定期預金と投資の違いを徹底比較|初心者向け選び方5つのポイント

お金を増やしたいと考えたとき、多くの人が最初に悩むのが「定期預金と投資、どちらを選ぶべきか」という問題です。定期預金は元本保証で安心感がある一方、超低金利時代の今、その魅力は年々薄れています。一方、投資は高いリターンが期待できるものの、損失のリスクも伴うため、初心者には不安がつきまといます。

実は、この2つは目的やリスク許容度によって適切な選択が大きく変わるのです。安全性を重視するなら定期預金、資産を積極的に増やしたいなら投資が有力候補となりますが、それぞれのメリット・デメリットを正しく理解していないと、後悔する結果になりかねません。

本記事では、定期預金と投資の5つの重要な違いを徹底比較し、あなたの状況に合った選び方をわかりやすく解説します。これを読めば、自分に最適な資産運用の第一歩を自信を持って踏み出せるようになります。

この記事でわかること
  • 定期預金と投資の根本的な仕組みの違いと、それぞれが持つ本質的な役割
  • リスクとリターンの関係性を理解し、自分の許容範囲を見極める具体的な方法
  • ライフステージや目的別に最適な資産運用を選択するための判断基準
  • 初心者が陥りやすい失敗パターンと、それを避けるための実践的なヒント
  • 定期預金と投資を組み合わせたバランス型運用の考え方

目次

第1章:定期預金と投資の基本的な違いとは?

定期預金の通帳と銀行イメージ

画像引用:三菱UFJ銀行

資産運用を始めたいと思ったとき、真っ先に浮かぶのが「定期預金」と「投資」という2つの選択肢です。どちらもお金を増やす手段ですが、その仕組みや目的は根本的に異なります。この違いを正しく理解することが、あなたに合った資産形成の第一歩となります。

定期預金は銀行にお金を預けて利息を受け取る「守りの資産運用」です。一方、投資は株式や投資信託などを購入して値上がり益や配当金を狙う「攻めの資産運用」と言えます。初心者の方にとって、この2つの違いを知ることは非常に重要です。なぜなら、目的や期間、リスクの許容度によって最適な選択が変わるからです。

1-1. 定期預金の仕組みと特徴

定期預金とは、銀行に一定期間お金を預けることで、普通預金よりも高い金利を受け取れる金融商品です。預け入れの期間は1ヶ月から10年までさまざまで、期間が長いほど金利が高くなる傾向があります。最大の特徴は元本保証であることです。つまり、預けたお金が減ることは基本的にありません。

2026年現在、日本の定期預金金利は多くの銀行で年0.002〜0.3%程度です。例えば100万円を1年間預けた場合、年0.1%の金利なら利息は1,000円になります。決して大きな金額ではありませんが、元本が保証されているという安心感は何物にも代えがたいメリットです。

💡 定期預金のポイント
「定期預金は急にお金が必要になったときも解約できますが、満期前に解約すると金利が下がってしまいます。短期で使う予定のないお金を預けるのがおすすめです。また、預金保険制度により1金融機関あたり元本1,000万円とその利息まで保護されるので、万が一銀行が破綻しても安心です。」

1-2. 投資の仕組みと種類

投資とは、企業の株式や投資信託、債券などの金融商品を購入し、その価値の変動や配当金・利息によって利益を得る行為です。定期預金と大きく異なるのは、元本保証がなく、価格が上下する可能性があるという点です。

投資にはさまざまな種類があります。株式投資は企業の株を買って配当金や値上がり益を狙います。投資信託は複数の株式や債券をパッケージ化した商品で、少額から分散投資ができます。さらに、2024年から新NISA制度が始まり、年間最大360万円まで非課税で投資できるようになりました。この制度を活用すれば、利益に対する約20%の税金がかからないため、長期的な資産形成に非常に有利です。

