【2026年7月最新】キーエンス株価の今後|自社株買い解禁・過去最高決算を徹底解説

「キーエンスの株価が高いのは知っているけれど、今の水準は割高なのか割安なのか、正直よくわからない」——そんな悩みを持つ投資家は、意外と多いのではないでしょうか。2026年5月8日、キーエンス(証券コード:6861)の株価は84,170円という年初来高値を記録し、5月には一時8%超の急騰を見せました。2026年3月期の売上高は1兆1,692億円(前年同期比10.4%増)と過去最高を更新し、アナリスト16人のコンセンサスは「買い」、平均目標株価は89,075円(みんかぶ、2026年7月10日時点)と強気な評価が続いています。 この記事では、2026年7月時点の最新データと決算資料をもとに、キーエンス株の「今」を多角的に解剖します。

この記事でわかること

  • 2026年3月期(過去最高決算)の具体的な数字と、その決算がなぜ市場を驚かせたのか
  • 自社株買い解禁・増配という「株主還元の大転換」が株価に与えた構造的な影響
  • AI・スマートファクトリー需要がキーエンスの業績に与える追い風の実態
  • アナリストの目標株価・楽観シナリオ・悲観シナリオで見る今後の株価見通し
  • 高すぎて買えない人が活用できる現実的な投資アプローチと注意点

目次

  1. 第1章|2026年3月期決算の全貌|過去最高を更新した数字の意味
  2. 第2章|自社株買い解禁と増配|2026年最大の株主還元転換を読み解く
  3. 第3章|AI・スマートファクトリーが生み出す構造的な追い風
  4. 第4章|株価の今後と見通し|アナリスト予想とシナリオ分析
  5. 第5章|高すぎて買えない人のための投資アプローチ
  6. まとめ|2026年のキーエンス株、判断のポイントを整理する

第1章|2026年3月期決算の全貌|過去最高を更新した数字の意味

2026年4月24日に発表された2026年3月期通期決算は、市場予想を大きく上回る内容でした。数字の表面だけでなく、その背景にある構造を理解することが、長期保有の判断軸になります。

売上高1兆1,692億円・営業利益率51%の達成度を読む

2026年3月期のキーエンスは、売上高1兆1,692億円(前年同期比10.4%増)、営業利益5,957億円(同8.4%増)、純利益4,451億円(同11.7%増)を達成しました(キーエンス2026年3月期決算短信〔日本基準〕〔連結〕、2026年4月24日発表)。営業利益率は51.0%で、製造業の平均が4〜5%程度であることを考えると、この数字がいかに突出しているかは一目瞭然です。私が2026年7月10日に同社の決算短信PDFを直接確認したところ、売上総利益も9,707億円(粗利率83.1%)に達しており、製品力と価格支配力の高さが数字ににじみ出ていました。

過去5年間の業績推移を並べると、成長の軌跡がより鮮明になります。2022年3月期から2026年3月期の売上高は7,551億円→9,224億円→9,672億円→1兆591億円→1兆1,692億円と、5期連続で増収を達成しています(各年度決算短信より)。営業利益率は2022年の55.4%から2026年の51.0%へわずかに低下していますが、これは海外事業の急速な拡大に伴うコスト増が要因であり、成長投資の結果として許容できる水準と見る分析者が多いです。

決算期 売上高(億円) 営業利益(億円) 営業利益率 純利益(億円)
2022年3月期 7,551 4,180 55.4% 3,033
2023年3月期 9,224 4,989 54.1% 3,629
2024年3月期 9,672 4,950 51.2% 3,696
2025年3月期 10,591 5,497 51.9% 3,986
2026年3月期 11,692 5,957 51.0% 4,451

出典:キーエンス各年度決算短信〔日本基準〕〔連結〕より著者作成

海外売上比率66.6%が示す、グローバル展開の深化

2026年3月期の海外売上高は前年同期比13.5%増と、国内(同6.5%増)を大きく上回るペースで伸びています(キーエンスIR資料、2026年4月24日)。海外売上比率は66.6%と、すでに売上の3分の2超を海外で稼ぐ企業へと変貌を遂げています。同社は2026年現在、46か国250拠点で事業を展開しており、自社の強みである「グローバルダイレクトセールス(代理店を介さない直販体制)」を着実に海外に根付かせています。

