【2026年最新】割安株とは?PERが低い5銘柄でわかる探し方

「株価がどんどん上がっていて、今から買うのはこわい」「でも、できれば割安な株を見つけたい」。2026年の株式市場では、そんな気持ちになっている投資初心者の方が多いのではないでしょうか。

2026年6月22日、日経平均株価は取引時間中に72,831円まで上がり、過去最高値を更新しました。それでも、株価が上がっているのにPERという割安度の目安が低い、割安株は見つかります。

この記事では、SBI証券が2026年6月24日に公開したレポートをもとに、割安株の考え方と、PERが低い5銘柄の見方を、中学生にもわかる言葉で整理しました。たとえ話を使い、むずかしい専門用語はできるだけ避けています。

この記事は、投資をこれから始めたい人や、ニュースで見る株価の数字をもっと理解したい人に向けて書いています。「何から調べればいいの?」という悩みに、5つの章で順番にこたえていきます。

ただし、ここで紹介する銘柄は、買い・売りをすすめるものではありません。大切なのは、数字を自分の目で読み、納得して決める力を身につけることです。読み終えるころには、株価の高さではなく中身を見る習慣が、きっと身についているはずです。

この記事でわかること
  • PERが低いだけでは、お買い得とは言い切れない理由
  • 株価が上がっていても、割安に見える株があるふしぎなしくみ
  • 条件を決めて株をふるいにかけると、迷いが減るという気づき
  • 会社の見通しが変わると、株の見え方も変わるという考え方
  • 投資の前に、リスクを書き出して確認するくせのつけ方

目次

第1章:割安株とは?PERで見る割安株の基本と2026年6月の相場

株価のローソク足チャートが暗い画面に表示されている様子

画像出典:Unsplash(Photo by Maxim Hopman)

「割安株(わりやすかぶ)」という言葉を聞いたことはあっても、「何が安いの?」「安いなら買えばいいの?」と迷う人は多いはずです。この章では、割安株の意味を、PER(ピーイーアール)という物差しを使って、できるだけやさしく説明します。むずかしい計算はありません。お店のセールと同じで、値段と中身のバランスを見るだけです。

参考にするのは、SBI証券の投資情報メディアで2026年6月24日に公開された「新興株ウィークリー」です。6月17日から23日までの相場をふり返りながら、株価が上がっているのにPERは低い、という少しふしぎな株の探し方を紹介しています。この記事では、その内容を初心者向けに整理してお伝えします。

PERは株価の割安度を測る物差し

PERとは、株価が会社の1年分の利益の何倍になっているかを表す数字です。たとえば、1株あたりの利益が100円で株価が1,000円なら、PERは10倍です。株価を1株あたりの利益で割るだけなので、電卓があればだれでも計算できます。

同じ利益を出している会社が2つあって、一方のPERが10倍、もう一方が20倍だとします。この場合、PERが低いほうが、利益に対して株価が安く見えます。このような状態を、割安だと考えます。ただし、PERが低いからといって、必ず株価が上がるわけではありません。まずは割安に見えるかどうかの目安、と覚えておきましょう。

今回のレポートでは「今期予想PER」という数字が使われています。これは、会社が発表した今期の利益の予想をもとに計算したPERです。すでに終わった結果ではなく、これからの見通しにもとづいているので、会社が予想を変えるとPERも変わります。この点は、あとの章でも何度も出てくる大切な考え方です。

日経平均が過去最高値でも割安株は見つかる

2026年6月22日、日経平均株価は取引時間中に72,831円73銭まで上がり、過去最高値を更新しました。TOPIX(東証株価指数)も同じ日に4,103.76まで上がり、こちらも最高値でした。ところが翌23日には、日経平均が終値で前日より2,565円58銭も下がり、値動きの大きい1週間になりました。

