日本を代表する株価指数のひとつ、東証株価指数(TOPIX)が、いま大きな転換点を迎えています。 2022年から始まった改革の第1弾では、約2,200社から約1,700社へと銘柄数が絞り込まれましたが、 2026年10月からスタートする第2弾では、さらなる大幅な削減が現実味を帯びています。 新ルールでは「売買代金回転率」の基準を満たさない不活発な銘柄が除外されるうえ、 浮動株ベースの時価総額で上位97%以内という相対評価へと選定方式が転換。 当初の想定は約1,150銘柄でしたが、AI関連株やキオクシア・村田製作所など大型株の株高が加速し、 「1,000社割れ」も現実的なシナリオとして浮上してきました。 上位銘柄が時価総額の97%を占める枠を少ない社数で埋めてしまうため、 中小型株が押し出される構造です。 この改革は2028年7月にかけて段階的に進み、スタンダード市場やグロース市場の銘柄にも波及します。 TOPIX連動の投資信託や年金信託を保有する投資家にとっても、 指数の中身が激変する今こそ、改革の全容を正しく理解しておく必要があります。
この記事でわかること
- TOPIX改革第2弾の新ルール(相対評価・97%基準)の仕組みと影響範囲
- AI関連株の高騰が「1,000社割れ」を引き起こすメカニズム
- キオクシア・村田製作所など大型株の急騰が中小型株に与える構造的影響
- TOPIX連動ファンド・年金信託保有者が今すぐ確認すべきポイント
- 2026年〜2028年にかけての段階的改革スケジュールと対応の考え方
目次

第1章|TOPIX改革とは何か|第1弾から第2弾への流れ
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旧東証1部全社採用から始まった経緯と第1弾の概要
みなさんは「TOPIX(トピックス)」という言葉を聞いたことがありますか? TOPIXとは「東証株価指数(Tokyo Stock Price Index)」の略で、日本の株式市場の全体的な動きを示す代表的な指数です。日経平均株価が選ばれた225社の株価をもとに計算されるのに対し、TOPIXはもともと旧東証1部に上場していたほぼすべての会社が含まれる、より広い範囲をカバーする指数として知られてきました。
ところが、2022年4月に東京証券取引所(東証)が市場の区分けを大きく変えました。それまであった「東証1部」「東証2部」「マザーズ」「JASDAQ」という4つの市場を、「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」という3つに再編したのです。この大きな変化をきっかけに、TOPIXそのものも「本当に投資に役立つ指数にしよう」という改革が始まりました。
改革の第1弾(2022年10月〜2025年1月)では、「流通株式の時価総額が100億円以上」という条件が設けられました。この条件を満たせない、つまり市場で実際に売買されている株の価値が小さい会社はTOPIXから外されることになりました。その結果、約2,200社あった構成銘柄は約1,700社まで減少しました。約500社が一気に除外されたことになります。
TOPIX改革の第1弾は「絶対評価」でした。つまり、どんな株でも「流通時価総額100億円以上」という固定の基準さえ満たせばOKというシンプルなルールでした。第2弾ではこのルールが大きく変わります。
第2弾で導入される「売買代金回転率」基準の意味
2026年10月からスタートするTOPIX改革の第2弾では、評価のルールがより厳しく、そして複雑になります。新たに加わる基準のひとつが「売買代金回転率」です。売買代金回転率とは、ある会社の株がどれくらい活発に売買されているかを示す指標で、「年間の売買代金 ÷ 時価総額」で計算されます。
たとえば、時価総額100億円の会社があったとして、1年間の売買代金合計が5億円しかなければ回転率はわずか5%です。これは「ほとんど誰も売買しない株」を意味します。このような流動性の低い株を指数に含め続けることは、ETF(上場投資信託)や年金などの運用に支障をきたす原因になります。投資信託の中身を変えようとしても、売買できる相手がいなければ取引できないからです。
第2弾の改革では、この売買代金回転率が一定水準(年間売買代金回転率0.2倍以上などが基準として議論されています)を下回る銘柄は、TOPIXへの継続参加が認められなくなる可能性があります。「多くの人が関心を持って売買する活発な株だけを指数に残す」という考え方に基づいています。これは、TOPIXを「投資しやすい指数」へと生まれ変わらせるための重要な一手です。