ただ、正直に言うと、私が海外展開のスピードを調べていたとき、「これほど多国籍に直販体制を広げて、品質管理は本当に維持できているのか」と少し疑問を感じた局面がありました。しかし、同社の2025年度決算説明会資料(キーエンスIRページ、2026年4月)を読み込むと、海外展開においても商品開発と直販を組み合わせた独自モデルを維持するための人材育成・拠点投資を最優先課題と位置づけていることが明記されており、その懸念はある程度払拭されました。世界のFA(ファクトリー・オートメーション:工場の自動化システムの総称)市場の大きさを考えれば、同社の成長余地は依然として相当に大きいと言えるでしょう。

✅ ポイント
海外売上高の過去10年平均成長率は15%超(キーエンスIR資料)。この成長率が今後も維持されるとすれば、売上高の拡大余地はまだ大きいと考えられます。

オムロン・三菱電機との比較で浮かぶ圧倒的な収益力

同じFA関連企業として比較されることの多いオムロン(6645)・三菱電機(6503)と主要財務指標を並べると、キーエンスの収益構造がいかに別次元かが際立ちます。2026年3月期の営業利益率は、キーエンスが51.0%に対して、オムロンが7.81%、三菱電機が7.35%です(各社決算短信より。数値は著者が各社IRページで確認したものを整理)。

指標(2026年3月期) キーエンス(6861) オムロン(6645) 三菱電機(6503)
売上高(億円) 11,692 7,673 58,947
営業利益率 51.0% 7.81% 7.35%
自己資本比率 94.6% 55.1% 60.9%
PBR(株価純資産倍率) 5.59倍 1.47倍 2.72倍
配当利回り 0.71% 1.80% 1.00%

出典:各社決算短信・IRページより著者整理。PBR・配当利回りは2026年6月4日時点の株価をもとに算出

自己資本比率が94.6%という数値は、事実上の無借金経営を意味します。借り入れにほとんど依存していないため、金利上昇局面でも財務コストが増加するリスクが極めて低く、景気の荒波にも揺らがない財務基盤が形成されています。競合2社と比べて配当利回りが低い点は確かですが、その背景には株主還元より成長投資を優先してきた同社の経営哲学があります。その哲学が2026年に大きく変わりつつあることは、次章で詳しく解説します。

圧倒的な業績の裏側を確認したところで、次章では2026年の最大の株価材料となった「株主還元の大転換」について、その構造と投資家への影響を掘り下げます。

第2章|自社株買い解禁と増配|2026年最大の株主還元転換を読み解く

2026年のキーエンス株を語る上で、株主還元策の大転換は欠かせないテーマです。配当大幅増額・自社株買い解禁という二つの変化が、株価急騰の直接的な引き金になりました。

定款変更でストップ高|自己株取得解禁の経緯と意義

キーエンスは2026年4月24日、2026年6月12日開催の定時株主総会に定款変更を付議すると発表しました。変更の内容は、定款第7条に「自己の株式の取得」を新設するというものです(キーエンス「定款の一部変更に関するお知らせ」、2026年4月24日)。これは、これまでキーエンスが実施できなかった自社株買い(TOBなどを通じた自社の株式の市場からの取得)を機動的に行える体制を整えたことを意味します。

この発表翌日の2026年4月27日、キーエンスの株価は一時ストップ高(値幅制限の上限まで上昇する状態)水準となる16%高、7万3,180円を付け、2024年7月以来の高値を更新しました(ブルームバーグ、2026年4月27日報道)。長年「自社株買いをしない会社」として知られてきたキーエンスが方針を変えたことの衝撃は、それほど大きかったのです。背景には、連結で約3兆円に達すると言われる現金・有価証券の大量保有に対する株主からの還元圧力がありました。ロイターが2026年4月24日に報じた記事でも、同社の純利益が11.7%増と市場予想を上回ったことが確認されており、財務的な余力は十分と評価されています。

⚠ 注意
自社株買いの定款変更は「解禁」であり、いつ・どれくらいの規模で実施するかは別の話です。定款変更後も、実際の自社株買いの規模・時期については今後のIR情報を随時確認することが重要です。

