうがいい」と話しているのを聞いて、ますます迷ってしまった方もいるかもしれません。
実は、過去の米国中間選挙のあとには、米国株が上昇した例が多いことが知られています。ただし、それは選挙だけが理由とは言い切れず、景気や金利、企業の利益など、ほかの要因も大きく関わっています。この記事では、米国中間選挙と米国株の関係を、中学生にもわかる言葉で順番に解説します。過去のデータ、2026年の注目点、初心者が守りたい考え方まで、やさしく整理しました。読み終えるころには、ニュースの見方が変わり、落ち着いて判断できるようになります。むずかしい専門用語は、たとえ話を使ってていねいに説明しますので、投資が初めての方でも安心してください。ぜひ最後まで読んでみてください。
この記事でわかること
- 選挙ニュースを見て、あわてて売買しないための心がまえ
- 過去のデータを読むときに気をつけたい落とし穴
- 選挙のあとに確認しておきたい市場の見方のコツ
- ニュースに振り回されず、続けやすい投資習慣のつくり方
目次
- 第1章:米国中間選挙とは?米国株に関係する理由をやさしく解説
- 第2章:米国中間選挙の前後で米国株はどう動いてきたのか
- 第3章:米国中間選挙のあとに米国株が上がりやすいと言われる理由
- 第4章:2026年の米国中間選挙で米国株を見るときの注目点
- 第5章:米国中間選挙の前後に初心者が米国株と向き合う方法
- まとめ:米国中間選挙と米国株を落ち着いて見つめよう
第1章:米国中間選挙とは?米国株に関係する理由をやさしく解説
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「米国中間選挙」という言葉を、ニュースで見かけたことはありますか。名前は聞いたことがあっても、くわしい仕組みまでは知らない、という方がほとんどだと思います。それでも大丈夫です。投資を始めたばかりの人にとって、アメリカの政治は遠い世界の話に感じられて当然です。しかし、世界のお金が集まるアメリカの株式市場は、政治のニュースにとても敏感に反応します。だからこそ、最初に選挙の基本を押さえておくことが、米国株を落ち着いて見るための土台になります。この章では、むずかしい言葉をできるだけ使わずに、仕組みを順番に説明していきます。
この章でいちばん伝えたいことは、米国中間選挙は「大統領の通知表」のような選挙であり、その結果がこれからの政策と米国株の環境に影響するかもしれないということです。まずは、その意味を3つの角度から見ていきましょう。
大統領の任期の真ん中で行われる選挙
アメリカの大統領の任期は4年です。大統領を決める選挙は4年に1回で、その2年後、つまり任期のちょうど真ん中にあたる年に行われるのが中間選挙です。「中間」という名前は、ここから来ています。2026年は、2025年に始まった今の政権にとって、2年間の仕事ぶりを国民に見てもらう年にあたります。そのため、中間選挙は「政権への評価が表れる選挙」と言われることが多いのです。
学校にたとえると、学期の途中で行われる中間テストのようなものです。最後の結果が決まるわけではありませんが、ここまでの成果がどうだったのかがはっきり見えます。点数が良ければ、そのまま同じ方針で進みやすくなります。反対に点数が悪ければ、先生や家の人から「やり方を見直したほうがいいね」と言われるかもしれません。アメリカでも同じように、中間選挙の結果が、そのあとの政治のやり方に影響を与えます。
ここで大切なのは、中間選挙では大統領そのものは選ばれないという点です。選ばれるのは、アメリカの国会にあたる連邦議会の議員です。大統領は政策の方針を示しますが、法律やお金の使い方を決めるのは議会です。つまり、議会の顔ぶれが変わると、大統領がやりたいことを実現しやすくなったり、反対にむずかしくなったりします。この仕組みが、あとで説明する株価との関係につながっていきます。
上院と下院で何が変わるのか
連邦議会には、上院と下院という2つの部屋があります。日本の衆議院と参議院に似ていると考えるとイメージしやすいでしょう。2026年の中間選挙では、下院は全部の議席が入れ替えの対象になり、上院は約3分の1の議席が対象になります。下の表で、2つの違いを整理してみましょう。
| 比べるポイント | 下院 | 上院 |
|---|---|---|
| 全体の議席数 | 435議席 | 100議席 |
| 議員の任期 | 2年 | 6年 |
