新興株でテンバガーを狙う!増収増益8銘柄の選び方をSBI証券レポートから解説

「新興株で株価が10倍になるテンバガーを狙ってみたいけれど、何から調べればいいのかわからない」。そんな悩みを持つ投資初心者の方は、少なくないはずです。インターネットには「このあと急上昇する」といった情報があふれていますが、本当に信じてよいのか、判断するのはむずかしいものです。値動きが大きい新興株は夢がある一方で、勢いだけで買うと大きな失敗につながることもあります。そこで今回は、SBI証券が2026年6月3日に公開したレポート「目指せテンバガー!大幅増収増益継続期待の8銘柄」をもとに、新興株でテンバガーを目指すときの考え方を、中学生にもわかる言葉でていねいに解説します。市場の動き、銘柄をしぼり込む条件、注目企業の見方、そして失敗しにくい習慣づくりまで、順番に読めば迷わないように整理しました。数字の読み方に自信がなくても大丈夫です。むずかしい言葉は身近なたとえで説明し、表やひとこと解説も入れました。「一発逆転」ではなく、根拠を持ってコツコツ続けるための第一歩として、ぜひ最後までお付き合いください。読み終えるころには、気になる会社を自分の目で調べる手順が見えてくるはずです。

この記事でわかること
  • 株価10倍を狙うとき、数字のどこを見ればいいかがわかる
  • ニュースで聞く株高が、新興株とは別物だと気づける
  • 夢だけで買わず、条件で候補をしぼる習慣が身につく
  • 同じ増収増益でも、株価が下がる理由があると理解できる
  • 少額から続けるための、自分ルール作りのヒントが得られる

目次

第1章:新興株でテンバガーを目指す前に知っておきたい基本

株価のローソク足チャートが映る画面

画像出典:Unsplash(Maxim Hopman)

投資の世界には「テンバガー」という言葉があります。ニュースやSNSで見かけて、気になっている方も多いのではないでしょうか。この章では、新興株でテンバガーを目指すために、まず知っておきたい基本をやさしく整理します。

ここをおさえておくと、あとの章に出てくる数字や用語がぐっと読みやすくなります。むずかしい言葉は、身近なたとえを使って説明するので、投資がはじめての方も安心して読み進めてください。

テンバガーとは株価が10倍になること

テンバガーとは、買ったときの株価が10倍になった銘柄のことです。「バガー」はもともと野球の塁打を表す言葉で、「十塁打ぶんの大ヒット」というイメージから生まれたといわれています。たとえば、1株1,000円で買った株が10,000円になれば、それはテンバガーです。10万円で買っていたなら、100万円に増えた計算になります。

ただし、ここで大切なことがあります。テンバガーは、ねらえば必ず手に入るものではなく、条件がそろった会社だけがたどり着く結果だということです。宝くじのように運だけで決まるわけではありませんが、だれでも簡単に取れるものでもありません。

では、10倍になるには、どれくらいのスピードで成長する必要があるのでしょうか。5年で10倍になるには、毎年およそ1.58倍、つまり58%ずつ株価が上がり続けるイメージです。10年かけて10倍にする場合でも、毎年およそ1.26倍、つまり26%ずつ上がる計算になります。

このことから、テンバガーを目指すには、会社が長い間、売上も利益も大きく伸ばし続けることが欠かせないとわかります。株価はあくまで「会社の成長を映す鏡」のようなものです。まずは会社そのものの成長力に目を向けることが、遠回りに見えて近道になります。

金額で考えてみましょう。100万円を投資して、その株がテンバガーになれば、1,000万円になります。夢のある数字ですが、逆に株価が半分になれば50万円です。この大きな振れ幅を、最初から頭に入れておくと、気持ちが乱れにくくなります。

新興株が大きく動きやすい理由

では、なぜテンバガーの話題で、新興株がよく登場するのでしょうか。新興株とは、おもに東証グロース市場や東証スタンダード市場に上場している、比較的新しい会社や規模の小さな会社の株のことです。大きく動きやすい理由は、おもに次の3つです。

  • 会社が小さいぶん、売上が少し増えただけでも利益が大きく変わりやすい
  • 売買する人の数やお金の量が少なく、株価が動きやすい
  • 将来の成長への期待が、株価に強く反映されやすい