絶対評価から相対評価へ|97%ルールの仕組み
第2弾の最大の変化は「評価方法」が絶対評価から相対評価に切り替わる点です。新しいルールでは、「浮動株ベースの時価総額の大きい順に上から97%以内」に入っている銘柄だけがTOPIXに残れます。これが「97%ルール」です。
わかりやすく説明すると、TOPIXに参加している会社を時価総額の大きい順に並べて、上から数えて97%のところまでを合計した時価総額が、全体の時価総額のちょうど97%になるような会社の数が「採用銘柄数」になります。残り下位3%の時価総額を担う小さな会社たちは除外されます。
この方式の特徴は、大型株が値上がりすれば、自動的に中小型株が押し出される仕組みになっていることです。たとえば、キオクシアHD(元東芝メモリ)のように、AI関連の需要急増で時価総額が急上昇した会社が増えると、上位97%を少ない銘柄数で達成できてしまうため、その分だけ「席」が減り、中小型株が弾き出されることになります。
| 項目 | 第1弾(2022〜2025年) | 第2弾(2026年〜) |
|---|---|---|
| 評価方式 | 絶対評価 | 相対評価 |
| 主な基準 | 流通時価総額100億円以上 | 売買代金回転率+上位97%ルール |
| 銘柄数の変化 | 約2,200社 → 約1,700社 | 約1,700社 → 1,000社前後 |
| 対象市場 | 主にプライム市場 | 全市場(スタンダード・グロースも含む) |
この第1章で押さえておくべき核心は、「TOPIX改革は単なる銘柄の減少ではなく、日本の株式市場の質を変える大改革である」ということです。約110兆円(2024年3月末時点)ものパッシブ運用資金がTOPIXに連動していることを考えると、この改革が日本の株式市場全体に与える影響は計り知れません。次章では、その改革を加速させた意外な主役、AI関連株の急騰について深掘りしていきます。
第2章|AI関連株の高騰がTOPIX採用ハードルを押し上げる理由
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キオクシア・村田製作所など大型株が時価総額に与えるインパクト
2024年から2026年にかけて、日本の株式市場では目を見張るような大型株の株価上昇が相次ぎました。その最たる例が、NAND型フラッシュメモリの世界的メーカーであるキオクシアホールディングスです。2024年12月に東証へ上場した際の時価総額はおよそ8,600億円でしたが、世界的なAI需要の爆発的な拡大を背景に、データセンター向けのメモリ需要が急増し、株価は一時上場時の約10倍以上にまで跳ね上がりました。時価総額は最大で5〜6兆円規模にまで膨らんだとも報じられています。
同様に、電子部品大手の村田製作所も2026年に入って株価が急騰しました。AI向けデータセンターのサーバー基板に欠かせない積層セラミックコンデンサ(MLCC)などの需要が膨らんだことが追い風になり、2026年に月間で87%もの株価上昇を記録したとも伝えられています。時価総額は最大で4倍以上に膨れあがりました。
これらの大型株の急騰は、一見するとポジティブなニュースです。しかし、TOPIX改革の「97%ルール」のもとでは、これが中小型株にとっての大きな脅威になります。なぜなら、大型株の時価総額が急増すると、より少ない会社数で全体の97%を占めてしまうからです。椅子の数(採用銘柄数)が減るイメージと理解するとわかりやすいでしょう。
97%の「椅子」が少ない銘柄で埋まる構造的メカニズム
97%ルールの仕組みをもっと具体的に考えてみましょう。仮に、TOPIX全構成銘柄の時価総額合計が1,000兆円だとします。このとき「上位97%」とは、時価総額の大きい順に会社を並べて、その合計が970兆円に達するまでの会社を採用するということです。
ここで、キオクシアや村田製作所など一部の大型株の時価総額が急騰したとします。例えば上位50社の時価総額が合計で500兆円を占めるようになったとしましょう。すると、残りの920兆円(全体の97%)を達成するために必要な会社の数は、それほど多くなくなります。970兆円の大部分を少数の大型株が占めてしまうからです。