| 2026年に入れ替えとなる議席 | 全435議席 | 35議席 |
下院は任期が2年と短いため、2年ごとにすべての議席が選挙の対象になります。一方、上院は任期が6年と長く、3分の1ずつ順番に入れ替わる仕組みです。2026年の上院は35議席が対象で、一般的な33議席前後より少し多くなっています。現在の議会は、上院も下院も大統領と同じ共和党が多数を占めていると、複数の証券会社や研究機関の資料で説明されています。ただし、下院の差はとても小さく、少しの変化で多数派が入れ替わる可能性があります。
ここで、お小遣いの使い方を決める家族会議を思い浮かべてください。お父さんが「今月は旅行に使おう」と言っても、家族の多数が反対すれば実現しません。アメリカの政治でも、大統領がどれだけ強い方針を持っていても、議会の多数派が賛成してくれなければ、法律も予算も通りません。だから、議会の多数派がどちらになるのかが、選挙のいちばんの注目点になるのです。
ねじれ議会という言葉の意味
ニュースでよく出てくる「ねじれ議会」という言葉は、大統領の所属する政党と、議会の多数を占める政党が別々になっている状態を指します。大統領が出したい法案があっても、議会の多数派が反対すれば通りにくくなります。予算を決めるときにも話し合いに時間がかかり、場合によっては政治が停滞してしまうことがあります。一般に、中間選挙では政権をにぎる政党が議席を減らしやすいと言われており、そのためにねじれ議会になる場合が少なくありません。
ねじれ議会になると「何も決まらなくなる」と心配する人もいます。でも、政策が急に大きく変わりにくくなることで、市場が先を読みやすくなると考える投資家もいます。どちらの見方もあり、一つの答えはありません。
では、なぜこの話が米国株につながるのでしょうか。それは、税金のルール、企業へのきまり、ほかの国との貿易など、会社の利益に関わる政策の多くが、大統領と議会の関係で決まるからです。企業の利益が増えそうなら株価は上がりやすく、減りそうなら下がりやすくなります。投資家は、選挙で議会の顔ぶれが変わったときに、これからの政策がどう動くのかを一生懸命に予想します。その予想が、株価の動きに反映されるのです。
たとえば、あなたが学校のクラスで文化祭の出し物を決めるとき、先生と生徒会の意見が分かれたらどうなるでしょうか。話し合いが長引いて、準備が遅れるかもしれません。反対に、意見がそろえば、一気に準備が進みます。市場の参加者は、これと同じ視点でアメリカの政治を見ています。ただし、予想が当たるとは限りません。政治の動きは、予想外の方向に進むことも多いからです。
この章のまとめです。中間選挙は、大統領の任期の真ん中で行われ、議会の顔ぶれを決める選挙です。議会の多数派によって、大統領の政策の進めやすさが変わり、それが企業の利益や株価の見通しに影響します。次の章では、実際に過去の米国中間選挙の前後で、米国株がどのように動いてきたのかを、データを使って確かめていきます。数字を見ると、ニュースの印象とはちがう発見があるかもしれません。
第2章:米国中間選挙の前後で米国株はどう動いてきたのか
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「選挙のあとは株が上がる」という話を、どこかで聞いたことがあるかもしれません。本当にそうなのか、それともただのうわさなのか、気になりますよね。この章では、証券会社や運用会社が公表している過去のデータをもとに、米国中間選挙の前後で米国株がどう動いてきたのかを見ていきます。数字を使いますが、むずかしい計算は出てきませんので、安心してください。
先に結論をお伝えします。過去の記録を見ると、米国中間選挙のあとは、米国株が上昇した例が多いという傾向があります。ただし、これは「必ず上がる」という約束ではありません。データの読み方を一緒に学んでいきましょう。
過去6回、11回、19回という3つのデータ
米国中間選挙と米国株の関係は、調べる期間によって、いくつかの切り口で紹介されています。代表的なものを、下の表にまとめました。米国株の動きは、多くの場合、アメリカの代表的な株価指数であるS&P500を使って調べられています。S&P500とは、アメリカの大きな企業500社の株価をまとめて表した指数のことです。
| 調べた範囲 | 見ていた期間 | わかった傾向 |
|---|---|---|