相場を引っぱったのは、AIや半導体に関係する会社だと見られています。さらに6月20日の日本経済新聞の朝刊で、政府が「フィジカルAI」に官民で2040年度までに10.5兆円を投資する、と報じられたことも追い風になっているようです。ニュースが株価に影響する、よい例ですね。

市場全体が熱くなると「もう高すぎて、買える株なんてない」と感じるかもしれません。でも、会社の利益が大きく伸びていれば、株価が高くなってもPERは低いままのことがあります。下の表で、レポートに出てくる3つのPERを比べてみましょう。

比べるもの今期予想PER(6月23日時点)ひとことメモ
日経平均株価18.23倍日本を代表する225社の動きを表す指数の目安
東証スタンダード市場指数14.28倍今回の割安の基準として使われた数字
キオクシアホールディングス(285A)12.0倍株価は9万2,290円なのに、指数より低い水準
ここがだいじ。PERは、株価が高いか安いかを見る数字ではありません。利益と比べて、株価が高いか安いかを見る数字です。株価が1万円でもPERが低い会社があり、株価が500円でもPERが高い会社があります。

キオクシアの例で見る株価上昇とPERの関係

キオクシアホールディングス(285A)の6月23日の終値は9万2,290円で、今期予想PERは12.0倍(日経予想ベース)でした。日経平均の18.23倍より低い水準です。2026年の初めから株価は大きく上がっているのに、割安に見えるなんて、少し不思議に感じますよね。

レポートによると、この理由は、会社が見込む今期の利益がとても大きいからだと考えられます。PERは「株価÷利益」なので、株価が上がっても、利益がそれ以上に大きければ数字は小さくなります。ゲームの点数が2倍になっても、満点が4倍に増えたら、合格点に近づいた割合は下がる。そんなイメージです。

そこでレポートは、キオクシアのような大きな会社ではなく、東証グロース市場やスタンダード市場の中小型株の中から、株価は上がっているのにPERは低い銘柄を探しました。次の章では、その具体的な探し方を一緒に見ていきましょう。

この章のまとめです。割安株とは、利益と比べて株価が安く見える株のことです。PERはその目安になりますが、会社の予想にもとづく数字なので、予想が変われば見え方も変わります。「株価が上がった=もう高い」と決めつけず、株価と利益をセットで見るクセをつけていきましょう。

第2章:割安株の探し方|小型株を絞り込む7つの条件

株価の上がり下がりを示すグラフが表示された画面

画像出典:Unsplash(Photo by Arturo Añez)

ここまでで、割安株を見るときの物差しはPERだとわかりました。では、たくさんある会社の中から、どうやって割安株を見つければよいのでしょうか。上場している会社は日本だけで数千社もあるので、1社ずつ調べていたら日が暮れてしまいます。そこで使うのが、条件でふるいにかける「スクリーニング」という方法です。

スクリーニングは、お店で「予算は3,000円以内、サイズはM、色は青」と条件を決めて商品をしぼりこむのと同じです。条件を決めると、探す手間が減るだけでなく、気分や人気に流されにくくなります。レポートでも、7つの条件を決めて銘柄をしぼりこんでいました。順番に見ていきましょう。

会社の大きさと売買のしやすさをそろえる

1つ目の条件は、東証グロース市場または東証スタンダード市場に上場していることです。この2つの市場には、中小型株が多く並んでいます。大きな会社は多くの投資家が見ているので、割安なまま放っておかれることは少なめです。そのため、あえて目立ちにくい中小型株の中から探しています。

2つ目の条件は、時価総額が1,000億円未満であることです。時価総額とは、株価に発行されている株の数をかけた金額で、会社全体の値段のようなものです。1,000億円未満に絞ることで、大企業ではなく、まだ小さめの会社を対象にしています。

3つ目の条件は、6月22日から過去20営業日の、1日あたりの平均売買高が2万株以上であることです。売買高とは、実際に取引された株の数のことです。売買高が少ない株は、売りたいときに買い手が見つからず、売れなくなるおそれがあります。フリーマーケットで、だれも見に来ない商品を売ろうとする状況を思いうかべてください。