これが「採用ハードルが上がる」正体です。大型株が急騰すれば急騰するほど、中小型株が割り込める「席」は自動的に減っていきます。日本生命保険系の調査機関・ニッセイ基礎研究所が2026年5月末時点で行った試算では、次期TOPIXの構成銘柄数が984銘柄と、ついに1,000社を下回る見込みであることが明らかになりました。これは当初の想定だった1,100〜1,200銘柄を大きく下回る数字です。
JPX総研(日本取引所グループ傘下の研究機関)による試算は、次のように下方修正を続けています。
2024年8月時点の試算:約1,150銘柄
2026年3月末時点の試算:約1,050銘柄
2026年5月末時点の試算:984銘柄(1,000社割れ)
わずか2年足らずで200社以上も下振れた背景には、AI・半導体株の予想を超えた高騰があります。
JPX総研の想定銘柄数が下方修正され続ける背景
JPX総研が繰り返し試算を下方修正せざるを得ないのは、AI・半導体ブームの広がりが当初の予想をはるかに上回るスピードで進んでいるからです。2022年末にChatGPTが公開されて以来、世界中でAI技術の活用が急速に拡大し、それを支えるデータセンターへの投資が爆発的に膨らみました。日本のメーカーも、半導体・電子部品・サーバー関連の需要増を直接受ける形で業績が急改善し、株価上昇が加速しました。
さらに、銀行株の上昇も見逃せない要因です。日本銀行が2024年以降、長期間続けてきたマイナス金利政策を解除し、金利が上昇に転じたことで、銀行・保険・証券などの金融株が大幅に値上がりしました。メガバンクをはじめとする金融大手の時価総額が膨らんだことも、指数の上位層を厚くする方向に働きました。
注目すべきは、ニッセイ基礎研究所のレポートが指摘するように、継続候補と除外候補の浮動株時価総額の中央値には約10倍の開きがあるという事実です。これは、採用・除外を分けるラインが非常に明確であることを意味します。そして、今後の構成銘柄数は「大型株集中が続くか、中小型株へ物色が広がるか」によって変わるとされており、特に8月末の基準日前後の株価動向が鍵を握っています。今まさに、日本の株式市場の地図が描き変えられているのです。
第3章|1,000社割れが現実になるとき|中小型株への影響
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除外される銘柄の特徴と流動性の低い中小株が直面するリスク
TOPIX改革の第2弾で除外される可能性が高い銘柄には、どのような特徴があるのでしょうか。ニッセイ基礎研究所のレポートによると、除外の主な要因は「規模」であり、業績の良し悪しよりも時価総額や売買の少なさが大きく影響するとされています。つまり、経営状態は悪くなくても、規模が小さくて市場での存在感が薄い中小企業の株が弾き出される可能性があるのです。
具体的には、スタンダード市場やグロース市場に上場している、時価総額が数十億〜数百億円規模の小さな会社の株が除外候補に挙がりやすくなります。こうした銘柄は、TOPIX改革の前は「TOPIXに組み込まれているから」という理由で、インデックスファンドや年金基金が機械的に保有してくれていました。しかし除外されると、約110兆円のパッシブ運用資金から一斉に売りが出る可能性があり、株価が急落するリスクが生じます。
第1弾でTOPIXから除外された423銘柄では、機関投資家の保有比率が低下し、代わりに個人投資家の保有比率が上昇したことが確認されています。これは、機関投資家がインデックスに連動して機械的に売ったあとを、個人投資家が拾う形になったことを示しています。第2弾ではその規模がさらに大きくなるため、中小型株を保有する個人投資家にとっても無視できない問題となります。
| リスクの種類 | 内容 | 影響を受ける主体 |
|---|---|---|
| パッシブ売り圧力 | インデックスファンドが除外銘柄を売却 | 中小型株保有者 |
| 流動性の低下 | 機関投資家が離れ、売買が成立しにくくなる | 中小企業、個人投資家 |
| 資金調達難 | 株価下落により増資が困難になる可能性 | 除外対象の上場企業 |
| 上場廃止リスク | 株価低迷が続くと上場維持基準を下回る恐れ | 規模の小さな上場企業 |
スタンダード市場・グロース市場への波及と段階的スケジュール
TOPIX改革の第2弾は、2026年10月に最初の定期入替が実施され、その後2028年7月まで段階的に進みます。除外が決まった銘柄は一気に外されるのではなく、2026年10月から8回に分けて12.5%ずつウェイト(指数内での比重)が低減されていく仕組みです。これにより急激な売り圧力が一時に集中することを防ぎ、市場への影響を和らげる設計になっています。