| 2002年から2022年の6回 | 選挙の年の10月末から1年間 | 6回すべてで1年後の水準が10月末を上回った |
| 1982年から2022年の11回 | 選挙の前3か月と後3か月 | 前は平均プラス3.8%、後は平均プラス5.9%だった |
| 1950年以降の19回 | 選挙から12か月後まで | すべての回で上昇したと紹介されている |
1つ目は、三菱UFJ eスマート証券のカブヨムが紹介しているデータで、2002年から2022年までの6回の中間選挙を比べたものです。各選挙の年の10月末を100として、その前後1年間の動きを見ています。6回の平均では、10月末のあとに上下をくり返しながら少しずつ上がり、1年後には100を上回りました。個別に見ても、6回すべてで1年後のほうが高い水準でした。
2つ目は、三井住友DSアセットマネジメントが1982年以降の11回を調べたものです。選挙の前の3か月は平均でプラス3.8%、上がった回は11回中7回でした。選挙のあとの3か月は平均でプラス5.9%、上がった回は11回中9回で、割合にすると約82%です。3つ目は、1950年以降の長い期間を調べたもので、選挙から12か月後に上がらなかった回はなかった、とする分析がいくつかの金融メディアで紹介されています。
選挙の前は慎重に、選挙のあとは前向きに
11回のデータをもう少しくわしく見ると、おもしろい形が見えてきます。選挙の前の3か月は、平均すると底がたく動いていたものの、選挙のおよそ1か月前までは弱めに推移し、そのあと持ち直す様子が見られたそうです。そして選挙のあとの3か月には、さらにはっきりした上昇の流れが確認されたと説明されています。
この動きを、運動会の前の気持ちにたとえてみましょう。本番の前は「うまくいくかな」と不安で、なんとなく動きがぎこちなくなります。ところが本番が終わると、結果がどうであれ「やっと先が見えた」と気持ちが軽くなります。市場の参加者も同じで、選挙の結果が出ると、先の読めない不安が少し小さくなり、買いやすい空気になるのではないか、という見方が紹介されています。
「平均」はあくまで全体をならした数字です。上がった年も下がった年も混ぜて計算しているので、毎回その通りに動くという意味ではありません。平均と、回ごとのばらつきを分けて考えると、数字に振り回されにくくなります。
ここで、ある集計では、中間選挙の年そのものの1年間の平均リターンは、すべての年の平均より低めだったと紹介されています。一方で、選挙のあとの12か月の平均は高めだったという内容です。つまり「選挙の年は不安定になりやすく、そのあとに持ち直す」という流れが、過去の平均的な姿として語られているのです。もちろん、集計の方法によって数字は変わるため、数字そのものよりも全体の流れを知っておくことが大切です。
弱かった年には何が起きていたのか
では、中間選挙の年がいつも順調だったかというと、そうではありません。たとえば1974年、2002年、2022年は、中間選挙の年の株価が弱かった例として知られています。そのときの背景には、物価が上がるのに景気が悪くなる「スタグフレーション」、ITバブルのくずれ、そして急ピッチな利上げなど、選挙とは別の大きな出来事がありました。
たとえば2022年は、アメリカの中央銀行にあたるFRBが、物価の上昇をおさえるために政策金利を大きく引き上げた年でした。金利が上がると、企業がお金を借りにくくなり、株式の魅力が相対的に下がるため、株価には逆風になりやすくなります。この年の株価の弱さは、選挙のせいというより、金融政策の影響が大きかったと考えられています。
この事実は、とても大事なヒントをくれます。株価を動かす力は、選挙だけではないということです。景気、物価、金利、企業の利益など、たくさんの要因が同時に動いています。過去の傾向を知ることは役に立ちますが、過去のデータが未来を保証してくれるわけではないという点を、いつも心に置いておきましょう。
この章のまとめです。過去のデータでは、米国中間選挙のあとに米国株が上昇した例が多く、前後の流れとしても「選挙の前は慎重、選挙のあとは前向き」という形が紹介されていました。一方で、サンプルの数が限られていることや、選挙以外の要因も大きいことから、参考情報として受け取るのが適切です。次の章では、なぜそうした傾向が見られるのか、よく語られる理由を整理していきます。
第3章:米国中間選挙のあとに米国株が上がりやすいと言われる理由