たとえば、小さなパン屋さんが新しい人気メニューを出すと、売上が1年で2倍になることもあります。でも、全国にお店を持つ大きなチェーンは、新メニューが売れても、全体の売上に与える影響は小さくなります。大きな船は進路を変えにくく、小さなボートは方向転換しやすいのと同じです。

市場どんな会社が多いか初心者が意識したいこと
東証グロース高い成長が期待される新しい会社値動きが大きく、上にも下にも大きく動く
東証スタンダード一定の規模と歴史を持つ会社会社ごとの差が大きく、中身を見ることが大切
東証プライム規模の大きい会社が中心比較的落ち着きやすいが、10倍になるハードルは高い

もう一つ、新興株には「情報が少ない」という特徴もあります。大きな会社は、ニュースや専門家の分析がたくさん出ますが、小さな会社は、そうした情報が少なめです。そのぶん、自分で会社の資料を読んで調べる姿勢が、ほかの人との差になりやすいともいえます。

ここに注意!
「動きやすい」という言葉は、「上がりやすい」という意味ではありません。大きく上がる可能性があるのと同じくらい、大きく下がる可能性もあります。この両面をセットで考えることが、新興株とつき合うときの基本です。

夢だけで飛びつかないための心がまえ

ここで、よくある2つのパターンを比べてみましょう。Aさんは、SNSで「次のテンバガー候補」という投稿を見て、会社のことを調べないまま、すぐに買ってしまいました。数日後に株価が下がり、どうしていいかわからなくなって、あわてて売ってしまいました。

Bさんは、同じ話題を見たあと、まず会社の売上と利益が毎年増えているか、今の株価が高すぎないかを確認しました。そのうえで、「この条件を下回ったら見直す」という自分のルールを決め、少ない金額から始めました。株価が一時的に下がっても、ルールに沿って落ち着いて判断できました。

ひとこと解説
AさんとBさんの違いは、才能ではなく「準備」です。先に調べて、先にルールを決めておくだけで、気持ちの余裕がまったく変わります。

このように、テンバガーを目指すときほど、夢を見る前に数字を見ることが大切です。新興株は、うまくいけば大きな成果につながる反面、準備不足のまま始めると、負担も大きくなりやすい世界です。

この章では、テンバガーの意味と、新興株が動きやすい理由、そして心がまえを学びました。次の章では、2026年6月にSBI証券が公開したレポートをもとに、今の新興株市場がどんな状況なのかを一緒に見ていきましょう。

第2章:新興株とテンバガー探しに役立つ2026年の市場環境

グラフが表示されたパソコンのモニター

画像出典:Unsplash(Nicholas Cappello)

ニュースで「日経平均が上がった」と聞くと、株式市場全体が元気になったように感じます。でも実は、大企業の株が多い日経平均と、新興株が多い市場とでは、動き方が同じとは限りません。

この章では、SBI証券のレポートに載っていた数字をもとに、2026年5月末までの市場の様子を、できるだけやさしく読み解いていきます。数字は少し多く出てきますが、表にまとめながら進めるので安心してください。

5月末までの日経平均とグロース指数の動き

レポートによると、日経平均株価は、3月末の安値を出発点として、4月、5月とおおむね上昇しました。5月末の終値は、3月末と比べて29.9%高くなっています。上昇の中心になったのは、AIや半導体に関連する株でした。

では、新興株の市場はどうだったのでしょうか。東証グロース指数も4月、5月ともに堅調で、5月末は3月末より14.2%高くなりました。一方、東証スタンダード指数は、5月末が3月末より3.3%高かったものの、5月の値動きは全体的にさえない動きだったと説明されています。

指数3月末と比べた5月末レポートでの様子
日経平均株価29.9%上昇AI・半導体関連株が目立った
東証グロース指数14.2%上昇4月・5月ともに堅調
東証スタンダード指数3.3%上昇5月の値動きは総じて振るわなかった

この数字を、身近な金額に置きかえてみます。3月末に100万円ぶんを持っていたと単純に考えると、日経平均の動きなら約129万9千円、グロース指数の動きなら約114万2千円、スタンダード指数の動きなら約103万3千円になった計算です。これはイメージをつかむための単純なたとえで、実際の個別の株の値動きとは別物です。