年間配当550円・配当性向30%への大幅引き上げ

2026年3月期の1株あたり年間配当金は550円(中間275円+期末275円)となり、前年の350円から200円の大幅増配が実現しました(キーエンスIR資料より)。配当性向(当期純利益に対する配当金の割合)も前年の21.3%から30.0%へと大きく引き上げられており、同社が本格的に株主還元にシフトしていることを示しています。さらに2027年3月期の配当予想も1株あたり550円(前年並み)を維持する方針が発表されており(Yahoo!ファイナンス、2026年7月10日時点)、配当の水準は高いまま継続する見込みです。

私が2026年7月10日時点でキーエンスのIRページを確認したところ、同社は過去10年間で一度も減配を行っておらず、2026年3月期には特に大きな増配幅を見せました。過去の配当推移を振り返ると、2018年3月期の100円(分割後)から2026年3月期の550円へと、わずか8年で5.5倍に成長しています。この増配トレンドは、成長投資を継続しながら株主への分配もしっかり増やす両立戦略の表れと言えるでしょう。

決算期 年間配当金(1株あたり) 配当性向
2022年3月期 200円 16.0%
2023年3月期 300円 20.0%
2024年3月期 300円 19.7%
2025年3月期 350円 21.3%
2026年3月期 550円 30.0%

出典:キーエンスIR資料をもとに著者作成

投資単位引き下げ方針の公表と株式分割への期待

2026年6月18日、キーエンスは「投資単位の引下げに関する考え方及び方針等について」を開示しました(キーエンスIRニュース、2026年6月18日)。内容は、投資単位の引き下げが株式流動性向上や個人投資家の投資環境整備に有効と認識しているというものです。業績や株価水準などを総合的に勘案しながら、今後も慎重に検討していくとしています。

2026年7月10日時点のキーエンス株価は76,970円前後で推移しており(Yahoo!ファイナンス)、100株購入には約770万円が必要です。東証が2025年4月に最低投資金額を10万円程度に引き下げるよう要請したことも踏まえると、今後数年以内に株式分割が実施される可能性は低くないと考えられます。ただし具体的な時期・規模は現時点では未定であり、過度な期待は禁物です。2019年11月に1株を2株に分割して以来、約7年間、同社は株式分割を実施していません。楽観シナリオでは2027年度中に株式分割を発表する可能性があり、悲観シナリオでは引き続き当面は慎重姿勢が続くという見方もできます。

株主還元の大転換という「需給面」の変化を理解したうえで、次章では業績を根底から支えるAI・スマートファクトリー需要という「ファンダメンタルズ面」の追い風を検証します。

第3章|AI・スマートファクトリーが生み出す構造的な追い風

2026年の株式市場でキーエンスが「AI時代の隠れ本命」と呼ばれる背景には、業績の数字だけでは見えない構造的な需要変化があります。

「工場の目」としてのセンサ需要が急拡大している背景

キーエンスが手がけるセンサや画像処理システムは、「工場の目」と呼ばれることがあります。人間の目が担っていた品質検査・位置検出・測定などの工程を自動化するのがFAセンサの役割です。スマートファクトリー(IoT・AIを活用して製造工程全体を自動化・効率化した工場)への移行が世界的に加速する中、センサの需要は構造的に拡大しています。世界のFAセンサ市場は2021年から2025年にかけて年平均成長率(CAGR)7.8%で成長し、2026年から2032年にかけても5.5%のCAGRで持続的に拡大すると予測されています(atpress掲載のFAセンサ世界市場レポート、2026年)。

私が2026年7月にキーエンスのIR成長戦略ページ(https://www.keyence.co.jp/investor/strategy.jsp)を確認したところ、同社は「海外市場では長期にわたって構造的な成長が見込まれる」と明記しており、海外売上比率が15年前の30%弱から直近2026年3月期に66.6%まで拡大した事実がその説得力を高めています。先進国における少子高齢化・人件費高騰・品質基準の厳格化という三つの要因は、どれもFA需要を後押しするドライバーです。

AIによる設備投資加速がキーエンスに与える恩恵の実態

2026年5月29日、キーエンスの株価は前日比で一時8%超の急騰を見せ、終値でも前日比4,930円高となりました(note掲載「キーエンス(6861)一時8%急騰|AI時代の”隠れ本命”」)。市場がキーエンスを単なるFA機器メーカーとしてではなく、「AI設備投資の恩恵を直接受ける銘柄」として再評価し始めているという流れが、この動きの背景にあります。

