AI脅威論・関税・FRB利下げ3つのリスクが交差するS&P500の2026年展望

米国株式市場の代表指数であるS&P500は、2025年に3年連続の二桁上昇を達成し、史上最高値7,002ポイントを記録しました。しかし2026年3月現在、指数は6,730〜6,940のレンジ圏で足踏みを続けており、強気相場の継続か、本格調整かの分岐点に差し掛かっています。

背景には「AI脅威論」の台頭、トランプ関税の再燃、FRB利下げ時期の不透明感という3つのリスクが複雑に絡み合っており、市場内部ではハイテク株からバリュー株へのセクターローテーションが静かに進行しています。チャートが描くトライアングルを上下どちらに抜けるかが、2026年後半の相場を大きく左右します。

本記事では、S&P500の最新チャート分析をベースに、注目すべきテクニカル水準・マクロ環境・主要機関の年末目標値を徹底整理。投資判断に直結する情報を、わかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 2026年3月時点のS&P500チャートが示す「今の相場の本質」
  • AI脅威論・関税・FRBが市場に与えるリスクの読み方
  • ハイテク株 vs バリュー株、勝ち組セクターを見極めるヒント
  • 野村・大和・SBIなど主要機関の2026年末目標値と根拠
  • 2026年後半に向けた具体的な投資シナリオと注目ポイント

目次

第1章|S&P500チャートで見る2026年3月の現在地

S&P500チャート 株価ボード

1-1|いまのS&P500はどのくらいの水準にいるの?

2026年3月現在、S&P500は6,730〜6,940ポイントのレンジ(一定の範囲)の中でもみ合っている状態です。レンジ相場というのは、株価が上にも下にも大きく動かず、一定の範囲をウロウロしている状態のことです。まるでシーソーが左右に揺れているようなイメージです。

2025年に記録した52週間の最高値は7,002.28ポイントでした。そこからおよそ3〜4%ほど下がった水準で落ち着いているのが今の状況です。2025年12月ごろから、ずっとこの「6,800〜7,000」という狭いレンジの中を行ったり来たりしており、市場全体が「次の方向性を探っている」段階にあると言えます。

チャートの形を専門用語で表すと「トライアングル(三角保ち合い)」と呼ばれる形になっています。これは、高値と安値がだんだん近づいてきている形のことで、このあと上か下か、どちらかに大きく動き出すサインとして多くの投資家から注目されています。上に抜けるか、下に抜けるか。それが2026年の相場を決める最初の大きな分岐点です。

1-2|テクニカル指標が示す「今の相場の体温」

株価チャートを読むときには、「テクニカル指標」と呼ばれる数値を一緒に確認するのが基本です。テクニカル指標とは、株価の動きから計算したグラフや数値のことで、相場の「熱さ」や「流れ」を教えてくれるものです。代表的なものを3つ確認してみましょう。

指標名 2026年3月の状態 読み取れること
RSI(相対力指数) 44〜48付近(やや低め) 市場の熱狂は冷めており、過熱感はない
MACD(移動平均収束拡散) マイナス圏推移(弱含み) 短期トレンドはやや下向き傾向
50日移動平均線 6,900ライン付近(レジスタンス) この水準を超えられるかが反発の鍵

RSIは「0〜100の数値で相場の過熱・売られすぎを測る指標」です。一般的に70以上は「買われすぎ(そろそろ下がるかも)」、30以下は「売られすぎ(そろそろ反発するかも)」と言われます。現在の44〜48という水準は、どちらでもない「中立ゾーン」にあり、市場がまだ次の方向性を探っている状態を示しています。

MACDがマイナス圏にあるということは、短期的な勢いが下向きであることを意味します。ただし、これはあくまで「短期的な話」です。中長期の視点で見れば、移動平均線はまだ上向きを保っており、強気トレンドが完全に崩れたわけではありません。

特に注目すべきは50日移動平均線(6,900付近)です。この線をローソク足の実体部分で明確に上回ることができれば、次の抵抗線である6,940〜6,960ポイントのトライが視野に入ります。逆に、サポートラインである6,730〜6,775を下回ると、2月初旬の安値6,730ポイントをめざす下落が再度起きるリスクがあります。