株価の勢いとPERと利益の条件を重ねる

4つ目の条件は、2026年の初めからの株価が、TOPIXよりも上がっていることです。TOPIXは日本の株式市場全体の動きを表す指数なので、「市場全体の平均より成績がよかった株」だけを残すことになります。クラスの平均点より点数が伸びた人を探す感覚です。

5つ目の条件は、今期予想PERが14倍以下であることです。6月23日時点で、東証スタンダード市場指数の今期予想PERは14.28倍でした。この数字より低い会社を、割安な水準として選んでいます。ここが、割安株探しの中心になる条件です。

6つ目の条件は、今期の会社予想の純利益が黒字であることです。利益が赤字だと、そもそもPERが計算できません。7つ目の条件は、取引所や日証金、SBI証券による信用規制や注意喚起の対象になっている銘柄を除くことです。値動きが荒くなりやすい銘柄を、あらかじめ外しているわけです。

条件基準この条件を置く理由
1 上場市場東証グロースまたはスタンダード中小型株の中から探すため
2 時価総額1,000億円未満まだ規模の小さい会社に絞るため
3 売買高過去20営業日の1日平均が2万株以上売りたいときに売れなくなるのを防ぐため
4 株価の勢い年初来でTOPIXを上回る株価が上がっている会社だけを残すため
5 PER今期予想PERが14倍以下利益に対して割安な水準を選ぶため
6 利益今期の会社予想純利益が黒字PERを計算できる会社だけにするため
7 規制信用規制・注意喚起の銘柄を除く値動きが荒くなりやすい銘柄を外すため
ワンポイント。多くのネット証券には、条件を入れて銘柄をしぼりこめるスクリーニング機能があります。同じ条件を自分で入れてみると、数字の意味が実感でき、理解がぐっと深まります。

条件を決めると見えてくるものと試すときのコツ

7つの条件を見て、「なんだか細かいな」と感じた人もいるでしょう。でも、この細かさこそがだいじです。たとえば、PERだけで探すと、売買がほとんどされない株や、利益の見通しが不安定な株まで混ざってしまいます。条件を重ねることで、割安に見えるだけの株をできるだけ減らせるのです。

自分で試すときのコツは、条件を一度に変えすぎないことです。たとえば、PERの上限を14倍から12倍に変えて、残る銘柄がどう変わるかを見てみましょう。1つずつ条件を動かすと、どの条件が結果に強く影響するのかがわかります。これは、理科の実験で条件を1つずつ変えて確かめるのと同じです。

もう1つ大切なのは、スクリーニングで出てきた銘柄は、あくまで調べる候補だということです。ふるいに残ったからといって、買ってよい会社と決まったわけではありません。ここから会社の事業や業績を読み、納得できたものだけを選ぶ、という流れになります。

この章のまとめです。割安株探しは、条件を決めてふるいにかけることから始まります。上場市場、時価総額、売買高、株価の勢い、PER、利益、規制の7つを重ねることで、候補を現実的な数にしぼれます。条件を決めてから探すだけで、迷いはぐっと減ります。次の章では、実際に残った5銘柄を見てみましょう。

第3章:割安株5銘柄の一覧|PERが低い順にチェック

スマートフォンを持つ人の後ろに株価チャートが見える様子

画像出典:Unsplash(Photo by Adam Śmigielski)

前の章で見た7つの条件をすべて満たした銘柄が、レポートの図表に5つ載っています。この章では、その5銘柄の株価とPERを表で確認して、数字の読み方を練習します。なお、数値はすべて2026年6月23日時点のものです。最新の株価やPERは、必ず証券会社のサイトなどで確かめてください。

もう一度お伝えしますが、ここで取り上げる銘柄は、買いや売りをおすすめするものではありません。レポートそのものにも、個別銘柄の売買を推奨するものではないという注意書きがあります。あくまで、数字の読み方を学ぶための教材として使ってください。