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前の章で、米国中間選挙のあとに米国株が上がった例が多いことを確認しました。すると次に出てくる疑問は、「どうして上がりやすいの?」ということだと思います。理由がわからないまま数字だけを信じるのは、少し不安ですよね。この章では、金融の専門家やメディアがよく挙げる理由を、中学生にもわかる言葉で整理します。
先にお伝えしておくと、これから紹介する理由は、あくまで「そう考えられている」という説明です。証明された事実ではありません。理由を知ることは、数字を鵜呑みにしないための第一歩です。一つずつ丁寧に見ていきましょう。
先が見えない不安が少しずつ晴れる
もっとも多く語られている理由は、政治の先行きの不透明感が、選挙をきっかけにやわらぐという考え方です。市場は「わからないこと」がとても苦手です。選挙の前は、議会がどうなるのか、政策がどう変わるのかが読みにくく、投資家は様子見をしがちになります。様子見が増えると、新しく株を買う人が減り、株価が伸びにくくなります。
ところが、選挙の結果が出ると、議会の顔ぶれがはっきりします。結果が思い通りだった人もそうでなかった人も、「これからはこの前提で考えればいい」と、計画を立てやすくなります。運動会の前の落ち着かない気持ちが、本番のあとにすっとやわらぐように、市場の緊張もほどけやすくなるのです。三井住友DSアセットマネジメントの資料でも、政局の不透明感は選挙の約1か月前からある程度市場に織り込まれはじめ、選挙のあとにさらに解消されていく、という推測が紹介されています。
議会の顔ぶれで政策の進めやすさが変わる
2つ目の理由は、議会の構成によって、政策の進み方が変わるという点です。大統領の政党が議会でも多数なら、法案や予算が通りやすくなります。反対に、議会の多数派が別の政党になると、大きな変更は通りにくくなります。ある証券会社の資料では、共和党政権のもとで民主党が下院の過半数を取り戻した場合には、株式市場のリターンが下がる可能性もある、と注意が書かれています。つまり、結果の内容によっては、市場の受け止め方が変わることもあるのです。
下の表で、議会の状態ごとに、よく語られる見方を整理してみました。どれも「かもしれない」という見通しで、結果を言い当てるものではありません。
| 議会の状態 | 政策の進みやすさ | 市場でよく語られる見方 |
|---|---|---|
| 大統領と同じ政党が上下両院で多数 | 進みやすい | 方針が続くと考えられ、安心材料になる場合がある |
| 議会の一部の多数派が入れ替わる | 調整が必要になる | 急な変更が起きにくいと受け止められる場合がある |
| 上下両院とも多数派が入れ替わる | 進みにくい | 政策の先行きを慎重に見る人が増える場合がある |
たとえば、あなたの家で「お小遣いの金額を決める権利」が、お父さんからお母さんに移ったとしたらどうでしょう。今までのルールを知っているぶん最初はとまどいますが、新しいルールがはっきりすれば、それに合わせて計画を立て直せますよね。市場でも、政策が極端に変わりにくい状況は、企業が先の計画を立てやすいと考えられることがあります。このように、議会の顔ぶれは、投資家の安心感に関わってくるのです。
相関と因果はちがうという考え方
ここまで読むと、「選挙があるから株が上がるんだ」と思いたくなるかもしれません。でも、ここで立ち止まってほしい大事な考え方があります。それが「相関」と「因果」のちがいです。相関とは、2つのことがいっしょに起きやすいという関係のことです。因果とは、片方が原因で、もう片方が結果になるという関係のことです。
夏になるとアイスの売り上げも、海水浴の人数も増えます。でも、アイスをたくさん食べたから海水浴の人が増えたわけではありません。どちらも「気温が高い」という別の原因で動いているだけです。米国中間選挙と米国株も、同じように別の原因が隠れているかもしれません。
実際、複数の分析では、統計的な検定をしても「中間選挙そのものが株価上昇の原因だ」とは証明できないと説明されています。三井住友DSアセットマネジメントの資料も、サンプルの数が限られることもあり、この傾向は参考程度に見るほうがよい、とまとめています。カブヨムの記事でも、選挙後に株価が上がっていたとしても、選挙だけが理由だったとは判断できない、と注意が書かれています。専門家ほど、慎重な言い方をしているのが印象的です。