1-3|2025年のS&P500はどんな一年だったか振り返ろう

2026年の展望を正確に読むために、まずは2025年という「前の年」を振り返っておくことが大切です。2025年のS&P500は、1年を通じて価格ベースで+16.39%、配当も含めたトータルリターンで+17.88%という素晴らしい成績を残しました(S&Pグローバル公表データより)。

これは2023年(+24.23%)、2024年(+23.31%)に続く3年連続の二桁上昇です。「3年連続でこれだけ上がるなんて、米国株はすごいな」と感じた方も多いのではないでしょうか。

📌 2025年のポイントまとめ
2025年4月、トランプ政権が「相互関税」を発動し、S&P500は一時的に急落。弱気相場(ベアマーケット)入り寸前まで下落しましたが、その後「トランプ・プット(政権が株安を嫌って政策転換すること)」と「FRBの利下げ(合計0.75%分)」を材料に急速回復し、年末には史上最高値7,002ポイントを達成しました。

JPモルガンはこの2025年の値動きを、2018年の「クリスマスショック」後の回復パターンと非常によく似ていると分析しています。当時も米中貿易摩擦で急落した後、最終的には合意とFRBの利下げによって株価が回復した経緯があります。歴史は完全には繰り返しませんが、似たパターンから学ぶことは投資において非常に重要です。

そして2025年末から2026年初にかけて、市場は「次の上昇の燃料(カタリスト)を探している」フェーズに入っています。今の小康状態は決して悪いことではなく、次の大きな動きへの「充電期間」と捉えることもできます。チャートの現在地を正確に把握した上で、次章からはその「動きを左右するリスク要因」を深掘りしていきましょう。

第2章|S&P500チャートを揺さぶる3大リスク要因を徹底解説

リスク分析イメージ 株価変動

2-1|AI脅威論:ハイテク株売りはなぜ起きているのか

2026年の株式市場を理解するうえで、まず避けて通れないのが「AI脅威論」です。「AIの脅威?」と聞くと、ロボットが人間を攻撃するSFのような話を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、ここで言う「AI脅威論」は投資の世界での話です。

簡単に説明すると、「AIが人間の仕事を奪うのではないか」という懸念が、株式市場に広がっているのです。たとえば、2025年末ごろから「AIがプログラムのコードを自動で書ける(AIコーディング)」という技術が急速に進化しました。これにより、「既存のソフトウェア会社は必要なくなるのでは?」という見方が広まり、ソフトウェア関連の株が売られるようになりました。

さらに2026年2月ごろからは、「AIが金融・不動産・物流など、幅広い産業の仕事を代替するのでは?」という懸念が広がり、ハイテク株全体に売り圧力がかかるようになりました。大和アセットマネジメントの2026年3月レポートでは、この動きを「AIバブル論(投資が無駄になるのでは)」から「AI脅威論(既存産業が壊される)」への変化と分析しています。

⚠️ AI脅威論がS&P500に与える影響

・情報技術セクターとコミュニケーションサービスセクターへの売り圧力が強まる
・エヌビディアなどAI半導体関連株は一時的に高い決算を出しても株価が下落する「好決算売り」が発生
・一方でAIに代替されにくいとされるREIT(不動産投資信託)や生活必需品セクターには資金が流入
・S&P500全体では下落幅が限定的でも、「中身の入れ替え(セクターローテーション)」が急速に進んでいる

重要なのは、「AIが未来に対する不確実性を生み出している」という点です。足元の企業業績が良くても、「将来どうなるかわからない」という不安が払拭されにくいため、このテーマは長引く可能性があります。具体的には、エヌビディアが2026年1月に好決算を発表したにもかかわらず、株価は続落するという「不思議な現象」が起きています。これは市場が「今の業績より未来の不確実性」を気にしていることの証拠です。

2-2|トランプ関税と相互関税:インフレ再燃リスクの読み方

2つ目の大きなリスク要因は「トランプ関税」です。関税とは、外国から輸入する商品にかける税金のことです。たとえば、アメリカが他の国から買う商品に15%や20%の関税をかけると、その商品の値段が上がります。商品の値段が上がることをインフレ(物価上昇)と言い、インフレが進むと生活は苦しくなり、株価にも悪影響を与えます。

2026年2月ごろには、「米国が世界的な関税を15%に引き上げることを決定した」という報道も出ており、市場では再びインフレへの警戒感が高まっています。さらに、2026年2〜3月には中東情勢(イランと米・イスラエルの軍事緊張)も悪化しており、世界の石油の約20%が通過するホルムズ海峡が混乱した場合、原油・LNG価格が急騰し、インフレがさらに進む可能性があります。