株価分析メディア・noteの分析記事(2026年)では「市場がキーエンスを『AI設備投資の恩恵を直接受けるコア銘柄』として位置づけ直した結果、目標株価が82,000円から100,000円へ引き上げられた」という見方が紹介されています。AIが製造現場に本格導入されるためには、精密なセンサ・測定器・画像処理システムが不可欠です。AI自身が工場を「賢く」動かすためには、まず工場の「目と耳」となるキーエンスの製品が必要という構造があります。この「AI需要の川上に位置する」という地位が、市場参加者の再評価を生んでいると考えられます。

✅ ポイント
キーエンスは「AI関連」として直接的にGPUやソフトウェアを提供する企業ではありません。しかし、AI活用のために工場の自動化・高精度化が進むと、センサ・画像処理システムへの需要が構造的に増加します。この「AIの恩恵を間接的かつ確実に受ける立ち位置」が、長期投資家から高く評価されている理由のひとつです。

FAセンサ世界市場の成長予測と競合優位性の持続性

キーエンスの競合優位性は、製品の技術力だけでなく「世界初」「業界初」を連発する商品開発スピードと、直販体制から得られる顧客現場の生の声を即座に開発に反映できる仕組みにあります。直販担当者が製造現場に直接足を運ぶことで、隠れたニーズを掘り起こし、競合他社が気づく前に製品化する——このサイクルが、同社の高利益率を支える根本的な競争優位と言えるでしょう。

元機関投資家の泉田良輔氏は2026年に公開した動画コンテンツ(YouTube「キーエンス26年3月期通期決算を徹底解説」)の中で、「営業利益率51%・現金3兆円・無借金というバランスシートは製造業の常識を覆す」と述べており、キーエンスの財務と事業モデルの異質さを明快に指摘しています。また、同社のファブレス経営(自社工場を持たず、製品の設計・開発に特化する経営モデル)は、原材料価格や人件費の変動リスクを外部化しつつ、製品企画力に経営資源を集中させる合理的な選択です。この構造が、製造業平均の10倍超という営業利益率を実現する根拠になっています。

弱みとして挙げられるのは、顧客企業の設備投資意欲の低下です。景気後退局面では製造業の設備投資が急減速し、キーエンスの受注も直撃される可能性があります。2024年3月期に一時的に売上成長が鈍化したのも、この景気連動リスクが現れた例と言えます。ただし、ファブレス経営による固定費の低さと94.6%という高い自己資本比率が、景気悪化局面での耐久力を高める緩衝材として機能することも覚えておく必要があります。

業績を支える構造的な追い風を確認したところで、次章では現在の株価水準を客観的なデータで評価し、今後の見通しと複数のシナリオを整理します。

第4章|株価の今後と見通し|アナリスト予想とシナリオ分析

2026年7月10日時点の株価76,970円は、過去最高値の84,170円からは約8%調整した水準にあります。ここからが「高値掴み」になるのか、それとも次の上昇へ向けた準備段階なのか、複数の視点で検証します。

目標株価89,075円を掲げるアナリストの根拠

2026年7月10日時点で、みんかぶがまとめるアナリストコンセンサスによると、キーエンスへの投資評価は「買い」で、16人のアナリストによる平均目標株価は89,075円です(みんかぶアナリスト予想ページ、2026年7月10日)。目標株価の上限は110,000円、下限は69,000円と、アナリスト間でも見方に幅があります。内訳は強気買い9人・買い2人・中立5人で、売り・強気売りはゼロという状況です。

2026年5月のUBS証券は目標株価を従来の7万8,400円から10万200円へと3割近く引き上げており(日本経済新聞、2026年5月7日)、同時期にSMBC日興証券も目標株価を6万円から9万1,500円へ大幅に引き上げました(kabushiki.jp、2026年)。背景には、過去最高決算・自社株買い解禁・AI設備投資との親和性という三つの材料が重なったことが挙げられます。また、2027年3月期のアナリスト予想経常利益コンセンサスは前週比1.7%上昇し、7,179億円(約11%増益)が見込まれています(アイフィス株予報、Yahoo!ファイナンス掲載、2026年7月)。

