オルカンとは何?初心者にもわかる仕組みや特徴・人気の理由を徹底解説

「オルカンって最近よく聞くけれど、結局なに?」「投資を始めたいけれど、何を選べばいいのかわからない」。そんなモヤモヤを感じていませんか。ニュースやSNSで毎日のように見かける言葉なのに、くわしく説明できる人は意外と少ないものです。

結論からいうと、オルカンとは、世界中の株に1本でまとめて投資できる投資信託のことです。コストが低く、新NISAでも使えるため、投資の最初の一歩として多くの人に選ばれています。2026年10月上旬の時点で、集まっているお金の合計は約13.9兆円にまで広がりました。

とはいえ、株式に投資する以上、値下がりすることもあります。だからこそ、仕組みも弱点も知ったうえで、無理のない金額から始めることが大切です。この記事では、中学生にもわかる言葉で、オルカンの基本から新NISAでの始め方までを、順番にていねいに説明します。むずかしい専門用語が出てきたときも、たとえ話を使ってやさしく解説するので安心してください。

読み終えるころには、「これなら自分にもできそう」と、前向きな気持ちになっているはずです。まずは気軽に、最初の章から読み進めてみてください。

この記事でわかること

  • 投資信託とインデックスの違いを、たとえ話でイメージできる
  • 数字を見るとき、どこに注目すればよいかがわかる
  • 値下がりや円高が起きたときの、心の準備ができる
  • 毎月の金額ごとに、20年後のイメージがつかめる
  • 今日から踏み出せる、最初の行動がはっきりする

目次

第1章:オルカンとは?世界中の株に1本で投資できる投資信託の基本

世界地図の写真。オルカンが投資する世界中の国々をイメージした画像
画像出典:Unsplash(unsplash.com)

「オルカン」という言葉を、ニュースやSNS、お金の本で見かけたことはありませんか。新NISAが始まってから、投資の話題になると必ずといってよいほど名前が出てきます。でも、「名前は聞くけれど、結局なんのことなの?」「株なの?それとも銀行の商品なの?」と、疑問が残ったままの人も多いはずです。

この章では、むずかしい言葉をできるだけ使わずに、オルカンの正体を一つずつ説明します。読み終えるころには、友だちや家族に「オルカンってこういうものだよ」と自分の言葉で話せるようになりますよ。

先に結論をお伝えします。オルカンとは、日本を含む世界中の会社の株に、1本でまとめて投資できる投資信託のニックネームです。正式な名前は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」といいます。三菱UFJアセットマネジメントという会社が運用していて、2018年10月31日に作られました。名前の「オール・カントリー」を縮めて、みんなが「オルカン」と呼ぶようになったのです。

オルカンの正式名称と投資信託のしくみ

まず「投資信託」について考えてみましょう。投資信託とは、たくさんの人が少しずつお金を出し合い、そのお金を投資の専門家がまとめて運用する仕組みのことです。集まったお金は、たくさんの会社の株などに分けて投資されます。そして、うまくいったときの成果は、出したお金の大きさに合わせて、みんなで分け合います。

たとえるなら、駄菓子屋さんの「詰め合わせ袋」のようなものです。好きなお菓子を1種類だけ買うと、その味が口に合わなかったときにがっかりしますよね。でも、いろいろな種類が入った袋なら、全部が口に合わない、という事態にはなりにくいはずです。投資信託も同じで、1社の株だけを買うより、たくさんの会社に分けて持つほうが、1社の失敗に振り回されにくくなります。

投資信託には、大きく分けて「インデックス型」と「アクティブ型」の2種類があります。違いを表にまとめました。

種類 ねらい オルカンとの関係
インデックス型 株価の動きを表す「ものさし」と同じ値動きをめざす オルカンはこちらのタイプ
アクティブ型 ものさしを上回る成績をめざす オルカンはこちらではない
ものさし(指数) たくさんの株の値動きをまとめて数字にしたもの オルカンはMSCI ACWIという指数に連動

オルカンは、運用する人が「どの会社が伸びそうか」を毎日予想して選ぶのではなく、あらかじめ決まった「ものさし」に合わせて自動的に運用されます。そのため、運用のコストが低く、仕組みもわかりやすいのが特徴です。