これらのインフレ圧力が続くと、FRB(米国の中央銀行)は「利下げをしたくてもできない」状況に陥ります。利下げとは金利を下げることで、金利が下がると企業はお金を借りやすくなり、株価が上がりやすくなります。逆に利下げができないと、株価の上昇エンジンが失われることになります。

リスク要因 S&P500への影響 注目度
トランプ相互関税(15%引き上げ) 輸入コスト上昇→企業収益圧迫 ★★★★★
中東地政学リスク(ホルムズ海峡) 原油高→インフレ再燃→利下げ後退 ★★★★☆
インフレの粘着性(コアCPI高止まり) FRB利下げ停止→株価上昇エンジン消失 ★★★★★

ただし、明るい見方もあります。大和アセットの2026年3月レポートによれば、2026年1月のコアCPI(食品・エネルギーを除く物価指数)は前年比+2.5%と2か月連続で鈍化しており、インフレが緩やかに落ち着いてきていることも示されています。住居費の上昇が鈍化していることや、関税による価格転嫁が一服しているという良いデータも出てきています。

2-3|FRBの利下げ時期問題:市場が最も注目するイベント

3つ目のリスク要因は「FRBの利下げ時期の不透明感」です。FRB(連邦準備制度理事会)とはアメリカの中央銀行のことで、金利を上げ下げすることで経済をコントロールする役割を持っています。

2025年にFRBは合計0.75%(75ベーシスポイント)の利下げを実施しました。しかし2026年1月27〜28日のFOMC(金融政策を決める会議)では、4会合ぶりに利下げを見送り(据え置き)を決定しました。現在の政策金利は3.50〜3.75%で止まっています。

大和アセットの予測では、新しいFRB議長のもとで2026年中にさらに0.50%の利下げが行われ、最終的には3.00〜3.25%で打ち止めになると見ています。しかし、インフレが再び強くなる場合や、雇用市場が強すぎる場合には、この利下げ計画が後ろ倒しになるリスクがあります。

2026年3月6日には2月の米雇用統計が発表される予定で、この数字が市場の利下げ期待を大きく左右します。雇用が強ければ「利下げは後ずれする(株価の重荷)」、雇用が弱ければ「早期利下げ期待が高まる(株価の追い風)」という関係です。このように、毎月発表される経済指標の一つひとつが、S&P500のチャートを動かす重要なイベントになっています。次章では、こうしたリスクを背景にしつつ、市場内部で起きている変化に注目します。

第3章|S&P500内部で進むセクターローテーションの実態

株式市場セクターローテーション 投資戦略

3-1|グロース株からバリュー株へ:静かに進む主役交代

S&P500の数字だけ見ていると気づきにくいのですが、その内部では大きな「主役交代」が起きています。それが「セクターローテーション」と呼ばれる現象です。セクターとは業種のまとまりのことで、ローテーションは「順番に入れ替わる」という意味です。つまり、「どの業種が市場をリードするか」が変わってきているということです。

2023年〜2025年前半にかけては、「グロース株(成長株)」と呼ばれるハイテク系・AI関連の銘柄が市場をリードしてきました。GAFAMと呼ばれるグーグル・アップル・メタ・アマゾン・マイクロソフトや、エヌビディアなどがその代表です。しかし2025年11月ごろから、このグロース指数の上昇が頭打ちになり始めました。

一方で、「バリュー株(割安株)」と呼ばれる金融・エネルギー・ヘルスケア・生活必需品などの銘柄が、緩やかな上昇トレンドを維持しています。IG証券のアナリストは、2026年2月のS&P500の下落率(-0.9%)がナスダック100の下落率を大きく下回った理由として、「ハイテク株売りをバリュー株への買いが相殺した」と分析しています。

💡 グロース株とバリュー株の違いをわかりやすく説明すると…

グロース株(成長株):将来の大きな成長に期待して買われる株。今は利益が少なくても「これから伸びる!」という期待が株価を支えている。ハイテク・AI関連が代表例。金利が下がると上がりやすい。

バリュー株(割安株):今の利益や資産に比べて、株価が割安(お得)な株。景気が安定しているときに選ばれやすい。金融・エネルギー・ヘルスケアなどが代表例。金利が高くても比較的強い。