例えば、過去20年間の日本株式市場の平均リターンは年率約5〜7%程度とされています。100万円を年5%で20年間運用できれば、約265万円に増える計算です。定期預金の金利0.1%では20万円程度しか増えないことを考えると、その差は歴然です。ただし、投資には価格が下がって損失が出るリスクもあることを忘れてはいけません。

項目 定期預金 投資(株式・投資信託)
元本保証 あり(預金保険制度で保護) なし(価格変動リスクあり)
期待リターン 年0.002〜0.3%程度 年3〜7%程度(過去実績)
リスク ほぼゼロ 価格変動により損失の可能性
流動性 満期前解約可能(金利低下) いつでも売却可能(価格変動あり)
税制優遇 なし(利息に約20%課税) 新NISA活用で非課税枠あり

1-3. 両者の根本的な目的の違い

定期預金と投資の最も大きな違いは、その「目的」にあります。定期預金はお金を守ることが目的です。近い将来に使う予定のあるお金や、絶対に減らしたくない資金を安全に保管する場所として最適です。結婚資金や住宅購入の頭金、子どもの教育資金など、数年以内に使う予定がある大切なお金は定期預金で守るべきです。

一方、投資はお金を増やすことが目的です。老後資金や子どもの大学費用など、10年以上先に必要になるお金を積極的に増やしたいときに投資が力を発揮します。長期間運用することで、一時的な価格変動のリスクを抑えながら、複利効果によって資産を大きく成長させることができます。

例えば、30歳の方が老後資金として毎月3万円を35年間積み立てるとします。定期預金で年0.1%で運用した場合、35年後には約1,270万円になります。一方、投資信託で年5%で運用できれば約3,550万円になります。その差は約2,280万円にもなるのです。もちろん投資にはリスクがありますが、長期投資と分散投資を心がければ、リスクを抑えながら資産を増やせる可能性が高まります。

⚠️ 初心者の方へのアドバイス
「定期預金か投資か」という二者択一ではなく、両方をバランスよく活用することが大切です。生活費の6ヶ月分は定期預金や普通預金で確保し、それ以外の余裕資金を投資に回すという考え方が、資産形成の基本です。自分のライフステージや目標に応じて、適切な配分を考えましょう。

定期預金と投資の違いを理解したところで、次の章ではより詳しく「リスクとリターンの関係」について見ていきましょう。なぜ投資には高いリターンが期待できるのか、そしてそのリスクをどう考えるべきなのかを解説します。

第2章:定期預金vs投資|リスクとリターンを徹底比較

リスクとリターンの関係を示す図

画像引用:日本証券業協会

投資の世界には「リスクとリターンは表裏一体」という鉄則があります。これは、高いリターンを狙うほど、損失のリスクも大きくなるということです。定期預金と投資を比較するとき、このリスクとリターンのバランスを正しく理解することが、賢い選択につながります。

多くの初心者が「投資は怖い」「損をするかもしれない」と感じるのは当然です。しかし、リスクの正体を知り、適切に管理する方法を学べば、投資はけっして怖いものではありません。この章では、定期預金と投資のリスクとリターンを徹底比較し、あなたが安心して選択できる判断材料を提供します。

2-1. 定期預金の安全性と金利水準

定期預金の最大の魅力は、何と言っても元本保証という絶対的な安全性です。預金保険制度により、万が一銀行が破綻しても、1金融機関につき預金者1人あたり元本1,000万円までとその利息が保護されます。これは国が法律で定めた制度なので、信頼性は非常に高いです。

しかし、安全性が高い分、リターンは非常に限定的です。2026年1月現在、メガバンクの定期預金金利は年0.002〜0.01%程度、ネット銀行でも高くて年0.2〜0.3%程度です。例えば、100万円を年0.2%の金利で1年間預けても、利息はわずか2,000円です。さらに、この利息には約20%の税金がかかるため、実際に受け取れるのは約1,600円になります。

これは安全と引き換えのコストと言えます。預けたお金が減ることは絶対にありませんが、お金が増えるスピードも非常に遅いのです。「守り」には優れていますが、「増やす」という観点では物足りなさを感じるでしょう。