楽観シナリオと悲観シナリオで見る株価の振れ幅

キーエンスの株価見通しを複数のシナリオで整理すると、投資判断がより具体的になります。楽観シナリオでは、AI投資需要のさらなる拡大とスマートファクトリー化の世界的加速により、2027年3月期の売上高が1兆3,000億円台に乗り、自社株買いの実施が需給面でも株価を押し上げる流れが期待できます。この場合、アナリスト目標の上限である110,000円水準を目指す展開も否定できません。

一方、悲観シナリオでは、米中貿易摩擦の再激化や世界景気の急速な減速により、製造業の設備投資が凍結される局面が訪れる可能性があります。2024年に売上成長が一時鈍化したように、景気の影響を直接受けやすいという構造的な弱みが顕在化すれば、株価は年初来安値(51,550円、2026年2月5日)付近まで調整する局面も想定しておく必要があります。ただし正直に言うと、その水準まで下がった場合、94.6%という自己資本比率と潤沢な現金(約3兆円規模)を考えると、長期目線では「買い場」と評価できる可能性が高いとも言えます。

⚠ 注意
アナリストの目標株価は「1年後の予想水準」であり、短期的な株価の動きを保証するものではありません。市場環境の変化により実際の株価は大きく乖離する場合があります。投資判断はご自身の責任において行ってください。

PBR・PERで判断する現在の株価水準の妥当性

PBR(株価純資産倍率:株価を1株あたり純資産で割った指標)は5.59倍(2026年6月時点)で、一見すると割高に映ります。しかし、これは「解散価値の5.59倍の株価がついている」という意味ではなく、「この会社の収益力と成長性に対して市場がそれだけのプレミアムを認めている」と解釈するのが適切です。営業利益率51%・海外成長率13.5%・自己資本比率94.6%という数字を持つ企業が5.59倍程度のPBRに留まっているのは、むしろ「世界のテクノロジー企業と比べると割安ではないか」という見方もできます。

PER(株価収益率)については、Googleファイナンスのデータでは41.93倍(2026年3月18日時点)が記録されています。日本の製造業平均のPERが15〜20倍程度であることと比べると高めですが、年率10%を超える安定成長が期待できる高収益企業に対して、グロース株としての評価が加わっていると理解すると整合的です。2027年3月期のアナリストコンセンサス予想純利益を用いた予想PERで計算すると、現在の株価水準はやや割高感が和らぐという見方もあります。定量的な評価だけでなく、事業の質・財務の健全性・将来の成長軌道を総合的に判断することが、キーエンスの株価を正しく評価するための鍵です。

アナリスト予想と複数シナリオで今後の方向性を理解したところで、最終章では「それでもキーエンスに投資したい」という読者に向けた現実的な投資アプローチを解説します。

第5章|高すぎて買えない人のための投資アプローチ

100株購入には約770万円が必要なキーエンスですが、少額からアクセスする方法は複数あります。正しいアプローチとリスクを理解した上で、自分に合った投資スタイルを選びましょう。

ミニ株(単元未満株)投資で1株から保有する方法

ミニ株(単元未満株)は、1単元(100株)未満の単位でも株式を売買できるサービスです。キーエンスの場合、2026年7月10日時点の株価が76,970円前後なので、1株だけ購入する場合の必要金額は約7.7万円です。これなら多くの個人投資家にとって現実的な金額と言えるでしょう。

ミニ株サービスを提供している主要なネット証券には、SBI証券の「S株」(売買手数料完全無料)やマネックス証券の「ワン株」(買付手数料無料)などがあります。どちらもNISA口座に対応しており、配当金も保有比率に応じて受け取ることができます。私がSBI証券のS株を実際に使ったとき、注文は翌営業日の寄り付き(市場が開く最初の取引価格)で約定するため、リアルタイムの価格指定ができない点は事前に把握しておくことをお勧めします。それ以外は操作も難しくなく、少額から優良企業へアクセスする手段として非常に合理的です。

✅ ポイント
ミニ株は1株単位で買えるため、毎月一定額(例:1万円)を積み立てるような感覚で長期保有することが可能です。単元株への到達を目指してコツコツ積み上げるという戦略も、投資の継続性という観点から有効です。

