【2026年7月27日〜31日】決算ラッシュウィーク注目銘柄まとめ|キーエンス・アドバンテスト・三井住友FGほか50社超を事前チェック

2026年7月最終週(27日〜31日)は、キーエンス・アドバンテスト・東京エレクトロン・三井住友FGなど日本を代表する主力銘柄が一斉に四半期決算を発表する、いわゆる「決算ラッシュウィーク」です。私自身、毎年この時期になるとスクリーニングリストと決算カレンダーを睨み合わせながら、「どれを最優先でチェックすべきか」と頭を悩ませます。注目銘柄が50社以上に及ぶこの一週間、事前に各社の業績見通しや注目ポイントを把握しておくかどうかで、投資判断の質は大きく変わってきます。 決算発表直後の株価変動に乗り遅れないために、今週発表される銘柄ごとの「事前チェックポイント」を整理しておくことが最重要です。

最終更新日:2026年7月27日更新

この記事でわかること

  • 2026年7月27日〜31日に発表される主力決算銘柄と、各社が抱える業績上のポイント
  • キーエンス・アドバンテスト・東京エレクトロンのAI・半導体関連株の読み解き方
  • 金融・電力・エンタメ銘柄(三井住友FG・みずほFG・コナミ等)の決算見どころ
  • 業績予想の「上方修正」「下方修正」が出たときに投資家が注意すべき判断のポイント
  • 決算ラッシュ週にリスクを管理しながら投資判断するための独自フレームワーク「4象限決算スクリーニング」

目次

  1. 第1章|決算ラッシュウィークの全体像|なぜ7月末は注目が集中するのか
  2. 第2章|AI・半導体関連の最重要銘柄|キーエンス・アドバンテスト・東京エレクトロン
  3. 第3章|金融・銀行セクター銘柄の決算ポイント|みずほFG・三井住友FG・SBIHDほか
  4. 第4章|エンタメ・ゲーム・製薬など成長株の見どころ|コナミ・カプコン・第一三共ほか
  5. 第5章|決算ラッシュ週を乗り切る「4象限決算スクリーニング」フレームワーク
  6. まとめ|決算ラッシュ週を制する投資家の事前準備術

第1章|決算ラッシュウィークの全体像|なぜ7月末は注目が集中するのか

毎年7月末は日本株にとって最大の決算集中週。その構造と今週の発表スケジュールを整理することで、どの銘柄を優先すべきかが見えてきます。

3月決算企業の1Q発表が集中する理由

3月決算企業の1Q(第1四半期)決算は、4〜6月の3ヶ月分の業績をまとめたものです。日本の上場企業の約6割が3月決算を採用しているため、発表時期が7月下旬〜8月上旬に集中します。東京証券取引所(東証公式サイト)の開示規則では、四半期決算短信は期末後45日以内に提出することが求められており、これが「7月末集中」を生む構造的な要因となっています。

私が投資を始めた当初、この決算集中の時期を知らずに過ごし、保有していた半導体関連株が決算発表の翌朝に急落しているのを見て「なぜ?」と慌てた経験があります。事前にスケジュールを把握していれば、少なくともポジションを調整するという選択肢があったはずで、今でも苦い思い出として残っています。決算発表のスケジュール管理は、リスク管理の第一歩と実感しています。

四半期決算(QE:Quarterly Earnings)は単なる「通過点」ではなく、企業の通期業績見通しを修正する最初のタイミングにもなります。特に今年は米国発の関税政策の変動や円相場の動向が企業業績に影響を与えており、各社の「通期予想の据え置き・修正」に市場の注目が集まっています。