一覧表で5銘柄の株価とPERを確認する

下の表は、レポートに載っている5銘柄を、今期予想PERが低い順に並べたものです。株価は2026年6月23日の終値をもとにしています。銘柄名のあとの数字は証券コードで、銘柄を見分けるための4けたの番号です。

銘柄名(証券コード)株価(6月23日・円)今期予想PER(倍)
コメ兵ホールディングス(2780)5,2109.79
バリュエンスホールディングス(9270)2,30510.13
日本ギア工業(6356)1,45211.75
山王(3441)3,52511.93
サンコール(5985)1,84713.32

5つとも、PERは14倍以下という条件を満たしています。いちばん低いコメ兵ホールディングスが9.79倍、いちばん高いサンコールが13.32倍です。どれも、東証スタンダード市場指数の14.28倍より低い水準ですね。

表を読むときは、まず一番上の行から順に、株価とPERを声に出して読んでみると、数字が頭に入りやすくなります。次に、自分が知っている会社があるかどうかを探してみましょう。知っている会社や、身近なお店に関係する会社のほうが、事業の中身を想像しやすく、調べる気持ちも続きやすくなります。反対に、名前を初めて聞く会社でも、がっかりする必要はありません。知らない会社を調べる体験そのものが、視野を広げてくれます。

PERが低い順に並べると見えてくること

レポートでは、5銘柄をPERが低い順に載せています。こうして並べると、PERの差は意外と大きくないことに気づきます。いちばん低い9.79倍といちばん高い13.32倍の差は、3.5倍ほどです。同じ「割安株」の中でも、少しずつ水準がちがうことがわかります。

また、レポートでは5銘柄のうち、バリュエンスホールディングスとサンコールの2社について、くわしい解説をしています。バリュエンスはリユース(中古品の再利用)に関わる会社で、サンコールは金属部品をつくる会社です。同じ表に並んでいても、仕事の内容はまったくちがいます。

さらに、レポートではコメ兵ホールディングスを、バリュエンスと同じ業界の会社として紹介しています。残りの日本ギア工業と山王については、このレポートに個別の解説がありません。気になる人は、各社の決算資料や会社のホームページで、事業の中身を自分で調べてみましょう。表に載っていても、中身は自分で確かめることがだいじです。

ここがだいじ。PERが低い順に並んでいても、「いちばん上が、いちばんおすすめ」という意味ではありません。順番はあくまで数字の大小です。会社の中身や将来の見通しは、別に調べる必要があります。

株価の高さとPERは別ものという考え方

表を見ると、コメ兵ホールディングスの株価は5,210円、日本ギア工業は1,452円です。株価だけ見ると、コメ兵のほうが3倍以上も高く見えます。でも、PERはコメ兵が9.79倍、日本ギア工業が11.75倍で、コメ兵のほうが低くなっています。株価の高さと割安さは、別ものなのです。

これは、ピザの値段にたとえるとわかりやすいかもしれません。5,000円のピザでも、直径が50センチで、チーズもたっぷりなら、お得に感じますよね。逆に1,000円のピザでも、小さくて具が少なければ割高です。株でも、株価という値段と、利益という中身をくらべることが大切です。

もう1つ、表を読むときの注意があります。レポートでは、銘柄名のあとのカッコ内の数字は決算期を表し、カッコがないものは3月期決算だと説明されています。バリュエンスは8月期、山王は7月期です。決算の時期がちがうと、「今期」が指す期間もちがうので、比べるときは少し気をつけましょう。

数字を読むときは、一つの数字だけで結論を出さないことも大切です。PERに加えて、売上や利益が増えているか、配当は出ているかなども、あわせて見てみましょう。いくつかの数字を組み合わせると、会社の姿がより立体的に見えてきます。

