「アストロスケールの株は将来性があると聞いたけれど、まだ赤字続きで買っていいのか判断できない」という声を、投資家仲間から何度も聞いてきました。2026年4月期の当期損失は66.9億円と依然として赤字ですが、プロジェクト収益は前期比89%増の115億円に達し、売上総利益は会社史上初めて黒字に転じました。 306億円の大型資金調達とスカパーJSATの資本参加が示すのは、「宇宙デブリ除去」という市場が実証フェーズから収益フェーズへ確かに移行しつつあるという事実です。
最終更新日:2026年7月7日
この記事でわかること
- 売上総利益が初黒字化した2026年4月期決算の数字と、赤字が続く本当の理由
- APS-R・ISSA-J1・ELSA-M・LEXI-Pの4大ミッションが「いつ・何を」実現するか
- スカパーJSATが約8億円を出資した戦略的意図と、静止軌道衛星市場の巨大さ
- AIRSイニシアティブが宇宙デブリ政策に与える規制面での追い風
- アナリスト目標株価・PBR・2027年4月期赤字予想を踏まえた株価の考え方
目次
- 第1章|アストロスケール(186A)とは|宇宙デブリ問題に専業で挑む唯一の民間企業
- 第2章|2026年4月期決算|売上総利益初黒字化と赤字縮小の読み方
- 第3章|4大ミッションの進捗|実証から実用へ動き出した軌道上サービス
- 第4章|スカパーJSATとの資本業務提携|静止軌道衛星市場が生む巨大ビジネス
- 第5章|アストロスケール(186A)株価の今後の見通し
- まとめ|アストロスケール(186A)株価の今後をどう見るか
第1章|アストロスケール(186A)とは|宇宙デブリ問題に専業で挑む唯一の民間企業
アストロスケールがどんな会社で、なぜ今注目されているのかを押さえます。投資家として銘柄を評価する前に、事業の根拠となる「宇宙デブリ問題の現実」を知っておくことが重要です。
スペースデブリ問題が深刻化する背景
スペースデブリ(宇宙ごみ)は、役目を終えた人工衛星やロケットの残骸が地球軌道上にそのまま残り続ける問題です。現在、追跡可能なものだけで約2万7,000個以上の破片が時速約2万8,000kmで飛び続けており、現役衛星と衝突すれば一瞬で機能を失います。さらに衝突で砕けた破片がまた新たなデブリを生む「ケスラー・シンドローム(連鎖衝突が止まらなくなる現象)」というリスクも指摘されています。
私がこの問題を初めて真剣に調べたのは、SpaceXのStarlinkが急拡大した時期でした。低軌道に数千機の衛星が次々と投入されるニュースを見て、「この軌道はいずれ満員電車になるのではないか」と感じたのです。通信・天気予報・GPSナビといった現代インフラをすべて支える人工衛星が機能不全に陥るリスクは、今や「将来の話」ではなく「今動かなければならない現実」です。
こうした背景から、宇宙デブリ除去・軌道上サービスは各国政府・宇宙機関が政策的に後押しする分野となりつつあります。JAXAは商業デブリ除去実証(CRD2)プログラムを推進し、欧州宇宙機関(ESA)も独自の規制強化を進めています。この流れは、後述するアストロスケールにとって明確な追い風と言えるでしょう。
創業から東証グロース上場までの歩み
アストロスケールホールディングスは、2013年に岡田光信氏がシンガポールで創業しました。IT起業家として成功した岡田氏が、宇宙の持続可能性という社会的使命に転身した会社です。創業当初から「スペースデブリ除去に専業で取り組む民間企業」という世界でも類を見ないビジョンを掲げ、日本・英国・米国・フランス・イスラエルへとグローバル拠点を広げてきました。
2024年6月、東京証券取引所グロース市場に証券コード186Aで上場を果たしました。民間企業として軌道上サービスに専業で取り組む姿が評価され、上場後は宇宙関連投資家からの強い注目を集めています。会社名の由来は「Astro(宇宙)+Scale(規模)」、つまり宇宙規模の課題を解決するという意志が込められています。JAXAをはじめとする各国宇宙機関・政府との連携も深く、単なる宇宙ベンチャーにとどまらない社会インフラ企業としての存在感を高めつつあります。
軌道上サービスという新市場の規模感
アストロスケールが手がける「軌道上サービス」とは、宇宙空間で人工衛星やロケット上段などに対して直接サービスを提供する事業です。デブリ除去・衛星点検・寿命延長・燃料補給という4種類のサービスを一社で手がけるのは、世界的に見ても極めてユニークなポジションです。
| サービス種別 | 内容 | 主な顧客 |
|---|---|---|
| デブリ除去 | 役目を終えた衛星・ロケット上段を軌道から撤去 | 政府・宇宙機関 |