金融機関の種類 1年定期預金金利(目安) 100万円の利息(税引前)
メガバンク 年0.002〜0.01% 20〜100円
地方銀行 年0.01〜0.05% 100〜500円
ネット銀行 年0.1〜0.3% 1,000〜3,000円
特別金利キャンペーン 年0.3〜0.5% 3,000〜5,000円

2-2. 投資のリスクとリターンの関係

投資の世界では、リスクとリターンは切っても切れない関係にあります。一般的に、株式投資の期待リターンは年3〜7%程度、債券は年1〜3%程度とされています。定期預金と比べると圧倒的に高いリターンが期待できますが、その分、価格が変動して元本割れする可能性があるのです。

ここで重要なのは「リスク」という言葉の正しい理解です。金融の世界では、リスクとは「危険」という意味ではなく、「価格の変動幅」を指します。つまり、値上がりする可能性も、値下がりする可能性も含めた「ブレ幅」のことです。リスクが高い投資商品は、大きく値上がりする可能性もあれば、大きく値下がりする可能性もあるということです。

例えば、日経平均株価は2020年3月のコロナショック時に一時16,000円台まで下落しましたが、その後回復し、2024年には38,000円を超える場面もありました。もしコロナショック時に投資を始めていたら、数年で2倍以上になった計算です。しかし、逆に高値で買ってしまい、その後下落に巻き込まれる可能性もあります。これが投資のリスクです。

💡 リスクを抑える3つの方法
投資のリスクは完全にゼロにはできませんが、以下の3つの方法で大幅に減らすことができます。

1. 長期投資:10年以上の長期間保有することで、短期的な値動きの影響を受けにくくなります。
2. 分散投資:複数の銘柄や資産に投資することで、1つが下がっても他でカバーできます。
3. 積立投資:毎月定額で買い続けることで、高値掴みのリスクを分散できます(ドルコスト平均法)。

2-3. インフレリスクと実質的な資産価値

ここで見落としてはいけないのが「インフレリスク」です。インフレとは物価が上昇することで、お金の価値が相対的に下がることを意味します。例えば、今100円で買えるものが、10年後には120円出さないと買えなくなるかもしれません。これがインフレです。

日本政府と日本銀行は、年2%程度のインフレ率を目標としています。もし年2%のインフレが続いた場合、定期預金の金利0.1%では実質的にお金の価値が年1.9%ずつ目減りしていくことになります。つまり、定期預金は「元本保証で安全」と思われがちですが、実はインフレに対しては無防備なのです。

一方、株式投資は企業の成長や物価上昇に連動して価格が上がる傾向があるため、インフレに強いと言われています。企業は商品の値段を上げることでインフレに対応できるため、株価もそれに応じて上昇することが多いのです。長期的な資産形成を考えるなら、インフレリスクへの対策は必須です。

⚠️ 実質リターンで考えよう
資産運用を考えるときは「名目リターン」だけでなく「実質リターン(インフレ率を引いたリターン)」で考えることが重要です。定期預金の金利0.1%からインフレ率2%を引くと、実質リターンは−1.9%になります。一方、投資信託で年5%のリターンが得られれば、実質リターンは3%です。この差が、長期的には大きな資産の差となって現れます。

リスクとリターンの関係を理解したところで、次は具体的な「流動性・税金・手数料」の違いを見ていきます。お金の引き出しやすさやコストの面でも、定期預金と投資には大きな違いがあります。これらを知ることで、より実践的な判断ができるようになります。

第3章:定期預金と投資の流動性・税金・手数料の違い

投資チャートと金融取引のイメージ

画像引用:Freepik

定期預金と投資を選ぶ際、リスクとリターンだけでなく、「必要なときにすぐお金を引き出せるか」「どれくらいコストがかかるか」という実用的な視点も非常に重要です。この章では、流動性(お金の引き出しやすさ)、税金、手数料という3つの角度から、定期預金と投資の違いを詳しく見ていきます。