では、この傾向はまったく役に立たないのかというと、そうではありません。過去の傾向は、市場の「空気」を知るための地図として使い、未来を決める答えとしては使わないのがちょうどよい距離感です。地図があっても、実際に歩く道は天気や工事で変わりますよね。それと同じで、傾向を知ったうえで、その時々の景気や金利、企業の利益を確かめることが欠かせません。
この章のまとめです。米国中間選挙のあとに米国株が上がりやすいと言われる理由には、先の見えない不安がやわらぐこと、議会の顔ぶれで政策の進み方が見通せることがあります。ただし、それらは確定した原因ではなく、相関と因果のちがいにも注意が必要です。次の章では、いよいよ2026年の選挙について、米国株を見るときに押さえたい注目点を具体的に整理していきます。
第4章:2026年の米国中間選挙で米国株を見るときの注目点
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いよいよ投票日の2026年11月3日が近づいてきました。テレビやネットでは連日、選挙のニュースが流れています。「結局、どこを見ればいいの?」と迷う方も多いでしょう。情報があふれていると、どれが大切なのか分からなくなりますよね。この章では、2026年の米国中間選挙のあとに米国株を見るとき、特に押さえておきたい3つのポイントにしぼって紹介します。
カブヨムの記事でも、選挙後の米国株を考えるときは、選挙の結果だけでなく、議会の多数派、金融政策と金利、企業業績の3点を確認する必要があると整理されています。選挙はたくさんあるチェック項目のうちの1つにすぎないという視点で、読み進めてください。
上院と下院の多数派はどうなるか
1つ目の注目点は、選挙のあとに上院と下院でどちらの政党が多数派になるかです。現在の議会は、上院が共和党53議席、民主党側が47議席で、実質的に共和党が多数です。下院も、共和党がわずかな差で多数を保っていると、公的な記録をもとにした解説で紹介されています。大統領、上院、下院のすべてを同じ政党がにぎる状態は「トリプルレッド」と呼ばれます。
第一生命経済研究所のレポートでは、改選される議席が少ない上院は共和党が多数を保つ可能性が高い一方で、全議席が入れ替わる下院は、まだ流動的だと説明されていました。また、過去の中間選挙では、特に下院で政権与党が苦戦しやすい傾向があることも指摘されています。さらに、一部の州で進む選挙区の区割りの変更(ゲリマンダーと呼ばれます)が、結果をかく乱する要因になるという見方もあります。結果は開票を待つしかありませんが、「どの組み合わせになるか」を知っておくと、ニュースの意味がつかみやすくなります。
金融政策と金利の動き
2つ目の注目点は、金融政策と金利です。アメリカの中央銀行にあたるFRBは、物価の安定と雇用を守るために、政策金利を調整しています。金利が下がると、企業はお金を借りやすくなり、景気が上向きやすくなります。反対に金利が上がると、借りるコストが重くなり、株価には逆風になりやすくなります。アメリカの国債の利回りも、株式の魅力と比べられるため、株価に影響しやすい数字です。
第2章で見たとおり、2022年の中間選挙の年は、積極的な利上げが株価の重しになりました。ですから、選挙後の株価を考えるときは、同じ時期の金融環境を切り離さず、いっしょに確認することが大切です。下の表に、見るべきポイントをまとめました。
| 確認する項目 | どんな意味があるか | どこで確認できるか |
|---|---|---|
| 上下両院の多数派 | 政策の進めやすさが変わる | 主要ニュース、議会の公式発表 |
| 政策金利と国債利回り | 株式の買われやすさに影響する | FRBの発表、証券会社の市況ページ |
| 企業の利益と見通し | 株価を長く支える土台になる | 各社の決算発表、証券会社のレポート |
企業の利益とAI関連の流れ
3つ目の注目点は、企業の利益です。株価を中長期で支える一番の土台は、会社がどれだけ利益を出せるかです。どんなに選挙が盛り上がっても、会社の利益が伸びなければ、株価はなかなか上がり続けません。反対に、利益が着実に増えていれば、多少のニュースがあっても株価は底がたく動きやすくなります。