同じ期間でも、市場によって増え方に大きな差があったことが、数字からよくわかります。

ここで、スタンダード指数に注目してみましょう。5月の動きが弱かったということは、同じ新興株でも、勢いのある会社とそうでない会社の間に、差が広がっていたのかもしれません。市場の名前だけで判断せず、会社ごとの中身を見る必要がある理由が、ここにも表れています。

AI・半導体株高が新興株に届きにくい理由

日経平均が大きく上がったのに、なぜ新興株の上がり方はそれほどでもなかったのでしょうか。レポートでは、次の2つのポイントが挙げられています。

  • グロース市場には半導体関連の銘柄が比較的少なく、AI・半導体株高の恩恵は限定的とみられる
  • 東証プライムではAI・半導体株の値動きが非常に荒く、中小型株が得意とする「値動きの大きさ」が目立たなくなっている

つまり、ニュースで話題になっている株高の主役は、新興株とは別のところにいたということです。みんなが同じ波に乗っているように見えても、実際には、波の来る場所が違っていました。

たとえば、人気のスポーツで、スター選手ばかりが注目される場面を想像してください。同じチームにいても、目立たない選手の活躍は、ニュースになりにくいものです。株の世界でも、注目が集まる会社と、静かに成長している会社が、同時に存在します。レポートが「成長が続くのに割安に放置された銘柄」に目を向けているのは、まさにそうした会社を探す視点です。

ひとこと解説
ニュースの「株高」は、あなたが気になっている会社の株高とは限りません。市場全体の話と、個別の会社の話は、分けて考えましょう。

この気づきは、とても大切です。なぜなら、「市場が上がっているから、自分の株も上がるはず」と思い込むと、期待と現実のズレに苦しむことになるからです。逆に、市場全体が目立って元気でなくても、会社の成長がしっかりしていれば、株価が評価されるチャンスは残っています。

予想PERが下がっていることの意味

もうひとつ、レポートが注目していたのが「PER」という数字です。PERは、「株価が1株あたりの利益の何倍になっているか」を表す目安で、株価が割安か割高かを考えるときによく使われます。

たとえば、株価が1,000円で、1株あたりの利益が50円なら、PERは20倍です。もし利益が100円に増えて、株価が変わらなければ、PERは10倍に下がります。つまり、利益が伸びるほどPERは下がりやすいのです。

レポートによると、東証スタンダード市場と東証グロース市場のどちらも、今期の予想PERが、前期の実績PERより低くなる見通しだそうです。これは、市場全体で増益が予想されていることを意味します。レポートでは、成長が続いているのに、割安なまま放置されている銘柄がある可能性にも触れていました。

PERを見るときの注意
PERが低い=必ず買いどき、というわけではありません。将来の業績が悪くなりそうだと思われて、低くなっている場合もあります。PERは「調べるきっかけ」として使い、売上や利益の推移とあわせて見るようにしましょう。

この章でわかったのは、市場全体の流れと新興株の動きは分けて見る必要があること、そして、増益が続く会社の中には、まだ十分に評価されていない会社がありそうだということです。では、そんな会社をどうやって探せばいいのでしょうか。次の章で、その具体的な条件を見ていきます。

第3章:新興株でテンバガー候補を絞り込む8つの条件

取引チャートを表示した画面

画像出典:Unsplash(Nick Chong)

「割安で成長している会社を探そう」と言われても、新興市場にはたくさんの会社があり、一つずつ調べるのは大変です。そこで役立つのが「スクリーニング」という方法です。スクリーニングとは、あらかじめ決めた条件で、候補をふるいにかけて絞り込むことをいいます。

SBI証券のレポートでも、8つの条件を使って銘柄が選ばれました。この章では、その条件を3つのグループに分けて、なぜその条件が大事なのかを、やさしく説明していきます。

会社の大きさと売買のされやすさを見る条件

最初のグループは、会社の大きさや、株の売り買いのしやすさに関する条件です。レポートでは、次の3つが使われています。

条件レポートでの基準なぜ大事なのか
上場している市場東証グロースまたは東証スタンダード新興株を対象にするため
時価総額1,000億円未満小さな会社ほど、10倍になる余地が残りやすい
平均出来高2万株以上売りたいときに売りやすくなる