| 衛星点検 | 現役衛星の外観・状態を近距離で確認・記録 | 民間衛星事業者 |
| 寿命延長 | 姿勢制御・軌道維持を代行し衛星の運用期間を延ばす | 静止軌道衛星事業者 |
| 燃料補給 | 軌道上で燃料を充填し運用期間を大幅延長 | 防衛・民間双方 |
衛星通信・地球観測・測位(GPS)など、現代社会のあらゆるインフラが人工衛星に依存しています。それを安全に維持するためのサービス需要は今後10〜20年で急拡大すると考えられます。事業の根拠となるデブリ問題の深刻さを押さえたところで、次は最新決算の数字を確認します。
ビジネスの背景を理解したうえで、2026年4月期決算が示す「実際の数字」を次章で詳しく見ていきましょう。
第2章|2026年4月期決算|売上総利益初黒字化と赤字縮小の読み方
2026年6月12日に発表された決算は、アストロスケールの歴史において重要な節目でした。数字の意味を正しく読むことが、投資判断の第一歩です。
プロジェクト収益89%増・売上総利益が初めてプラスに
アストロスケールホールディングス 2026年4月期通期決算説明資料(2026年6月12日公表)によると、2026年4月期のプロジェクト収益は115.0億円(前期60.8億円、前期比+89.0%)と大幅に拡大しました。売上収益も59.4億円(前期24.5億円、前期比+141.8%)と倍以上に伸びています。政府補助金収入も55.6億円(前期比+53.3%)を計上しています。
最も注目すべきは、売上総利益が0.19億円のプラスとなり、通期で初めて黒字化したことです。創業以来、研究開発に多大な先行投資を続けてきた同社が「売上から原価を差し引いた利益がプラスになった」という歴史的な一歩です。私がこの決算発表を確認したとき、正直「ようやくここまで来たか」という感慨を覚えました。
| 指標 | 2025年4月期 | 2026年4月期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| プロジェクト収益 | 60.8億円 | 115.0億円 | +89.0% |
| 売上収益 | 24.5億円 | 59.4億円 | +141.8% |
| 売上総利益 | 赤字 | +0.19億円(初黒字) | 黒字転換 |
| 営業損益 | ▲187.5億円 | ▲99.7億円 | 損失半減 |
| 当期損益 | ▲215.5億円 | ▲66.9億円 | 損失大幅縮小 |
営業赤字99.7億円が続く理由と財務基盤の変化
売上総利益は黒字化したものの、営業損益は依然として▲99.7億円の赤字です。この赤字の主因は、APS-R・ISSA-J1・ELSA-M・LEXI-Pという複数のミッションへの先行投資と研究開発費です。これは「未来の事業基盤を作るための必要コスト」であり、単純に業績が悪いとは言えない性格のものです。
財務面では、2026年4月期末の現金及び現金同等物が約100.2億円(前期末213.0億円から減少)と、一見すると財務基盤の悪化が懸念されます。ただし、同社は2026年5月に合計306億円の大型資金調達を公表しており、日本経済新聞(2026年6月12日付)によると、2027年4月期の最終損益は96億〜106億円の赤字が見込まれています。調達資金が加わることで、少なくとも2〜3年分の事業継続余力が確保される計算です。
2027年4月期も96〜106億円の赤字予想(日本経済新聞 2026年6月12日付)が示されており、短期での黒字転換は見込まれていません。投資判断の際は、赤字継続を前提とした長期視点が必要です。
306億円調達の内訳とスカパーJSAT・ヒューリック参画の意味
アストロスケールホールディングス 2026年4月期通期決算説明資料によると、今回の資金調達総額は306億円で、内訳は海外一般募集によるCB(転換社債、将来株式に転換できる社債)が100億円、第三者割当によるCBが163億円、普通株式の第三者割当が43億円です。この調達で手元現金は約300億円増加する見通しです。
注目すべきは、スカパーJSATとヒューリックが戦略投資家として参画した点です。スカパーJSATはアジア最大級の衛星通信事業者で、静止軌道に17機の衛星を保有・運用しています。単なる財務投資家ではなく、アストロスケールの将来のサービスを実際に利用する「実需者」が資本参加したという意味は非常に大きく、事業の商業的な信頼性が一段高まったと言えるでしょう。
306億円調達の本質は「お金を集めた」だけでなく、「アストロスケールのサービスに本当にお金を払う顧客候補が手を挙げた」という点にあります。スカパーJSATの資本参加は、事業化の蓋然性が高まったサインとして評価できます。