特に初心者の方は、「急にお金が必要になったらどうしよう」「税金や手数料で思ったより増えないかも」といった不安を抱えているかもしれません。これらの疑問をクリアにすることで、より自信を持って資産運用を始められるはずです。

3-1. 資金の引き出しやすさ(流動性)

流動性とは、金融商品をすぐに現金化できる度合いを示す言葉です。日常生活で急な出費が必要になったとき、すぐにお金を引き出せるかどうかは非常に重要なポイントです。

定期預金の流動性:定期預金は原則として満期まで引き出せませんが、実際には中途解約が可能です。ただし、満期前に解約すると約束された金利よりも大幅に低い「中途解約利率」が適用されるため、受け取れる利息が減ってしまいます。例えば、年0.2%の金利で預けていても、中途解約すると年0.001%程度になることもあります。それでも元本は保証されているため、緊急時には現金化できる安心感があります。

投資の流動性:株式や投資信託は、証券会社を通じていつでも売却できます。通常、売却の注文を出してから2〜3営業日で現金が証券口座に入金されます。その後、銀行口座に出金すればすぐに使えます。ただし注意点があります。それは、売却するタイミングによっては価格が下がっていて損失が出る可能性があるということです。急いで現金化したいときに、たまたま市場が暴落していたら、損失を確定せざるを得なくなります。

💡 流動性確保の賢い方法
資産運用の基本は「生活防衛資金」を確保することです。生活費の6ヶ月分程度は、普通預金や定期預金など流動性の高い場所に置いておきましょう。これがあれば、急な出費があっても投資商品を慌てて売却する必要がありません。残った余裕資金を投資に回すことで、長期的に安心して運用できます。

3-2. 税金の仕組みと負担の違い

お金を増やすことができても、税金で目減りしてしまっては意味がありません。定期預金と投資では、税金の仕組みが異なります。

定期預金の税金:定期預金の利息には、所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%の合計約20.315%が源泉徴収されます。例えば、1年間で1,000円の利息がついても、実際に受け取れるのは約797円です。この税金は自動的に引かれるため、確定申告の必要はありません。

投資の税金:株式や投資信託で得た利益(売却益や配当金)にも、同じく約20.315%の税金がかかります。しかし、ここで大きな違いが生まれるのが新NISA制度です。2024年から始まった新NISA制度では、年間最大360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)までの投資について、利益が完全に非課税になります。しかも非課税期間は無期限です。

例えば、新NISA口座で100万円投資して150万円に増えた場合、50万円の利益に対して通常なら約10万円の税金がかかりますが、新NISA口座なら税金ゼロで50万円全額を受け取れます。この差は非常に大きく、長期投資において新NISA制度を活用するかどうかで、最終的な資産額に数百万円の差が出ることもあります。

項目 定期預金 一般口座での投資 新NISA口座での投資
税率 約20.315% 約20.315% 0%(非課税)
年間投資上限 制限なし 制限なし 360万円まで
非課税期間 適用なし 適用なし 無期限
10万円の利益が出た場合 税金約2万円 税金約2万円 税金0円

3-3. 手数料・コストの比較

資産運用において、手数料やコストは「確実に発生するマイナスリターン」です。これを抑えることは、リターンを高めることと同じくらい重要です。

定期預金のコスト:定期預金には基本的に手数料がかかりません。口座開設も無料、預け入れも無料、満期時の受け取りも無料です。唯一のコストは、中途解約時の金利低下くらいです。この点では、定期預金は非常にシンプルで分かりやすいと言えます。

投資のコスト:投資には複数のコストがかかる可能性があります。まず、証券口座の開設や維持費用は、現在ほとんどの証券会社で無料です。しかし、取引の際には以下のようなコストが発生します。

  • 売買手数料:株式を売買する際にかかる手数料。ネット証券では100円以下〜数百円程度が多い。
  • 信託報酬:投資信託を保有している間、年0.1〜2%程度が運用資産から自動的に差し引かれる。
  • その他費用:売買委託手数料、監査費用など(投資信託の場合)。