この章のまとめです。5銘柄のPERは9.79倍から13.32倍の間にあり、どれも基準の14.28倍を下回っています。ただし、PERの低さは調べ始めるための入口にすぎません。次の章では、くわしい解説のあるバリュエンスとコメ兵を取り上げ、数字の裏にある会社の姿を見てみましょう。

第4章:割安株の代表例|バリュエンスとコメ兵を比べる

革のベルトに置かれたヴィンテージ風の腕時計のアップ

画像出典:Unsplash(Photo by Tim Schmidbauer)

この章では、割安株の代表例として、リユース(中古品の買い取りと販売)を行うバリュエンスホールディングス(9270)と、同じ業界のコメ兵ホールディングス(2780)を見ていきます。PERはバリュエンスが10.13倍、コメ兵が9.79倍で、どちらも低い水準です。数字の裏に、どんな会社の姿があるのかを探りましょう。

レポートの内容をもとに、できるだけやさしく説明します。むずかしく感じる部分は、お店の仕組みにたとえて考えてみてください。なお、会社の業績や見通しは、決算発表のたびに変わります。最新の情報は、必ず会社の公式の発表で確認してください。

バリュエンスはリユース流通の会社

バリュエンスホールディングスは、ブランド品、時計、宝飾品、骨董品、美術品などを買い取り、オークション、卸売、小売で売る会社です。お店で買い取ったり、家まで来てもらって買い取ったり、インターネットで買い取ったりと、いろいろな入口があります。

2025年8月期の売上高は848億円でした。売り先の内訳は、自社オークションが39.7%、金やプラチナなど地金の卸売が26.1%、地金を除く卸売やその他が9.6%、小売が20.6%です。近年は、自社オークションが減る一方で、地金の卸売と小売がのびて、売上が増える流れが続いているそうです。

レポートは、この会社の強みを、仕入れ、値付け、売り先の選び方、オークション、小売、修理までをつなぐ「流通プラットフォーム」のような点だと紹介しています。たとえば、小売で高く売れそうな品は店頭へ、それ以外はオークションへと、売り方を分けて在庫が長く残らないようにしているそうです。

業績の上方修正と株価の動き

2026年8月期の上半期(2025年9月から2026年2月)は、売上高が519億円で前年の同じ時期より27.3%増え、営業利益は35.5億円で408%増、純利益は22.5億円で694%増と、大きく伸びました。小売の売上は132億円で、42.8%増えたとのことです。

この好調を受けて、会社は通期の見通しを引き上げました。上方修正の中身を、下の表にまとめます。見通しが上がり、配当も増える予定なので、株主にとってはうれしい内容です。

項目当初の計画修正後の計画
売上高990億円1,060億円(前期比24%増)
営業利益40億円55億円(前期比278%増)
年間1株配当30円45円(前期は10円)

ところが、株価の動きは少し意外でした。4月10日の終値は2,091円でしたが、上方修正の発表後の4月16日には一時2,791円まで急に上がりました。それが、6月23日には2,305円まで戻っています。レポートは、AIや半導体の関連株に人気が集まったことと、金先物の価格が4月中旬から下がったことが、原因だと考えています。

ここで、上方修正の意味を整理しておきます。上方修正とは、会社が「当初の予想より、利益や売上が多くなりそうです」と発表することです。ただし、予想が上がったのに株価がすぐ上がらないのは、よくあることです。すでに期待が株価に入っていたり、ほかの人気株にお金が集まっていたりするからです。ニュースを見たら、「なぜ今、この株価なのか」と考える習慣をつけましょう。

コメ兵との違いと金価格という注意点

コメ兵ホールディングスも、同じ業界の会社として紹介されています。2027年3月期の会社予想は、売上高が2,520億円で前期比13%増、営業利益が108億円で16.3%増と、増収増益の見通しです。PERはコメ兵が9.79倍、バリュエンスが10.13倍で、あまり差はありません。