資金面の裏付けを確認したところで、次はその資金を投じる具体的なミッションの進捗を見ていきます。
第3章|4大ミッションの進捗|実証から実用へ動き出した軌道上サービス
アストロスケールの株価を長期で左右するのは、4つのミッションが「いつ・どのレベルで成功するか」です。2026年7月時点の最新進捗を整理します。
ADRAS-Jの完遂とADRAS-J2が目指す「世界初のデブリ除去」
ADRAS-J(Active Debris Removal by Astroscale-Japan)は、JAXAの商業デブリ除去実証CRD2フェーズIとして2024年2月に打ち上げられた衛星です。アストロスケール公式サイト(ADRAS-Jミッションページ)によると、293日間の運用で日本のロケット上段(重量約3トン、全長約11mの大型デブリ)に対し、世界で初めて民間企業が非協力物体(自ら動かない宇宙ごみ)への全工程のRPO(ランデブ・近傍運用、目標天体に接近して周辺を制御飛行する技術)を成功させました。
デブリから50mの定点観測・周回観測、PAF(ペイロードアダプターフィッティング:ロケットと衛星をつなぐ台座)から約15mの極近傍接近、自律アボート(衝突回避)システムの実証など、軌道上サービスの核心技術をすべて実環境で確認した点は特筆に値します。2026年3月25日には軌道降下運用を開始し、5年以内に大気圏再突入して燃え尽きる軌道へ移行しました(sorae.info 2026年3月26日付)。
次フェーズのADRAS-J2は2027年度の打ち上げを予定しており、ADRAS-Jが実証した「接近・観測」に加え、デブリの実際の捕獲と軌道離脱(除去)まで行う計画です(アストロスケール ADRAS-J2ミッションページ)。日本発・世界初のデブリ除去が実現すれば、アストロスケールの技術的信頼性は一段と高まると考えられます。
APS-R・ISSA-J1|防衛と民間双方で進む実用ミッション
APS-R(Astroscale Propellant Supply-Refueler)は、アストロスケール米国が米宇宙軍(Space Force)のSpace Enterprise Consortium(SpEC)を通じて受注した燃料補給実証ミッションです。静止軌道にある米国国防総省(DoD)衛星に対して2回のヒドラジン(液体燃料)補給を行う計画で、2027年4月期の打ち上げを見込んでいます(2026年4月期通期決算説明資料)。民間企業が米宇宙軍の実衛星に軌道上で燃料を補給するのは世界初の試みです。
ISSA-J1(In-Situ Space Awareness Japan-1)は、文部科学省のSBIRフェーズ3基金事業として進む軌道上点検ミッションです。異なる軌道にある日本の退役衛星デブリ2機に接近・撮影するもので、民間企業として世界初の複数デブリ接近ミッションとなります。2026年4月期末時点で組立・統合・検証が順調に進んでおり、2027〜2028年4月期の打ち上げを見込んでいます(同決算資料)。
ELSA-M・LEXI-P|2028年打ち上げへ向けた開発状況
ELSA-M(End-of-Life Services by Astroscale-Multi-Client)は、アストロスケール英国が手がける運用終了衛星の軌道上除去ミッションです。Eutelsat OneWebの通信衛星にドッキングして軌道から除去する計画で、世界初の商業デブリ除去サービスとして位置づけられています。2026年3月に欧州の宇宙企業Isar Aerospaceとの打ち上げ契約を締結し、同社のロケット「Spectrum」での打ち上げが決まっています。熱真空試験など地上試験が順調に進んでおり、2028年4月期の打ち上げを見込んでいます。
LEXI-P(Life Extension In-Orbit Prototype)は、静止軌道衛星向けの寿命延長サービス「LEXI」の初号機です。静止軌道上の衛星に接近し、軌道維持・姿勢制御・軌道傾斜角の修正などを代行することで、燃料切れ衛星の運用期間を大幅に延ばします。ハードウェアとソフトウェアの統合作業が本格化しており、サービス契約の正式締結に向けた手続きも進行中です(同決算資料)。打ち上げは2028年4月期を見込んでいます。
4大ミッションの打ち上げはいずれも2027〜2028年4月期に集中しています。この2年間の進捗が、アストロスケールの株価の方向性を大きく左右する最重要変数と言えるでしょう。
ミッションの進捗を踏まえたうえで、今回の最大のニュースであるスカパーJSATとの資本業務提携の意味を深掘りします。
第4章|スカパーJSATとの資本業務提携|静止軌道衛星市場が生む巨大ビジネス