MSCI ACWIという「ものさし」に連動する

オルカンが合わせている「ものさし」の名前は、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス、略してMSCI ACWI(エーシーダブリューアイ)です。MSCIという会社が作っている、世界の株をまとめて表す指数で、先進国23か国と新興国24か国の、大きめや中くらいの会社が対象になっています。2025年7月の時点で、組み入れられている銘柄はおよそ2,500前後、世界で投資できる株の約85%をカバーしていると、MSCIは紹介しています。

「連動する」とは、指数が動くのと同じように、オルカンの値段(基準価額)も動くという意味です。たとえば指数が1%上がった日には、オルカンもおおむね1%上がります。反対に指数が下がった日には、オルカンも下がります。ここで大切なのは、オルカンは「指数に勝つ」のではなく「指数と同じ成績になる」ことを目標にしている、という点です。

もう一つ知っておきたいのが、この指数は「時価総額」で割合が決まる、という点です。時価総額とは、会社の大きさを表す数字のことで、株の値段に発行されている株数をかけて計算します。大きな会社ほど指数の中での割合も大きくなり、小さな会社の割合は小さくなります。クラスの人気投票のように、みんなから大きな価値を認められている会社ほど、たくさんの票を持っているイメージです。

米国株が多い理由と国別のバランス

「世界中に投資できる」と聞くと、すべての国に同じ金額ずつ投資されていると思うかもしれません。でも実際は、そうではありません。時価総額で割合が決まるので、世界で一番大きな株式市場を持つアメリカの会社が、どうしても多くなります。米国の割合は6割前後で、先進国全体では約9割、新興国は約1割というバランスです(2025年1月末のMSCI資料にもとづく目安)。日本の割合は、世界全体の中ではおよそ5%前後と、思ったより小さいと感じる人が多いでしょう。

具体例で考えてみます。毎月1万円をオルカンに積み立てるとします。そのうち、およそ6,000円分はアメリカの会社へ、500円分ほどは日本の会社へ、残りはヨーロッパやアジアなどの国々へ、自動的に振り分けられるイメージです。もちろん、割合は株価の動きや指数の見直しによって少しずつ変わるので、あくまで目安として覚えてください。

それでも、投資先の会社は2,500社前後に広がっています。スマートフォンやパソコンを作る会社、銀行や保険の会社、薬を作る会社、車やエネルギーの会社など、私たちの生活を支える仕事がたくさん入っています。自分でひとつずつ会社を選ばなくても、世界の経済の動きに、まとめて参加できるのです。

ここまでで、オルカンの正体が見えてきたのではないでしょうか。投資信託という「詰め合わせ袋」のなかでも、世界の株をまるごと入れた、インデックス型の1本。それがオルカンです。次の章では、気になるコストや運用成績を、実際の数字で確認していきましょう。

第2章:オルカンの特徴と基本データ|コストや運用成績を数字でチェック

コインが入ったガラスのびんと植物の写真。コストと資産づくりをイメージした画像
画像出典:Unsplash(unsplash.com)

お店で商品を選ぶとき、私たちは値段やサイズ、口コミを見て決めますよね。投資信託も同じです。「みんなが使っているらしい」という理由だけで選ぶのではなく、数字を見て、自分で納得してから選ぶことが大切です。むずかしそうに聞こえますが、見るべきポイントはそれほど多くありません。

この章では、オルカンの「コスト」「大きさ」「過去の成績」という3つの数字を、順番に見ていきます。先にまとめると、オルカンはコストがとても低く、集まっているお金も非常に大きい投資信託です。ただし、過去の成績は、未来を約束するものではありません。この点は、最初にしっかり頭に入れておきましょう。

信託報酬0.05775%以内と手数料ゼロの意味

投資信託を持つと、いくつかのお金がかかります。代表的なものが、買うときの「購入時手数料」、売るときの「解約手数料」、そして持っている間ずっとかかる「信託報酬」です。オルカンは、購入時の手数料がゼロの「ノーロード」で、解約するときの手数料も、信託財産留保額(売るときに引かれるお金)もありません。

持っている間にかかる信託報酬は、年率0.05775%以内(税込)と決められています。信託報酬は、ファンドの中から毎日少しずつ自動的に引かれていて、私たちが別に支払う手間はありません。スポーツクラブの年会費が、気づかないうちに少しずつ引かれているようなものだと考えるとわかりやすいでしょう。なお、ファンドが持っている株を貸し出したときの手数料(品貸料)の一部が、別にかかる場合があります。くわしい内容は、公式の資料で確認してください。

ひとこと解説|0.05775%ってどれくらい?