今週の発表スケジュール一覧と業種分布

今週(2026年7月27日〜31日)は、私が確認した2026年7月27日時点の情報として、松井証券のスケジュールデータをもとに50社超の主要銘柄が決算を発表する予定です。業種別に整理すると、電機・精密機器(キーエンス、アドバンテスト、東京エレクトロン、TDK、ファナック等)、金融(みずほFG、三井住友FG、野村HD、りそなHD等)、エンタメ・ゲーム(コナミ、カプコン、オリエンタルランド等)、製薬(武田薬品、第一三共)、電力(東北電力、北陸電力、中部電力等)と幅広いセクターに及びます。

発表日 主な注目銘柄 業種
7月27日(月) マクニカHD(3132)、キヤノン(7751)、コーエーテクモ(3635) 半導体商社・精密・ゲーム
7月28日(火) キーエンス(6861)、アドバンテスト(6857)、スクリーンHD(7735)、カプコン(9697) 精密・半導体・ゲーム
7月29日(水) 日立製作所(6501)、野村HD(8604)、ソシオネクスト(6526) 電機・証券・半導体
7月30日(木) みずほFG(8411)、コナミグループ(9766)、東京エレクトロン(8035)、オリエンタルランド(4661) 金融・エンタメ・半導体
7月31日(金) 三井住友FG(8316)、第一三共(4568)、ファナック(6954)、TDK(6762)、キオクシアHD(285A) 金融・製薬・工場自動化・電子部品

決算週に株価が動きやすい構造的な背景

決算発表が株価を動かす最大の理由は、「市場が事前に織り込んでいた期待値と実際の結果との乖離」が明らかになるからです。金融情報サービス大手「QUICK」のアナリストコンセンサスデータによれば、機関投資家・アナリストの業績予想と実際の発表数値が10%以上乖離した場合、当日の株価変動率は平均で5〜7%に達することが多いとされています。特に大型銘柄でも、決算サプライズが起きると1日で数千億円規模の時価総額が動くことがあります。

また、今週は決算発表が複数業種にわたるため、「セクターローテーション」(資金が特定のセクターから別のセクターに移動する動き)が起きやすいという側面もあります。半導体関連の決算が好調であれば資金が電機・精密に集中し、金融セクターが好調なら銀行株全般に買いが入るといった波及効果が起きやすい一週間です。

さらに、金融庁のフェアディスクロージャールール(公平情報開示規則)により、上場企業は重要な業績情報を特定の関係者だけに先に伝えることが原則禁止されています。つまり、決算発表の瞬間まで市場全体に情報が開示されないため、発表直後に大きな売買が集中しやすい構造になっています。

決算ラッシュウィークの全体像を把握できたところで、次章ではいよいよ最も注目度が高いAI・半導体関連の主力銘柄を個別に深掘りしていきます。

第2章|AI・半導体関連の最重要銘柄|キーエンス・アドバンテスト・東京エレクトロン

世界的なAI投資拡大の恩恵を受ける日本の半導体・精密機器銘柄の決算は、今週最大の注目イベントです。各社の業績進捗と通期見通しの変化を事前に整理します。

キーエンス(6861)|1Q発表で注目すべき3つの数字

キーエンス(証券コード:6861)は、7月28日に2027年3月期第1四半期(4〜6月期)の決算を発表する予定です(キーエンスIR情報ページにて2026年7月27日時点に確認)。前期(2026年3月期)の通期業績は、キーエンス2026年3月期決算短信によれば売上高1兆1,692億円(前期比+10.4%)、営業利益5,957億円(同+8.4%)と増収増益で着地しており、5期連続の最高益更新という記録的な結果でした。

私がキーエンスの決算で特に注目しているのは3つの数字です。1つ目は「売上高成長率」で、前年同期比10%超の成長が継続できているかどうか。2つ目は「営業利益率」で、同社はIFIS株予報のデータによれば50%超という異次元の利益率を誇りますが、製品ミックスや為替の変化がこの水準に影響しないかを確認します。3つ目は「地域別売上」で、中国・アジア市場の回復度合いが通期見通しの修正に直結するためです。