さらに、第2弾の大きな特徴は対象が「プライム市場だけ」ではなくなることです。スタンダード市場やグロース市場に上場する銘柄も対象に含まれます。同時に、これらの市場から新たにTOPIXに採用される銘柄も出てきます。JPX総研の試算によると、スタンダードとグロース市場から合わせて約50銘柄が新規採用される見込みとされています。
2028年7月の改革完了時点では、TOPIXの構成銘柄数は約1,200銘柄と、2022年4月の旧東証1部時代と比べてほぼ半数近くにまで絞り込まれる予定です。「誰でも入れる大きな網」だったTOPIXが、「質の高い銘柄だけを厳選した精鋭集団」へと生まれ変わる大変革です。
TOPIX除外後に株価はどう動くか|過去事例からの示唆
過去の事例から、TOPIX除外が決まった銘柄の株価はどう動く傾向があるのでしょうか。第1弾でTOPIXから除外された銘柄の動向を見ると、除外が公表された後から徐々に売り圧力が高まり、実際に除外が実施される日(ウェイト低減の最終回)にかけて株価が軟調に推移するケースが多く見られました。
ただし、すべての除外銘柄が下がり続けるわけではありません。一部の銘柄では、除外が完了してパッシブ売りが出尽くした後に、割安感を見込んだ個人投資家や短期投資家が買いを入れて株価が反発するケースもあります。特に業績がしっかりしている会社や、独自技術・独占的なビジネスを持つニッチな優良企業は、TOPIX除外後も安定した株価を維持する例があります。
一方、流動性が極めて低い銘柄は、除外後に売り手だけが増えて買い手が現れず、株価が大きく下落するリスクがあります。こうした銘柄に投資している場合は、改革のスケジュールを事前に確認し、自分のポートフォリオに含まれているかどうかをチェックしておくことが重要です。次章では、こうした変化が投資家や運用会社にどのような実務的な影響をもたらすかを詳しく見ていきます。
第4章|TOPIX改革が投資家・ファンド運用に与える実務的影響
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インデックスファンド・ETFのリバランス需要はどう変わるか
TOPIX改革が投資の世界に与える最も直接的な影響のひとつが、インデックスファンドやETF(上場投資信託)の「リバランス」です。リバランスとは、ファンドの保有銘柄や比率を指数の構成に合わせて調整する作業のことです。TOPIXに連動する運用資産は約110兆円(2024年3月末時点)に達しており、これほどの規模の資金が一斉に動けば、個々の銘柄の株価に大きな影響を与えます。
第2弾では除外銘柄のウェイトが8回に分けて12.5%ずつ段階的に引き下げられるため、各回のリバランスのタイミング(2026年10月〜2028年7月の間、年2回程度)に合わせて売り需要が発生します。除外銘柄には計画的な売り圧力がかかる一方、新規採用銘柄やウェイトが高まる大型株には買い需要が集まります。
ETFで考えると、たとえばNISAや確定拠出年金(iDeCo)などでTOPIX連動のインデックスファンドを保有している人は、ファンド運用会社が自動的にリバランスを行うため、自分で何かする必要は基本的にありません。しかしファンドの中身が変わっていくことを認識しておくことは大切です。改革後のTOPIXは中小型株の比重が下がり、より大型株中心の指数になるため、「日本株全体に幅広く分散投資したい」と考えている人には、方針の見直しが必要になる場合もあります。
TOPIX連動ファンドを保有している場合、リバランスのタイミングで基準価額に一時的な変動が生じることがあります。ただしこれはあくまで指数変更に伴う調整であり、長期投資の観点ではパニックになる必要はありません。改革後のTOPIXはより「使いやすく質の高い指数」になるとされており、長期的にはポジティブな側面もあります。
年金信託・機関投資家がTOPIX連動資産を扱いやすくなる理由
TOPIX改革の大きな目的のひとつは、年金信託や機関投資家にとって「使いやすい指数にする」ことです。現在、TOPIXには流動性が極めて低い小さな会社の株も含まれており、インデックスに連動した運用を行う際に「その銘柄の株が市場でほとんど売買されないため、買いたいときに買えない・売りたいときに売れない」という問題が生じていました。