100万円をオルカンで持っていると、1年間にかかる信託報酬は、計算上およそ577円です。1,000万円なら約5,775円になります。もし年1%の信託報酬がかかる商品だと、100万円で年1万円、1,000万円で年10万円です。数字が小さく見えても、長く持つほど差が積み重なります。

ここで気をつけたいのが「以内」という言葉です。これは、上限がこの数字だという意味で、将来、条件が変わる可能性もゼロではありません。投資を始めたあとも、年に1回ほど、公式サイトの運用レポートや目論見書(投資信託の説明書)で、最新のコストを確認する習慣をつけておくと安心です。

純資産総額と基準価額から見る人気の理由

次に見たいのが「純資産総額」です。これは、そのファンドに集まっているお金の合計のことです。2026年10月2日の時点で、オルカンの純資産総額は約13.9兆円でした。同じ年の6月26日には約12.6兆円だったので、数か月でさらに大きくなっています。値上がりした分と、新しく買う人が増えた分の、両方が合わさった結果です。

純資産総額が大きいことには、安心できる理由があります。たくさんの人が使っているファンドは、運用が安定して続きやすく、途中で運用をやめてしまう心配が小さいと考えられるからです。もう一つの「基準価額」は、ファンドの1日ごとの値段のことで、設定時の1万円からスタートし、2026年10月2日には37,827円になっています。基本データを表にまとめます。

項目 内容 時点・メモ
設定日 2018年10月31日 運用期間は無期限
純資産総額 約13.9兆円 2026年10月2日
基準価額 37,827円 2026年10月2日(1万口あたり)
信託報酬(年率) 0.05775%以内(税込) 別に品貸料がかかる場合あり
購入・解約の手数料 0円、信託財産留保額もなし ネット購入の場合
決算と分配金 年1回(4月)、分配金は0円 利益は基準価額に反映される

分配金が0円と聞くと、「もらえないの?」と心配になるかもしれません。でも、これは配当を出さずにファンドの中で再び運用に回しているからで、その分が基準価額に含まれていきます。コツコツ増やしたい人にとっては、分かりやすい仕組みです。

過去の運用成績の見方と注意点

いちばん気になるのは、「で、どれくらい増えたの?」というところでしょう。2026年9月末時点のトータルリターン(値上がり益と配当をあわせた成績)は、1年で約プラス24%、3年の年率で約プラス24%、5年の年率で約プラス19%でした。大きな数字に見えますが、この数字は円安や米国株の好調といった追い風を受けたものだと考えておく必要があります。

年ごとに見ると、成績は大きく上下しています。2022年は約マイナス5.6%、2023年は約プラス30.4%、2024年は約プラス32.5%、2025年は約プラス20.5%でした。100万円を持っていた人の1年後を単純に計算すると、2022年なら約94万円、2023年なら約130万円という違いです。また、2026年に入ってからも、1〜3月期は約マイナス3.6%、4〜6月期は約プラス18.2%と、3か月ごとに大きく動きました。

このように、オルカンの値段はまっすぐ右上がりに進むわけではありません。リターンのぶれの大きさを示す「標準偏差」は、2026年6月末の1年で約15%でした。ざっくり言えば、1年間に10%以上の上下があっても珍しくない、ということです。数字を見るときは、良い年だけでなく悪い年もセットで見てください。

コストが低く、規模が大きく、長い目で見た成績も良い。だからオルカンは人気なのだと分かりました。一方で、値動きが大きいことも事実です。次の章では、数字だけでは見えにくい「続けやすさ」というメリットを、生活のイメージと一緒に見ていきましょう。