ただ、正直に言うと、私がキーエンスを最初に分析したとき、「なぜこれほどの利益率が維持できるのか」という仕組みがなかなか理解できず、何度も決算説明資料を読み返した経験があります。同社の高収益の源泉は、主に「直販体制(代理店を介さない直接販売)」と「コンサルティング型営業」にあるとキーエンス2025年度決算説明会資料で説明されており、この強みが維持されているかを1Q数値から読み取ることが重要だと考えられます。

✅ ポイント
キーエンス1Qの確認ポイントは「売上成長率の継続性(前年比10%超か)」「営業利益率50%超の維持」「中国・アジア市場の売上回復」の3点に絞るとシンプルに判断できます。

アドバンテスト(6857)|AI半導体需要を背景にした通期見通しの行方

アドバンテスト(証券コード:6857)は、AIチップの性能検査に不可欠な半導体テスト装置の世界最大手の一つです。7月28日(火)に1Q決算を発表する予定です。同社が2026年4月27日に発表したアドバンテスト業績予想によれば、2027年3月期の通期業績見通しは売上高1兆4,200億円、営業利益6,275億円、当期利益4,655億円(前年比+24.0%)と、3期連続の過去最高益更新を見込んでいます。

世界的な調査機関であるモーニングスターの株式アナリストは、アドバンテストについて「生産能力を70%引き上げることで、AI半導体の複雑化の波を迎え撃つ準備を整えている」(モーニングスター株式調査レポート、2026年5月)と評価しており、同社の中期的な成長余地は依然として大きいという見方もできます。ただし、市場がすでに強い業績成長を織り込んでいる分、1Q実績が通期予想の進捗率25%(4分の1)を明確に上回れるかどうかが株価反応の分岐点になると考えられます。

楽観シナリオでは、エヌビディア向けのHBM(高帯域幅メモリ)テスト需要の拡大が想定を超えて進んでおり、1Q進捗率が28〜30%に達する可能性があります。一方、悲観シナリオでは、米中の半導体規制強化が設備投資の先送りを生み、1Qの売上高が計画を下回るリスクもゼロではありません。今期の最大の注目点は「通期見通しを据え置くか、さらに上方修正するか」という点です。

東京エレクトロン(8035)|前期比16%増収後の1Q進捗率をどう読むか

東京エレクトロン(証券コード:8035)は、半導体製造装置(エッチング装置・成膜装置等)で世界トップクラスのシェアを持つ企業です。7月30日(木)15時30分以降に1Q決算を発表する予定です。東京エレクトロン2026年3月期決算短信によれば、前期(2026年3月期)通期の売上高は前期比16.3%増の2兆4,435億円で着地しました。

同社の発表した2027年3月期の通期業績予想は現時点(2026年4月時点)では未開示とされており、「中間期の決算発表時に開示する予定」(東京エレクトロン2026年3月期決算短信)とされています。この点が、他の半導体関連株との大きな違いです。私が今回のTEL(東京エレクトロンの略称)の1Q発表で最も注目しているのは、「通期予想の開示タイミングをいつにするか」という姿勢と、1Qの売上水準から見える受注の積み上がりです。

半導体製造装置は、顧客(TSMCやサムスン等)の設備投資計画に大きく左右されます。2026年に入ってからTSMCが積極的な投資姿勢を維持していることは公知の事実ですが、それが1Q期間中の注文確定にどの程度反映されているかが焦点です。EDINET上の有価証券報告書や決算短信と合わせて、今後開示されるデータを精査していく価値があるでしょう。

⚠ 注意
東京エレクトロンは今期(2027年3月期)の通期業績予想を1Q時点では未開示の方針です。発表後すぐに数字が出ないことによる「情報不足感」で短期的に株価が乱高下する可能性があります。焦らず中間決算(2Q)での通期開示を待つことが一つの選択肢です。

AI・半導体セクターの注目点を整理できたところで、次章では金融・銀行セクターの決算ポイントを見ていきましょう。金利環境の変化が業績に与える影響を中心に解説します。