レポートでは、2社の見方を次のように整理しています。コメ兵は、規模、ブランドの知名度、店舗の数、鑑定士、顧客の多さが強みです。一方のバリュエンスは、買い取りの網、会社向けオークション、海外での仕入れ、修理、在庫を意識した売り方で成長の余地がある、という見方です。安定感ならコメ兵、成長性ならバリュエンスという整理は、とてもわかりやすいですね。

金価格に注意。金の先物価格が下がると、バリュエンスの地金の卸売の売上に逆風になる可能性があります。ただしレポートによると、地金の卸売は利益率が比較的低いため、利益を重視する方針を続ければ、ある程度はカバーできそうだとのことです。

また、レポートは、海外ブランドの新品が円安で買いにくくなっていることが、リユース需要を押し上げる可能性にも触れています。新品が高くなると、中古品に目が向く、という考え方です。ただし、これはあくまで見方の1つで、必ずそうなるとは限りません。

この章のまとめです。バリュエンスは、業績の上方修正と増配があったのに、株価は伸び悩みました。割安株には、よいニュースが出ても、すぐに株価に反映されない場合があります。株価は、会社の業績だけでなく、市場全体の人気や、金価格のような外の要因にも左右されるのです。

第5章:割安株を選ぶ前に知りたいサンコールの事例とリスク

上向きの株価チャートを示す画面

画像出典:Unsplash(Photo by Arturo Añez)

最後の章では、もう1社のくわしい解説があるサンコール(5985)を取り上げます。サンコールは、今期の会社予想が減収減益です。「利益が減るのに、なぜ取り上げたの?」と思うかもしれませんね。この会社を通して、割安株を選ぶときに数字の裏側まで読むことの大切さと、気をつけたいリスクを学びましょう。

今回も、レポートの内容をもとに整理します。繰り返しになりますが、ここでの説明は、売買をすすめるものではありません。リスクの部分は、特にていねいに読んでみてください。投資で長く続けるためには、うまくいく場面より、うまくいかない場面の想像がだいじです。

サンコールの事業と稼ぎ頭の関係

サンコールは、精密な金属部品をつくるメーカーです。精密機能材料、自動車のエンジン部品、光コネクタなどを生産しています。決算説明資料では、事業が「EV関連製品」「電子情報通信分野」「既存自動車分野」の3つに分かれていて、2026年3月期の売上高のうち、既存自動車分野が63.1%を占めています。

おもしろいのは、利益の中身です。営業利益のうち72.1%を稼いでいるのは、売上の中心ではない電子情報通信分野です。会社全体の営業利益率が13.6%なのに対し、この分野は34.3%と高い水準です。売上が大きい部門と、利益を生む部門がちがう、というわけです。海外売上高比率は47.06%で、アジア向けが最も多くなっています。

減収減益の予想でもPERが低く見える理由

2026年3月期の売上高は522億2,300万円で、前の期より18.3%減りました。HDD用サスペンション事業から撤退したことが主な理由です。一方、営業利益は71億2,500万円で、107%も増えました。前の期にあった事業整理の費用がなくなったことと、データセンター向けの通信関連が伸びたことが理由です。

2027年3月期の会社予想は、売上高が505億円で3.3%減、営業利益が58億円で18.6%減です。利益は減る見込みですが、年間の1株あたり配当は30円と、10円の増配を予定しています。株主への還元として、配当性向30%以上をめざす方針にもとづいた判断だそうです。

項目2026年3月期(実績)2027年3月期(会社予想)
売上高522億2,300万円(前期比18.3%減)505億円(前期比3.3%減)
営業利益71億2,500万円(前期比107%増)58億円(前期比18.6%減)
年間1株配当20円30円(10円の増配)

レポートがサンコールを選んだ理由は、数字だけでなく、事業の中身が変わりつつあることです。成長が見込みにくいHDD用の事業をやめ、ガソリン車からEVへという流れに合わせてEV関連に力を入れ、データセンター向けの通信関連を伸ばそうとしています。通信関連の今期の売上予想は106億円で、前の期より52.3%増の見込みです。