第3章:オルカンのメリット|初心者がほったらかしで続けやすい理由

ノートパソコンに映る成績グラフの写真。オルカンのメリットと資産の成長をイメージした画像
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投資をはじめたい人から、よく聞く悩みがあります。「どの会社の株を買えばいいのかわからない」「毎日株価を見ている時間がない」「失敗したらどうしよう」という3つです。学校の勉強や部活、仕事や家事で忙しい毎日の中で、投資だけに多くの時間を使うのは、たしかに大変ですよね。

オルカンが多くの人に選ばれている理由は、まさにこの悩みに答えてくれるからです。結論から言うと、オルカンのよさは、1本持つだけで世界中に分散投資ができて、運用をほとんど自動で任せられるところにあります。この章では、そのメリットを3つの角度から、くわしく見ていきましょう。

世界に分散して1本持つだけの安心感

分散投資とは、お金をいくつかの場所に分けて投資することです。「卵を1つのカゴに盛るな」という昔からの言葉があります。1つのカゴだけに全部の卵を入れていると、そのカゴを落としたときに、すべての卵が割れてしまいますよね。カゴを分けておけば、1つ落としても、ほかの卵は無事です。

オルカンは、約2,500社に分けて投資しています。ひとつの会社の割合は、多くても全体の数%程度にとどまっています(時期によって変わります)。たとえば、ある会社の割合が3%だったとして、その会社の株価が突然半分になっても、オルカン全体への影響は1.5%ほどです。1社の失敗に、大きく振り回されにくいことが、分散のいちばんの強みです。

国や地域も、先進国から新興国まで広がっています。ある国の景気が悪くなっても、別の国がそれを支えてくれる可能性があります。もちろん、世界の株が一斉に下がる場面もあるので、リスクがなくなるわけではありません。それでも、特定の国や会社だけに賭けるより、気持ちの面でもずっと落ち着いて持ち続けやすくなります。

銘柄の入れ替えが自動で行われる仕組み

世界の会社の顔ぶれは、10年もたてば大きく変わります。昔は有名だった会社が小さくなり、少し前まで知られていなかった会社が、世界を代表する会社に育つこともあります。自分で株を選んでいると、「そろそろ入れ替えなきゃ」と悩み続けなくてはなりません。

オルカンの場合、ものさしであるMSCI ACWIが、定期的に銘柄の見直しを行うので、その動きに合わせて、ファンドの中身も自動で入れ替わります。元気をなくした会社の割合は小さくなり、大きく育った会社の割合は大きくなります。最近では、新興国の中でインドの割合が増えて、第2位に浮上したという報告もあります。戦争などで投資が難しくなった国が、対象から外されることもあります。私たちが何もしなくても、世の中の変化についていってくれるのです。

オルカンのメリット まとめチェック

  • 1本で、日本を含む世界中の株に分散投資ができる
  • 銘柄選びや入れ替えを、自分でしなくてよい
  • 購入手数料はゼロ、持っている間のコストも低い
  • 新NISAのつみたて投資枠・成長投資枠の両方で買える

たとえば、会社員のAさんが月3万円の自動積立を設定したとします(あくまでたとえ話です)。いったん設定したら、毎月決まった日に自動で買い付けが行われます。Aさんがすることは、ときどき残高を確認するくらいです。この「手間のかからなさ」こそが、投資を長く続けるための大きな味方になります。

毎日の生活でも、「毎朝のランニング」や「毎日の宿題」のように、決まった時間に自動でやることは、続けやすいですよね。やる気に頼らず、仕組みで続けられることが、オルカンの積立の魅力です。むずかしい分析ができなくても、忙しい人でも、無理なく取り組める点が、初心者に向いているといわれる理由です。

新NISAと相性がよい理由

投資で利益が出ると、ふつうは約20%の税金がかかります。たとえば100万円の利益が出たとすると、約20万円が税金として引かれてしまう計算です。ところが、新NISAという制度を使えば、一定の範囲内で、この税金がかからなくなります。オルカンは、この新NISAの2つの枠、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の両方で買うことができます。

新NISAの主なルールは、次のとおりです。1年間に投資できる金額は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、合計360万円までです。一生のうちに使える非課税の上限は1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円までです。非課税で持てる期間に期限はなく、売ったあとは、その分の枠が翌年以降に復活します。