特に注意したいのが信託報酬です。これは保有している間ずっとかかるコストで、年率で表示されます。例えば、100万円の投資信託で信託報酬が年1%なら、1年間で1万円のコストです。10年保有すれば10万円以上のコストになることもあります。インデックスファンドなら年0.1〜0.2%程度の低コスト商品も多いため、できるだけ信託報酬の低い商品を選ぶことが大切です。

⚠️ コストを抑える3つのポイント
1. ネット証券を活用:対面証券より手数料が圧倒的に安い。
2. インデックスファンドを選ぶ:信託報酬が年0.1〜0.2%と低コスト。
3. 頻繁な売買を避ける:長期保有することで売買コストを削減できる。

流動性、税金、手数料という3つの視点から定期預金と投資を比較してきました。これらの違いを理解することで、自分のライフスタイルや資金計画に合った選択ができるようになります。次の章では、具体的に「あなたに合うのはどちらか」を判断する5つの基準を解説します。

第4章:あなたに合うのはどっち?選び方の5つの判断基準

ライフプランと資産形成の人生設計イメージ

画像引用:トラストブログ

ここまで定期預金と投資の違いを様々な角度から見てきました。では実際に、あなた自身にはどちらが合っているのでしょうか?この章では、自分に最適な選択をするための5つの判断基準を具体的に解説します。

大切なのは、「定期預金か投資か」という二者択一ではなく、両方をバランスよく活用することです。そのバランスをどう決めるかが重要なポイントになります。あなたの年齢、収入、家族構成、将来の目標などによって、最適な資産配分は大きく変わってきます。

4-1. 運用期間と目的から選ぶ

資産運用を考える上で最も重要な判断基準が「いつ使うお金なのか」という時間軸です。お金を使う時期によって、最適な運用方法は大きく変わります。

3年以内に使う予定のお金:結婚資金、住宅購入の頭金、車の購入費用など、近い将来に確実に使う予定がある資金は、定期預金で守るべきです。短期間では投資の価格変動リスクを吸収できず、必要なタイミングで資産が目減りしている可能性があるためです。元本保証の定期預金なら、必要な時に必要な金額を確実に用意できます。

3〜10年後に使う予定のお金:子どもの教育資金や住宅のリフォーム費用など、中期的に必要になる資金は、定期預金と投資を組み合わせるのが賢い選択です。例えば、70%を定期預金で確保し、30%を投資に回すといったバランス配分がおすすめです。これなら、元本の大部分を守りながら、ある程度のリターンも期待できます。

10年以上先に使う予定のお金:老後資金や子どもの大学費用など、長期的に運用できる資金は、積極的に投資を活用すべきです。長期投資なら、短期的な価格変動の影響を受けにくく、複利効果によって資産を大きく成長させることができます。新NISA制度を活用すれば、税制面でも大きなメリットを享受できます。

運用期間 使い道の例 おすすめの配分
3年以内 結婚資金、住宅頭金、車購入 定期預金100%
3〜10年 教育資金、リフォーム費用 定期預金70% + 投資30%
10年以上 老後資金、子どもの大学費用 定期預金30% + 投資70%
20年以上 老後の豊かな生活資金 投資100%(新NISA活用)

4-2. リスク許容度を見極める

「リスク許容度」とは、どれくらいの損失なら精神的に耐えられるかという、個人の心理的な許容範囲のことです。これは人によって大きく異なり、正解はありません。自分のリスク許容度を正しく理解することが、長続きする資産運用の鍵となります。

例えば、100万円投資した場合を考えてみましょう。もし一時的に80万円に減ってしまったとき、あなたはどう感じますか?「長期投資だから気にしない」と思えるなら、リスク許容度は高いと言えます。一方、「夜も眠れない」「すぐに売却したい」と感じるなら、リスク許容度は低めです。