GPIFをはじめとする年金基金は、莫大な運用資産をTOPIXに連動させています。年金の場合、長期的かつ安定的な運用が求められるため、売買が困難な流動性の低い銘柄を多く抱えることはリスク管理上の問題になります。改革後は流動性の高い大型株が中心となるため、年金基金や機関投資家がTOPIX連動資産を運用する際の「売買コスト(トレーディングコスト)」が削減され、運用効率が改善されると期待されています。
また、外国人機関投資家にとっても、日本株への投資がしやすくなるという効果があります。海外の大手年金ファンドや投資信託は、「流動性が十分にある銘柄だけで構成された指数」を求める傾向があります。TOPIX改革によって指数の質が向上すれば、日本株への海外からの資金流入が増える可能性があり、これは日本株全体の底上げにつながるポジティブな効果として期待されています。
個人投資家が保有する投資信託への具体的な影響と確認ポイント
「自分はNISAでインデックスファンドを積み立てているだけだから関係ない」と思っている方も多いかもしれませんが、実はTOPIX改革は個人投資家にも無関係ではありません。特に、以下のケースに該当する方は注意が必要です。
- TOPIX連動型インデックスファンドを積み立てている方:ファンドの中身が自動的に変わりますが、手続きは不要です。ただし改革後は中小型株の比率が下がる点を理解しておきましょう。
- TOPIXに除外される可能性のある個別株を保有している方:売り圧力がかかるリスクがあるため、保有銘柄の時価総額や売買代金回転率を確認することをお勧めします。
- 日本株の小型株に特化したアクティブファンドを保有している方:除外銘柄を多く保有するファンドは基準価額に影響が出る可能性があります。目論見書や月次レポートで確認しましょう。
- 確定拠出年金(iDeCo)でTOPIX連動商品を選んでいる方:同様に自動リバランスが行われますが、投資方針の再確認の機会として捉えることができます。
自分の保有する投資信託や個別株がどのような影響を受けるかを確認するには、運用会社のウェブサイトや証券会社の銘柄情報ページをチェックするのが基本です。改革のスケジュールをカレンダーに記録しておき、定期的に自分のポートフォリオを見直す習慣をつけることが、長期投資で安定した結果を出すための第一歩となります。
第5章|TOPIX改革を活かす投資戦略と今後の注目ポイント
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採用候補銘柄と除外候補銘柄を見極める視点
TOPIX改革は、株式投資において「知っている人が有利になれる」数少ない機会のひとつです。改革のスケジュールと選定基準を理解することで、採用が見込まれる銘柄や除外リスクのある銘柄をある程度把握することができます。
採用候補として注目されるのは、スタンダード市場やグロース市場の中でも「売買代金回転率が高く、時価総額が成長傾向にある」銘柄です。現行のTOPIXには含まれていないが、第2弾の新基準をクリアできると見込まれるこうした銘柄には、採用が正式決定されると大規模なインデックスファンドからの買いが入ることが期待されます。これを「採用プレミアム」と呼ぶ投資家もいます。
一方、除外リスクのある銘柄を見極める際のポイントは次の3つです。①現在の浮動株時価総額が小さい(目安として数十〜百数十億円規模)、②年間売買代金が時価総額と比べて極めて少ない(回転率が低い)、③業種・ビジネスモデルがAI・半導体といった成長分野と無関係な伝統的な内需業種。これらの条件が重なる銘柄は、除外リスクが相対的に高いと考えられます。
✅ 採用候補の特徴:スタンダード・グロース市場上場、売買代金回転率が高い、時価総額が成長中、AI・半導体・金融関連
❌ 除外候補の特徴:流動性が低い、時価総額が数十億円規模、売買がほとんど行われない、成長ストーリーが描きにくい業種
AI株・大型成長株の比重が高まる新TOPIXへの対応策
改革後のTOPIXは、AI関連株や半導体株などの大型成長株の比重が高まる指数へと変貌します。これは、TOPIXが「日本版S&P500」に近い性格を持つようになることを意味します。米国のS&P500がGAFAMやエヌビディアなどの超大型テック株で構成の多くを占めるように、新TOPIXもキオクシア・村田製作所・ソフトバンクグループ・トヨタ自動車などの大型株の影響を強く受ける指数になっていきます。