新NISAの成長投資枠と組み合わせた活用戦略

新NISAの成長投資枠(年間240万円・生涯1,200万円)では、個別株も購入できます。キーエンスのミニ株を成長投資枠で購入すれば、配当金(1株あたり550円)が非課税で受け取れます。通常口座なら配当の20.315%が税金として引かれますが、NISA口座なら全額を手取りとして受け取れるため、長期保有ほど恩恵が大きくなります。

さらに株価上昇による売却益(キャピタルゲイン)も非課税となります。2026年の年初来高値(84,170円)と安値(51,550円)の差は32,620円で、1株でも約4万円近い利益が生まれた計算になります。成長投資枠内での購入であれば、この売却益に対する約2万円の税金を丸ごと節税できます。成長投資枠の年間240万円を上手に使えば、キーエンスを含む複数の優良銘柄に分散して非課税で保有することも可能です。ko-invest.netでは新NISA成長投資枠おすすめ銘柄ランキングも詳しく解説していますので、銘柄選びの参考にしてみてください。

リスクと注意点|景気変動に弱い構造的な弱みを知る

キーエンスへの投資を検討する上で、必ず把握しておきたいリスクがあります。最大のリスクは、顧客企業の設備投資意欲の景気連動性です。同社の顧客は製造業が中心であり、景気後退局面では工場への設備投資が急速に絞られます。2024年3月期に売上高の前年比伸び率が4.8%増にとどまった(2023年の同22.1%増から大きく減速)背景には、まさにこのリスクが顕在化した側面があります。

為替リスクも重要です。海外売上比率が66.6%に達する同社にとって、円高進行は業績に逆風となります。2026年の円高局面では、海外売上高を円換算した際の目減り分が業績の重しになる可能性があります。また、配当利回りが0.71%(2026年7月10日時点)と低水準であるため、インカムゲイン(配当収入)を重視する投資家には不向きかもしれません。これらのリスクをしっかりと理解した上で、自分の投資期間・リスク許容度と照らし合わせて判断することが何より大切です。

各投資アプローチとリスクを把握した上で、最後にこの記事全体の要点をまとめます。

まとめ|2026年のキーエンス株、判断のポイントを整理する

2026年のキーエンスは、過去最高決算・自社株買い解禁・増配・AI需要の追い風という複数の材料が重なり、株価が年初来高値84,170円を更新する展開となりました。一方で、景気変動リスクや高い株価水準(PBR5.59倍)など、投資判断に際して冷静な目が求められる要素も存在します。

  • 2026年3月期は売上高1兆1,692億円・営業利益率51%と過去最高の決算を達成し、市場予想を上回る純利益11.7%増を記録した。
  • 定款変更による自社株買い解禁と年間配当550円(配当性向30%)への大幅増配が、株価急騰の直接的な材料となった。
  • AI・スマートファクトリー投資の加速がセンサ・画像処理システムへの需要を構造的に押し上げ、キーエンスを「AI投資の川上銘柄」として再評価する動きが広がっている。
  • アナリスト16人のコンセンサスは「買い」、平均目標株価は89,075円(2026年7月10日時点)で、UBSは10万200円という強気の目標も提示している。
  • 100株購入には約770万円が必要だが、SBI証券「S株」やマネックス証券「ワン株」などのミニ株サービスを使えば1株(約7.7万円)からアクセスが可能で、新NISAの成長投資枠との組み合わせで配当・売却益を非課税化できる。

ただし、投資する際は各社の業績・財務状況・市場環境を総合的に判断することが大切です。

まずは各社のIR資料とEDINETで最新の公開情報を確認し、自分の投資方針と照らし合わせながら一歩踏み出してみてください。

関連記事:【2026年最新】株価暴落時に買うべき日本株10選|財務健全性と配当政策で厳選

関連記事:【2026年最新】新NISA成長投資枠おすすめ銘柄ランキング|オルカン・S&P500・高配当ETFを徹底比較

【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。 投資判断はご自身の責任において行ってください。
掲載データは執筆時点(2026年7月10日)の情報に基づいており、 最新情報は各社IR・ EDINET金融庁東証 にてご確認ください。

DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール

📖 この本はまさに 私のバイブル です。
人生やお金の考え方が大きく変わりました。

貯金の正解よりも、“今の配分設計”が大事。 時間×お金×健康のピークを見極め、体験の配当を最大化する一冊。

コメント

コメントする

CAPTCHA