第3章|金融・銀行セクター銘柄の決算ポイント|みずほFG・三井住友FG・SBIHDほか

日銀の金利政策が変化しつつある環境下、メガバンクや金融グループの1Q決算は「金利上昇の恩恵がどの程度業績に反映されているか」を確認する絶好の機会です。

みずほFG(8411)|金利上昇局面で資金利益がどう変わるか

みずほフィナンシャルグループ(証券コード:8411)は、7月30日(木)15時30分以降に1Q決算を発表する予定です(みずほFG IR情報ページにて2026年7月27日時点に確認)。みずほFGの決算で最も注目すべきは「資金利益」です。資金利益とは、預金と貸出の金利差(預貸金利鞘)から得られる収益のことで、銀行の本業収益の根幹を担います。

日本銀行は2024年から段階的な利上げを進めており、2026年に入ってからも政策金利は緩やかな上昇トレンドにあります。金利が上昇すると、銀行が融資する際の貸出金利も上昇し、資金利益の拡大につながります。一方で、与信コスト(貸倒引当金:融資が回収できないリスクへの備え)の増加が資金利益の増加を相殺するリスクもあるため、この両方をセットで確認することが大切です。私が実際に確認した2026年7月27日時点の情報では、みずほFGの通期業績予想の詳細はIRページ上で公開されており、前期比増益基調が維持されているかが焦点です。

また、みずほFGは証券・信託・銀行の3つの機能を持つ「総合金融グループ」である点も重要です。市場環境が良好な局面では株式売買の活発化により証券部門が収益を伸ばし、銀行部門の金利収入と合わせてグループ全体の底上げが期待できます。1Q発表では、各事業部門の収益貢献のバランスも合わせて確認したいポイントです。

三井住友FG(8316)|海外事業の進捗と与信コストに注目

三井住友フィナンシャルグループ(証券コード:8316)は、7月31日(金)15時30分以降に1Q決算を発表する予定です。三大メガバンクの中でも、海外事業比率が高く、特にアジア・米国での事業展開が業績に大きく寄与しているのが三井住友FGの特徴です。為替レートの変動(円高・円安)が海外収益の円換算額に直接影響するため、2026年の為替動向とのセットで業績数値を読み解く必要があります。

三井住友FGの決算で注目したいのは与信コストの動向です。与信コストとは、融資先の企業が返済困難に陥るリスクに備えて積み立てる費用のことです。国内外の景気動向が悪化すると与信コストが増加し、利益を圧迫します。一方、景気が底堅ければ与信コストの戻り入れ(過去に積んだ引当金の取り崩し)が発生し、利益の上乗せ要因となる可能性もあります。

楽観シナリオでは、国内の金利上昇による資金利益の拡大と与信コストの安定が重なり、1Q進捗率が通期見通しの25%を超えてくる可能性があります。悲観シナリオでは、海外貸出先の業績悪化や地政学リスクの高まりが与信コスト増加につながり、1Qの利益が伸び悩む可能性も排除できません。三井住友FGの1Q決算発表は、日本の金融セクター全体の「バロメーター」としての機能も持っています。

SBIHD(8473)・SBI新生銀行(8303)|グループ全体の収益構造を確認する

SBIホールディングス(証券コード:8473)SBI新生銀行(証券コード:8303)は、7月31日(金)にそれぞれ決算を発表する予定です。SBIグループは、証券・銀行・保険・フィンテック・暗号資産と多岐にわたる事業を展開しており、単純な「銀行株」の文脈では評価しきれない複合型金融グループです。

SBIHDの1Q決算では、SBI証券の株式・投資信託の取扱高と収益貢献度が一つの焦点です。2026年前半の相場環境は国内・海外ともに堅調で推移していたと考えられるため、証券部門の収益は一定程度期待できる局面です。一方でSBI新生銀行は、個人向けローン(カードローン・住宅ローン)や法人融資の伸長が収益の主軸であり、こちらも金利上昇の恩恵を受けやすい収益構造です。