このローテーションはなぜ起きているのでしょうか。最大の理由は「AIインフラ投資の収益回収への懸念」です。2023〜2025年にかけてマイクロソフト、グーグル、メタなどの巨大テック企業は、AIのデータセンターや設備に何兆円もの投資を行ってきました。しかし「その投資が本当に収益につながるのか?」という疑問が2025年後半から強まり、ハイテク株から資金が流出するようになりました。

3-2|2026年に注目すべきセクターはどこか

大和アセットの2026年3月レポートでは、2026年に特に注目すべきセクターとして「半導体関連(AI中心株)」と「AIインフラに関連するAI周辺株」の2つを挙げています。半導体は引き続き上昇が期待されており、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は年初来でプラスのパフォーマンスを維持しています。

また、「AIに代替されにくい」と見なされているREIT(不動産投資信託)も、2026年に入って大幅高となっています。REITとは、多くの投資家からお金を集めてビルやマンションに投資し、その家賃収入を分配するしくみです。AIが進化しても物理的な不動産は必要であり、しかも利下げが進めば不動産の価値も上がりやすいため、「防御的な投資先」として注目されています。

セクター 2026年の見通し 注目理由
半導体・AI中心株 強気継続(ただし変動大) AI需要の本流、インフラ投資継続
REIT(不動産投資信託) 大幅高・強気 AI代替されにくく、利下げ追い風
金融・バリュー株 底堅い推移 景気堅調なら恩恵、ISM指数好調
情報技術(ハイテク) 調整局面・慎重 AI脅威論・バリュエーション懸念残存

3-3|新NISAでS&P500に投資するときのセクター視点

ここで、日本の個人投資家にとって身近な話題である「新NISA(少額投資非課税制度)」とセクターローテーションの関係についても触れておきましょう。新NISAは2024年にスタートした制度で、年間360万円まで(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)、利益に対して税金がかからない投資ができる画期的な仕組みです。

新NISAでS&P500に連動する投資信託やETFを積み立てている方は、今のセクターローテーションを「心配しすぎる必要はない」と考えてよいでしょう。なぜなら、S&P500はアメリカの優良企業500社の集合体であり、特定のセクターが下落しても、別のセクターが上昇することでバランスが保たれる設計になっているからです。

大切なのは、短期的な値動きに一喜一憂せず、長期積み立てを継続することです。2025年の4月に「急落して怖い!」と感じて売ってしまった人は、その後の急回復の恩恵を受けることができませんでした。歴史的に見ても、S&P500への長期積み立て投資は、10年・20年という時間軸では非常に強力なリターンをもたらしてきました。次章では、このような長期視点に立った「主要機関の2026年末予測」を詳しく見ていきます。

第4章|主要機関が予測するS&P500の2026年末目標値を比較

機関投資家 予測分析 チャート

4-1|日米主要機関の2026年末予測を一覧で確認しよう

「S&P500は2026年末にどのくらいになるの?」という疑問は、投資家なら誰もが気になるところです。もちろん、未来のことは誰にも100%わかりませんが、野村証券・大和アセット・SBI証券・シティグループ・モネックスなど、世界中の有名な金融機関が毎年末に翌年の予測を発表しています。

SBI証券が2026年1月に発表した調査によれば、「米大手証券10社による2026年末のS&P500指数目標値の平均値は7,450ポイント」とされており、現在の水準(約6,800)から約9〜10%の上昇が期待されています。過去3年のような15%を超える大幅上昇ではないものの、「過去30年の平均的な上昇」は十分に期待できるとされています。

機関名 2026年末目標値 主な根拠
野村証券 7,300ポイント(上方修正後) EPS拡大・利下げ・FRB議長交代効果
大和アセット 7,400ポイント AI周辺株・半導体の業績拡大
SBI証券 7,500ポイント 企業業績堅調・利下げサイクル継続
モネックス(マネクリ) 7,700ポイント AIと利下げの複合効果・強気予測
シティグループ 7,700ポイント 堅調な企業収益・AI投資継続
アナリスト予測平均(米大手10社) 7,450ポイント(平均) 業績拡大+緩やかな利下げシナリオ

4-2|強気シナリオの根拠:EPS拡大と利下げの相乗効果

なぜ多くの機関が「7,000〜7,700」という強気な予測を出しているのでしょうか?その最大の根拠が「EPS(1株あたり利益)の拡大」です。EPSとは、企業が1株あたりどれだけの利益を出しているかを示す指標です。EPSが増えると、株価も上がりやすくなります。