時価総額とは、「株価 × 発行されている株の数」で求める、会社まるごとの値段のことです。たとえば、株価1,000円で、株が500万株あれば、時価総額は50億円です。この会社が10倍になると500億円ですから、まだ1,000億円の中に収まります。

一方、すでに時価総額が1兆円ある会社が10倍になると、10兆円です。これは、世界でも数えるほどしかない大きさで、現実的にはとても高いハードルです。このため、テンバガーを目指す場合は、会社がまだ小さいことが大きなポイントになります。

出来高とは、1日の間に売り買いされた株の数のことです。出来高が少ない株は、売りたいときに買ってくれる人がいなくて、思った値段で売れないことがあります。フリマアプリで、人気のない商品がなかなか売れないのと似ています。2万株以上という基準は、最低限の「売り買いのしやすさ」を確かめるためのものです。

ひとこと解説
会社が小さいほど伸びしろは大きく、でも売買が少なすぎると売れなくなる。この「ちょうどいいバランス」をねらうのが、最初の3つの条件です。

売上と利益が伸び続けているかを見る条件

2つ目のグループは、会社の成長力を見る条件です。テンバガーの土台になるのは、売上と利益がしっかり増え続けていることです。レポートでは、次の4つの条件が使われています。

  • 売上高が連続で増えていて、今期も10%を超えて増える見込みであること
  • 前期の売上高営業利益率が10%を超えていること
  • 営業利益が連続で増えている(または黒字に転換した)うえ、今期も10%を超えて増える見込みであること
  • 直近の四半期で、売上も営業利益も前の年より増えていること

ここで出てくる「営業利益」とは、会社が本業で稼いだ利益のことです。「売上高営業利益率」は、営業利益を売上高で割った数字で、売上100円のうち、本業の利益がいくら残るかを表します。

たとえば、ラーメン店で1杯1,000円のラーメンを売って、材料費や人件費などを引いたあとに100円が残れば、利益率は10%です。同じ1,000円を売っても、残るお金が50円の店より、200円の店のほうが、お店の力が強いといえます。

そして、「連続で」増えているかどうかも大切です。1年だけ売上が増えた会社は、たまたま大きな注文が入っただけかもしれません。でも、何年も続けて増えている会社は、お客さんに選ばれ続ける仕組みを持っている可能性が高くなります。さらに「直近の四半期」で増収と営業増益になっているかを見ることで、今も勢いが続いているかを確かめられます。

まとめると、売上と利益の両方が、続けて伸びていることが、このグループの合言葉です。

危ない銘柄を避けるための除外条件

3つ目のグループは、「避けるための条件」です。レポートでは、信用規制や注意喚起の対象になっている銘柄を、候補から外しています。株価が急に動きすぎたときなどに、取引のルールに制限がかけられたり、取引所が注意を呼びかけたりすることがあります。

こうした銘柄は、値動きがとても荒くなりやすく、初心者にとっては、気づかないうちに大きな負担になるおそれがあります。最初から候補に入れないことで、リスクを一段階減らせるというわけです。

また、レポートでは、条件を満たした銘柄を、「今期の会社予想の営業増益率が高い順」に並べています。ここで気をつけたいのは、会社予想は、会社が出した見通しであって、必ず達成されるとは限らないということです。予想より良くなることもあれば、悪くなることもあります。

条件に合っても「買い推奨」ではありません
スクリーニングは、候補を探す「入口」にすぎません。条件に合った会社でも、株価が下がることはあります。レポート自体も、個別銘柄の売買をすすめるものではないと明記しています。最後は必ず、自分で調べて判断しましょう。

自分でも使える「5分チェック」として、次の4点を見る習慣をつけると便利です。売上と利益の推移、営業利益率、時価総額、出来高です。この4つを順番に見るだけでも、勢いだけの会社と、土台のある会社の違いが見えてきます。

次の章では、この条件を通り抜けた8つの銘柄を、実際の数字で見ていきます。

第4章:新興株テンバガー候補の8銘柄とスマレジ・HENNGEの見方

パソコンを使って働く人たち

画像出典:Unsplash(Proxyclick Visitor Management System)