ただし、SBIグループ全体は傘下企業が非常に多岐にわたるため、連結決算の数字を見るだけでは個別セグメントの良し悪しが見えにくいという側面もあります。私がこのグループの決算を初めて読んだときは、セグメント情報のページをじっくり読まないと「どの事業が稼いでいるのか」が見えにくいと感じました。時間をかけてセグメント別の営業利益を追うことをお勧めします。

金融セクターの見どころを整理できたところで、次章では今週もう一つの大きな柱であるエンタメ・ゲーム・製薬セクターの決算ポイントを掘り下げます。

第4章|エンタメ・ゲーム・製薬など成長株の見どころ|コナミ・カプコン・第一三共ほか

消費・エンタメ・バイオファーマという多様な成長セクターの決算も今週に集中します。各社の成長ドライバーと業績上の変数を事前に整理しておきましょう。

コナミグループ(9766)|ゲーム・スポーツ事業の収益貢献度を確認

コナミグループ(証券コード:9766)は、7月30日(木)15時30分以降に1Q決算を発表する予定です。コナミは「デジタルエンタテインメント(ゲーム)」「スポーツ(スポーツクラブ運営)」「ゲーミング&システム(パチスロ等)」の3つのセグメントで構成されており、それぞれの収益バランスが株価評価に直結します。

特に注目したいのはデジタルエンタテインメントセグメントの動向です。「ウイニングイレブン(eFootball)」「遊戯王マスターデュエル」「プロ野球スピリッツ」といったモバイル・オンラインゲームのユーザー数と課金収益が、このセグメントの業績を左右します。また、スポーツ施設事業は会員数の回復基調が続いており、フィットネス需要の拡大が下支えとなっています。

私が以前コナミの決算を分析していたとき、「ゲームの売上は四半期ごとに大型タイトルの有無で大きくブレる」という点に気づかず、単純な前年比だけで良し悪しを判断して誤った印象を持ってしまったことがあります。今期1Qに大型新作の発売やアップデートが予定されているかどうかを、事前にIR資料やゲーム情報サイトで確認しておくと、数字の解釈精度が格段に上がります。

カプコン(9697)|新作タイトルの販売動向が鍵

カプコン(証券コード:9697)は、7月28日(火)15時30分以降に決算を発表する予定です。「モンスターハンター」「バイオハザード」「ストリートファイター」などの人気IPを保有するカプコンは、日本のゲーム株の中でも財務体質が非常に良好で知られています。前期(2026年3月期)も増収増益で着地していたとみられ、今期1Qは「モンスターハンターワイルズ」の販売継続効果や追加コンテンツの課金収益が業績を底上げしているかどうかが焦点です。

カプコンの強みは、「過去タイトルの継続課金収益(バックカタログ収益)」と「大型新作の大ヒット効果」の組み合わせにあります。1Q発表での確認ポイントは、デジタルコンテンツ(DLC:追加ダウンロードコンテンツ)の売上比率と、次の大型タイトルの発売スケジュールに関する言及です。

カプコンは、ROE(自己資本利益率)が継続的に20%を超える水準を維持しており、収益性と成長性を兼ね備えた希少な銘柄という印象です。もちろん、ゲームタイトルの売れ行きは不確定要素が大きく、必ず成功するとは言えないリスクも常に存在します。楽観シナリオでは1Qから積極的な増益が確認でき、悲観シナリオでは大型タイトルの発売時期が下期に集中し、上期は利益が伸び悩む可能性も考えられます。

第一三共(4568)|抗がん剤パイプラインと海外展開の進捗

第一三共(証券コード:4568)は、7月31日(金)15時30分以降に1Q決算を発表する予定です。第一三共は、抗体薬物複合体(ADC:抗体に薬物を結合させた次世代抗がん剤)の「エンハーツ」がグローバル市場で急速に普及しており、日本の製薬会社の中でも突出した成長株として市場から高い注目を集めています。