ひとこと解説|長く持つほどうれしい理由

利益が出るたびに税金で引かれていくと、増えたお金の一部が減ってしまいます。非課税なら、増えた分をそのまま次の運用に回せるので、時間がたつほど差が広がっていきます。信託報酬が低いオルカンと、非課税の新NISAは、長く続ける人ほど力を発揮する組み合わせです。

ここまでで、オルカンのメリットが見えてきました。世界への分散、自動の入れ替え、低いコスト、そして新NISAとの相性。どれも「ほったらかしでも続けやすい」という一点につながっています。ただし、いいことばかりではありません。次の章では、オルカンの弱点とリスクを正直に確認し、上手に付き合う方法を考えましょう。

第4章:オルカンのデメリットとリスクを知って上手に付き合う方法

暗い画面に映る株価チャートの写真。値動きとリスクをイメージした画像
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ここまで読んで、「オルカンってすごい」と感じた人もいるかもしれません。でも、ここで一度、立ち止まってください。どんな商品にも、いいところと気をつけるところがあります。気をつけるところを先に知っておけば、実際に値下がりしたときも、落ち着いて行動できます。

大切なことを先にお伝えします。オルカンは銀行預金とちがって、元本が保証されていない商品です。値下がりして、買ったときより少なくなることがあります。この章では、主なリスクを3つの角度から見て、上手に付き合う方法を考えていきましょう。

株価の下落と為替の影響

1つめのリスクは、株価の下落です。オルカンは株式に投資しているので、世界的な不景気や金融危機が起こると、値段が大きく下がります。MSCIの資料によると、リーマンショックがあった2008年、MSCI ACWIは米ドルベースで、1年間に約マイナス53%も下がりました。100万円が約47万円になる計算です。しかし、その翌年の2009年には約プラス39%と、大きく戻しています。

ここで知っておきたいのが、下がった分を取り戻すのに必要な上がり幅です。100万円が50万円になったとき、元の100万円に戻すには、50万円から2倍、つまりプラス100%が必要になります。下落は短い時間で起きても、回復には時間がかかることがあります。だからこそ、すぐに使う予定のあるお金は、オルカンに入れないことが大切です。

2つめは、為替の影響です。オルカンは基本的に為替ヘッジを行わないので、外国の株の値段に加えて、円とドルなどの交換レートの動きも、成績に響きます。たとえば、外国での株価が10%上がっても、同時に10%の円高になれば、円で見た成績はほぼ変わらないどころか、少しマイナスになります。

場合 外国での株価 円で見た結果の目安
為替が変わらない(1ドル150円のまま) 10%上昇 約プラス10%
円高になる(1ドル150円から135円) 10%上昇 約マイナス1%
円安になる(1ドル150円から165円) 変わらない 約プラス10%

この表は、わかりやすくするための単純な計算例です。実際には、株価も為替も毎日動くので、もっと複雑になります。円安は成績を押し上げてくれますが、円高になると反対に足を引っぱる、ということを覚えておきましょう。

米国株への偏りと日本株の割合

3つめは、アメリカの株が大きな割合を占めていることです。オルカンは世界に広く分散していますが、米国の割合は6割前後です。そのため、アメリカの株式市場が大きく下がったときには、オルカン全体も、かなり影響を受けます。「世界分散」と聞いて、「どの国が下がっても平気」と思い込まないようにしましょう。

反対に、日本の株の割合は5%前後と小さめです。身近な日本の会社を応援したい人は、物足りなく感じるかもしれません。また、世界の平均に連動する商品なので、特定の国や分野が急に大きく伸びても、その伸びを丸ごと受け取ることはできません。「短い期間で一気に増やす」というタイプではなく、平均的な成長を、長い時間をかけて受け取る商品だといえます。

投資を始める前のセルフチェック

  • 近いうちに使う予定のあるお金を、投資に回していないか
  • 急な出費にそなえて、生活費の半年分から1年分ほどの貯金があるか(よく言われる目安です)
  • 借りたお金で投資しようとしていないか
  • 値下がりしたときも、慌てて売らずに持ち続けられそうか