ここまでの条件でふるいにかけた結果、レポートでは8つの銘柄が紹介されました。この章では、まず8銘柄を一覧表で見て、数字の読み方を練習します。そのあと、レポートで詳しく取り上げられていたスマレジとHENNGEの2社を、くわしく見ていきます。

なお、ここで紹介するのは、あくまで「レポートの内容」です。株価は2026年6月2日時点の数字なので、今の株価とは異なります。気になる会社があれば、必ず最新の情報を自分で確認してください。

8銘柄の一覧表の読み方

まず、レポートに載っていた8銘柄を、今期の会社予想の営業増益率が高い順に並べた表を見てみましょう。

銘柄名(コード)株価(6月2日)と前期の営業利益率今期の営業増益率(会社予想)
シェアリングテクノロジー(3989)966円|24.2%76.0%
パシフィックネット(3021)1,651円|10.4%60.3%
Solvvy(7320)1,605円|24.2%29.6%
スマレジ(4431)2,485円|21.5%24.4%
HENNGE(4475)1,219円|16.4%14.7%
明豊エンタープライズ(8927)426円|11.3%12.6%
セラク(6199)1,202円|10.3%11.7%
丸千代山岡家(3399)3,095円|10.9%10.8%

この表から、いくつかの気づきが得られます。まず、8社すべてが、前期の営業利益率10%を超えています。なかでも、シェアリングテクノロジーとSolvvyは24.2%と高く、本業でしっかり利益を残していることがわかります。

次に、今期の営業増益率を見ると、シェアリングテクノロジーの76.0%や、パシフィックネットの60.3%のように、大きな増益が見込まれている会社もあります。ただし、これは会社の予想なので、実際にその通りになるとは限りません。

そしてもう一つ、見落としがちな点があります。株価が安い会社が、お買い得な会社とは限らないということです。株価426円の会社と3,095円の会社を比べても、それだけでは、どちらが割安かはわかりません。大事なのは、株価そのものではなく、会社の利益や成長と比べて、どう評価されているかです。

スマレジはクラウドPOSで成長を狙う会社

スマレジは、お店向けのクラウドPOSレジを中心に、キャッシュレス決済や、人事、ネットショップに関するサービスも提供している会社です。クラウドPOSとは、インターネットを使って売上などを管理できるレジのしくみです。

2026年4月期の第3四半期までの累計では、売上高が96億1,500万円で、前年の同じ時期より22.1%増えました。営業利益は22億2,900万円で、22.8%の増加です。どちらも、第3四半期までの累計としては過去最高でした。サービスをやめる人の割合を示す平均解約率も0.47%と低く、一度使ったお店が長く使い続けていることがわかります。

項目レポートの内容読み取れること
売上高(第3四半期累計)96億1,500万円(22.1%増)売上は大きく伸びている
営業利益(第3四半期累計)22億2,900万円(22.8%増)利益の伸びも売上と同じペース
平均解約率0.47%使い続けるお店が多い
予想PER(6月2日時点)約23.7倍グロース市場の約34.76倍より低い
下方修正のニュースもあった
一方で、スマレジは通期の売上高予想を、138億5,900万円から131億4,900万円へ引き下げました。理由は、レジの周辺機器を「買い切り」から「サブスク(月額)」にする動きが、想定より早く進んだためです。この発表のあと、3月16日の株価は前の週末より10.2%下がり、終値は2,196円でした。

ここで大切なのは、「売上の見通しを下げた=会社が悪くなった」とは限らないことです。サブスクが増えると、短期の売上は小さく見えても、長く使ってもらえば、毎月の収入が積み上がっていきます。ただし、これが本当にプラスになるかは、これからの決算で確かめる必要があります。

レポートでは、東証プライムへの区分変更に向けた準備を始めたことや、食料品の消費税を下げる案が報じられていることも、材料として紹介されていました。消費税の税率が複雑になると、古いレジから新しいレジへの乗りかえが進む可能性があるという見方です。ただし、これは報道ベースの話で、実際にどうなったかは、最新のニュースで確認する必要があります。

また、6月2日の終値は2,485円で、2021年8月の過去最高値4,395円(分割調整後)には届いていません。「過去の高値より安い」ことは、割安のサインにも、人気が戻っていないサインにも見えるため、理由まで考えることが大切です。