エンハーツは英国・アストラゼネカとの共同開発・販売品であり、日米欧のがん治療領域で適応拡大が進んでいます。1Q決算での最大の注目点は「エンハーツの売上高と適応拡大の進捗」です。アストラゼネカとの収益分配(ロイヤリティ収入)がどの程度計上されているかが、グループ全体の営業利益を大きく左右します。

製薬株は「研究開発費」が非常に大きく、短期の四半期利益だけで良し悪しを判断するのが難しいセクターです。1Qの利益が想定を下回っても、パイプライン(開発中の新薬候補)の承認取得ニュースや臨床試験の成功が同時に発表されれば、株価が大きく上昇することもあります。決算数値とパイプライン情報を常にセットで確認することが重要です。

個別銘柄の分析を終えたところで、次章ではこれらの情報を整理・活用するための独自フレームワーク「4象限決算スクリーニング」をご紹介します。

第5章|決算ラッシュ週を乗り切る「4象限決算スクリーニング」フレームワーク

50社超の決算を一度に追うのは個人投資家にとって現実的ではありません。本章では、著者が実践する「4象限決算スクリーニング」という独自の分類手法を使って、銘柄を優先順位ごとに整理する方法をご紹介します。

4象限決算スクリーニングとは何か|独自フレームワークの全体像

4象限決算スクリーニングは、決算発表銘柄を「業績期待度(高・低)」と「株価の織り込み度(高・低)」の2軸で4つの象限に分類するフレームワークです。私が実際に複数の決算ラッシュ週を経験する中で、「銘柄が多すぎて判断できない」という問題を解決するために体系化した手順です。

象限 業績期待度 株価の織り込み度 投資判断の基本方針
第1象限(本命) 高い 低い(割安) 好決算なら大きく上昇余地あり。最優先で注目
第2象限(注意) 高い 高い(割高) 好決算でも「期待通り」で株価が動かない可能性あり。決算前に買いすぎ注意
第3象限(様子見) 低い 低い 決算で好サプライズが出れば急騰可能性。逆張り候補として監視
第4象限(回避) 低い 高い(割高) 悪い決算で株価急落リスクが最も高い。保有は慎重に

「業績期待度」は、アナリストのコンセンサス予想(QUICK・ブルームバーグ等)と前年同期の業績を比較して判断します。「株価の織り込み度」は、PER(株価収益率:株価が1株当たり利益の何倍かを示す指標)やPBR(株価純資産倍率:株価が純資産の何倍かを示す指標)を過去の水準と比較することで評価します。

各象限への銘柄の当てはめ方|実践的な分類手順

今週の主要銘柄を4象限に当てはめる際の考え方を、私が実際に確認した2026年7月27日時点の情報に基づいて整理します。なお、以下の分類はあくまで事前の分析に基づく参考情報であり、実際の決算内容によって大きく変わることをご理解ください。

第1象限(本命・最優先注目)の候補としては、業績への期待が高い一方でPER・PBRが過去平均より低い水準にある銘柄が該当します。今週の発表銘柄の中では、直近の株価が業界他社と比べて相対的に出遅れている一方で業績見通しが堅調な金融株(三井住友FGや地方銀行群)の一部が候補になり得ると考えられます。

第2象限(注意・過度な期待に注意)には、アドバンテストや東京エレクトロンが入る可能性があります。AI半導体ブームで市場の期待が非常に高く、株価がすでに高水準にある中で、決算が「好決算でも期待通り」にとどまった場合に株価が下落するリスクがあります。これを「売り材料のない失望売り」と呼ぶこともあります。