リスク許容度は、年齢、収入の安定性、家族構成、性格などによって決まります。若くて独身で安定した収入がある人は、リスクを取りやすい傾向があります。一方、退職間近で家族を養っている人は、リスクを抑えたい傾向が強くなります。どちらが正しいということはなく、自分に合った選択をすることが大切です。

💡 リスク許容度チェックリスト
以下の質問に答えて、自分のリスク許容度を確認しましょう。

□ 投資額が一時的に20%減っても冷静でいられる
□ 安定した収入があり、生活防衛資金も確保できている
□ 10年以上先まで使う予定のない余裕資金がある
□ 投資の仕組みを理解し、勉強する意欲がある
□ 短期的な値動きに一喜一憂しない自信がある

チェックが多いほど、投資比率を高めても大丈夫なタイプです。チェックが少ない場合は、定期預金中心の運用から始めましょう。

4-3. ライフステージ別のおすすめ戦略

人生のステージによって、最適な資産運用戦略は変化します。ここでは、年代別のおすすめ戦略を具体的に紹介します。

20代・独身期:この時期は人生で最も投資に有利な時期です。時間を味方につけられるため、リスクを取った積極的な投資が可能です。毎月の収入から、まず生活防衛資金として3ヶ月分の生活費を定期預金で確保します。それ以外の余裕資金は、新NISA制度を活用して投資信託に積立投資するのがおすすめです。おすすめ配分は「定期預金20% + 投資80%」です。

30代・家族形成期:結婚や出産、住宅購入など大きな出費が増える時期です。近い将来の大きな支出に備えて、定期預金の比率を高めつつ、老後資金のための投資も継続します。教育資金は学資保険や定期預金で、老後資金は投資信託で、というように目的別に分けて管理するのが賢明です。おすすめ配分は「定期預金50% + 投資50%」です。

40代・教育費充実期:子どもの教育費がピークを迎える時期です。近い将来の確実な支出に備えつつ、老後資金の準備も本格化させる必要があります。教育費として3〜5年以内に必要な資金は定期預金で確保し、老後資金は引き続き投資で増やします。おすすめ配分は「定期預金60% + 投資40%」です。

50代・老後準備期:子どもが独立し、老後資金の準備を最優先する時期です。退職まで10〜15年あるため、まだ投資で資産を増やすチャンスがあります。ただし、リスクは徐々に抑えていく必要があります。おすすめ配分は「定期預金50% + 投資50%」から始め、退職が近づくにつれて定期預金比率を上げていきます。

60代以降・退職後:資産を「増やす」フェーズから「守りながら使う」フェーズへ移行する時期です。大きなリスクは避けつつ、インフレ対策として一部は投資を継続することも重要です。おすすめ配分は「定期預金70% + 投資30%」で、安全性を最優先しながらも資産の目減りを防ぎます。

⚠️ 人生の転機では見直しを
結婚、出産、転職、住宅購入、親の介護など、人生の大きな転機があったときは、資産配分を見直すチャンスです。ライフプランが変われば、お金の使い道や時期も変わります。少なくとも年に1回は、自分の資産配分が現在のライフステージに合っているか確認しましょう。

自分に合った判断基準が見えてきたら、次はいよいよ実践です。次の章では、定期預金と投資を実際に始めるための具体的な方法を解説します。

第5章:初心者が始めるべき定期預金・投資の具体的な方法

スマホで投資を始める初心者のイメージ

画像引用:株式会社エイチームホールディングス

ここまでの知識を身につけたら、いよいよ実践に移る段階です。この章では、定期預金と投資を実際に始めるための具体的な手順とポイントを、初心者の方にもわかりやすく解説します。

「難しそう」「手続きが面倒そう」と感じるかもしれませんが、実は今の時代、スマホ1台あれば誰でも簡単に始められます。大切なのは最初の一歩を踏み出す勇気です。完璧を目指さず、小さく始めて徐々に慣れていくことが成功の秘訣です。