HENNGEはクラウドセキュリティで需要を取り込む会社

HENNGEは、クラウドセキュリティのサービス「HENNGE One」を提供する会社です。マイクロソフト365やグーグル、セールスフォースなど、230を超えるサービスへの入り口を、ひとまとめにして守る仕組みです。たくさんの鍵を1つのカギで安全に管理するようなイメージです。

導入している会社は、2026年3月末時点で3,731社で、半年前より304社増えました。東証に上場している企業のうち、18.8%が導入しています。官公庁や自治体でも、「ゼロトラスト」と呼ばれる新しい安全対策が進められていて、同社のような仕組みの需要が広がると、レポートは見ています。

業績も見てみましょう。前期の2025年9月期まで、8期連続で2けた増収でした。2026年9月期の第2四半期は、売上高61.2億円(17.7%増)、営業利益12.6億円(13.3%増)です。毎月のサービス料金などの積み上げを表すARRは119億円で、14.7%増えました。月ごとの平均解約率も、2026年1〜3月期は0.26%まで下がっています。

ひとこと解説
ARRとは、毎年くり返し入ってくる収入の目安のことです。スマホの月額料金のように、毎月ちゃんと入ってくるお金が多い会社ほど、先の見通しが立てやすくなります。

会社の計画では、2026年9月期の売上高は128.3億円(17.5%増)、営業利益は20.5億円(14.7%増)で、2029年9月期にはARR200億円を目指しています。予想PERは6月2日時点で24.4倍で、レポートは増収増益が続くことを考えると、割安感があるとしています。

一方で、株価は2021年の高値5,305円から、2022年3月には648円まで下がり、2025年に1,949円まで戻したあと、2026年には一時1,000円を下回りました。レポートは、「SaaSの死」と呼ばれる心配が影響した可能性を指摘しています。業績が伸びていても、株価が下がることがあるという、よい例といえるでしょう。

この章でわかったのは、同じ「増収増益」でも、会社ごとに強みや心配ごとが違うということです。次の章では、こうした会社に向き合うときの、リスク管理と習慣づくりを学びます。

第5章:新興株でテンバガーを目指す人のリスク管理と習慣づくり

株価チャートの前でスマートフォンを持つ人

画像出典:Unsplash(Adam Śmigielski)

ここまで、新興株でテンバガーを目指すための知識を学んできました。最後の仕上げは、「どうやって失敗を小さくしながら続けるか」です。実は、長く投資を続けている人ほど、勝ち方よりも「負け方」を工夫しています。

この章では、初心者でも今日から使えるリスク管理と習慣づくりのヒントを、3つに分けて紹介します。むずかしいことは何もありません。小さなルールを、ひとつずつ決めていくだけです。

少額から分けて買うという考え方

新興株は値動きが大きいため、最初から大きな金額を使うのは危険です。まず大切なのは、なくなっても生活に困らない「余裕資金」だけで、少額から始めることです。そして、1つの会社に集中せず、いくつかに分けて持つことで、1社の失敗が全体に与える影響をやわらげられます。

買い方内容1社だけ株価が半分になったとき
1社に全部10万円を1社に使う資産は10万円から5万円に減る
5社に分ける2万円ずつ5社に使う資産は10万円から9万円に減るだけ

さらに、株価が下がったときの「取り戻しにくさ」も知っておきましょう。株価が50%下がると、元に戻すには100%、つまり2倍になる必要があります。10万円が5万円になったら、5万円を10万円に戻すには、5万円ぶん増やさなければならないからです。

では、いくら分ければいいのでしょうか。これに正解はありませんが、たとえば、1社あたりに使う金額を、自分が使える投資資金の2割以下におさえる、といった目安を決めておく方法があります。大切なのは、「1社が全部ダメになっても、また立ち上がれる」金額にしておくことです。

このように、損を大きくしないことは、増やすことと同じくらい大切です。少額で分けて持つことは、地味に見えますが、続けるための強い味方になります。

決算とニュースを確認するクセをつける

新興株は、決算の発表で株価が大きく動くことがよくあります。決算とは、会社が一定の期間ごとに発表する「成績表」のことです。良い成績でも、市場の予想より低ければ、株価が下がることもあります。