スカパーJSATの参画は単なる出資ではなく、アストロスケールが「サービスを売れる会社」へ転換したことを意味します。その市場規模と競合環境を整理します。
なぜスカパーJSATが約8億円を出資したのか
2026年5月19日、アストロスケールとスカパーJSATは戦略的パートナーシップの締結と、スカパーJSATによる約8億円の資本参加を発表しました(アストロスケール公式ニュース 2026年6月9日付)。スカパーJSATはアジア最大級の衛星通信事業者として静止軌道に17機の衛星を保有・運用しており、日本・アジア全域の衛星放送・通信・ブロードバンドサービスを支える重要なインフラ企業です。
スカパーJSATが出資した最大の理由は、自社が保有する静止軌道衛星の「燃料切れ問題」を解決する手段を確保することです。静止軌道衛星(地球から約3万6,000kmの高軌道を回る通信・放送衛星)は一機あたり数百億円の建造コストがかかりますが、燃料が尽きると運用できなくなり廃棄するしかありません。アストロスケールのLEXI-Pが実用化すれば、この損失を大幅に抑えられます。つまりスカパーJSATにとってこの出資は「将来の主要サービス仕入れ先を確保する合理的な戦略投資」であり、アストロスケールにとっては「大口顧客候補が正式に手を挙げた」ことを意味します。
静止軌道衛星の寿命延長市場と競合Northrop Grummanとの比較
静止軌道衛星の寿命延長市場では、すでに米国のNorthrop Grummanが「MEV(Mission Extension Vehicle、ミッション延長ビークル)」を実用化し、複数の商業衛星へのドッキング実績を積み上げています。アストロスケールが同市場に参入する際には、このMEVとの差別化が問われます。
アストロスケールのLEXI-Pが狙う差別化ポイントは、コスト競争力と日本・アジア市場への親和性です。静止軌道衛星は通常15〜20年の設計寿命を持ちますが、LEXI-Pによって5〜10年の延命が可能になれば、数十億円の延命サービス料でも衛星事業者にとって十分ペイします。私がこの市場を調べて感じたのは、「Northrop GrummanはあくまでNATO圏・西側向けのサービス」という印象で、アジア太平洋圏では日本発のアストロスケールが地政学的な優位性を持ちうるという見方もできます。
アジア太平洋地域での世界標準獲得シナリオ
アストロスケールとスカパーJSATの提携が持つ最大の意義は、「日本発の宇宙インフラサービスがアジア太平洋地域の標準を目指す」という道筋が見えてきた点です。スカパーJSATとのLEXI-P実証が成功すれば、アジア域内の衛星事業者への横展開が現実味を帯びます。
アストロスケール代表取締役会長の岡田光信氏は、アストロスケール公式ニュース(2026年6月9日付)において「スカパーJSATとのパートナーシップは、日本発の宇宙インフラサービスが世界市場に打って出る重要な一歩」と述べており、国内需要にとどまらないグローバル展開への強い意志を示しています。この姿勢と資本提携の実績が積み重なることで、アストロスケールの国際的な信頼性はさらに高まる可能性があります。
パートナーシップの意義を把握したところで、最終章では株価の今後の見通しを具体的に整理します。
第5章|アストロスケール(186A)株価の今後の見通し
アナリスト評価・財務指標・外部環境の3軸から、株価の今後の方向性を整理します。断定は避けつつ、投資判断の軸となるチェックポイントをお伝えします。
アナリスト目標株価・PBR・2027年4月期業績予想を整理する
私が2026年7月7日時点でIFIS株予報(kabuyoho.ifis.co.jp)を確認したところ、アナリストの平均目標株価は1,650円前後(2026年4月20日時点での引き上げ後)という数字が示されていました。同日の株価は1,141円(前日比▲90円、▲7.31%)と大きく下落しており、目標株価との乖離は相応に大きい状態です。
財務指標では、PBR(株価純資産倍率)が約20.72倍(2026年7月7日時点、Yahoo!ファイナンス)と、通常の製造業と比較して極めて高い水準にあります。これはアストロスケールが現在の純資産以上に「将来の成長可能性」を市場から評価されていることを意味します。一方でEPS(1株あたり利益)は▲78.00円(2027年4月期予想)と赤字が続く見通しで、PERは算出不能な状態です。赤字続きの宇宙ベンチャーとして、バリュエーション(企業価値評価)の根拠はあくまで「将来のキャッシュフロー期待」に依存しています。
AIRSイニシアティブと宇宙デブリ規制が株価に与える追い風