5-1. 定期預金を始める際の金融機関選びのポイント

定期預金を始めるには、まず金融機関を選ぶ必要があります。選ぶ基準は「金利」「利便性」「信頼性」の3つです。

メガバンク(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行など):知名度と信頼性が高く、全国に店舗があるため対面相談ができます。ただし、定期預金金利は年0.002%程度と非常に低いのがデメリットです。既に口座を持っているなら手軽に始められますが、金利面では魅力が少ないです。

地方銀行・信用金庫:地域密着型で、地元の方には使いやすい選択肢です。金利はメガバンクよりやや高く、年0.01〜0.05%程度です。定期的にキャンペーン金利を提供していることもあるので、お住まいの地域の金融機関をチェックしてみましょう。

ネット銀行(楽天銀行、SBI新生銀行、auじぶん銀行など):店舗を持たない分、金利が高いのが最大の魅力です。年0.1〜0.3%程度の金利を提供しており、キャンペーン時には年0.5%を超えることもあります。スマホやパソコンで24時間いつでも手続きできる利便性も魅力です。初心者でネット操作に慣れている方には最もおすすめです。

定期預金を始める手順は簡単です。まず、選んだ金融機関で普通預金口座を開設します(既に口座がある場合は不要)。次に、ネットバンキングやATM、窓口で定期預金の申し込みをします。預入金額と期間(1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年など)を選び、普通預金から資金を振り替えるだけです。最短5分程度で完了します。

💡 定期預金を始める3ステップ
ステップ1:金融機関を選ぶ(金利比較サイトで最新金利をチェック)
ステップ2:普通預金口座を開設する(本人確認書類とマイナンバーカードが必要)
ステップ3:定期預金を申し込む(預入金額と期間を選択)

最初は10万円程度の少額から始めて、仕組みに慣れてから金額を増やすのがおすすめです。

5-2. 初心者におすすめの投資手法(つみたてNISA・iDeCoなど)

投資を始めるなら、絶対に活用すべきなのが新NISA制度です。2024年から始まった新制度では、年間最大360万円までの投資が非課税になります。これを使わない手はありません。

新NISA制度の仕組み:新NISAには「つみたて投資枠(年間120万円まで)」と「成長投資枠(年間240万円まで)」の2つがあります。初心者には、まず「つみたて投資枠」から始めることを強くおすすめします。つみたて投資枠では、金融庁が厳選した低コストの投資信託を、毎月定額で自動購入できます。

例えば、毎月3万円を全世界株式のインデックスファンドに積み立てるとします。年間36万円の投資額で、つみたて投資枠の範囲内です。これを20年間続ければ、元本720万円が、年5%の運用で約1,230万円になる計算です。しかも利益の約510万円は非課税なので、通常なら約100万円かかる税金がゼロになります。

iDeCo(個人型確定拠出年金):老後資金の準備に特化した制度です。掛金が全額所得控除になるため、節税効果が非常に高いです。ただし、原則60歳まで引き出せないという制約があります。新NISAと併用できるので、余裕があればiDeCoも活用しましょう。毎月の掛金は5,000円から始められます。

投資を始める手順は以下の通りです。まず、証券口座を開設します。おすすめはSBI証券、楽天証券、マネックス証券などのネット証券です。スマホで本人確認を行い、最短翌日には口座開設が完了します。次に、新NISA口座を開設します(証券口座開設と同時に申し込めます)。そして、投資する商品を選びます。初心者には「全世界株式インデックスファンド」または「米国株式インデックスファンド」がおすすめです。最後に、毎月の積立金額を設定すれば、あとは自動で買い付けが行われます。

証券会社 特徴 おすすめポイント
SBI証券 国内最大手、商品数が豊富 取扱商品が多く、手数料も最安水準
楽天証券 楽天ポイントが貯まる・使える 楽天経済圏を活用している人に最適
マネックス証券 米国株に強い、情報ツール充実 投資初心者向けの学習コンテンツが豊富
松井証券 サポート体制が手厚い 電話サポートを重視する人におすすめ