第4章のスマレジを思い出してください。業績そのものは過去最高を更新していたのに、売上予想の下方修正をきっかけに、3月16日の株価は10.2%下がりました。また、レポートの時点では、6月12日に通期決算を発表する予定とされていました。このように、決算の日付を事前に知っておくだけでも、心の準備ができます。

  • 気になる会社の決算発表日を、カレンダーに書いておく
  • ニュースだけでなく、会社が出している発表資料も読んでみる
  • 売上や利益のほかに、解約率など「事業の元気さ」を表す数字も見る

たとえば、スマレジの平均解約率は0.47%、HENNGEの月ごとの平均解約率は0.26%でした。こうした数字は、お客さんが使い続けているかどうかを教えてくれる、大切なヒントになります。ニュースの見出しだけで判断せず、数字の中身まで見る習慣をつけましょう。

もう一つ、SNSの投稿には気をつけたい点があります。「この株は絶対に上がる」といった強い言い方は、うのみにしないようにしましょう。だれが、どんな根拠で言っているのかを確かめ、会社の資料と照らし合わせるだけで、だまされにくくなります。

ひとこと解説
ニュースは「きっかけ」、会社の資料は「答え合わせ」です。両方を見ると、一つの情報にふりまわされにくくなります。

失敗しても続けられる自分ルールの作り方

最後は、自分だけのルール作りです。ルールは、むずかしくする必要はありません。次の3つから始めてみましょう。

  • 買う理由を、1行でノートに書く(たとえば「売上が3年連続で伸びているから」)
  • 見直すラインを、買う前に決めておく(例:買ったときより10%〜15%下がったら、一度立ち止まって理由を確認する)
  • 月に1回、記録を見返して、うまくいった点と反省点を書き出す

ここで挙げた数字はあくまで一例です。自分が納得できる数字を、買う前に決めておくことが大切です。株価が動いている最中は、どうしても感情が先に出てしまうので、落ち着いているときに決めたルールが、いちばん頼りになります。

たとえば、先ほど出てきたBさんは、買う前に「見直すライン」を決めていたので、株価が下がった日も、あわてずに会社の状況を確認できました。その結果、売るべき理由がないと判断して持ち続けたり、逆に理由が崩れていれば、早めに整理したりと、納得して動けたのです。

ルールを守れた日は、株価が上がったか下がったかに関係なく、自分をほめてあげてください。結果は運に左右されますが、ルールを守る行動は、自分で選べるからです。

ご注意ください
この記事は、SBI証券のレポートの内容を、初心者向けにやさしく紹介するものです。特定の銘柄の売買をすすめるものではありません。株価や業績の数字は、レポート公開時点(2026年6月)のものです。投資の最終判断は、ご自身の責任で行ってください。

テンバガーは、長い時間をかけて、会社が成長した結果として生まれるものです。焦らず、小さな金額で、ルールを守りながら続けること。それが、新興株でテンバガーを目指すうえで、いちばん確実な土台になります。

まとめ:新興株でテンバガーを目指す一歩目を踏み出そう

ノートパソコンで調べものをする人

画像出典:Unsplash(Christian Velitchkov)

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。最後に、大切なポイントをふり返りましょう。新興株でテンバガーを目指すには、まず、会社が小さく、売上と利益が続けて伸びていることが大切でした。さらに、市場全体のニュースと、自分が気になる会社の動きは別ものだと理解し、条件で候補を絞り込むことが、迷わないための第一歩でした。

「やってみたいけれど、むずかしそう」と感じたなら、まずは「5分チェック」から始めてみてください。気になる会社の売上と利益の推移、営業利益率、時価総額、出来高を見るだけで十分です。ノートに1行、「この会社が気になる理由」を書けば、立派なスタートです。

もちろん、不安もあると思います。新興株は大きく下がることもあり、テンバガーを目指したからといって、必ず成功するわけではありません。だからこそ、少額から、分けて、ルールを決めて進めてください。失敗を小さくできれば、次のチャンスにも挑戦できます。

新興株でテンバガーを目指す旅は、一夜でゴールするものではなく、毎日の小さな積み重ねで進むものです。あなたは、どんな会社の成長を、いちばん近くで応援してみたいですか。その問いに答えるために、今日、1社だけ調べてみませんか。

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