最近は、AI関連の企業の動きにも注目が集まっています。ある解説では、2027年の企業利益の成長予想やAI関連株の動きが、選挙後の相場を見るうえでのカギになるとして取り上げられていました。また、2026年の米国市場は、株価指数が高い水準にある一方で、半導体株の下落や地政学リスクなどで、見通しが不透明な場面が続いているとも説明されています。注目の分野が一気に動くこともあるため、特定のテーマだけに頼りすぎないように気をつけたいところです。
1つ目に「結果」、2つ目に「金利」、3つ目に「企業の利益」の順で確認すると、頭の中が整理されます。選挙の結果だけを見て決めてしまうのではなく、3つを並べて見るくせをつけましょう。
たとえば、友だちが「あのお店、選挙のあとに人気が出るらしいよ」と教えてくれたとします。そのまま信じて行く前に、「お店の味はどうかな」「値段は妥当かな」「いつも混んでいるかな」と確かめますよね。株も同じで、選挙のうわさだけでなく、その会社の利益や成長のようすを、自分の目で確かめる姿勢が大切です。選挙の結果、金利、企業の利益を、セットで見ることが、2026年の米国株を考える基本のかたちです。
この章のまとめです。2026年の米国中間選挙で米国株を見るときは、上下両院の多数派、金融政策と金利、企業の利益の3つを順番に確認しましょう。どれか1つだけで判断せず、組み合わせて見ることで、ニュースに振り回されにくくなります。次の章では、これらの知識をふまえて、初心者がどのような姿勢で米国株と向き合えばよいのかを考えていきます。
第5章:米国中間選挙の前後に初心者が米国株と向き合う方法
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ここまで、米国中間選挙の仕組み、過去のデータ、2026年の注目点を学んできました。知識が増えると、「じゃあ、私は今どうすればいいの?」と、行動を決めたくなりますよね。この最後の章では、投資を始めたばかりの初心者が、選挙の前後に米国株とどう向き合えばよいのか、考え方の土台をお伝えします。なお、ここで紹介するのは一般的な考え方であり、特定の商品を買ったり売ったりすすめるものではありません。最終的な判断は、ご自身の状況に合わせて行ってください。
この章の主張は、とてもシンプルです。選挙という1つのイベントに、投資の成否をあずけないことが、初心者にとっていちばん大切な姿勢だということです。理由を3つに分けて説明します。
選挙の結果に賭けないという選択
「選挙のあとは株が上がるらしいから、今のうちに全部つぎこもう」という考え方は、とても危険です。第2章と第3章で見たように、過去のデータは参考になりますが、未来を約束するものではありません。サンプルの数も限られていますし、選挙以外の要因が株価を大きく動かした年もありました。1回の結果に大きなお金を賭けてしまうと、予想がはずれたときのダメージが大きくなります。
たとえば、お年玉の10万円を、1回のくじ引きにすべて使うことを想像してください。当たれば大きな喜びですが、はずれたら何も残りません。投資では、それと同じようなことを、まじめに考えてしまう人がときどきいます。選挙という大きなニュースがあるときほど、「今しかない」という気持ちが強くなりがちです。そんなときこそ、一度深呼吸をして、「これは1回のイベントに賭ける話になっていないかな」と自分に問いかけてみましょう。
積立と分散で長く続ける
では、どうすればニュースに左右されにくくなるのでしょうか。そのヒントになるのが、積立と分散です。積立とは、毎月など決まったタイミングで、決まった金額を少しずつ買っていく方法です。値段が高いときには少なく、安いときには多く買えるため、買うタイミングを1回で当てようとする必要がありません。分散とは、1つの国や1つの会社だけに集中せず、いくつかに分けて持つことです。
下の表で、選挙のニュースが出たときの「あわてる行動」と「落ち着いた行動」を比べてみましょう。
| 場面 | あわてがちな行動 | 落ち着いた行動 |
|---|---|---|
| 選挙の結果が出た直後 | 値動きを見て、すぐに全部売り買いする | いつもの積立のペースを保つ |
| 株価が大きく下がった日 | こわくなって、すべて手放す | 自分の目的と期間を思い出して見直す |
| うわさ話を聞いたとき | 理由を調べずに、その話にのる | 公的な資料や決算で自分で確かめる |