ここで、サンコールのような会社を見るときの考え方をまとめます。減収減益と聞くと悪いニュースに思えますが、理由によって意味は変わります。やめた事業の売上が減ったのか、売れ行きが悪くなったのかで、将来の見え方は大きく違います。数字の「増えた、減った」だけで判断せず、「なぜ」を一つ調べるだけで、読み取れる情報がぐっと増えます。

割安株に潜むリスクと自分で確認する手順

株価は、2025年末の922円から、6月23日には1,847円まで上がりました。それでも今期予想PERは13.32倍で、東証スタンダード市場指数の14.28倍より低い水準です。ここで忘れてはいけないのが、リスクです。レポートは、データセンター需要の減退、為替の変動、自動車市況の悪化を挙げています。

特に、稼ぎ頭の通信関連は、データセンターの需要に左右されます。もし需要が弱まれば、利益も株価も下がる可能性があります。割安に見えるのは、会社の見通しが予想どおりになった場合だということを、忘れないでください。予想がはずれれば、PERの見え方も変わってしまいます。

自分で確認するときの手順。1 PERと、市場全体のPERを比べる。2 売上と利益の見通しが、増えるのか減るのかを見る。3 利益を支えている事業を探す。4 その事業が弱まるリスクを書き出す。5 決算が出るたびに、予想がどう変わったか確認する。

この手順は、サンコールだけでなく、どんな株にも使えます。特に、4番目の「リスクを書き出す」は、ぜひ習慣にしてください。紙に書くだけで、頭の中のもやもやが整理され、冷静に判断しやすくなります。うまくいかなかったときに、自分を責めすぎずにすむ、という効果もあります。

この章のまとめです。サンコールは、減収減益の予想でも、事業の中身が変わる途中にある会社として紹介されていました。割安株は、数字の見た目だけでなく、何が利益を生み、何がリスクなのかまで読むことで、はじめて意味を持ちます。割安に見えるときほど、リスクも一緒に確かめましょう。

まとめ:割安株の見方を知って前向きに一歩を踏み出そう

上向きの株価チャートを示す画面

画像出典:Unsplash(Photo by Arturo Añez)

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。この記事のポイントをふり返ります。割安株とは、利益と比べて株価が安く見える株のことで、PERがその目安でした。株価が上がっていても、利益がそれ以上に大きければ、PERは低いままです。条件を決めてふるいにかければ、迷いも減らせます。

そして、バリュエンスやサンコールの例から、PERの低さは入口にすぎない、と学びました。業績の見通し、事業の中身、そしてリスクまで確かめて、はじめて自分なりの答えが出せます。株価の高さではなく、会社の中身を見る。この習慣は、一生使える投資の力になります。

さあ、まずは小さな一歩を踏み出してみましょう。証券会社のサイトで、PERを表示してみるだけでも十分です。気になる会社を1社選び、売上と利益のグラフを眺めてみてください。毎週5分でもかまいません。続けるうちに、数字が少しずつ読めるようになり、ニュースの見え方まで変わってきます。

もちろん、不安もあるでしょう。株には、元本が減るリスクがあります。だからこそ、無理のない金額で、自分が納得できる範囲から始めることが大切です。失敗を完全になくすことはできませんが、調べて決めた経験は、必ず次に活きます。あなたのペースで、ゆっくり進めば大丈夫です。

最後に、問いかけです。あなたが今、気になっている会社はどこですか。その会社のPERは、市場全体と比べて高いでしょうか、低いでしょうか。まずはそこから調べてみましょう。そのときは、リスクを3つ書き出すことも忘れずに。次の一歩が、きっとあなたの未来につながります。

参考:SBI証券 投資情報メディア「新興株ウィークリー」(2026年6月24日)
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は2026年6月23日時点のものです。投資の最終判断は、ご自身の責任でお願いします。

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