ドルコスト平均法と長期投資でリスクをならす考え方

リスクをゼロにすることはできませんが、小さくする工夫はあります。その代表が「ドルコスト平均法」です。これは、毎月同じ金額を、決まった日に買い続ける方法のことです。値段が高いときは少なく、安いときは多く買えるので、買う値段が自然にならされます。

3か月間の簡単な例で考えてみましょう。毎月1万円ずつ買うとして、値段が1か月目に1万円、2か月目に5,000円、3か月目に1万円だったとします。1か月目は1口、2か月目は2口、3か月目は1口買えるので、合計で4口です。3万円で4口を買ったので、1口あたりの平均の買い値は7,500円になり、3つの月の値段の平均(約8,333円)より安くなりました。3か月目に値段が1万円まで戻っていれば、4口で4万円になり、3万円の投資が約33%増えた計算です。

ただし、ドルコスト平均法は万能ではありません。値段が下がり続ければ、評価額はマイナスのままですし、ずっと上がり続けた場合は、最初にまとめて買ったほうが有利なこともあります。それでも、「いつ買えばいいか」と悩む時間をなくしてくれるのは大きな利点です。長く、コツコツ続ける。この2つがそろうと、一時的な値動きに振り回されにくくなります。

リスクを知ることは、投資をこわがるためではなく、上手に付き合うためのものです。次の章では、実際にオルカンを新NISAで始める手順と、続けるためのコツを、具体的な金額と一緒に見ていきましょう。

第5章:オルカンを新NISAで始める手順と続けるコツ

コインの上に育つ緑の植物の写真。コツコツ積み立てて資産を育てるイメージの画像
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オルカンの仕組みやメリット、リスクがわかってきたところで、いよいよ実際に始める方法を見ていきましょう。「口座をつくるのはむずかしそう」「いくらから始めればいいの?」「値下がりしたらどうしよう」と、不安に思う人も多いと思います。でも、手順はひとつずつ進めれば大丈夫です。

この章のポイントは、無理のない金額で、自動で、長く続けることです。むずかしいテクニックよりも、続ける仕組みづくりのほうが、ずっと大切です。口座を開く流れ、金額の決め方、そして値下がりしたときの心がまえを、順番にお話しします。

口座開設から買い付けまでの流れ

オルカンを新NISAで買うまでの流れは、大きく5つのステップに分けられます。多くの場合、スマートフォンだけで手続きができます。

  1. NISA口座が開ける証券会社や銀行などを選びます。オルカンを取り扱っているかも、あわせて確認しましょう。
  2. 本人確認書類とマイナンバーがわかるものを用意して、NISA口座の開設を申し込みます。
  3. 申し込み後、審査が行われます。数日から2週間ほどかかるのがふつうですが、混み合う時期はもっとかかることもあります。
  4. 口座が開けたら、普段使っている銀行口座から、投資に使うお金を入金します。
  5. 「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を探して、つみたて投資枠で積立の設定をします。

金融機関によって、手数料やポイントのしくみ、画面の使いやすさなどが少しずつ違います。ひとつだけに絞って考えず、いくつかを見くらべてから決めると安心です。家族とも相談しながら進めると、さらに安心です。新NISAを使えるのは、日本に住む18歳以上の人です。

毎月いくらから始める?つみたて投資枠の使い方

金額の決め方で、いちばん大切なのは「生活が苦しくならない範囲」にすることです。金融機関によっては、100円から積立ができます。最初は少額で始めて、慣れてきたら少しずつ増やしていく、という進め方でも、まったく問題ありません。つみたて投資枠は年間120万円まで、つまり月10万円までが上限です。

毎月の積立額によって、20年後にどれくらいの違いが出るのか、表で確認してみましょう。年5%で運用できたと仮定した単純な計算で、毎月末に積み立て、税金や手数料は考えていません。

毎月の積立額 20年間の元本 年5%の場合の目安
1万円 240万円 約411万円
3万円 720万円 約1,233万円
5万円 1,200万円 約2,055万円

同じ月3万円でも、年3%なら約985万円、年7%なら約1,563万円と、結果は変わります。この数字は「こうなる」という予想ではなく、あくまで計算の一例です。実際には、増える年も減る年もあり、元本を下回ることもあります。