毎月続ける投資の強みは、習慣になることと、人によらず同じやり方をくり返せる「再現性」があることです。ニュースを見るたびに迷うのではなく、ルールを先に決めておけば、気持ちの波にふり回されにくくなります。たとえば、毎月の積立額を、生活費に影響しない範囲で決めておく。それだけでも、選挙のような大きなイベントの前後で、落ち着いて過ごしやすくなります。
判断する前に確かめたいチェック項目
それでも、実際に判断しなければならない場面は出てきます。そんなときのために、行動する前に確かめたいチェック項目を用意しておきましょう。まず、そのお金は、数年以内に使う予定がないかを確認してください。近いうちに必要になるお金は、値下がりしたときに困ってしまうからです。次に、一度に大きな金額を入れるのではなく、時期を分けられないかを考えてみてください。
1. このお金は、当分使う予定のないお金ですか。
2. 値段が下がっても、続けられる金額ですか。
3. 選挙のうわさではなく、自分で確かめた根拠がありますか。
この3つの質問にすべて「はい」と答えられるなら、少なくとも「あわてた判断」ではなくなっています。もし答えにくい質問があれば、少し時間をかけて整理しても、遅すぎることはありません。不安なときは、証券会社の相談窓口や、お金の専門家に話を聞くのも、よい方法です。1人で抱えこまないことも、長く投資を続けるための大切な力になります。
たとえば、毎月1万円ずつ積み立てている人が、選挙の日に株価が大きく動いたとしましょう。積立のルールを決めている人は、その日も、いつもの日付に、いつもの金額を買うだけです。慣れてくると、ニュースの大きさに気持ちが引っぱられにくくなり、結果的に、ストレスの少ない投資ができるようになります。小さな習慣の積み重ねが、将来の大きな差につながっていくのです。
この章のまとめです。初心者は、選挙の結果に大きく賭けず、積立と分散を軸にして、ルールを先に決めておくと安心です。行動の前には、お金の使い道、続けられる金額、根拠の3点を確かめましょう。それが、米国中間選挙の前後でも、落ち着いて米国株と向き合うための土台になります。
まとめ:米国中間選挙と米国株を落ち着いて見つめよう
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この記事では、米国中間選挙と米国株の関係を、5つの章に分けて見てきました。もう一度、大切な点を整理しましょう。中間選挙は大統領の任期の真ん中に行われ、議会の顔ぶれを決める選挙です。過去のデータでは、選挙のあとに米国株が上がった例が多く見られました。ただし、その理由は選挙だけとは言えず、金利や企業の利益など、ほかの要因も大きく関わっています。
もし今、「選挙のあとにどうなるか分からなくて不安」と感じているなら、それは自然な気持ちです。誰にも未来は見えませんし、プロの専門家でさえ予想をはずすことがあります。大切なのは、予想を当てることではなく、予想がはずれても続けられる準備をしておくことです。損をする可能性があることも、きちんと理解したうえで、無理のない金額から始めてみましょう。
さあ、あなたにできる最初の一歩は、とても小さなものです。今日は、自分が続けられる積立の金額を、紙に書き出してみませんか。そして、第4章でお伝えした「議会の多数派」「金利」「企業の利益」の3つを、ニュースで見るときのメモにしてみてください。それだけで、米国中間選挙のニュースが、少しだけ身近に感じられるはずです。
最後に、あなたに問いかけます。もし選挙の結果がどうなっても、あなたは今の投資のやり方を続けられるでしょうか。その答えが「はい」と言えるようになったとき、あなたはもう、ニュースに振り回される側ではなく、ニュースを上手に使う側になっています。米国中間選挙と米国株をきっかけに、自分らしい投資の形を、ゆっくり育てていきましょう。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄や商品の売買をすすめるものではありません。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。投資の最終判断はご自身で行ってください。
参考:三菱UFJ eスマート証券「カブヨム」、三井住友DSアセットマネジメント「市川レポート」、第一生命経済研究所、みずほ証券ほか
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