野村証券の試算によれば、S&P500全体のEPSは2026年に316ポイント(前年比約16%増)、2027年には350ポイントを超えると予測されています。また、東証マネ部の分析でも「2026年の米国企業の純利益は前年比+14.2%という二桁の伸びが期待されている」とされています。

さらに、大和アセットは「AIによる生産性向上がインフレを抑制し、1990年代後半の『ニューエコノミー(高成長・低インフレ)』のような時代が再び訪れるかもしれない」と指摘しています。当時はITバブルと後に呼ばれましたが、その前の段階では高い経済成長と株価上昇が同時に起きていました。AIが本当に社会全体の生産性を高めるなら、同じような恩恵を受けられる可能性があります。

📈 強気シナリオが実現する3つの条件

①インフレの鈍化が続くこと:コアCPIが2%台で安定すれば、FRBは予定通りの利下げを実施できます
②企業業績のEPS二桁成長:S&P500全体のEPSが計画通りに拡大すること
③トランプ関税の影響が限定的であること:関税の交渉決着や一時停止が繰り返されれば、ショックは局所的に収まる可能性があります

4-3|弱気シナリオのリスクも正直に確認しておこう

強気シナリオだけを信じるのは危険です。投資においては「最悪のケースも想定しておく」ことが非常に重要です。弱気シナリオとして注目すべきは、アナリスト予測の「安値予想平均が6,100ポイント」という数字です。これは現在の水準(約6,800)から最大で約10〜11%の下落を示唆しています。

弱気シナリオが現実になりやすい条件は主に3つです。第一に「インフレの再燃」、第二に「企業収益の下方修正」、第三に「地政学リスクの長期化(中東・ロシア・台湾など)」です。特に関税がさらに強化された場合、サプライチェーン(製品の調達・製造ルート)が乱れ、企業のコストが増加し、利益が削られるリスクがあります。

ただし、弱気シナリオでも「長期積み立て投資家」にとっては大きなチャンスになる場合があります。株価が下がった局面でも定期的に一定額を買い続ける「ドルコスト平均法」では、安い値段で多くの口数を買えるため、回復したときに大きなリターンを得られます。新NISAのつみたて投資枠は、まさにこの考え方を実践するのに最適な制度です。強気シナリオと弱気シナリオ、両方を知ったうえで自分の投資スタンスを決めることが、賢い投資家への第一歩です。

第5章|S&P500チャートから導く2026年後半の投資戦略

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5-1|中間選挙の年のアノマリーと歴史的パターン

2026年はアメリカの「中間選挙の年」にあたります。中間選挙とは、大統領の任期4年のちょうど真ん中にあたる年(2年目)に行われる選挙で、議員の議席を争います。株式市場には「中間選挙の年は株価が下がりやすい」というアノマリー(統計的な傾向)があります。

アノマリーとは、理論的な説明はつきにくいものの、歴史的に繰り返されてきた市場のクセのことです。たとえば「9月は株価が下がりやすい」「年末は上がりやすい」なども有名なアノマリーです。中間選挙の年に株価が下がりやすい理由の一つは、「大統領が支持率回復のために強硬な政策をとりがち」だからと言われています。トランプ大統領が関税を強化したり、貿易交渉で強い姿勢をとったりするのも、このダイナミクスの一部と捉えることができます。

ただし、中間選挙の年に株価が下がった後、その翌年(選挙後の年)は強い上昇を見せるパターンが多く見られます。つまり「2026年中盤に調整があっても、長期的には心配しすぎる必要はない」という見方もできます。歴史のパターンは保証ではありませんが、精神的な安定剤として知っておく価値はあります。

📊 中間選挙年の歴史パターン(過去の傾向)

・大統領1〜2年目(中間選挙まで):政策の不確実性が高く、相場は乱高下しやすい
・中間選挙後〜3年目:支持率回復のため「ポジティブな政策」が打ち出されやすく、株価が上昇しやすい
・過去20年のデータでは、中間選挙後12ヶ月のS&P500の平均リターンはプラスが多い
※ただし過去の傾向が必ず繰り返されるわけではありません