AIRSイニシアティブ(Atmospheric Impact from Reentry and Spacecraft)は、アストロスケールが2026年6月9日に主導・招集した新たな業界横断イニシアティブです(アストロスケール公式ニュース 2026年6月9日付)。宇宙機の大気圏再突入が地球大気に与える化学的影響(金属蒸気による大気汚染など)を、Planet社やサウサンプトン大学と共同で科学的に解明することを目的としています。
このイニシアティブが株価に与える直接的な影響は限定的ですが、国際規制・政策の議論をアストロスケールが主導するポジションを確立することで、将来的な事業受注や政府案件獲得において優位性を持つ可能性があります。宇宙デブリ規制が各国で厳格化されるほど、軌道上サービスの義務化・標準化が進み、アストロスケールの市場機会が拡大すると考えられます。
楽観シナリオと悲観シナリオ|投資判断の軸となるチェックポイント
楽観シナリオでは、2027〜2028年に予定する4大ミッションが順次成功し、防衛・民間双方からの継続受注が始まることで、2028年4月期以降に営業赤字が急速に縮小します。スカパーJSATへのLEXI-P実証成功がアジア衛星事業者への横展開につながり、売上収益が年間数百億円規模へ成長するシナリオです。この場合、株価はアナリスト目標株価の1,650円を超える上昇が期待できるでしょう。
悲観シナリオでは、ミッションの打ち上げ延期や技術トラブルが重なり、収益化が想定より2〜3年遅れます。赤字が長期化すれば追加の資金調達が必要になり、既存株主への希薄化(発行済み株数が増えることで1株あたりの価値が下がること)リスクも高まります。現在の株価水準(1,100〜1,200円台)は、2027〜2028年のミッション成功をある程度織り込んでいるとみられるため、失敗ニュースへの下落幅は大きくなる可能性があります。
| チェックポイント | 確認タイミング | 株価への影響 |
|---|---|---|
| APS-R打ち上げ・補給成功 | 2027年4月期 | 大幅プラス(防衛受注の信頼性確立) |
| ADRAS-J2デブリ捕獲成功 | 2027年度 | プラス(世界初の技術実証) |
| LEXI-Pサービス契約締結 | 2027〜2028年 | 大幅プラス(民間収益化の具体化) |
| ミッション延期・追加資金調達 | 随時 | マイナス(希薄化・信頼性低下) |
5つの章で見てきた情報を総括し、最後にアストロスケール(186A)との向き合い方をまとめます。
まとめ|アストロスケール(186A)株価の今後をどう見るか
アストロスケール(186A)は、宇宙デブリ問題という地球規模の課題に専業で挑む唯一の民間企業として、2026年に大きな転換点を迎えています。2026年4月期決算での売上総利益初黒字化・306億円調達・スカパーJSATとの資本業務提携は、「実証フェーズから収益フェーズへの移行」が着実に進んでいることを示しています。一方で営業赤字は続いており、2027〜2028年のミッション成否が株価の方向性を大きく左右します。
- 地球軌道には2万7,000個超のデブリが飛び交い、宇宙デブリ除去サービスは今や政策的急務となっている。
- 2026年4月期は売上収益+141.8%・売上総利益が初黒字化し、営業損失も前期の187.5億円から99.7億円へ大幅縮小した。
- 4大ミッション(APS-R・ISSA-J1・ELSA-M・LEXI-P)はいずれも2027〜2028年4月期の打ち上げを目指して開発が進んでいる。
- スカパーJSATの約8億円出資は「大口顧客候補が正式に手を挙げた」ことを意味し、事業化の蓋然性が高まった。
- アナリスト平均目標株価は約1,650円(IFIS株予報)で現在株価を上回るが、2027年4月期も96〜106億円の赤字予想が続く点には注意が必要。
ただし、投資する際は各社の業績・財務状況・市場環境を総合的に判断することが大切です。
次の大きな注目イベントは2027年度のAPS-R打ち上げとADRAS-J2の打ち上げです。IR情報を定期的にチェックしながら、ご自身のリスク許容度に合った判断を積み上げていきましょう。
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本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。 投資判断はご自身の責任において行ってください。
掲載データは執筆時点(2026年7月7日)の情報に基づいており、 最新情報は各社IR・ EDINET・ 金融庁・ 東証 にてご確認ください。
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