5-3. バランス型運用で両方のメリットを活かす方法

最後に、定期預金と投資を組み合わせた「バランス型運用」の実践方法を紹介します。両方のメリットを活かすことで、安全性と成長性を両立できます。

コア・サテライト戦略:資産を「コア(中核)」と「サテライト(衛星)」に分ける考え方です。コア部分は定期預金や安定的な投資信託で守り、サテライト部分は積極的な投資で増やします。例えば、総資産500万円のうち、コア400万円(定期預金200万円 + 安定型投資信託200万円)、サテライト100万円(成長型投資信託や個別株)という配分です。

目的別口座管理:使う目的ごとに口座や商品を分けて管理する方法です。「生活防衛資金→普通預金」「近い将来の支出→定期預金」「老後資金→新NISA」「教育資金→定期預金+投資信託」というように、目的と時期に応じて最適な商品を選びます。この方法なら、何のためのお金なのかが明確になり、無駄遣いを防げます。

リバランスの重要性:資産配分は一度決めたら終わりではありません。投資の値上がりによって、当初の配分が崩れることがあります。例えば、当初「定期預金50% + 投資50%」だったものが、投資が成長して「定期預金40% + 投資60%」になったら、投資の一部を売却して定期預金に移すなど、定期的に調整します。これを「リバランス」と呼び、年に1回程度行うのが理想的です。

具体的な始め方の例を紹介します。30歳・会社員・独身で、貯金が200万円ある場合を考えましょう。まず、生活防衛資金として生活費3ヶ月分の60万円を普通預金に置きます。次に、3年以内の予定支出(旅行や車購入など)として40万円を定期預金に預けます。残り100万円のうち、50万円を新NISA口座で全世界株式インデックスファンドに一括投資し、毎月3万円の積立投資も開始します。この配分なら、安全性を確保しながら積極的に資産形成ができます。

⚠️ 投資は少額から始めよう
初めての投資は、失っても生活に影響のない金額から始めましょう。最初は月5,000円や1万円でも十分です。大切なのは、投資の経験を積み、値動きに慣れることです。慣れてきたら徐々に金額を増やしていけばいいのです。「完璧な知識がついてから始めよう」と思っていると、いつまでも始められません。小さく始めて、学びながら成長していくことが、資産形成成功への近道です。

定期預金と投資、それぞれの特徴を理解し、実践的な始め方も学びました。最後に、この記事全体のまとめとして、あなたの資産形成への第一歩を後押しするメッセージをお届けします。

まとめ:定期預金vs投資、自分に合った選択で資産形成を始めよう

ここまで、定期預金と投資の5つの重要な違いを詳しく見てきました。どちらが優れているかではなく、あなたの状況や目標に合った選択をすることが何より大切です。

定期預金は元本保証の安心感があり、近い将来に使う予定のお金を守るのに最適です。一方、投資は長期的に資産を増やす力があり、老後資金など遠い将来のための資産形成に向いています。両方を上手に組み合わせることで、安全性と成長性を両立できるのです。

大切なのは「今日から始めること」です。完璧な知識を待っていたら、いつまでも始められません。まずは生活防衛資金を普通預金や定期預金で確保し、余裕資金があれば少額から投資を始めてみましょう。新NISA制度を活用すれば、税制面で大きなメリットを享受できます。

人生100年時代、あなたの未来を豊かにするために、資産形成は避けて通れないテーマです。不安や迷いがあるのは当然です。でも、その一歩を踏み出したあなたは、すでに多くの人より前に進んでいます。小さく始めて、学びながら成長していく。それが、資産形成成功への一番の近道です。

あなたは、定期預金と投資のどちらから始めますか?それとも、両方をバランスよく始めますか?正解はあなたの中にあります。自分のペースで、自分に合った方法で、今日から資産形成の第一歩を踏み出しましょう。未来のあなたが、今日の決断に感謝する日が必ず来ます。

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