5-2|テクニカルから見た押し目買いの判断基準

「S&P500が下がったときに買い増しをしたい」と考えている方のために、チャート上の重要な水準をまとめておきます。IG証券の分析によれば、現在のS&P500(米国500)の株価指数CFDにおける主要なサポートライン(支持線)とレジスタンスライン(抵抗線)は以下の通りです。

水準(ポイント) 意味・役割 投資家の行動
6,960 上ヒゲベースの強い抵抗線 ここを超えると強気相場再開のサイン
6,940 直近上値の目安・上限予想 短期の利益確定ライン
6,900 50日移動平均線(重要) 超えれば短期反発確認、割れれば注意
6,821 フィボナッチ76.4%戻し水準 押し目買い候補の最初のポイント
6,730 2026年2月初旬の安値・強いサポート ここを割ると本格的な調整局面入り

新NISAで長期積み立てをしている方にとって、これらのテクニカルラインは「毎月の積み立てを止めるかどうかの判断基準」としてではなく、「追加投資をするかどうかの目安」として活用するのが賢明です。6,800〜6,730付近まで下落した局面は、積み立て額を少し増やすチャンスになる可能性があります。

5-3|新NISAで実践できる2026年後半の具体的投資戦略

最後に、今すぐ実践できる具体的な投資戦略をまとめます。難しい話は抜きにして、「何をすればいいか」をシンプルに説明します。

まず基本中の基本として、新NISAのつみたて投資枠(年間120万円まで)を使って、S&P500連動ファンドへの自動積み立てを継続することを強くおすすめします。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」や「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」などの低コストインデックスファンドは、毎月決まった日に自動で買い付けてくれるので、感情に左右されずに投資を続けられます。

次に、新NISAの「成長投資枠(年間240万円まで)」を使って、セクターローテーションを意識した分散投資を検討することも有効です。たとえば、S&P500連動ファンドを軸にしつつ、REIT(不動産投資信託)や金融セクターに一部投資することで、AI脅威論によるハイテク株の下落リスクをヘッジ(和らげる)できます。

✅ 2026年後半・新NISAで実践したい3つの行動

①つみたて投資枠でS&P500積み立てを「絶対に止めない」
 市場が下がっても、積み立ては継続。下落局面は「安く買えるチャンス」と捉えましょう。

②成長投資枠でREIT・バリュー株ファンドを少額追加
 ハイテク集中リスクを分散し、セクターローテーションの恩恵を受けられる体制をつくる。

③経済指標(雇用統計・CPI)の発表日を把握しておく
 大きな下落が予想されるタイミングを事前に知ることで、「焦り売り」を防げます。

投資に「完璧なタイミング」はありません。でも「正しい方向に継続すること」は、誰にでもできます。S&P500の現在地を理解し、リスクを把握した上で長期目線を持ち続けること、それが2026年後半を乗り越える最強の戦略です。

まとめ|S&P500チャートが示す2026年の展望と今すぐできること

投資の未来 明るい展望 成長

この記事では、S&P500チャートの現在地から始まり、3大リスク要因・セクターローテーション・機関予測・具体的な投資戦略まで、幅広く解説してきました。最後に要点を整理しておきましょう。

  • 現在(2026年3月):S&P500は6,730〜6,940のレンジ相場。トライアングル形成中で、次の大きな動きを模索している
  • 3大リスク:AI脅威論・トランプ関税・FRB利下げ遅延が相場の重荷になっている
  • 内部変化:グロース株からバリュー株・REITへのローテーションが進行中
  • 機関予測:2026年末の目標値は7,300〜7,700ポイントが主流(平均約7,450)
  • 戦略:新NISAのつみたて投資枠での継続積み立てが最強の基本戦略

投資の世界では「どうなるかわからない」という不確実性が常につきまといます。でも、それは怖いことではありません。不確実性があるからこそ、長期間コツコツ積み立てた人が報われる仕組みになっているのです。

💬 最後に一言

S&P500は過去70年以上にわたって、戦争・リーマンショック・コロナショックなど、あらゆる危機を乗り越えて右肩上がりを続けてきました。短期的な下落は怖く感じるかもしれませんが、歴史はいつも「待ち続けた人を報いる」ことを示してきました。

今日からでも遅くはありません。まずは新NISAの口座開設・積み立て設定という「最初の一歩」を踏み出してみてください。

未来の自分が、今日の決断に感謝するはずです。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資は自己責任のもと、余裕資金の範囲内で行ってください。

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