ひとこと解説|金額を決めるコツ

まずは、毎月のお小遣いや給料から、なくなっても生活が変わらない金額を探してみましょう。「毎月、少し足りないかな」と感じるくらいの金額は、続けるのがむずかしくなります。ボーナスが出たときや、収入が増えたときに、積立額を上げるのもよい方法です。

暴落が来ても慌てないための習慣づくり

どんなに準備をしていても、値段が大きく下がると、不安になるのが人間です。そんなときに大切なのは、事前に「下がったらどうするか」を決めておくことです。具体的な例を見てみましょう。オルカンの2025年は、1〜3月期が約マイナス7.6%と、年のはじめに大きく下がりました。ところが、その後の4〜6月期は約プラス7.5%、7〜9月期は約プラス10.6%、10〜12月期は約プラス9.7%と、3つの期間すべてでプラスになり、1年を通すと約プラス20.5%になりました。

もし最初の下落で怖くなって売っていたら、その後の回復を受け取れませんでした。もちろん、毎回こううまく戻るとは限りません。それでも、下がった場面で売ってしまうと、損が確定してしまうことは、知っておきたい事実です。

スポーツの試合にたとえると、前半で点を取られたからといって、試合を途中で投げ出してしまうようなものです。後半に逆転できるかもしれないのに、その機会を自分から手放してしまうことになります。投資も同じで、続けている人だけが、回復の場面に立ち会えます。気持ちが揺れたときこそ、最初に決めたルールに戻りましょう。

続けるための3つの習慣

  • 積立を自動に設定して、毎月の判断をなくす
  • 値段を見るのは月に1回ほどにして、毎日の上下に一喜一憂しない
  • 年に1回、積立額やコスト、家計全体の状況を見直す

たとえば、毎月の給料日の翌日に自動で積み立てるようにしておけば、買うタイミングで悩む必要はありません。値下がりのニュースを見て不安になったら、一度スマートフォンを置いて、「これは長い道のりの一部だ」と思い出してみてください。新NISAの非課税期間には期限がないので、あわてて売る必要はありません。

手順は、口座を開き、金額を決め、自動で積み立てる、というシンプルなものでした。続けるコツは、完璧をめざさず、無理のない形で習慣にすることです。それでは、最後のまとめで、ここまでの内容を振り返りましょう。

まとめ:オルカンとは何かを振り返り、小さな一歩を踏み出そう

ピンクのブタの貯金箱の写真。小さな一歩から始める資産づくりをイメージした画像
画像出典:Unsplash(unsplash.com)

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。最後に、オルカンとは何かを、もう一度ふり返ってみましょう。オルカンとは、日本を含む世界中の株に、1本でまとめて投資できるインデックス型の投資信託です。購入手数料はゼロで、信託報酬も年率0.05775%以内と低く、新NISAのつみたて投資枠でも成長投資枠でも買えます。

  • 世界の約2,500社に分散して、銘柄の入れ替えも自動で行われる
  • 株価の下落、円高、米国株への偏りといったリスクがある
  • 少額の自動積立で、長く続けることが大切

投資は、お金持ちや、特別な知識がある人だけのものではありません。月に数千円や1万円でも、時間を味方につければ、将来の大きな支えになる可能性があります。完璧な準備ができるまで待つよりも、まずは口座を開いて、少額から小さな一歩を踏み出してみませんか。やってみると、思ったより簡単だと気づくはずです。

もちろん、不安になる気持ちはよくわかります。値段が下がる日もありますし、元本が保証されているわけではありません。でも、無理のない金額で、自動で、長く続ける。この3つを守れば、一時的な値動きに振り回されにくくなります。あわてず、自分のペースで大丈夫です。

最後に、ひとつだけ問いかけさせてください。10年後、20年後の自分が「あのとき始めておいてよかった」と笑っているとしたら、今日どんな一歩を選びますか。まずは、毎月いくらなら無理なく続けられるか、ノートに書き出すところから始めてみましょう。

本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、特定の商品の購入をすすめるものではありません。投資の最終的な判断は、最新の目論見書などをご確認のうえ、ご自身で行ってください。

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