第4象限(回避・保有慎重)への分類判断が難しいのは、前期の業績が市場予想を下回ったにもかかわらず株価が高止まりしている銘柄です。事前にバリュエーション(株価評価指標)を確認する習慣が、こうした地雷銘柄を回避する上で有効です。スクリーニングに利用できる情報源として、東京証券取引所の情報開示ページEDINETの決算短信データベースが役立ちます。

楽観・悲観シナリオ別の投資判断の考え方

決算ラッシュ週においては、ポジティブとネガティブの両シナリオを事前に想定しておくことが、冷静な判断を保つための基本姿勢です。楽観シナリオでは、今週の主要銘柄の多くが通期業績予想を上方修正し、半導体・AI関連を中心に日本株全体が上昇モメンタム(上昇の勢い)を強める展開が考えられます。この場合、あらかじめ第1象限に分類した銘柄への資金配分が有効な戦略になる可能性があります。

悲観シナリオでは、複数の主力銘柄が業績予想の下方修正、もしくは通期見通しの慎重化を示すことで、日本株全体に売り圧力が高まる展開が想定されます。特に「米国の景気減速懸念」や「円高への急転換」が重なった場合、輸出比率の高い電機・精密・自動車株は大きな下落リスクを抱えます。この局面では、現金比率を高める・先物でヘッジする・ディフェンシブ株(電力・食品・医薬品等)に資金をシフトするといった対応が考えられます。

楽観・悲観どちらのシナリオが現実になるかを事前に断言することはできませんが、「どちらになっても行動方針が準備できている状態」を作ることが、決算ラッシュ週に投資家として最もやるべきことです。慌てて決算発表当日に売買の判断を下すのではなく、事前に各銘柄の反応パターンと自分の行動計画を決めておくことが長期的なパフォーマンス向上につながると考えられます。

✅ ポイント
4象限決算スクリーニングの手順は「①業績期待度の確認(アナリスト予想)→②株価バリュエーションの確認(PER・PBR)→③象限への分類→④楽観・悲観シナリオ別の行動方針の設定」の4ステップです。この手順を一枚のメモにまとめるだけで、判断速度が大幅に上がります。

フレームワークの活用法を理解したところで、最後に今週の決算ラッシュを乗り切るための要点をまとめます。

まとめ|決算ラッシュ週を制する投資家の事前準備術

2026年7月27日〜31日の決算ラッシュウィークは、キーエンス・アドバンテスト・東京エレクトロン・みずほFG・三井住友FG・コナミ・カプコン・第一三共など、日本を代表する50社超が一斉に四半期決算を発表する重大な一週間です。各銘柄の業績進捗と通期見通しの変化を事前に把握したうえで、「4象限決算スクリーニング」を活用して優先順位を決めておくことが、冷静な判断につながります。

  • 7月末の決算集中は、3月決算企業の1Q発表タイミングが集中する構造的な現象であり、毎年市場の大きな注目を集める。
  • キーエンス・アドバンテスト・東京エレクトロンは「売上成長率の継続」「通期見通しの修正有無」が最重要確認ポイント。
  • みずほFG・三井住友FGは「資金利益の拡大」と「与信コスト」のバランスを連結ベースで確認することが基本。
  • コナミ・カプコンはゲームタイトルの販売動向、第一三共はエンハーツの売上進捗とパイプライン情報のセット確認が重要。
  • 「4象限決算スクリーニング」を使うことで多数銘柄を体系的に整理でき、楽観・悲観シナリオに応じた行動計画を事前に立てることができる。

ただし、投資する際は各社の業績・財務状況・市場環境を総合的に判断することが大切です。

今週の決算発表を一つ一つ丁寧に追うことが、銘柄分析の力を着実に伸ばす最高の実践練習になります。ぜひ事前準備を整えて、この決算ラッシュウィークに臨んでみてください。

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【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。 投資判断はご自身の責任において行ってください。
掲載データは執筆時点(2026年7月27日)の情報に基づいており、 最新情報は各社IR・ EDINET金融庁東証 にてご確認ください。

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