この変化への対応策として、いくつかのアプローチが考えられます。まず、TOPIX連動ファンドをそのまま保有し続けるのは依然として合理的な選択です。質の高い銘柄に絞られることで、長期的には指数のパフォーマンスが安定しやすくなるという見方もあります。次に、TOPIXだけでなく日本株の小型株指数(例:東証REIT指数やTOPIX Small)への分散も検討できます。改革後のTOPIXがカバーしなくなる中小型株の投資機会を、別の手段で補完するイメージです。
さらに、アクティブ運用と組み合わせる戦略も有効です。TOPIX改革によって「TOPIXからは外れるが、実力のある優良中小型株」が割安になるチャンスも生まれます。こうした銘柄を個別に発掘できるアクティブファンドや、自分で個別株投資をする際の銘柄選定の視点として活用することで、改革の混乱期をむしろ好機として捉えることができます。
2028年改革完了後を見据えた中長期ポートフォリオの考え方
TOPIX改革は2028年7月に一区切りを迎えます。しかし、それは「終わり」ではなく「新たなTOPIXの始まり」です。改革完了後のTOPIXは、毎年定期的に銘柄の入れ替えが行われる「生きた指数」として機能します。成長企業が次々と採用され、競争力を失った企業は除外されていくサイクルが生まれます。
中長期のポートフォリオを考えるうえで重要なのは、「TOPIXに採用され続けるための条件を満たし続けられる企業に投資する」という視点です。具体的には、ROE(自己資本利益率)が高く稼ぐ力があること、時価総額が継続的に成長していること、売買が活発で市場の評価が高いことが挙げられます。これらは結局、良い会社を選ぶための基本的な投資原則と重なります。
最後に大切なことをお伝えします。TOPIX改革は、日本の株式市場が「量から質へ」シフトする歴史的な転換点です。投資初心者の方も、この改革の全体像を理解することで、より賢い投資判断ができるようになります。改革のスケジュールを把握し、自分のポートフォリオを定期的に見直す習慣をつけることが、これからの日本株投資で長期的な成果を上げるための最も重要なステップとなるでしょう。
| 時期 | 改革の内容 | 投資家への影響 |
|---|---|---|
| 2026年10月 | 初回定期入替(第2弾スタート) | 除外銘柄への売り圧力・採用銘柄への買い圧力が発生 |
| 2026年〜2028年 | 8回に分けてウェイト段階的低減 | リバランスのたびに需給変動が発生 |
| 2028年7月 | 改革第2弾完了・約1,000銘柄体制へ | 新TOPIXが大型株中心の精鋭指数として確立 |
| 2028年以降 | 毎年10月に定期入替が継続実施 | 「生きた指数」として毎年注目イベントが発生 |
まとめ|TOPIX改革を正しく理解して投資判断に活かす
ここまで5つの章にわたって、TOPIX改革の全体像をていねいに解説してきました。最後にもう一度、大切なポイントを整理しておきましょう。
- TOPIX改革は「絶対評価から相対評価(97%ルール)」へのシフトが最大のポイント
- AI関連株・半導体株の急騰が採用ハードルを押し上げ、1,000社割れが現実的に
- 中小型株には売り圧力、大型成長株や採用新規銘柄には買い圧力が働く構造
- 約110兆円のパッシブ運用資金が動くため、個人投資家も無関係ではない
- 2026年10月〜2028年7月の段階的な改革スケジュールを把握しておくことが重要
難しく聞こえるかもしれませんが、要は「日本の株式市場がより使いやすく・質の高い市場に変わっていく大改革」です。怖がる必要はありません。むしろ、この改革を「チャンス」として捉えることができます。除外銘柄を事前に避け、採用有望株に目を向け、改革後の新TOPIXを軸にした長期ポートフォリオを設計することで、他の投資家よりも一歩先を行く投資ができます。
大切なのは「知ること」と「行動すること」です。まずは自分の保有している投資信託や個別株が、TOPIX改革でどんな影響を受けるかを確認してみてください。そのひとつの行動が、10年後・20年後の資産形成に大きな差をもたらすかもしれません。今日この記事を読んだあなたなら、きっとその一歩を踏み出せるはずです。
1. 保有する投資信託・ETFがTOPIX連動かどうかを確認する
2. 保有している個別株の時価総額と売買代金回転率を調べる
3. TOPIX改革の公式情報(JPX公式サイト)をブックマークし、2026年10月前後のニュースをチェックする
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